オーナーインタビュー:パティスリー モーン 小西 正二さん

  • インタビュー
  • 独立開業

パティスリーモーン
オーナーシェフパティシエ小西 正二さん

大阪府和泉市で、「安心出来る食材」でのケーキ作りを行うパティスリーモーン。
来年で25周年を迎えるパティスリーを、27歳の若さで開業したオーナーの独立時のエピソードや、こだわりのオーガニック素材を使うようになったきっかけなどをインタビューしてきました!

パティシエになったきっかけを教えてください

小西

高校を卒業してすぐ働き始めたんですが、和食から洋食、レストランなど幅広く展開する企業に入社して、はじめの4年間は料理人として働きました。
そもそも「働くなら、将来的に独立したい」と考えていて、だったら飲食業界でレストランなんて良いんじゃないか?と思って料理人になったんですよ(笑)

そのレストランでは本格的なアシェットデセールなども出していたので、職場にパティシエもいて、いろいろと話す中で、パティシエはレストランの半分ぐらいの資本で開業できるということを聞いたんです。
自分としても、細かい作業が好きで向いているかも?と思っていたので、4年目に異動させてもらって、パティシエとしてのキャリアをスタートさせました。

独立時のエピソードを教えてください

DSC02278

最初の職場で4年間料理人、2年間製菓部門で働いて、その後2店舗で修業させてもらって、27歳のときに独立しました。
知り合いから居抜き物件の話があったことがきっかけです。
ただ、独立するためにどうしたらいいのか、なにもわからない状態で。
当時勤めていた店のオーナーに、「独立するのが夢で、居抜き物件の話があるんですが、迷っている」という話をしたら、「やりたいならやったらいいやん」と言われまして(笑)
「お金ないです」と言ったら「借りたらいい」。
「やり方がわからない」と言ったら「こうしたらいいねん」と自分の経験を話して教えてくれました。
やりたいなら、せっかくのチャンスなんだからやったらいい、と背中を押してくれたから、今の自分があるのだと思います。

はじめは迷った独立でしたが、やると決めたら「怖い」とか「失敗したらどうしよう」みたいな不安はほとんどありませんでした。
若かったから何も考えていなくて、とにかく「やりたい」と言う気持ちが先行していたのだと思います。
もしダメなら工事現場で土方でもして借金を返して行こう、ぐらいに考えていました。

お店がオープンしてからは、手探りしながら、ただもう、がむしゃらで。
お客さんから「領収書ください」って言われて、はじめて「あっ!用意してない!」って気づく、みたいな。(笑)
しょっちゅう前の職場のオーナーに電話して「これってどうしたらいいんですか?」と聞いていました。

当時は自分とパートさん1名でやっていたので、仕込みと販売とオーナーとしての仕事をこなしていると、家に帰るのが3日に1度になることもありましたが、不思議と「過酷だった」というイメージはないですね。
やるしかない、やりたいことを実現するためにはここでがんばるしかない、自分がやらなければ他の誰もやってくれない、という気持ちがあったからだと思います。
あとは、友人が時々遊びに来てくれて、愚痴を聞いたり作業を手伝ってくれた、というのもあります。
いろんな人に助けられて、ここまで店を続けて来られました。

オーガニックな食材にこだわったケーキが人気ですが、なぜオーガニック食材に注目したのですか?

小西

1店舗目しかない頃に、「たまごを使っていないケーキを作ってほしい」とお客様から依頼されたことがきっかけでした。
アレルギーで顔を真っ赤にした赤ちゃんを抱いたお母さんの姿を見て、どうにかして、おいしいケーキを食べさせたい!と強く思ったんです。
試行錯誤しながら、最終的にイーストで膨らませたケーキをつくって、お客様からはすごく喜んでもらえました。
ただ、ケーキと言うよりはパンみたいな味わいや食感で、「喜んでもらえたけどこれは本当のケーキじゃない」と、もやもやした思いを抱えていました。

その後、2店舗目をオープンさせた後で、スタッフが「タマゴアレルギーの人が食べても大丈夫なタマゴ」の情報を仕入れてきて、これだ!と思ったんです。
ただ、そのタマゴが西宮のお店からしか仕入れられないということで、電話でなんとか安価で卸してもらえないか、と交渉したんですが、なかなか承諾してもらえなくて。
たまらなくなって、直接お店に行ってお願いしたんです。
こんなお客さんがいて、どうしてもこのタマゴを使ったケーキを作りたいという熱意を伝えたら、その場で取引をしてくれるとお返事をもらえました。

それをきっかけに、他の素材のことも気になってきたんです。
本当に安全で、お客様に安心して提供できる食材は他にないか、素材そのものの美味しさを届けるにはどうしたらいいのか。
小麦粉も製粉の段階までさかのぼるといろいろな違いがありますし、フルーツもオーガニックで…と、もっと良い業者さん、生産者さんはいないか、と探しました。
かなり地道な作業だったので、良い食材を見つけては先方に連絡をとって取引をお願いして、というかんじで少しずつ増やしていきました。

今では取引している生産者さんも増えてきたので、旬ごとのメニュー開発にも生かせています。
なにより、お客様から「素材の味がする」とか「子供にも安心して食べさせられる」という声を頂くと、やっぱり嬉しいですね。

3 4

独立後に苦労したことはありますか?

小西

はじめは料理人で、その後27歳で独立しているので、パティシエとしての実務経験は4年程度で独立しました。
だから、パティシエとして他の人が1段ずつクリアすることを、3段飛ばしで経験してきていると思います。
独立するまでは部下を持ったこともなかったので、後輩指導や人材育成の面では今も苦労していますね。
独立後に、それまでに経験するはずだったことを1つ1つ経験しながら、飛ばした階段を1段ずつ埋め直しているかんじでしょうか。

他にも、食材や技法についての理論的なところがまだまだ不足していると感じているので、指導の中でしっかり論理的に説明できるように勉強もしています。

今後の展開を教えてください

小西

まず、社内の環境を整えることが目標です。
理念みたいなものをスタッフ全員で共有して、何のためにケーキをつくるのか、そこに対してどう取り組んでいくのか、ということをしっかり落とし込んで、「人のために働く」、「利他の精神」を共有できるようにしたいと考えています。
良い職場をつくることが、最終的には良い商品をつくって、お客様に喜んでいただくことにもつながると思います。

あとは、そろそろ職人を引退して経営者になったほうが「良い店づくり」のためになるのかも、と考えたりもしています。
でも、やっぱりまだ、自分としてはコックコートを着てケーキを作っていたい気持ちもあって。
ただ、それなら一人でやったほうがいいんじゃないか?とも考えてしまって、葛藤しています。
現在パートさんを含めて25名以上のスタッフがいるので、その全員がやりがいを持って働けるような環境をつくっていきたいですね。

→→→パティスリー モーンの求人はこちら

パティスリー モーン

DSC02432

大阪和泉市で2店舗を構えるパティスリー。
木のぬくもりを感じる店内ではオーガニック素材にこだわった洋菓子をお客様に提供しています。
2Fには広いカフェスペースを設け、本格的なアシェットデセールも好評の人気店です。

公式ホームページ

ご意見・ご感想はこちら

パティシエントとは

パティシエントは、洋菓子・パン業界で働くすべての人の働くと学ぶを応援するサイトです。
夢や働きがいがあっても、離職率が高い洋菓子・パン業界。離職の理由に多く挙げられるのが、人間関係や労働条件のミスマッチです。
パティシエントは「どこで」「だれと」「どんな風に」働くのかがイメージできるリアルな求人情報や、仕事に役立つ業界内の様々な情報をお届けすることで、パティシエ・パン職人・販売スタッフをサポートします!
また、業界専門の転職エージェントがあなたにピッタリのお仕事を紹介する「転職支援サービス」を通して、より良い職場との出会いもサポートしています。