パティシエの高い離職率の原因とは?離職を防ぐ4つの対策も紹介

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パティシエの離職率は、1年以内に辞める人が70%、3年以内で90%、10年以内で99%と言われています。
求人募集をして雇っても過半数以上が退職してしまう現状に、悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

パティシエたちの離職理由の”ホンネ”に迫るため、20代のパティシエ273名にアンケート調査を実施しました。
「なぜ新人が辞めていくのか」をまとめましたので、人手不足に立ち向かうヒントにしてください。

パティシエの離職率が高い原因とは?

アンケートは20〜29歳のパティシエ経験者273名を対象に実施(2022年〜2023年)
離職原因を以下の5項目で回答を集めました。

  1. 仕事内容に不満がある
  2. 人間関係に不満がある
  3. 労働条件に不満がある
  4. 会社都合(閉店・廃業など)
  5. その他

集計の結果、原因として多く挙げられたのは以下の通りでした。

パティシエの離職の原因①労働環境

離職理由について、273名のうち42.1%が「労働条件に不満がある」と回答しました。

  • 6時〜22時が毎日続いた。(パティスリー勤務/男性)
  • 労働時間が長くて体力がもたなかった。長く続けたいので労働時間が長くないところに移ろうと思った。(パティスリー勤務/女性)
  • 16時間労働、月4日休みで頑張っていたが、肩を痛めてしまったときになにも配慮がなく働いていくことに不安を感じた。(パティスリー勤務/男性)

労働条件と言っても、勤務時間・休日・福利厚生・給与等は人それぞれですが、中でも特に目立ったのが、長時間労働による体調不良や怪我でした。
7時〜21時で毎日14時間、中には16時間働いていた人もいるなど、長時間労働に苦しむパティシエはまだまだ後を絶ちません。
元気いっぱいだった新人が、職場でボーッとすることが増えたり、体調不良や痛みを伝えてきたりしたら、離職の前触れかもしれません。

パティシエの離職の原因②人間関係

労働環境に次いで21.1%と多かったのが、人間関係によるストレスです。

  • 質問しても無視される。人間関係がストレスになり退職した。(ホテル勤務/男性)
  • 陰口が聞こえてくる職場で合わないと感じた。(パティスリー勤務/女性)
  • 料理人の雰囲気が怖く、質問ができなくて辛くなり辞めた。(レストラン勤務/女性)
  • 失敗したら先輩から暴力をふるわれた。(工場勤務/男性)

人間関係による離職は、パティシエ業界だけに限りません。
しかし、お店によって製法や工程が異なる洋菓子の世界では、上司・先輩からの指導が不足していると失敗に繋がってしまいます。
「常にピリピリしていて質問できない」「教えてもらえる雰囲気じゃない」といった理由から、環境を変えたいと考える人が多いようです。

パティシエの離職の原因③仕事内容

13.5%と3番目に多かったのが、仕事内容への不満です。

  • レストランに配属されたが調理補助ばかりだった。(ホテル勤務/男性)
  • バームクーヘンしかできなくてモチベーションが下がった。(パティスリー勤務/男性)
  • 毎日やることが決まってしまっている。もっと色々なことがしたい。(工場勤務/男性)
  • 衛生的に良くないケーキを売っていてがっかりした。(パティスリー勤務/女性)

新人は技術力も高くなく、覚えることだらけ。
だからこそ「成長できている」という実感が大事です。
単純な仕事ばかりしていたり、ずっと同じことの繰り返しでは成長実感が得られないようです。


仕事の価値観は時代の変化とともに変わってきています。
技術を高めたいのか?それともワークライフバランスを大切にしたいのか?
相反する要求に戸惑う方も多いと思います。
採用に行き詰まっているのであれば、パティシエ専門求人サイト「パティシエント」の人材コンサルタントにご相談ください。

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パティシエの離職を防ぐ対策

対策①コミュニケーションの活性化

先述した通り、人間関係での不安や不満によって離職に繋がりやすくなります。
入社して1年間は特に気を配って、新人が質問・確認をしやすい雰囲気作りに努める必要があります。
教育担当(メンター)をつけて仕事内容、成長をサポートするのはもちろん、困りごとの相談や成長について気軽に話せる関係性を築きましょう。
毎月の「定期面談」を実施し、1対1でスタッフの気持ちを話してもらう時間を作っている企業が増えています。
まずはコミュニケーションの量を重視して、離職になりそうなことを事前に把握しておくと改善に繋がります。

対策②給与の見直し

アンケートでは離職理由として「給与への不満」も挙げられています。
労働時間が長くても、残業代や昇給・賞与といった形で給与に還元されているかいないかで、大きく変わります。

パティシエの平均給与(全国)

  • 正社員平均年収384万円
  • アルバイト・パート:平均時給1,063円
  • 派遣社員:平均時給1,400円

パティシエの平均給与(関東)

  • 正社員平均年収373万円
  • アルバイト・パート:平均時給1,080円
  • 派遣社員:平均時給1,462円

パティシエの平均給与(関西)

  • 正社員平均年収369万円
  • アルバイト・パート:平均時給1,026円
  • 派遣社員:平均時給1,314円

パティシエ1年目の月給は20万円前後で、他の職種と比べても水準は低い傾向にあります。
都市部の場合、月給20万円を下回ると「一人暮らしができない」と話す人が多く、離職理由のひとつにもなっています。
経営的に給与をすぐに上げることができなくても「家賃補助」「寮完備」「食事補助」など、一人暮らしのパティシエが安心して働ける待遇を整える企業もあります。

対策③働き方の選択肢を増やす

離職に繋がりやすい「労働環境」は、経営の観点からすぐに改善できるものではないかもしれません。
しかし人材採用・離職防止の観点から考えれば、中長期的にでも改善を進める必要がありそうです。
最近では「週休3日制の選択可」「月6日休みor月8日休み」など、希望に応じて選択できるようにする企業も増えています。
募集の段階でも訴求になりますし、入社後に結婚や出産などスタッフのライフスタイルが変化したり、体調を崩してしまった際にも対応することができます。
働き方のバリエーションを増やして、働き手のニーズに柔軟に対応できるようにしてみてください。

パティシエントは複数の募集を同時掲載することができます。

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対策④面接で見極める

選考における「面接」は、企業が候補者を選考する意味ももちろんありますが、候補者も企業を選んでいる段階です。
しかし候補者が緊張してなかなか本心が掴めないまま採用すると「やりたいことと違った」とギャップになってしまいます。
面接の時間でお互いが求めていることがマッチしているか、しっかり擦り合わせることで、入社後の離職を防げます。
話しやすい雰囲気を作り、候補者から”ホンネ”を引き出し、また企業からも”正直に”仕事内容や待遇について伝えましょう。

パティシエントは人材紹介サービスも行なっており、ミスマッチの少ない面接セッティングをサポートしています。

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パティシエの転職市場は?

パティシエ総人口は122万人

パティシエ人口は全国で約122万人
人口減少に伴い、業種に関わらず働き手は不足していますが、「パティシエ」を志望する人数は大きく減っていません。
ベネッセが小学生向けに毎年実施している「なりたい職業」アンケートによれば、パティシエ・パティシエールは10年以上5位以内にランクインしているほど、子どもが憧れる職業だからです。
パティシエを夢見て製菓専門学校へ進学し、洋菓子の世界に飛び込んでくる新人パティシエは毎年多くいるのです。

パティシエの求人数は15,000件

新型コロナウイルスの拡大をきっかけに、洋菓子の楽しみ方の幅は一気に広がりました。
オンラインショップが急成長しお取り寄せ需要が高まり、冷凍ケーキの認知も高まりました。
このニーズを掴んだ他業種が洋菓子事業に新規参入し、新業態のショップやオンラインショップが次々とオープンしています。
そういった背景から、求人数は拡大傾向。
2023年9月時点のデータでは15,000件の求人数が公開されています。

パティシエの有効求人倍率は1.63倍

パティシエの有効求人倍率は、最新(令和4年)のデータでは1.63倍という数字が出ています。
有効求人倍率とは、求職者1人あたり何件の求人があるかを示す指標のことです。
1.63倍というのは、パティシエ1人あたりに1.63件の求人があるという意味です。
この指標から、現在は売り手市場なので、求人募集をしても苦戦が強いられる可能性があります。

ただし、有効求人倍率に新卒生は含みません。
来年春卒のパティシエたちを考慮すると、求人倍率はもう少し下がりますので、募集の際には新卒生の応募可否を記載しておくことをおすすめします。

パティシエの採用ならパティシエントにご相談ください

製菓製パン専門の求人サイト・パティシエントは、「求人広告掲載」「人材紹介」などパティシエの採用を支援しています。
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まとめ

いかがでしょうか。
1年目の新人を毎年雇うものの、何ヶ月も経たない内に退職…。
そんな”悲しい恒例行事”に慣れてしまっていませんか?
もちろん、度重なる離職をどうすれば防げるのか考え、これまで様々な工夫や改善をしてきたお店・企業がほとんどだと思います。

離職の”本当の”理由をすべて把握するのは難しいかもしれません。
今回紹介したアンケート調査から、パティシエたちが抱える問題や本音に少しでも近づき、安定した店舗運営に活かしていただけると幸いです。

引用:求人ボックス、職業情報提供サイトjobtagBenesse(別タブで開く)

written by

パティシエント編集部

パティシエ・パン業界で働く皆さんにとって役に立つ情報を発信しています!元気になったり安心したり、仕事のことや将来のことを考えるきっかけになるようなメディアを作っていきます。

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パティシエントとは

パティシエントは、洋菓子・パン業界で働くすべての人の働くと学ぶを応援するサイトです。
夢や働きがいがあっても、離職率が高い洋菓子・パン業界。離職の理由に多く挙げられるのが、人間関係や労働条件のミスマッチです。
パティシエントは「どこで」「だれと」「どんな風に」働くのかがイメージできるリアルな求人情報や、仕事に役立つ業界内の様々な情報をお届けすることで、パティシエ・パン職人・販売スタッフをサポートします!
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