パティシエ体験記 新人パティシエが「技術力」を身に付けるために意識した4つのこと

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パティシエとしての「目標」や「将来の夢」は人それぞれ。
ただ、パティシエの世界でその「目標」を実現させるためには技術力を身に付けることが必要不可欠です。

筆者は新卒からパティシエとして働き始め、数十人のパティシエをまとめる工房の責任者になりました。
今回はそんな私が新人パティシエ時代から、技術力を身に付けるために意識していたことなどを記事にしてみました。
壁にぶつかったり、うまくいかないことがある新人パティシエやこれからパティシエを目指す方の参考になればと思います。

入社して間もない頃はみんな同じように掃除をしたり、型を拭いたり。
その時期が過ぎ、任される仕事の質などに差が出はじめるのが3年目以降でした。
私の職場では洗い物だけを3年していた先輩がいましたが、そんな風に時間を費やすのはもったいないことです。

意識したこと その1

最初の1~2年は、あらゆる仕事の基本を自分に叩き込む期間です。
この時に意識したことは「全ての意味を考えること」でした。
教わったままの作業をただこなすのではなく、その作業の意味を自分で考えて裏付けします。
なぜブランシールが必要なのか、なぜテンパリングをするのか。
この温度で保つ理由は何か?などなど。

毎日が忙しいとどうしても作業が流れてしまいがちですが、教わったことをメモする、メモを一日の終わりに見直して「意味」を考えてみる、など、現場で得られる「知識」「ノウハウ」はパティシエとしての財産となるものです。
終業後に残って技術の練習をすることももちろん大切ですが、この時期にしっかりと「思考」するクセをつけると良いのではないでしょうか。

意識したこと その2

そして、3年目からは基本を応用に変えていく時期です。
意識したことは、習ったものをそのまま表現するのではなく、自分の表現、自分の菓子を見つけていくこと。

3年目以降になるとコンテストにチャレンジする機会などもありますし、自分の菓子がどんな評価を受けるのかも知ることができます。
このとき、1年目で作業内容の「意味」を思考していれば、「この温度で泡立てるのが基本だけど、別の質感を出すためにもっと冷やしてみよう」など、感覚だけではない経験に基づいたアレンジができるようになるのです。

意識したこと その3

そして、5年目からは今後のパティシエ人生をどのように生きていくかを決める時期です。
この時期に意識するのは「自分の将来について」。

フランス菓子一筋でいきたいという人もいれば、規模の小さな街のケーキ屋さんを開業したい人もいるでしょう。
自分がどんな菓子を作っていくのかを決め、今の店にこのままいるのがいいのか、他店で勉強した方がいいのか、海外で修業すべきなのか、などを決めるのです。
この時期に、将来について真剣に考えることが、目指すパティシエ像にまっすぐ進むために非常に重要になるのではないでしょうか。

意識したこと その4

さらに、私自身がどの段階においても常に意識していたことは、なんでも「イエス」と答えることです。
1年目に先輩から「これやってみる?」と聞かれ、同期は失敗を恐れてやらなかったことも、私は「イエス」と答えてやってきました。

そうするうちに、同期が雑用をやっている時に私はカスターを任され、同期がカスターを炊くようになったときには仕込みを任されていました。
そのおかげで、3年目で全ポジションを経験させてもらうことができ、私の修業時代はとても充実したものとなったのです。


今回は私の体験談をまとめてみました。
人それぞれ環境や目標は異なりますが、単に作業をこなすのではなくしっかりと意味を考えて自分の中で裏付けをしながら仕事に取り組むことが、技術力の向上につながるのではないでしょうか。

そうやって基本を身に付け、それをアレンジして「自分の菓子」を見つけ、そして「将来なりたいパティシエ像」へとつなげていってくださいね。

 

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