パティシエのやりがい [自社商品を製造する工場でのパティシエ編]

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「パティシエのやりがい」は人それぞれ。何のためにケーキをつくるのか、何を目指してパティシエになったのか、いろいろな価値観に触れることで「自分なりのやりがい」が見えてくるのではないでしょうか。

今回は筆者なりの「パティシエのやりがい」を記事にしてみました。

新卒から4年間、独自ブランドで商品を大量生産する企業の工場で焼き菓子をメインにパティシエとして働いていました。いくつもの部署があり、最小で15人程度を1つのチームとし、全商品のうちの何種類かを各チームで作るシステムです。その中で感じたやりがいは、「特別であることの価値を知ること」でした。

「こらっ!」「ちゃう!」「なにしとんねん!」「なめとんのか?」

言葉だけ聞くと喧嘩の場に居合わせたように思いますが、職場における上司の怒号は日常茶飯事でした。社会人になる上で大なり小なり経験する、人生の先輩からの洗礼です。私は1年間この洗礼を浴び続けました。

専門学校で1年間学んだ後に企業へ就職が決まり、これから華やかなパティシエの道へと進むのだと意気揚々と職場に入った途端に突きつけられました、理想と現実の差を。右も左も分からない1年目に、毎日のように上司に叱られます。

そのことにびくびくし嫌気がさしながらも続けなければならない事は、新人にはとても辛く、もう辞めたいと思う気持ちで一杯になります。そんな1年目のある日、朝礼での工場長のスピーチが仕事に対する自分の考え方を変える一つのきっかけとなりました。

お菓子は毎日食べられるが毎日食べなくても良い。しかも高価な食べ物であり、誕生日や記念日といった日に買う事の多いものです。ただ私たちは、その日が特別な日となるように演出するためのものを作っています。だから私たちの作ったものを買って下さる方たちが笑顔になれるように、今日も心をこめてお菓子を作ってください。

私が毎朝起きて職場に行く前に考えることがありました。「なぜこの仕事を始めたのか」「何のため誰のためにこの仕事をしているのか」ということです。

工場長の話で、上司に叱られ続けた理由、自分がこの仕事をする本当の意味を理解したのです。勿論、自分のためにも仕事をしますが、まず最初にお金を出して買ってくれる人がいなければ仕事として成立しません。答えはシンプルですが、その答えに行き着き理解し、実践できるまでに一定の時間が必要だったのだと今では思います。タイプは違えど、どんな仕事でも同じではないでしょうか。

人によってパティシエを目指す動機、やりがいは違うでしょう。私の場合は、自分の作るお菓子で誰かが笑顔になる、感動する、そんなシーンを生み出せるこの職業にとてもやりがいを感じました。

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