毎年さまざまな商品やブランドが誕生するスイーツ業界。
多くのお客さんに商品を手に取ってもらうため、企業やお店が戦略を練っていますが、実際に結果を残して売れ続けている企業はどんな取り組みを行っているのでしょうか？
今回は、日本全国に500店舗以上のお店を構え、海外展開もしている大人気和・洋菓子店「シャトレーゼ」の成功の秘密についてご紹介します。
始まりは「今川焼風の焼き菓子」
1954年、山梨県の甲府にシャトレーゼの前身である、焼菓子店「甘太郎」を出店したことがきっかけでした。
当時は砂糖が統制されている時代で、人工甘味料が多いお菓子が普及するなか、「おいしいものを、お値打ちで」という精神のもと、本物の砂糖、北海道産の小豆を使った今川焼風のお菓子「甘太郎」を実演販売。店頭にはお客様の二重三重の行列ができるほど大人気となりました。
アイスクリーム業界に参入！大手に負けない秘策とは？
しかし、焼きたてを提供するため、暑い夏場は売れ行きが伸び悩みます。
そこで、夏に売れる商品として、アイスクリームに目を付けました。
当時、アイスクリーム業界は大手メーカーが販路を押さえていたため、自社ブランドでの販売は難しく、シャトレーゼも大手メーカーの下請けをせざるを得ない状況でした。
1964年に「大和アイス株式会社」を設立し、アイスクリーム業界に参入するものの、大手メーカー相手に競争するのは大変だと感じたシャトレーゼは、大手ができないことをやろうと考えました。
そこで生まれたのが「10円シュークリーム」でした。
大手メーカーは計画生産です。そこで大手のできない「日持ちのしない、傷みやすいもの」をやろうと決意しました。
ちょうど東京オリンピックが開催され、洋風化の波もきており、洋生菓子のもっともポピュラーなシュークリームに着目しました。
また、アイスクリーム製造で培ったオートメーション技術により、「衛生的に効率よく製造できる」という環境が整っていたことも大きかったのです。
さらに当時はまだ店頭に冷蔵ケースが普及していませんでした。
そこで、置けば飛ぶように売れれば、冷蔵ケースも必要ないと考え、価格を1個10円にしました。
アイスクリームのオートメーション技術を応用することで、圧倒的な低価格を実現することができました。 手作りが当たり前だった洋菓子業界に革命を起こし、大ヒットとなったのです。
その後、1967年に「大和アイス株式会社」と、「有限会社甘太郎」の両社を合併して「株式会社シャトレーゼ」に社名変更しました。
工場直売店システムによる流通革命！
当初は百貨店やスーパーに商品を卸していましたが、「素材・製法にこだわった本当においしいお菓子」をお届けするには自前の売場が必要と考え、工場直売店を出店しました。 自社工場で製造したお菓子を一般流通を介さず、店舗へ直送しお客様へダイレクトに販売することで、価格競争力のある付加価値の高い商品を提供することができるようになりました。
その結果、2018年4月現在、日本では500店舗以上、海外では50店舗以上を展開し、大きな成長を続けています。創業から数々の独自戦略を続けるシャトレーゼ。他社がマネできない取り組みは、まだまだあります！
マネできない！？「素材・製法」へのこだわり
シャトレーゼがなぜここまで愛されるのか？という大きな要因は、徹底的な「素材・製法」へのこだわりがあるからです。詳しくご紹介していきましょう。
1.「ファームファクトリー構想」のもと、契約農家から仕入れる新鮮な素材を使い、自社工場でお菓子を製造し、全国のチェーン店でダイレクトに販売しています。
2.そのため、素材と製法にこだわった商品を安全・安心に製造することができ、中間コストを抑えることができます。
このように、「素材・製造」にこだわることも愛される要因のひとつだといえるでしょう。
しかし、一番は創業時代から、「他社がやらないことに挑戦する」といった姿勢が今のシャトレーゼを作り上げてきました。
そうした結果が素材にこだわったおいしいスイーツ作りへと繋がっています。
まとめ
現状で満足せず、「どうしたらもっとお客様に喜ばれるのか」「大手メーカーに太刀打ちできるのか？」を必死に考えてきたからこそ、今のシャトレーゼがあります。 シャトレーゼの企業理念「三喜経営」の精神が、多くのお客様の心を掴んでいます。 これからますます発展するシャトレーゼに目が離せません！
