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TOPパティシエントマガジン > 「未来のパティシエール達へ」1児の母パティシエが届ける想い

インタビュー

「未来のパティシエール達へ」1児の母パティシエが届ける想い


2020/04/09

芦屋で人気のパティスリー『ポッシュ・ドゥ・レーヴ』 パティシエールの伊東さんは1児のママです。

開店とともにお客様がぞろぞろと来店されるにも関わらず、ショーケースの中に生菓子は一つもなく、あるのは焼菓子のみ。芦屋の有名パティスリー『ポッシュ・ドゥ・レーヴ』で生菓子が買えるのは、金土日と1週間で3日間のみです。そして、それもお客様にとっては知ってのこと。 そんなパティスリーでシェフを務めるのは、女性パティシエの伊東(いとう)さん。1児のお母さんでもあります。一般大学を卒業後は、高校事務に就職したという伊東さん。25歳で事務職を辞め、まったくの未経験から飛び込んだ製菓の世界。業界では珍しい女性シェフの想いを取材してきました。

▲阪神芦屋駅より歩いてすぐの場所にあるお店。ガラス張りで明るい店内がよく見えるステキな外観。

未経験から飛び込んだ製菓の世界 苦労した就職活動と掴んだチャンス

まずはじめに、事務職からパティシエールを目指したキッカケを教えてください。

事務職をしていたのは私が23歳の頃ですが、当時の私にとってお菓子は「食べるのが好きで、休みの日に趣味で家で作る」くらいのものでした。だけど何年か事務職として働くうちに「どうせなら、好きなことを仕事にしたい」と考えるようになって。25歳でル・コルドン・ブルーへの入学を決めました。 ※ル・コルドン・ブルーとは、世界20か国以上、35校余で展開している料理学校。120年以上の歴史を誇る教育機関です。

専門学生ならとっくに現場に出ている25歳。たくさん苦労されたのでは?

大変だったのは卒業後で、どの会社へいっても門前払いでした。有名店は全て落ちたので、小さな洋菓子店に就職し、そこでイチから経験を積みました。その後、ウエディング事業なども行なっているパレスホテル(現パレスホテル東京)にパティシエ職として転職し、デザートやウエディングケーキ作りに携わろうと思ったんです。

▲取材を受けながら、店頭に出す焼菓子をどんどん作っていく伊東さん。

洋菓子店での経験が活かせそうな転職ですね!

そのつもりだったんですけど。最初のうちは、ケーキに一切触らせてもらえませんでした。与えられる仕事といえば、原材料の運搬や製菓器具の洗い物、ミント摘み、お皿の運搬、床流し、先輩方の朝ご飯、お茶出しなど、チームの雑用ばかり。同じ時期に入った同期は3ヶ月と経たないうちに、次々と辞めていきました。私も朝から晩まで雑用をこなし続けましたが、帰り道に電車の窓に映るボロボロの自分の姿を見るのが辛くて。何度も涙を流しました。

「辞めよう」という気持ちにはならなかったのですか?

思いましたね…とにかく辛かった。だけど「辞めてやる」って気持ちよりも「負けない、諦めない」って気持ちの方が大きかった。「事務職を辞めて、お金を払って専門学校も通ったのに、私が選んだ道をこんな簡単に諦めてやるもんか!」って。いま辞めてもきっと後悔するから、いつか必ず報われると信じて、がむしゃらに続けました。 雑用を続けていると、ある日、先輩が「クリーム絞ってみる?」って声をかけてくれたんです。何事も続けることで、開ける道があるということを知りました。

▲お店に看板メニューでもある「和三盆のリングサブレ」は、上品な甘さとナッツの食感が人気の商品。

いよいよお店がオープン! スイーツ激戦区「芦屋」でのはじまり

「お店をやりたい」と思うようになったのもその頃ですか?

そうですね。贈り物にもしやすい焼菓子をメインにする、っていうのはもう決めていました。あとは1枚のサブレに100円を出してくれるお客様がいるところに出店しよう、ということも。価値あるものに、きちんとお金を出してくれる人がいるところで店をやりたかったんです。原材料も良いものを使いたかったから。 その点では「良いものを贈り合う、贈答文化」が根付く、兵庫県の芦屋市は理想でした。芦屋の皆さんはスイーツが大好きだから、ここで上手くいかなかったらもうダメだな、って。

お店のオープン後、反響はどうでしたか?

オープン当初、店内はいつもガラガラでした。芦屋市はスイーツの激戦区ですからね。私はスイーツの大会で優勝したわけでもなかったから、無名のパティシエールだったんです。早朝から深夜まで働いて、仮眠を3、4時間とってまた働く。主人と相談して「まずは3年続ける、それでも結果が出なかったら辞める」と言う話になりました。

睡眠3時間…体調を崩されなかったのが、不思議です。

そうですね…だけど、続ければ何かが変わることは知っていたし、何より自分の作るお菓子をお客様に食べてもらいたかった。その一心でやっていたら、少しずつお店が軌道に乗り始めたんです。スタッフ(以下、パートナーと呼びます)を雇う余裕もできて、本当にここから始まる!ってワクワクしました。

▲人気商品のひとつである焼菓子の詰め合わせ。贈り物や手土産に購入するお客様も多いそう。

自分を大きく変えてくれた 女性スタッフとの出会い

今もそのパートナーさんは活躍中ですか?

いえ、彼女は今は別のお菓子店で働いています。実は、彼女が私を大きく変えてくれた女性でもあるんですよね。彼女がパートナーとして入ってきてくれた時は、少数精鋭でがむしゃらにお菓子作りに励んでいたんですが、ある日、工房内で「地元(福井県)に帰りたい、辞めさせてくれないか」と言われました。

その女性が伊東さんにどんな気付きをくれたのでしょうか?

従業員との向き合い方について、改めて考えるキッカケをくれたんです。彼女に「辞めたい」と言われて初めて、私が知らず知らずのうちに自分がパートナーにとんでもない負担をかけていたんじゃないか、と考えるようになりました。パティシエールの「活躍の場」を作っていたつもりが、実際は「修行の場」を作っていたんじゃないか、って。自分も下積み時代に身を以て経験していたはずなのに。

…その後、彼女はどうなったのでしょう?

もちろん福井県へ送り出しました。これを機に「続けることで先が見えることもあるけれど、自分の夢や生活を潰してでも続けることには、何の意味もない」ということを痛感しました。自分を見つめ直すキッカケを彼女がくれたんです。

▲今は伊東さんも1児のママ。娘さんと目を合わせているときは、思わずニッコリと笑顔になっていました。

母になって変化した考え方と自分の軸

当時の経験から、いま思うことはありますか?

そんな彼女が先日「子どもが生まれたんです」と会いにきてくれたんです。まだお菓子に関わる仕事をしてくれていたのも、嬉しい報告でした。私も子どもが生まれて、考えが180度かわりました。これまでは仕事中心だった私の世界が、少しずつ広がっていったんです。お店のために、自分の生活を犠牲にすることもなくなりました。今は”自分”という軸の周りにお店があり、家事があり、子育てがある、と考えています。

それでも子育てとパティシエールの両立は大変では?

そうですね。今は子育てにも力を入れられるよう、生菓子の販売は毎週金・土・日のみにしています。夫や販売のパートナーさんが娘を見てくれることもあるし、お店にきてくれるお客様にも「私がママパティシエであること」を知ってもらえるようになりました。たとえ商品が売り切れていても「また来るね」って言ってくれるお客様が増えたんです。こういった心遣いには、本当に助けられています。

家族、パートナー、お客様…みんなが伊東さんを応援しているんですね。

はい…もう感謝でいっぱいです。 そんな私がこれからパティシエールを目指す女性に言いたいことは、「好きなことは自分が満足するまで貫き通してほしい」ということ。辛いことも続けていれば、道は開けます。せっかくパティシエールを目指すと決めたなら、手は抜かず、心の息抜きは大切に、働いてほしいですね。 このお店の名前の由来も、実はその想いにあります。ポッシュ・ドゥ・レーヴは、フランス語で「夢のポケット」という意味。一人でも多くの女性がパティシエールとして活躍できる世の中になるように、このお店にたくさんの夢を詰め込めるように、という願いを込めて名付けました。 この業界で自分の夢を、生活を、犠牲にしてまで働こうとするパティシエールが、一人でも前を向いて自分らしく働けるように。私はこれからも、自らの姿で証明し続けたいです。 ---

ポッシュ・ドゥ・レーヴ 芦屋
〒659-0065 兵庫県芦屋市公光町9番7号 モントルービル101
TEL:0797-32-0302
営業時間:水曜~月曜日11:00~18:00
※月・水・木曜日は焼き菓子のみの販売
定休日:火曜日
店舗HP:https://www.poche-du-reve.com/

この記事の筆者

なつ

取材へ訪れた日は、残念ながら焼菓子のみの販売日でしたが、開店と同時にお客様がたくさん来られていました。2歳の小さな看板娘がお客様に手を振っていて、とっても可愛かったです。業界は違えど同じ女性として、伊東さんは私も目標にしたい理想のママでした。

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