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インタビュー

日本発の世界ブランドを目指すメゾンカカオでの働き方。10年目パティシエが思う”シンプルさ”の魅力とは


※この記事は2020年8月上旬に行った取材を元に制作しております。記事内の画像はすべてメゾンカカオ株式会社よりご提供いただいております。

例えば、ユーザーの感情に直接訴えかけてくるシンプルなデザインを貫き、『Mac』や『iPhone』を代表する世界的ヒットを飛ばしているApple社。
美味しくて身体に良い、そして経済的で安心である。という、創業者が考える基準にただ一つ当てはまる『カルピス』だけを100年以上販売し続けるカルピス社。

誰もが知るブランドは数多くありますが、性別や国籍を問わず支持されていたり、何世代にもわたって長く愛されるのは「シンプル」かつ「分かりやすい」ものではないでしょうか。

2015年に設立し、神奈川県鎌倉市に拠点を置く『MAISON CACAO(メゾン カカオ)』も、今まさに100年愛されるブランドを築こうとしています。コロンビアに建設した自社農園で収穫されたカカオを使って、ガトーショコラ・生チョコレートだけでなく、スーパーフードやカカオバターを使ったスキンケア用品まで自社製造。そのプロダクトすべてにおいて「シンプルでかっこいい」を目指しているそう。

今回は、そんな気鋭のブランドで働くパティシエにインタビューを申し込みました。2018年11月に入社した津村祐作さんは現在29歳。関西の個人パティスリーで計8年の経験を積んだ、歴10年目の菓子職人です。そんな彼がたどり着いた『MAISON CACAO』で、今何を思うのか。職人から見た同社での面白さ、働き方について詳しくお聞きしました。

▲津村祐作さん(29歳)
辻製菓専門学校(1年制)を卒業後、兵庫県宝塚市『お菓子のお店Kazu』入社。その後、大阪市西区の『オーディネール』、兵庫県西宮市『エルベラン』など計8年間、個人パティスリーで技術を磨く。2018年11月、メゾンカカオ株式会社へ製造兼商品開発として入社。

ごまかしが通用しないシンプルな商品で
職人としての腕を発揮する。

まず気になるのが、『MAISON CACAO』について。現在鎌倉や東京に8店舗の直営店を構え、いずれはパリに進出する計画も進めています。日本発のチョコレートブランド、そのラインナップとは?

「一番人気があるのがガトーショコラです。僕が仕事しているチョコレートバンク(鎌倉)で製造をしているのですが、1日500本近く焼いています。そして、それがどんどん売れていくんですよね。それから生チョコレート、ロールケーキ、クッキーなどの焼き菓子もあったり、生ケーキも何種類かあります。種類は多少絞られていますが、一般の洋菓子店と大きく差はないと感じています」

▲小麦粉を一切使用せず、チョコレートをそのまま焼き上げた濃厚でなめらかなガトーショコラ。(価格:税抜2500円)

津村さんの言う”チョコレートバンク”とは、『MAISON CACAO』が運営するお店のひとつで、販売店でもありラボでもあります。従来のお菓子の枠組みを超えたクリエイティビティさを生み出す場所になっているそう。

「僕が入社して初めて考案した『バブカ』も並んでいます。バブカというのは、中東発祥の食パンの一種らしいのですが、2019年にニューヨークで流行っていると聞いて。弊社で作っていたクロワッサンの生地を活用してみようか、というところからラボで試作をさせてもらいました」

▲津村さん考案のクロワッサン食パン「バブカ」。

チョコレートバンクは他にも1日1組限定の「ROBB(ロブ)」と呼ばれるカカオのフルコースを提供するガストロノミー(美食体験)、チョコレートとカクテルのペアリングを楽しんでもらう「CACAO BAR」(夜のみ)も展開。その昔、カカオ豆が貨幣として使われていた歴史と、東日本銀行の跡地に建てられたことから『チョコレートバンク』という名前がついています。その由来はとても面白くて、人に話したくなるようなコンセプトです。

▲巨大なチョコレートアートが鎮座するチョコレートバンク。

とは言え、津村さんがそれまで経験してきたようなパティスリーとはまったく異なる形態にも感じます。1日の仕事内容について、聞いてみました。

「基本的な製造業務は、他のお店と変わりません。1日の始めにクロワッサンを焼いて、ケーキの仕上げをして、10時開店。それから朝礼をして、ガトーショコラやケーキ類の仕込みを進めていく。扱うものが違うだけで、ある程度実務経験があれば難なくついていけるような感じでした。作る種類はチョコレートバンクと他のお店では分けていて、場所ごとに別の商品を作っていて効率はいいですね。僕は空いた時間に新しい商品を考えたり、試作をしています」

他の店舗でも同様で、チョコレートタルトやデコレーションケーキ、エクレア、バウムクーヘンなど作る種類は各々異なるものの、お菓子を作る流れは皆さんがイメージする「パティシエ」の仕事と変わらないそう。では、職人から見た『MAISON CACAO』の商品の魅力とは何でしょうか。

「『MAISON CACAO』は弊社でしか扱っていないカカオを使っている点です。コロンビアの自社農園を栽培・収穫し、コロンビア本国で一次加工をしているため、カカオ本来のフレッシュな香りが特徴です。僕自身はヴァローナ製よりはるかに質が高く、個性的で面白いカカオだと感じています。入社当時、それまでと同じだと思ってチョコレートを扱っても、同じ味にはなりませんでした。自社生産のカカオに対する理解は、入ってから触りつつ学んできたような感じです。生チョコレートなんかは食べた瞬間の味わい、中間の味わい、最後に口の中で残る味わい、3段階で構成されていて、含まれる水分量はすごく計算されているレシピだと思います」

▲生チョコレートは日本人の唾液量まで計算し、口に入れた瞬間ほどけるようなテクスチャ。自社栽培、自社加工だからこそ実現できる完成度。(価格:税抜2000〜2400円)

「あとは、見た目がシンプルである、というのが魅力だと思います。フルーツだったり、クリームであったり…ケーキはその気になればいくらでも飾り付けることができますが、シンプルだとごまかしが一切通用しません。ごまかしが効かないということは、本質的な味や香りで勝負することになります。職人としての腕が試されますよね。そして、一過性のブームではなく、長く愛される商品はシンプルなものです。僕はそこに、『MAISON CACAO』での仕事の面白さを感じています」

唯一無二のカカオで『MAISON CACAO』にしかない商品を作る。例えば生チョコは鎌倉発祥の”禅”からインスピレーションを受け、日本の美意識を彷彿とさせる茶室をイメージしたデザインに。

他で真似できないものであり、他店の真似もできない、お客様の反応がすべての真っ向勝負。だからこそ『MAISON CACAO』の商品開発はパティシエだけではなくデザイナーやプレゼンター(販売スタッフ)など色んな職種のメンバーを交えて、商品コンセプトやストーリー、プロダクトデザインまで「自分たちらしい商品とは何か」を常に議論して、ひとつの商品を完成させているそうです。

個人店からブランドファクトリーへの転職。
イチ職人から無限に拡がるキャリアビジョン。

ここまで話を聞いて、気になったのが津村さんのキャリア遍歴。関西の個人パティスリーで職人としての腕を磨き、今『MAISON CACAO』に籍を置いた経緯とは?

「『お菓子のお店Kazu』は4年で一通りのポジションを回って卒業、という体制で。僕も卒業して、次にフランス菓子に興味を持って『オーディネール』へ。それから『エルベラン』にはシェフの素材の扱い方や考え方、また経営面を勉強したくて行きました。学びたい、と思ったことは学べてきたつもりですし、充実していたと思います。だけど、どこに行っても”仕事”が”作業”になりがちだな、と気づいて」

個人パティスリーはオーナーシェフのレシピがほとんどであり、若手の間は「シェフの味をいかに早く、確実に再現するか」が仕事になります。津村さんはその環境で8年過ごして、自分が何を生み出せるのか、という自身への興味が湧いてきたそう。

「自分で店を出す、って選択肢もあったとは思いますが商品開発の経験がなく踏み切れませんでした。それで”商品開発”ってキーワードで検索したら『MAISON CACAO』にたどり着いたんです」

当時は設立3年目で『ca ca o』というブランド名で4店舗を展開したところ。ブランドの大切にする想い、世界を舞台にするため、社名を「家族」を意味する『MAISON CACAO』に変更したのが今年、2020年の4月のことです。

「弊社は今でこそ8店舗ありますが、会社自体は働くみんなが家族、という風土です。そういう意味では、個人パティスリーと同じようなアットホームさがあり、企業気質に戸惑う…なんてこともありませんでした。組織が大きくなっても変わらず距離は近いですし、僕も『ゆうさく』って呼んでもらって(笑)、空気感はすごく好きですね」

ここで話題に出てきたのが、代表・石原紳伍さんの存在です。石原さんは大学時代にラグビー部に所属し、学生でありながらコーチも兼任。ラグビーを通して「チーム作り」に取り組んでいたそう。会社の代表となった今も表彰制度や売上インセンティブ、社内イベントなどメンバーのモチベーションを育て、仕事への欲求を刺激するチームの仕組みを作っています。

▲メゾンカカオ代表の石原さん。

「自分がしっかり取り組んだ分、評価してくれるんですよね。お客様からの反響も嬉しいですけど、仲間からの反響も感じやすい。それでもっと、もっと、とやりたいことが浮かんできます。インターネットを見たり百貨店を歩いてみたり、楽しくて仕事の時間以外でも何を作ろうか考えてます」

次に津村さんが作りたいものを聞いてみると、パイ生地を使った新商品やブラウニー、クロワッサンの形を変えてみたい…など、今後の展望を色々と話してくれました。また最近、休暇を利用して新潟に行ってきたそう。その目的とは?

「気になるフルーツがあるので見てきてほしい、という社長からの要望があって。ルレクチェっていう西洋梨の一種なんですけど、結構高級品で。初めて農家へ行って栽培しているところを見せてもらって、お話を聞かせてもらって、見る世界が変わった気がしました。当たり前なんですけど、自分たちの手元に届く素材は本当に大切に育てられているんだってことが実感として理解できたんです。同時に、社長が今までしてきたことも。ほんの少しかもしれませんが、分かった気がしました」

元々チョコレートが食べられなかった代表の石原さんは、ある時コロンビアに訪れてたまたま口にしたカカオに感銘を受け、起業。コロンビアに自社農園を作ったあとも現地のパートナー企業と協力して学校を建設したり、日本国内・世界各国を巡って良い素材の買い付けを行うバイヤー的役割も果たしています。津村さんも商品開発者として、いずれはコロンビアに視察へ行くつもりなのだとか。

「将来的に、農家に直接行って本当に良い素材を自分の目で確かめて仕入れる。そんな職人になれたら」

今年の春から製造責任者になった津村さん。今の業務の精度を上げつつ、数値管理も任されるように。『MAISON CACAO』でイチ職人から殻を破り、「生産者」から聞いた素材のストーリーから新しい商品を生み出す伝道師へ。また新たに素材を開拓するバイヤーにと、彼のキャリアビジョンは今後もどんどん拡がりそうです。

店舗プロフィール

CHOCOLATE BANK(メゾンカカオ株式会社)
住所:神奈川県鎌倉市御成町11-8
営業時間:10:00~18:00
定休日:毎週月曜日
公式サイト:https://maisoncacao.com/

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この記事の筆者

あかざしょうこ

1984年生まれ。PATISSIENTの編集ライター。「人生の教科書は人」をモットーに、聞いたり書いたりしています。

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