パティシエである以上、「一度は本場で技術を学んでみたい!」と思う人も多いでしょう。洋菓子の本場フランスに行くと、日本とはまったく違う文化や国民性にギャップを感じることもしばしば。しかし何より、人々の生活のなかに根付く“パティスリー”という存在の大きさに驚かされることも少なくありません。
今回は、日本とは全く違うパリのパティスリーの日常をご紹介します。
パリのパティスリーは、日本と比べて朝が早い!パティシエたちは、まだ誰もいない真っ暗な大通りを通って、朝4時にはお店に到着。朝7時前後に仕込みを開始することが多い日本のケーキ屋さんよりも、3時間近くも早く1日がスタートするのです。
一晩冷凍庫で寝かせたクロワッサンやパン・オ・ショコラを鉄板に並べることから始まり、お惣菜パンを買いに来るお客さんでごった返すランチタイムが一段落すると、夕方の4時くらいには大抵のお店がクローズ。休日の朝は更に早く、朝2時半には仕事がスタートし、午前中の11時には全ての作業が終了するというお店も少なくありません。本場フランスでの経験を積んだ人にとって、日本のリズムで夜遅くまでケーキを作っていると、このようなフランス式のスタイルを懐かしく思う人も多いのではないでしょうか?
日本でも、“フランス菓子”と銘打っているケーキ屋さんにはクロワッサンやバゲットなどがありますが、フランスではほとんどのパティスリーにもパンが並び、『パティスリーブランジェリー』と呼ばれることも。
フランスの人はその日の朝食べるパンを、その日の朝買いに行きます。平日でも、身支度が終わると足早に近くのパティスリーまで焼きたてのクロワッサンやバゲットを買いに出かけ、さっと買い物を済ませ家に帰ると暖かいカフェオレとクロワッサン、ジュースなどのシンプルな朝食を楽しみます。そのためパリの街角では、どのパティスリーにも焼きたてのパンが毎朝山盛りに並べられ、あたり一帯に香ばしい香りが漂います。
素朴なブレックファーストだからこそ、多くの人がパンに対してこだわりを持っているのかもしれません。
さすがにフランスはお菓子の本場。一般的な家庭では、毎日当たり前のようにお母さんやおばあちゃんの手作りケーキが登場し、お店で売られているケーキとはひと味違ったアットホームなケーキを楽しむことができます。日本では特別な時やお客様が来た時にお店で買ったケーキを出すことが一般的ですが、フランスの人にとって『ガトー』(お菓子やデザート)は毎日の生活にかかせない存在なのです。
人々との距離がとても近いフランスのパティスリー。それを目の当たりにし、日本の洋菓子業界との違いに驚いた人も多いはず!フランスの日常に溶け込むパティスリーや洋菓子。本場の空気を肌で感じ、学び、触れることこそが、パティシエとして大きな糧になるのではないでしょうか。