新人の登竜門!甘いけど甘くない『クレーム・パティシエール』

  • 新人パティシエ
卵や、砂糖、牛乳など、基本的な材料とシンプルな作り方から生まれる“カスタードクリーム” 。本場フランスでは『クレーム・パティシエール(お菓子屋さんのクリーム)』と呼ばれ、カスタードクリームの味でそのケーキ屋さんのレベルを判断できるといわれるほど、洋菓子の中でも最も基本となるクリームです。 日本ではこの“カスタード炊き”が、多くの洋菓子店で新人パティシエに任せられる登竜門的な仕事とされており、いかに早く習得できるかが新人パティシエにとって重要なポイントになってくるのです。

細かい技術は必要ない!とにかく力いっぱい動かせ!

ナッペ作業やスポンジの仕込みなどは、細やかな技術や経験、そしてセンスが必要です。しかしカスタード炊きの場合は材料をダマにならないように配合させたら、あとは全開の火力で一気に混ぜ合わせるのみ! ただし、一度火にかけたらもう二度と止めることはできません。どんなに熱くてもどんなに腕がつらくなっても、たとえ火傷をしようと泣きそうになろうと、とにかく焦がさないようになめらかになるまで炊き続けないといけないのです。鍋の前に置いた点火棒が熱で爆発し眉毛を焦がしながらも、カスタードをかき混ぜる手はけして止めなかったという武勇伝を持つパティシエもいるほど!

とにかく量が半端じゃない!材料も道具もケタ違いのプロの現場

新人パティシエが、カスタード炊きの行程でまず驚くのがその膨大な量!今まで手鍋で少量ずつ作っていたものが、小さな赤ん坊がすっぽり入ってしまうような大きなサイズの鍋を使い、一度に10本以上の牛乳を注いで、まるでお風呂のような状態になる事もあるのです。 繁忙期ともなれば、この膨大な量のカスタードを1日に何度も炊き上げることもしばしば。新人同士、「誰が今日は担当するのか」とついつい押し付け合いたくなる気持ちも納得です。

「見きわめ」ができるようになると、成長した証

日々カスタード炊きを続けていると、自然にレシピを記憶し材料を計量しながら作業を進めるなど手際がどんどん良くなり、短時間で仕込みが終えられるようになります。そして、それまで先輩の指導のもとで行っていた作業が、ふとした瞬間自分の目で炊きあがりを “見きわめ” られるようになるのです。 液体だったものが少しずつ固まり始め、さらに混ぜ続けることで徐々に滑らかになりツヤが出はじめ、「よし!もうあげろ!」という先輩のその声と自分のタイミングが一致した時、いつの間にか “体が覚えた” という手応えを感じて嬉しくなるのです。これはもう理屈ではありません! 『クレーム・パティシエール』は『パティシエ』の語源になったとも言われています。シンプルだからこそ奥が深く難しく、そしてごまかしのきかない作業です。 甘いクリームなのに甘くない、新人パティシエに洋菓子の厳しさを教えてくれるクリーム。ベテランになるとなかなか炊き上げる機会事が少なくなりますが、時々初心に却ってカスタードを炊いてみるのも必要なことかもしれませんね。
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