カフェ業態はなぜ儲からないのか?

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「将来カフェを開きたい」 「カフェでパティシエとして働きたい」 就職・転職のタイミングでは、こう考えるパティシエの方もいるのではないでしょうか。 地元の食材だけを使用した、手作りの本格的な洋菓子を提供したい、多種多様なデザインで大人から子供まで楽しみながら食べられるケーキをつくりたいなど、こだわりは人によってさまざま。 自分の作ったものがお客様の手に取られ、実際に味わっているところ、笑顔を見ながら働くことができるのは、カフェで働く醍醐味とも言えるのではないでしょうか。 しかし、カフェ業態でのパティシエの正社員募集は少ないのが現状です。 これには、多くのカフェで提供されるケーキは比較的シンプルなため、調理スタッフでも作れてしまうことや、ドリンクや料理がメインの業態のため専任のパティシエを雇うだけの人件費に余裕がないことなど、様々な要因が関係しています。 さらに、そこには「カフェ業態は儲からない」と言われることも要因として挙げられます。 厚生労働省の経営実態調査によると、カフェ業態の開業率は3.4%、廃業率は6.1%という数値が出ています。 これは、例えば1年間にオープンするお店が34店舗だった場合、同じ期間で61店舗が廃業するという比率になります。 このように、新しくできるお店より、閉まるお店の方が多いのです。 では、なぜカフェは儲からないのでしょうか。

カフェの1席当たりの売上効率

飲食店の売上構成は、客単価×客数=売上で計算できます。 売り上げは、お客様が1回で使う金額と、お客様の人数で決まります。 この飲食店の売上構成を元に、カフェ業態が儲からない理由のひとつを掘り下げてみました。 カフェは客単価が低く、お客さま一人当たりの滞在時間が長いため、1席当たりの売上効率が悪いと言えます。 例えばコーヒーと軽食で1,000円使ったとして、Aの席に2時間滞在しても、そのA席からの売り上げは1,000円です。 しかし、1時間で帰られて、次にA席に座ったお客様も1,000円使って1時間滞在した場合、同じ2時間でもA席からの売り上げは2倍の2,000円になるのです。 そもそもカフェの利用目的とは、休憩・打ち合わせ・談笑・読書といった形で、場所を提供する事が主となります。 そのため、カフェに求められる要素と言えば、休憩や読書であれば居心地の良さ。 打ち合わせであれば、コーヒーの味を楽しませる事よりも、周辺の席と適度に保たれた距離感。 談笑であれば、そこにしかない空間を演出する内装や、非日常を感じさせるために時間を忘れさせる工夫などになります。 したがって、カフェはお客様ごとに様々な使い方がある上に滞在時間が長くなり、1席あたりの売上が上がりにくいという特徴があるため、根本的に一般の飲食店と比べて売上効率が悪くなってしまうのです。 カフェでの滞在時間は、談笑やパソコンを持っての仕事となると2時間を超える事もあり、大学があるエリアでは、試験勉強や暇潰しの利用で3~5時間以上の滞在も考えられます。 さらに、カフェ業態は珈琲専門店の他に、ファストフード店のカフェ利用やレストランなど競合が多く、差別化しにくいことも、カフェ業態が儲からない理由の1つなのではないでしょうか。 ただ、その中でも売り上げを伸ばして儲かっているカフェもあります。 そのようなカフェの多くは「コンセプトが明確」で、「他店との差別化」などのポイントを押さえています。 儲けを出しているお店は、変化の激しいマーケットのニーズをしっかり掴み、立地やコンセプトに合わせ客数の増加や客単価のアップなど、収益性を高める工夫を日々しているのではないでしょうか。 将来、カフェでの独立開業を考えている方は、パティシエとしての技術や知識を磨いていくだけではなく、儲けが出る仕組みや経営の勉強なども視野に入れて、少しずつでも勉強してみるのも良いかもしれませんね。
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