前回に引き続き『パティシエ149人へのアンケート』結果をお届けします!
今回のアンケートのテーマはパティシエの『将来設計』と『仕事への取り組み方』について。
アンケートを実施していく中で、「独立したい!」「積極的にスキルアップしたい!」といった前向きな声も寄せられましたが、一方で「今何をすべきか分からず困っている」という声もたくさん聞かれました。
そこで今回はアンケートの結果だけでなく、アンケート外でパティシエの方から寄せられた声や、オーナーから聞いた「独立のときに考えていたこと」等にも触れながらお届けしていきたいと思います。
根強い「独立希望」の声。そのホンネと将来設計に必要なこと
回答人数:149名 期間:2016年8月~2017年1月
まずはパティシエの『将来設計』について。
「将来のビジョン(夢)に近いものは?」という質問に対して、「独立したい」、「今のままパティシエとして働いていきたい」、この2つへ回答が集中する結果となりました。(図1)
独立を考える理由として一番多く挙げられるのは、シンプルに「ケーキを作ることが好きなので、自分の店を持つことが夢」という声。
しかし、独立にかける想いの全てが「前向き」なものではないのもまた事実で、「上司とソリが合わない」「働きたい店がなかった」など、消去法で独立という選択を視野にいれているという方も多くいました。
では、実際に独立を果たしたオーナーさんに共通している経緯や動機はあったのでしょうか?
ここからはアンケート外のお話しになりますが、実際にオーナーさんにお話しを聞いてみると、パティシエとしてキャリアをスタートする前から絶対独立する!と決めていた方もいれば、働いている途中で独立を意識し出したという方もいます。
独立の経緯はやっぱり様々ですが、「本当に独立する!」とオーナーさん達が実際に独立を現実的に考え始めたときの状況には共通している部分もありました。
それは、独立を「ゴール」ではなく、あくまでも『なりたいジブンの通過点』と捉えていたということです。
独立するにあたっては『将来こうなりたい』というビジョンを元に、どの地域でどういったコンセプトのお店を運営し、誰にどのような商品を届けたいか、といったことや、 どんなスタッフと一緒にお店を作っていきたいのかということを明確にしていき、そのために必要な準備をしていたと語るオーナーの方がとても多かったのです。
パティシエとしてのキャリアは「独立」が全てではありませんので、「独立」という道を選ぶ場合に、それが『なりたいジブン』や『将来成し遂げたいこと』にどうつながるのかを考えておくことはとても大切です。
将来のビジョン次第では「独立」以外を通過点として選択する方が良い場合もありますので、独立を「前提」として考えずに『なりたいジブン』を先に明確にしていく必要があるでしょう。
「とりあえずパティシエを続けたい」でも『なりたいジブン』が見つからない
出典:blog.ice.edu
一方で、将来のビジョンとして「独立」の次に多かった「とりあえず今の働き方を続けたい」と答えた方は、前回のアンケート「転職先に求めること」に対して、お給料や休日よりも『スキルアップを重視する』と回答していました。
参考:パティシエ149人に聞きました!~私がお店を辞めた理由~
つまり、今の働き方を続けながらスキルを蓄えて、将来のステップアップにつなげたいと考えている方が多いようです。
この回答をされた方に多かったのは、「現実には目の前の仕事で精一杯…」「将来の夢が決まっていないので不安」という声。
「私も同じような状況だ…」という方は、いきなり具体的な夢や目標を考えるのではなく、ひとまず今後の「理想」について考えてみることをおすすめします。具体的な内容とは違った「できたらいいな」と思うことでも、常に意識をしておけば、先輩や上司からの指導をヒントに「夢」や「目標」に変えていくことができるでしょう。
そして、「○分以内に○個の商品の仕上げをする」「毎週○曜日は残って練習する」など、小さいことからでもコツコツと達成を積み重ねていくことで、やがて「パティシエとして○○のスキルをもっと身につける」「独立するためにいつまでに○○万円貯める」「経営のことを知るためにも次のポジションを目指す」など、より大きな目標につなげていくことができます。
とにかく忙しい!それでもスキルアップしたい!どうやって学んだらいい?
回答人数:149名 期間:2016年8月~2017年1月
日々の仕事への取り組み方では、「勤務時間中に学んでいきたい」という声が多く挙がりました。(図2)
そして、パティシエで「勤務時間中に学んでいきたい」と答えられた方は、その他の飲食業界で働く人たちに比べて、1.5倍も多いという結果になりました。
「勤務中に学びたい」という回答と、「プライベートを大切にしたい」という回答は、一見相反する考えのようにも思えますが、「勤務時間と自分の時間のメリハリをつけたい」という共通点が見られます。
もちろんその根底には、朝早くから夜遅くまで休む暇もないほど忙しい現場が多く、なかなか自由に使える時間は取りにくい、という業界特有の労働環境が横たわっています。
そういった背景を踏まえると、勤務時間内に与えられた仕事をこなしながら、技術を身につけるというスタンスはごく自然なことと考えられます。
一方で、多忙だからこそ「日々の業務に一生懸命に向き合いつつも、今ある知識だけで止まってしまうのは少しもったいない!」と感じているパティシエの方も多く、その結果が、「勤務時間外でも学びたい」という回答としてアンケートの数字に反映されていました。
講習会や勉強会に参加して新しい発見を得たり、早く仕事が終わった日には苦手分野を進んで練習したり、忙しい中でも勤務外の時間を活用するためには、上司や職場の理解を得ることも大切です。
身につけたスキルをどう活かすか、自分で明確にしておくことで職場の理解も得やすくなりますし、作業効率のアップといった具体的な目標に落とし込むことができれば、それは勤務時間内の学びにつながっていくことにもなるでしょう。
『なりたいジブン』に近づいていくために
出典:vacay.ca
2回にわたってお送りした『149人のパティシエへのアンケート』企画。いかがでしたでしょうか。
パティシエにとってまだまだ繁忙期が続いている今は、精神的にも体力的にも疲れが出やすくなっているのではないでしょうか?ココロとカラダが落ち着かないとき、人はつい将来への不安や焦りを感じやすくなってしまうものですよね。
夢に向かってリスクをゼロにすることはできませんが、『なりたいジブン』を明確にすることで夢を叶える可能性を高めることはできます。
そして、どのような道を選んでいくとしても『今のジブン』と『なりたいジブン』とのギャップをネガティブに考えずに、一歩ずつできることを増やしながら前に進んでいくことが大切です。
今回は『将来設計』や『仕事への取り組み方』について、アンケートの結果を通してお届けしてきましたが、もし「職場の先輩や上司、身近な人に相談しにくい」ということであれば、 パティシエントの「転職支援サービス」もぜひ活用してみてください!
今後も「独立」や「スキルアップ」に関する情報をお届けしていきますので、そちらもどうぞお楽しみに!