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製品

• サヴァラン

サヴァラン【仏:Savarin】 ババ型(ダリヨル型)・サヴァラン型を使って焼いた発酵生地にシロップをたっぷりと染み込ませ、ラム酒をふりかけたお菓子。 ◎歴史 18世紀頃、フランス北部の都市、ナンシーに宮廷を構えていたロレーヌ公スタニスワフ一世の料理人がクグロフにラム酒をかけたデザートを作った。 ロレーヌ公が愛読書「千年一夜物語」の主人公から名前をとりアリババと名付けられたその菓子は、19世紀のはじめにパリの菓子店、ストレールでババ・オ・ロム(ラム酒風味のババという意味)として売り出されて広まっていった。 その後、ストレールで修行したオギュースト・ジュリアンがそのババを洗練して完成させ、美食家のブリヤ・サヴァランから名前をとってサヴァランと名付けた。 一般的にババの生地にはレーズンを加えてダリヨル型で焼き、サヴァランはレーズンを使わずにサヴァラン型で焼くが、レーズンの有無と型の組み合わせを一致させずに作られることも多いため、製品名としては混同されることも少なくない。


• テュイル

テュイル【仏:tuile(チュイル)】 テュイル=フランス語で「瓦」を意味する。 薄く焼いたクッキーをトイ型(テュイル型)に入れて曲げたり、焼いた生地をまだ熱いうちに棒に巻きつけてカーブをつけたもの。瓦の形にした焼き菓子のこと。


• スイートポテト

サツマイモを主材料とした日本発祥の洋菓子。(英語では「sweet potato」はサツマイモ自体を指す)海外ではあまり浸透しておらず、スイートポテトを英語でいう必要があるときは、「sweet potato cake」「sweet potato tart」などと呼ぶ場合がある。 作り方・レシピ ・さつまいも(茹でて皮を剥き、裏ごししたもの)200g ・上白糖20g ・バター10g ・牛乳10g ・卵黄1/3個 ・卵黄(照り用)1/3個の残り 1.さつまいもと上白糖を混ぜる。 2.バターを加える。 3.牛乳と卵黄を加える。 4.形を整える。 5.塗り卵を塗り、230℃に予熱したオーブンで約15分焼く。


• フロランタン

フロランタン【仏:florentin】フロレンティーナ【独:florentiner】 概要 砂糖を焦がして生クリームやバターを加えたカラメルソースに、ナッツ類を加えて煮詰めて焼いたもの。サブレ生地の上にアーモンドスライスをのせて、キャラメルソースでコーティングした菓子のことも指す。 歴史 フロランタンとはフィレンツェの形容詞形で、一説にはフィレンツェ生まれのカトリーヌ・ド・メディシスがフランスのアンリ2世のもとへ嫁ぐ際に伝わった菓子と言われている。


• パート・ド・フリュイ

パート・ド・フリュイ【仏:pâte de fruits】 フルーツ・ピューレやジュースに砂糖を加え、ペクチンで固めたゼリー製品。 作り方 1.ペクチンとグラニュー糖を混ぜ合わせておく。 2.クエン酸に水を加えてよくかき混ぜて溶かす。 3.鍋にピューレ、水あめ、グラニュー糖の約半量を入れて沸騰させる。 4.沸騰したら、泡だて器で混ぜながら混ぜ合わせたペクチンを少しずつ振り入れる。 5.煮立ててペクチンを溶かす。 6.残りのグラニュー糖を加え、混ぜ合わせる。 7.再び沸騰させて煮詰める。 8.煮詰まったら火を止め、クエン酸を加える。 9.型に流す。 10.固まったら型から外し、好みの大きさ、形に切る。


• シュー・ア・ラ・クレーム

シュー・ア・ラ・クレーム(仏:chou à la crème) パータ・シューの生地にクリームを詰めたお菓子。 フランス語であるシュー・ア・ラ・クレームはクリーム入りのキャベツ(chou/シュー)という意味合いで、英語ではクリーム・パフ(cream puff)という。 日本でいうシュークリームはフランス語であるシューと英語であるクリームを合わせた和製語。 中に詰められるのは主にクレム・パティシエールやクレム・ディプロマット、クレム・シャンティイなどが主流。 歴史 シュー生地の原型は小麦粉をバターで炒めたルー・ブランから始まったのではないかと考えられているが、他にも「じゃがいもを潰して卵も混ぜたもの」や、「クレム・パティシエール」が始まりではないか、という諸説が存在する。また、他に現代でシュー生地を揚げて作られるべニエ・スフレ(beignet souffiè)に近しいものが、シューの先祖ではないかと言われている。 現代で流通しているシューの製法は、1533年にイタリアのメディチ家・カトリーヌ姫がフランスに嫁いだ際に従事していた料理人によってフランスに伝えられ、改良を重ね1760年にジャン・アヴィスが完成させた、いうのが一般論。 日本にシュークリームを伝えたのは、幕末に来日して横浜で西洋菓子店を営んでいたサミュエル・ピエールというフランス人。冷蔵設備が普及した昭和30年代以降には一般庶民にも広まり、シュークリームと合わせてエクレアも親しまれるようになっていった。


• エクレア

エクレア【仏:éclair(エクレール)】 エクレアとは、シュー生地を使った菓子の一種である。 細長い形に焼いたシュー生地にカスタードやホイップなどのクリームを入れ、チョコレートやフォンダンをかけたものを指す。 エクレアの代表的な様式である、表面にチョコレートをかけたものは「エクレール・オ・ショコラ」とも呼ばれる。また、エクレアを短く絞ったものにサランボやカロリーヌがある。 歴史 エクレアとはフランス語で「雷」や「稲妻」を意味し、名前の由来には次の3つの説が有力であるとされている。 1.生地を焼いたときにできる表面の亀裂が稲妻に似ているからという説 2.表面にかけられたチョコレートやフォンダンが稲妻のように光るからという説 3.中のクリームが飛び出さないように、あるいは溶けないように、稲妻が光るかのように素早く食べなければならないからという説 エクレアは、19世紀初頭にフランスのシェフであり、パティシエであったアントナン・カレームが考案したという説が有力である。 カレームはシュー生地を完成させたジャン・アヴィスの弟子であり、絞り袋の発明やシャルロットの考案もしている。 また、シェフとしても数々のソースの考案などを行うなど、フランス料理会において多大な功績を残している。


• ガレット・ドラーンジュ

ガレット・ドラーンジュ【仏:Galette Dorānju】 ガレット・ドラーンジュとはパート・サブレを型を使わずに手で成形して作る、オレンジのタルト風菓子を指す。 土台の生地の外周に棒状にした生地で壁を作り、手でつまむように成形し、中にオレンジマーマレード・オレンジピール・アパレイユを敷いて焼き上げる。 「ドラーンジュ」はフランス語で「オレンジ」の意味であるため、ガレット・ドラーンジュは「オレンジのガレット」と呼ばれることもある。 ガレット・ドラーンジュに用いるパート・サブレは糖分より脂肪分(バター)の割合が多いタルト生地である。 そのため、歯ざわりが軽く、口の中でほろほろと崩れる脆さが特徴にあげられる。 ガレットの種類 『ガレット』と聞けば、クレープの原型であるそば粉の生地を焼き、卵や野菜を包んで正方形に折りたたんだ料理を想定する方もいるだろう。 しかし、ガレットは本来『円形に平たく焼いたもの』という意味であるため、料理と菓子の両方で使われる言葉である。 『ガレット』の名がつく菓子として、ガレット・ドラーンジュのほか、 ガレット・デ・ロワ 、 ガレット・ブルタルー がある。 歴史 ガレット・ドラーンジュの土台に用いるパート・サブレの、「サブレ」の名前の由来には次の3つの説がある。 1. サブレが作られたのが、フランスのサブレ=シュル=サルトであるからという説 2. 17世紀、サロンを開いていたサブレ公爵夫人が、バターをたっぷり使ったガトーセックを出したことが始まりであるからという説 3. フランス語で「Sable(サーブル)」は砂を意味し、砂が崩れるような食感から名づけられたという説 また、ビスケット生地やパイ生地で作った器に詰め物をした菓子や料理の総称が「タルト」であり、ガレット・ドラーンジュもタルトの一種である。 タルトは、誕生から長い期間、手で食事をしていた人類が、はちみつやクリームといった液状のものを食べられる器に入れることで食べやすくするという発想から生まれた。 この発想は古代ギリシャ、古代エジプト時代には既にあったともいわれるほど、長い歴史を持つものである。


• タルト・ブルダルー 

タルト・ブルダルー【仏:Tarte Bourdaloue】 タルト・ブルダルーとは、生地にアーモンドクリームを流し込み、その上に果物を乗せて焼いたタルトである。 特に洋梨を使用したタルト・ブルダルーは、Tarte aux poires Bourdaloue(タルト・オー・ポワール・ブルダルー)と呼ばれる。poires(ポワール)とは、フランス語で「洋梨」を意味する。 一般的に、ブルダルーはアーモンドのクリームの上に果物を乗せ、表面に砕いたマカロンと溶かしバターをかけて焼き色を付けたものである。 これをタルト生地の上に作ると、タルト・ブルダルーとなる。 歴史と由来 「ブルダルー」という名前の由来には次の2つ説がある。 1. 19世紀末~20世紀初頭のパリが繁栄していたベル・エポックの時代に、ブルダルー通りにあった菓子店で売られていたからという説。 Faquelle(ファスケル)、またはLesserteur(レセトゥール)という名のパティシエが考案したといわれている。 2. 長い説教で有名であったイエズス会の説教師Louis Bourdaloue(ルイ・ブルダルー)にちなんで命名されたという説。 彼はブルダルー通りに面した教会で説教を行っていた。 ルイ・ブルダルーは1704年没であるため、タルト・ブルダルーの由来である2つの説には約200年の開きがある。


• ミルフィーユ

ミルフィーユ【仏:mille-feuille】 ミルフィーユとは、キャラメリゼした3枚のパイ生地の間にクリームを挟んだ、フランスの歴史ある菓子である。 間に挟むクリームには伝統的なカスタードクリームだけでなく、生クリームやクレーム・レジュール(カスタードクリームと生クリームを混ぜたもの)なども使われる。 ミルフィーユには様々なバリエーションがあり、特に、苺を挟んだものをmille-feuille aux fraises(ミルフィーユ・オ・フレーズ)と呼び、ナポレオン・パイという別名でも親しまれている。 これは、ナポレオン皇帝がかぶっていた帽子に形が似ていることや、数ある菓子の中の「皇帝」を意味して、名づけられたという。 また、ミルフィーユの上部にフォンダンをかけ、矢羽模様などをつけたものはmille-feuille glace(ミルフィーユ・グラッセ )、3枚のパイ生地のうち中央の1枚をスポンジケーキに置き換えたものはmille-feuille blanc(ミルフィーユ・ブラン )と呼ばれる。 歴史と由来 フランス語で「mille」は「千の・たくさんの」、「feuille」は「木の葉」を意味する。そのため、「mille-feuille」を直訳すると「千の木の葉」という意味である。これは、森の落ち葉のように幾重にも重なりあったパイの様子を表している。 日本では「ミルフィーユ」という発音が一般的であるが、フランス語で「フィーユ(fille)」は「女の子」を意味する単語であるため「千人の女の子」という意味になってしまう。本来の発音は「ミルフイユ」または「ミルフォイユ」が近い。 ミルフィーユの由来は、アントナン・カレームの考案とする説と、1800年ごろにRouget(ルージェ)という菓子職人が得意としていたという2つの説がある。 アントナン・カレームは諸説あるエクレアの考案者であるとも言われている。


• シブースト

シブースト【仏:Chiboust】 パイ生地にフルーツとクレーム・シブーストを乗せ、トップをキャラメリゼした菓子。 シュー生地で周りを囲ったものは サントノレ【仏:Saint-Honoré】 とも呼ばれる。 今日のムースクリームの先駆けとも言える、古典菓子としても有名である。 シブーストに用いるクレーム・シブーストとは、カスタードクリームにゼラチンとイタリアンメレンゲを混ぜて作ったクリームのことを指す。 クリームのふわっとした食感とパイ生地のサクサクとした食感、中に入れられたフルーツの甘みやキャラメリゼされたトップの香ばしさといった、さまざまな口当たりを楽しむことができる。 中に入れるフルーツにはりんごが使用されることが多い。 歴史と由来 19世紀中ごろのパリ、サン・トノレ通りに店を構えていた菓子職人のシブースト氏が考案した。 彼の名前から「シブースト」と命名されたことが名前の由来である。 当時は冷蔵施設がなかったため、生クリームや卵を使ったクリームは細菌の温床となっていた。 そのため、シブースト氏は熱したシロップと卵白を混ぜたイタリアンメレンゲを使い、カスタードクリームとゼラチンを用いたクレーム・シブーストを考案。 火を通したクリームにゼラチンを混ぜて固めることで、細菌の問題を解決した。 これがシブーストの誕生である。 1970年代、パリで製菓修行をしていたブールミッシュのシェフパティシエである吉田菊次郎氏によって開発当時のレシピが再現され、タルト・シブーストとして日本にも輸入された。


• マカロン・ムゥ

マカロン・ムゥ【仏:Macarons mous】 マカロン・ムゥとは、卵白・粉砂糖・アーモンドパウダーを混ぜ合わせた生地を丸く絞って焼き、クリームを挟んだ焼き菓子の一種である。 中のクリームにはバタークリームやジャムなどを用いる。 一般的に「マカロン」と言うと、マカロン・ムゥを指すことが多い。 マカロン・ムゥは別名マカロン・ジェルべ【仏:Macaron Gerbet】、マカロン・リス【仏:Macaron lisse】、マカロン・パリジャン【仏:Macaron parisien】とも呼ばれる。 フランス語で「mous」は「柔らかい」、「lisse」は「すべすべ」を意味し、菓子の見た目・食感を表している。 食紅や香料で色と香りをつけることで、色とりどりの鮮やかなマカロン・ムゥが作られる。 焼いている途中に中から柔らかい生地が噴出し、縁にフリルが付いたようになるが、これを 「ピエ」 と呼ぶ。 歴史と由来 マカロン・ムゥの原型は、8世紀のヴェネチアで修道僧のへそを模して作られたマカローネという菓子と言われている。 また、マカロン・ムゥの発祥については諸説あるが、以下の2つの説が有力とされている。 1. 16世紀にフィレンツェ(イタリア)の富豪の娘であるカトリーヌ・ド・メディシスが、フランス国王アンリ2世に嫁いだ。 その際、彼女がイタリアから連れてきた菓子職人たちがフランスに数々の菓子を伝え、その一つにマカロン・ムゥがあるという説。 2. 8世紀にはすでにフランスのトゥレーヌ地方の修道院で作られていたという説。 マカロン・ムゥは江戸時代に日本に伝えられたが、当初、評判は芳しくなかった。 そこで、アーモンドパウダーの代わりに当時の日本人にも馴染みのあったピーナッツ粉を主原料とし、「マコロン」の名称で親しまれた。


• シガレット

シガレット【仏:Cigarettes(スィガレット)】 プティフール・セック(焼いたプティフール)のひとつ。 焼きあがった平たい生地を熱いうちに棒に巻きつけて作る。 巻きたばこのような形から、シガレットという名前がついた。 巻かずにアルミカップなどに入れて形をつくり、氷菓の器として使うこともできる。


• パウンドケーキ

パウンドケーキ(英: pound cake) カトルカール(仏:Quatre-Quarts) パウンドケーキはバターケーキの代表格とも言えるケーキであり、「カトルカール」とも呼ばれる。 砂糖とバターを最初に合わせてから卵と小麦粉を加えるシュガーバッター法や、小麦粉とバターを最初に合わせてから砂糖と卵を加えるフラワーバッター法といった製法がある。 パウンドケーキには様々なバリエーションがあり、中でもケーク (仏:Cake)やケーク・オ・フリュイ (仏:Cake aux fruits)と呼ばれる、ドライフルーツを入れたパウンドケーキは広く知られている。 他にも、リンゴを入れたアプフェルクーヘンや、レモンを使ったウィークエンドシトロンなどがある。 歴史 パウンドケーキという名前は、材料を1ポンドずつ混ぜて作ることに由来している。 また、別名であるカトルカールとは、フランス語で「4分の1が4つ」という意味であり、こちらの名前もバター・砂糖・卵・小麦粉を4分の1ずつ混ぜ合わせて作ることから名づけらたものである。 パウンドケーキは18世紀初頭にイギリスで誕生し、18世紀後半には砂糖漬けのフルーツの皮を使ったフルーツケーキなどのバリエーションも誕生した。 当時、フルーツケーキは結婚式のウエディングケーキとして出されていた。 さらに、20世紀前半になるとフルーツやナッツを使った様々なバリエーションが誕生し、比較的日持ちが良かったことから、クリスマスなどの季節の贈答品として定着していった。


• シフォンケーキ

【シフォンケーキ(英:chiffon cake)】 【ガトー・シフォン(仏:gâteau chiffon)/エンジェルケーキ】 概要 スポンジケーキの一種。シフォン型(angel food cake pan)を用いて、中央に円筒状の穴が開いた形に焼き上げられ、生地にサラダ油などの植物油を使用した、きめ細かく柔らかい質感が特徴。 英語でシフォン(chiffon)は、絹、軽くてふんわりしたという意味合いだが、フランス語ではシフォン(chiffon)は、ぼろ切れ・雑巾を意味している。そのためフランスの一部ではエンジェルケーキとも呼ばれている。 歴史 アメリカ発祥のケーキで、1927年にアメリカのハリー・ベーカー氏によって、卵白のみを用いて作るエンジェルフードケーキを元に考案された。著名人などからも好まれる人気のケーキであったが、ベーカー氏はレシピの公表を行わなかったため、20年間程謎に包まれたケーキとされていた。 しかし、1947年にゼネラルミルズ社に売却され、ふわふわの生地の秘密は植物油とメレンゲであることが明らかになった。翌年アメリカの生活情報誌で紹介され、シフォンケーキブームが起こり小麦粉と植物油の売り上げに貢献したとも言われている。 日本にシフォンケーキを広めたのは、岩田有司(現:株式会社フレイバーユージ 代表取締役)である。カリフォルニアで得たレシピを基に試行錯誤を繰り返し、1976年にオリジナルレシピを完成させ日本中に普及させた。現在では、アメリカ本国よりも日本で一般的な洋菓子の一つとなっている。


• パネトーネ

パネトーネ【伊:panettone】 ミラノのドーム状の菓子・パンのこと。ミラノ発祥のクリスマス菓子とされている。 概要 クリスマス用の発酵菓子。イタリアで生まれた特殊な天然酵母パネトーネ種だけを用いて作られている。生地はふわふわで香りがよい。レーズンやサルタナなど、さまざまなドライフルーツを使用しており、上品で口当たりの良い味である。 歴史 元々はドイツのシュトーレンのようにクリスマスシーズンに食べられ、知人や親戚などに送るために作られていたパン。現在ではクリスマスに関係なく工場生産も行われるようになり1年中販売されるようになった。 パネトーネを作ったのは、、トニーというパン職人されており、そこからトニーの焼いたパン「パーネディトーニ(pane di toni)」が訛りパネトーネになったという説もある。


• パンドーロ

パンドーロ【伊:pan doro】 黄金のパンという意味。 パネトーネと並ぶクリスマス用発酵菓子。パネトーネとは違い生地には、ドライフルーツは加えず、イタリア独自の天然酵母パネトーネ種で発酵させている。またバターと卵をたっぷり使ったリッチな味わいで、パンというよりシフォンケーキのような繊細さがある。形は星形になっており、大きさは15cm程度のものが一般的である。 歴史 起源は諸説あるが、そのうちの一つが18世紀頃ヴェローナで発祥という説。庶民が黒パンを食べていた時代、貴族だけが食べられた円錐状のドルチェで、金箔の薄い紙で覆われていたことから「pan de oro/パン・デ・オーロ(黄金パンの意)」と呼ばれていた。 また別説としては、ヴェローナの古いナタレー(クリスマス)に食べられる「nadalin/ナダリン」という星形をしたドルチェが起源ともされている。


• ガトー・オペラ

ガトー・オペラ【仏:Gâteau au Opéra】 フランス発祥のチョコレートケーキ。 ビスキュイ・ジョコンドにコーヒーシロップを染み込ませ、バタークリームやガナッシュクリームを重ねて層を作り、チョコレートを表面でコーティングしたもの。 歴史 1955年にパリのパティシエ、シリアックガビヨンが発案した。


• ガトー・フレーズ

ガトー・フレーズ【仏:gâteau fraise】 クレーム・シャンティイ、パータ・ジェノワーズ、いちごを使ったケーキ。 日本の消費者の間ではショートケーキと呼ばれることが多いが、日本国外でのショートケーキはガトー・フレーズを指さない。 →ショートケーキについて


• モンブラン

モンブラン【仏:Mont-blanc】 メレンゲやスポンジの土台に、マロンクリームを高く絞ったケーキ。 直訳すると「白い山」という意味になる。 アルプス山脈の最高峰、モンブラン【仏:le mont Blanc】が名前の由来だとも言われている、 歴史 フランスのサヴォワ地方とイタリアのピエモンテ州などで、甘い栗のペーストにクレーム・シャンティイやクレーム・フエテを添えて食べられていたものが洗練されて今のモンブランができたのではないかとされている。 1903年創業のパリの菓子店、アンジェリーナでは、創業したときからモンブランが作られていたと言われている。 日本では昭和初期、クレーム・パティシエールなどが詰められたカップケーキを土台にして、栗の甘露煮から作られた黄色いマロンクリームを絞ったモンブランが売り出され、広まっていった。


• カトルカール

カトルカール【仏:Quatre-quarts】別名:パウンドケーキ【英:pound cake】 4分の4という意味のパウンドケーキ。等分の配合の焼き菓子。 歴史 カトル(4)、カール(4分の1)の意から名付けられた菓子。バター、砂糖、卵、小麦粉の4つの素材が、4分の1ずつ全て同じ量使用されている。 製法 製法はパウンドケーキの長方形型で作られ、バターを柔らかくして砂糖、全卵、小麦粉と加えていくシュガーバッター法と小麦粉、バターを最初に合わせ、砂糖、卵を加えるフラワーバッター法がある。 シュガーバッター法は、卵の泡立て方の違いで共立て法、別立て法に分かれる。


• フィナンシェ

フィナンシェ(仏: financier)はバターケーキや焼き菓子の一種で、フランスが起源と言われている。フランス語に則ると、正式にはフィナンシェではなく、フィナンシエであり、別名フリアン(friand)とも呼ばれている。 フィナンシェはブール・ノワゼットという焦がしバターとアーモンドの香ばしい風味が特徴である。マドレーヌとよく似ているが、作るときにフィナンシェは卵白のみを使うが、マドレーヌは全卵を使うという点で違いがある。 歴史と由来 フィナンシェはフランス語で「金融家」や「金持ち」という意味があり、パリ証券取引所周辺の金融街から広まったお菓子というところから、この名がついたとも言われている。 また、フィナンシェの小さな台形の形が金塊を表しているとも言われることも。 現代は正四角形やハート形のもの、抹茶味、チョコレート味などのさまざまな形や味のものが普及している。


• マドレーヌ

マドレーヌはパウンドケーキの一種だが、貝殻型の焼き型に生地注いで焼くことが多い。 フィナンシェと似たようなものだと認識されることがあるが、フィナンシェは卵白を使用して作るのに対し、マドレーヌは全卵を使うため硬めに仕上がる。 マドレーヌはレモンの絞り汁やレモンピールを入れることもあり、さまざまな風味のものが売り出されている。 歴史と由来 マドレーヌ(仏:madeleine)とはフランス発祥の焼き菓子。 由来については諸説あるが、マドレーヌを作った女性の名前にちなんで名付けられた。 マドレーヌは、1755年にマドレーヌ・ポルミエロレーヌという女性が作ったことから名付けられたと言われている。 スタニスラスの館の料理長とパティシエが喧嘩して館を出て行った時に、召使いだったマドレーヌが、あり合わせの材料と厨房にあったホタテの貝殻を使って祖母に教わったお菓子を焼いたことが発祥と言われている。 いずれにせよ、作った女性にちなんでマドレーヌという名が付けられた。


• クイニー・アマン

クイニー・アマン【仏:Kouign-amann】 イーストを入れて作ったデトランプを発酵させ、バターを折り込み、再び発酵させて成形した生地にグラニュー糖をまぶして焼成したもの。 歴史 ブルターニュ地方のドゥアルヌネ一帯でつくられている焼き菓子。 ブルトン語でKouignは菓子、amannはバターを指す。


• クグロフ

クグロフ【仏:Kouglof】 バターや牛乳、卵などが入ったリッチな配合の生地をクグロフ型(斜めに溝模様があり、中心が空洞のおの)で焼いた、オーストリア・ドイツ・フランスのアルザス地方を代表する伝統菓子。 オーストリアのウィーンではバターケーキのような製法で作られ、フランスのアルザス地方ではイーストを使用したブリオッシュ生地タイプのものが主流となっている。 歴史と由来 語源には、ドイツ語の【Kugelhoff】クーゲル(球)+ホフ(僧帽)が語源であるという説と、 【Kugelhupf】クーゲル(球)+ホップフ(ビール酵母)という説が存在する。 前者は形が僧帽に似ていることから来ており、後者はかつてはビール酵母を発酵させて作られていたことが由来となっている。 また、他にもフランスのアルザス地方のリボーヴィレ【Ribeauvillé】の陶器職人、クゲルの名が語源であるという説がある。 マリー・アントワネットが愛したお菓子としても有名で、18世紀に彼女がオーストリアからルイ16世のもとへ嫁ぐ際にフランスに伝えられたと言われている。


• ワッフル

ワッフル【仏:gaufre/英:waffle】 小麦粉と卵、バター、牛乳、砂糖、イースト等を混ぜて発酵させた生地を、格子状の鉄板に挟んで焼いた菓子。 ベルギーワッフルにはイーストで発酵させた生地にシュクレぺルルという大粒の砂糖を入れて焼いたハードタイプのリエージュワッフルと、同じくイースト発酵生地を使った、表面がカリッとしていて中はサクサクとしたリュッセルワッフルがある。 歴史 古代ギリシャのオベリオス(obelios:パン生地に卵、牛乳、蜂蜜等を合わせた、お菓子やパンの総称)と呼ばれたものが起源とされている。 宣教師達によってヨーロッパに伝えられたオベリオスは主に2つのルートで発展する。 5世紀頃、フランスではオベリオスが鉄板の上で丸く焼いたウーブリ(oublie)というお菓子に変化を遂げ、やがて模様をつけて焼くようになったゴーフル(gaufrer)となる。 7世紀頃、オランダではオベリオスが格子状の模様をつけて薄く焼いたお菓子(wafel)となり、後にwaffle(ワッフル)と呼ばれるようになる。


• プラリーヌ

プラリーヌ【仏:Praline】 プラリーヌは、焙煎したヘーゼルナッツやアーモンドなどのナッツ類に、加熱した砂糖を和えてカラメリゼ・糖化したもの。 歴史と由来 プラリーヌは、元々はアーモンドに様々な香りや色をつけて砂糖をまぶしたお菓子だったが、アーモンドにシロップをからめてカラメリゼしたものへと変化していった。 発祥は17世紀で、ちょうど『フロンドの乱』の翌年になる。 プロンドの乱は貴族が国王に対して起こした最後の反乱といわれている。 この時、反乱後の和解条約を取り決めるべく、ショワズール公プレシ=プララン元帥が時の有力者を集めた宴を催した。 その席で彼は自分の料理人に即席でつまめるお菓子を作るよういいつけ、その過程でプラリーヌが誕生したといわれている。 プラリーヌは女性に高い人気を誇り、外交上においても重要な働きをした。


• ボンボン・ア・ラ・リキュール

ボンボン・ア・ラ・リキュール【仏:Bonbon a la liqueur】 日本でいうボンボン菓子のことで、お酒を閉じ込めた菓子のことをいう。 一般には砂糖でできた殻でお酒を閉じ込めるが、日本ではチョコレートの殻で閉じ込めたショコラ・ボンボンが有名である。中でもウイスキーが使われたものは、ウイスキーボンボンと呼ばれる。チョコレートの甘さとお酒のほろ苦さが同時に楽しめる点が魅力的。 ボンボン・ア・ラ・リキュールの中に入っているお酒はアルコール度数がおおよそ2%~3%のものが多い。 歴史 ボンボン・ア・ラ・リキュールという名前は、フランス語で良いという意味の『ボン(Bon)』を二回重ね、酒入りという意味のア・ラ・リキュールと合わせられたもので、良いお酒入りのものという意味になる。 もともと中世のフランス宮廷で権力者の好物として広まり、日本でも舶来の高級品とし、て富裕層を中心に食べられていた高級菓子である。 中世のフランスでは、ボンボンのための専用の容器として「ボンボニェール」というものが作られたほど、宮廷の貴族や貴婦人の間で流行した。


• シャーベット・ソルベ

ソルベ【仏:sorbets】 フランスで完成された氷菓。さっぱりとした甘みと冷たさか特徴。 フルーツのジュースやピューレにシロップなどを加えて糖度を高め、撹拌しながら空気を加えて凍らせたもの。糖度は26〜28%程度。 糖度はブリックス計などの糖度計を使用して計測する。 ソルベティール(アイスクリームフリーザー)に入れて製造する。アイスクリームよりはキメが荒く、グラニテよりはなめらかに仕上がる。 フランス料理では、グラニテと同じく、お口直しとしてコースの途中に提供されることが多い。 口の中を一旦リセットできて後味がしつこくなく、後に続く料理や飲み物の邪魔をしないフレーバーが望ましい。レモンやグレープフルーツ、ミントなどさっぱりとした系統のものが選ばれることが多い。 ソルベの語源はアラビア語の「シャルバート」に由来する。 シャルバートは果物などから作ったシロップを水で薄めて、そこに砕いた氷を入れて冷やした飲み物で、ヨーロッパに渡ったのは9世紀の頃と言われている。 後にアラビアからシチリアに渡り、「ソルベット」という氷菓になる。15世紀に入るとフィレンツェからフランスにソルベットが伝わり、そこで「ソルベ」として現在に近い形になったと言われている。 シャーベット【英:sherbet】 ソルベがアメリカに伝わり、完成された氷菓。甘さと冷たさが特徴。 ソルベの材料に牛乳や卵白、ゼラチンを加えた物で、糖度も高い。牛乳が含まれる分、ソルベより凍るのも溶けるのも遅い。 甘みがしっかりあるのでデザートとして楽しまれることが多い。 一般的に、植物由来のものがソルベ、動物由来のものがシャーベットと呼ばれることが多い。


• グラス・ア・ラ・ヴァニーユ

グラス・ア・ラ・ヴァニーユ【仏:glace à la vanille】 バニラ風味のアイスクリームのこと。一般的に最もポピュラーなアイスクリームと言える。グラニテやソルベと比べるとは滑らかで口どけが良いのが特徴。 クレーム・アングレーズを冷やし、生クリームを加えて、ソルベティエール(アイスクリームフリーザー)で気泡を加えながら冷やし固めて作られる。フルーツピューレや抹茶、ココアなどを入れてアレンジすることもできる。 手作りのアイスクリームは冷蔵庫で長い間保存しておくと、庫内の匂いが移ることがあるので、出来たてをすぐに提供するようにする。 歴史 氷菓はかつてシャーベット状の物が主流だったが、17〜18世紀になると乳製品や卵の脂肪分を加えたクリーム状の現代のアイスクリームの様な氷菓が作られるようになった。当時は、上流階級の贅沢品だった。


• グラニテ

グラニテ【仏:granité】 果汁、コーヒー、酒類などで風味をつけたシロップを凍らせたもの。かき氷の様なジャリジャリとした食感が特徴。糖度は25%度程で、低い。ブリックス計などの糖度計を使用して計測し調整する。 フランス語で御影石のような「粒状の物」という意味を指し、グラニテの見た目を表現している。シャーベットより荒く、みぞれ状独特の形状はソルビエテール(アイスクリームフリーザー)を使わず、冷凍庫に入れ固まってきたらフォークなどでかき混ぜることを繰り返すことで形成される。 冷やしてかき混ぜることを何度も繰り返すことにより細かいグラニテになる。 混ぜる際は凍っている部分を溶かさない様に熱い作業台などのの上に直接置かない様にする。特別な機械を使わないので、家庭でも気軽に作ることができる。 ソルベと同じくフランス料理のお口直しとして提供されることが多い。 レモンやグレープフルーツ、ミントなどさっぱりとした系統のものがよく選ばれる。 歴史と由来 イタリアのデザート「グラニータ」を元にフランスで完成されたデザート。こちらはグラニテよりも果汁や糖度を多く含むので、デザートとして用いられることが多い。また朝食代わりにブリオッシュに挟んで食べられることもある。


• クレープ

クレープ【仏:crêpe】 小麦粉に乳製品や糖類、鶏卵などを合わせた流動性のある生地をごく薄く焼いたもの。焼いた時にできるちりめん状の模様からクレープ(絹の意味)と呼ばれるようになった。 日本では生クリームやフルーツ等を巻いて食べたり、クレープシュゼット(仏:Crêpe Suzette)など、レストランデザートとして親しまれている。 歴史 フランスのブルターニュ地方のガレット(仏:galette)と呼ばれるそば粉で作った食べものがはじまりとされている。  ブルターニュ地方は、かつては土地が痩せていて小麦が育ちにくかった為、そばが多く育てられていた。 17世紀フランス国王の妻アンヌ王妃がブルターニュ地方を訪れた際に、ガレットをとても気に入って宮廷料理に取り入れ、19世紀頃にはそば粉が小麦粉に変わり今のクレープと呼ばれるものが広がっていった。 日本には1970年代後半にフランスから伝わったとされ、1976年に渋谷公園通りの駐車場にて小さなワゴン車で販売されたのが初めとされている。


• バヴァロワ

バヴァロワ【仏:bavarois】 バヴァロワ(ババロワ、ババロア)は、一般的にアングレーズソースに生クリーム、ゼラチンを合わせて冷やし固めたお菓子を指す。 軽い口当たりのムースとは対照的に、しっかりとした食感と卵黄と味があるため、冷やし固めたものをそのまま食べることも多い。 バヴァロワは「バイエルンの」という意味で、ドイツの旧バイエルン王国に由来する。 歴史 バヴァロワは元々はドイツのバイエルン地方からフランスに伝わった、バヴァロワーズという温かい飲み物だった。現在のバヴァロワ と同じく牛乳と卵黄ベースで作られていたが、18世紀にアントナン・カレームがゼラチンを加えて冷やし固めたものが現在のバヴァロワとして広まっている。 また、19世紀にフランス人シェフがバイエルン王国のために作った、生クリームを使った飲み物に手を加えたことからバヴァロワになったという説もある。


• ムース

ムース【仏:mousse】 気泡をたくさん含んだ、口当たりの柔らかいお菓子。フランス語で泡という意味と苔という意味を持つ。製菓では泡という意味で使うが、いずれにしても泡のように軽く苔のように柔らかい食感である。 ムースの泡はメレンゲや生クリームを使って作るものが多いが、フレーバーはさまざまでフルーツのピューレやチョコレートなどを使う。 バヴァロワとの違いはベースがアングレーズソースに限られない点である。 ◎歴史 ムースが誕生したのは17世紀のことだが、有名になったのは20世紀、ショックフリーザーが出来た頃のことである。元々貴族の中で食べられていたムースは「お腹がいっぱいでも食べられる」「音を出さないようにして食べられる」という理由で考案されたもの。 ショックフリーザーが出来たことによって品質を落とさずにムースの保存ができるようになり、フランスではどこに行ってもムースが置いてある、という時代が続いた。 日本でもこれに遅れを取らないよう20世紀にムースが広まった。 飽食の時代だからこそ、お腹がいっぱいでもふわっと食べやすいと人気になったスイーツがムースなのである。


• パンナコッタ

パンナコッタ【仏:Pannacotta】 生クリームをゼラチンで固めたイタリア発祥の冷菓。 イタリア語でパンナは生クリーム、コッタは煮たという意味で、作り方がそのままの語源になっている。つるんとした口当たり。 生クリームだけでなく牛乳も入れて作るとあっさりと食べやすくなり、原価も下げられる。 生クリーム・牛乳・砂糖を煮詰め、ゼラチンを加えて固めて作る。 コース料理のドルチェとしてレストランで出されることも多く、店によって様々な種類のソースをかけて食べられる。 歴史 パンナコッタは北イタリアの酪農が盛んなピエモンテ州が発祥で、家庭菓子として昔から食べられていた。 昔は生クリームが普及していなかったため、牛乳やその上澄みをデンプンで固めたものだったが、現代ではゼラチンなどの凝固剤で固めて作られる。 日本では1994年頃ブームになり、家庭でもおやつとして作られるようになった。 見た目の似たブランマンジェはフランス発祥で、アーモンドが入っており、生クリームはベースを煮詰めてゼラチンを入れたあとに加える。


• ブランマンジェ

ブランマンジェ【仏:blanc-manger】 砂糖の入ったアーモンドミルク(アーモンドと水で作られたもの)をゼラチンで固めたアントルメのひとつ。 フランス語でブランは白い、マンジェは食べ物を意味するので「白い食べ物」と訳される。 牛乳・砂糖を煮詰め、ゼラチンを加えた後、生クリームを入れ固めて作る。 本来はアーモンドを砕く際に出るアーモンドミルクを集めて作る高価なお菓子で、昔から貴族を中心に愛されてきた。近年はアングレーズソースやフルーツのソースと合わせて食べることが多い。 歴史 ブランマンジェは今日のお菓子の中で最も歴史があるとも言われている。中世では肉を使ったジュレやポタージュも、アーモンドミルクにハチミツを加えたものも同じくブランマンジェと呼ばれていた。 やがて料理の方の消滅し、ブランマンジェは甘いデザートとして残るようになった。 白くて甘いブランマンジェは19世紀にパティシエのアントナン・カレームによって世界に広められたと言われている。 しかし、アーモンドと砂糖で作られたアラビアのお菓子が発祥だったという説もあれば、ラングドック地方の町、モンペリエのスペシャリテだったともいわれており、ブランマンジェの発祥については諸説存在している。 見た目の似たパンナコッタはイタリア発祥で、アーモンドは入っておらず、牛乳・生クリーム・砂糖を合わせて煮詰めたあとゼラチンを入れ固める。


• ジュレ

ジュレ【仏:gelée】 英語でゼリー(jelly)またはジェリー、フランス語でジュレという。本来は「凍らせた」という意味なのでイタリア語のジェラート(gelato)と同じ。 製菓用語としてはゼラチンや寒天、ペクチンなどを凝固剤とした、ゲル状の水分の多いお菓子をさす。 ジュレは果汁、砂糖、ゼラチンを材料とするものに乳製品、卵、香料などを組み合わせて様々なバリエーションがある。ジャムやコンフィズリー、寒天で凝固させた寒天ゼリーなどもゼリーとして分類される。 使われるゲル化剤はゼラチン(動物の骨や皮の成分であるコラーゲンから作られる)、寒天(テングサやオゴノリなどの紅藻類から作られる)、カラギーナン(紅藻類からアルカリ抽出で作られる)、ペクチン(果物や野菜から作られる)などがある。 歴史 ジュレ、ゼリーの歴史は古く、ローマ時代から肉や魚料理の煮こごりを使った料理として作られていた。 お菓子としては18世紀末から19世紀初めにフランス人のパティシエ、アントナン・カレームが広めたとされている。当時はゼラチンを使ったゼリーがほとんどで、今の1.5〜2倍量のゼラチンで固められていた。 日本では寒天は17世紀後半から使われ、あんみつなどが食べられていたが、ゼラチンを使用したゼリー類は20世紀になってから広まった。


• クレーム・ブリュレ

クレーム・ブリュレ(仏:Crème brûlée) プリンより濃厚なアパレイユを湯せん焼きし、表面にカソナードを散らしてバーナーや焼きごてで表面を焦がしたお菓子。 ブリュレはフランス語で焦がす・焦げたという意味で、訳すと焦がしたクリームになる。 卵や牛乳、砂糖、バニラの他に生クリームが入るのでコクと滑らかさがあり、炙ってカラメル化表面にナイフを入れるとパリンと割れるのが特徴的。 歴史 クレーム・ブリュレは著名な料理人、ジョエル・ロブションが広めたとされているが、その原形はスペイン・カタロニアのお菓子、クレーム・カタラーナではないかといわれている。 カタラーナはシナモンの香りをつけたカスタードクリームのようなものに、クレーム・ブリュレと同じく表面にカソナードを散らして表面を焦がしたもので、キャラメルとクリームとの食感のコントラストが楽しめる。このお菓子が現在のクレーム・ブリュレに近しいものである。 日本で流行したのは1990年代前半ごろで、現在はパティスリーやカフェ、レストランなど幅広い場所で見られるようになった。 表面を炙ったカラメルは時間が経つにつれ溶けてしまうため、注文を受けてから表面を焼くお店も多い。


• シュトーレン

シュトーレン【独: Stollen(シュトレン)、蘭:stol(ストル)】 シュトーレンは、ドイツの菓子パンで、オランダではストルと呼ばれている。 クリスマスにドイツやオランダで伝統的に食べられている。正しい発音はシュトレンだが、表記はシュトーレンとされていることも多い。 生地にはレーズンやレモンピール、オレンジピール、ナッツなどが練りこまれており、焼き上がったあとに溶かしバターと染み込ませ、真っ白な粉糖をパンを覆うようにかける。その見た目から、産着に包まれた幼子イエスキリストを表しているとも言われ、クリスマスに食べられる料理のひとつとなった。 歴史 シュトーレンは、14世紀にクリスマスの贈り物としてナウムブルク(Naumburg)の当時の司教へ贈られたことから始まったと言われている。実際にシュトーレンの名前が使われるようになったのはそれから150年後のことである。 シュトーレンはトンネルの形をしているところから、ドイツ語の坑道という意味にちなんでつけられたと言われている。 クリスマスの1ヶ月前のアドヴェント(待降節)の時から少しずつスライスして食べられる文化がある。日に日に熟成してパンの味が良くなるので、クリスマス当日を楽しみに待ちわびながら食べられるものである。


• レープクーヘン

レープクーヘン【独:Lebkuchen】 レープクーヘンはドイツを中心に作られているクリスマスのお菓子。 蜂蜜・香辛料、オレンジ・レモンの皮やナッツ類、チョコレートを用いて作ったものである。 ドイツではクリスマスに飾るケーキとして知られており、中に家の形をしたものがある。これらは特別に、ホイスヒェン (独:Häuschen) 、プフェッファークーヘンハウス (独:Pfefferkuchenhaus)と呼ばれている。 甘味に蜂蜜、シナモンやアニス、グローブなどのスパイスが使われていることが特徴。カルダモンやコリアンダー、ショウガ、ナツメグなどが使われることもある。 膨張剤として炭酸アンモニウム(鹿角塩)や炭酸カリウム(あるいはこの両方)などが使われる。 レープクーヘンを名乗るための基準は法律で定められており、配合のうち25%のアーモンド、もしくはほかのナッツ類が含まれていることが条件となる。 でんぷんの割合が10%以下の場合は、食料品及び日用品の品質に関する法律 (略称:LMBG)に基づいて「エリーゼンレープクーヘン」と称号される。 レープクーヘンには、最大で10%の穀粉または7.5%のデンプンを入れることができる。エリゼンレープクーヘンは、高品質ベーカリー製品に定められているため、栄養価の高いクーベルチュールのみを加えることが認められていて、栄養価の低いカカオ入りバタークリームは使ってはいけないことになっている。 歴史 レープクーヘンの名前は、「Leben(レーベン=命、生活)のKuchen(クーヘン=ケーキ)」と解釈されることが多い。Pfeffer(プフェッファー=コショウ)という意味から、スパイスを使ったケーキということで、プフェッファークーヘンとも呼ばれている。 レープクーヘンの歴史は相当古く、紀元前350年の古代エジプト時代にあった、スパイスの入った蜂蜜パンが始まりと言われている。 現在、レープクーヘンは主にクリスマスシーズンに食べられているが、かつてはイースターや他の時期にも食べられていたものである。料理の一品として、強いビールなどと一緒に食卓に出されていた。


• ビュッシュ・ド・ノエル

ビュッシュ・ド・ノエル【仏: bûche de Noël】 ビュッシュ・ド・ノエル (仏: bûche de Noël) はブッシュ・ド・ノエルとも呼ばれている。ビュッシュは木や丸太、ノエルはクリスマスを意味するところから、ビュッシュ・ド・ノエルは木の切り株の形をしたケーキで、クリスマスのケーキとして有名である。 ケーキを丸太の形に見立てるために、よくロールケーキが利用される。表面に木の色を想像させるココアクリームやバタークリームを塗り、フォークなどで引っかくことで樹皮が表現されることもある。 枝を表現するためにチョコレートを使ったり、雪を表現するために粉糖を使ってデコレーションされたりして、雪の日の木をイメージして作られる。 歴史 ビュッシュ・ド・ノエルが丸太の形をしているのについては諸説がある。 クリスマスがキリスト教より以前にあった冬至祭を起源とするのと同様、北欧の古い宗教的慣習で使われた丸太を、パリのお菓子屋がかたどって作ったもの。 もう一つには「キリストの誕生を祝い、幼い救世主を暖めて護るため、暖炉で夜通し薪を絶やさず燃やした」ことに由来し、その時の薪を表現しているとも言われている。


• クリスマス・プディング

クリスマス・プディング【英:Christmas pudding】 クリスマスプディングはイギリスの伝統的なクリスマスケーキで、ドライフルーツ使った濃厚で芳醇な味わいが特徴である。 プラムを使うことが多いため、別名プラム・プディング (plum pudding) とも呼ばれる。 クリスマスプティングの材料は生パン粉、小麦粉、ミンスミート(牛脂)、卵、砂糖がベース。 このベースに、ブランデーなどにつけて柔らかくしたドライフルーツ、クルミなどのナッツ類、ナツメグ、シナモン、クローブなどの香辛料、ラム酒などの材料を入れて、混ぜ合わせてオーブンで焼く。 クリスマスプティングはいくつかの決まりがあり、13種類の材料が使われていなければならない。 焼く前に家族全員で1回ずつ願い事を唱えながら生地をかき混ぜる。 かき混ぜる向きは時計回りでなくてはならないなどと言われている。 プディングを蒸し上げる前に願い事をしたり、小物を生地に混ぜ込んで、切り分けられたときに当たった小物を見て将来の運勢を占んだりする遊びもよく行われる。 焼きあがった後は1ヶ月ほど寝かせることで熟成させてから食べる。 食べる前に再度蒸してブランデーをかけてフランベする。 歴史 現在のクリスマスプディングのもとであるイングリッシュプティングは、16世紀頃にはすでにイギリスのクリスマスのシンボルとして存在しており、清教徒革命中はクリスマスプディングの制作が禁止された。 その後、ヴィクトリア女王がクリスマスプディングを英国王室のデザートに採用したため、クリスマスプティングはイギリスのクリスマスに欠かすことのできないものとなった。