不思議な植物カカオ!チョコレートまでの製造過程が気になる!

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菓子作りに欠かせない材料のひとつとして、チョコレートがあります。 チョコレートがカカオ豆から作られることを知らない人はいないと思いますが、産地やカカオ豆の生育、チョコレートの詳しい製造過程はあまり知られていないようです。

「チョコレートの産地は?」

そう尋ねると、誰もが思い浮かべるのがガーナ。CMでもお馴染みですよね? 某大手お菓子メーカーのおかげでガーナが主なカカオ産出国だと思われていますが、実はガーナの他にもアフリカではコートジボワールやナイジェリア、中南米ではエクアドルやブラジル、東南アジアではインドネシアなど、赤道を挟んだ北緯20度から南緯20度までの『カカオベルト』と呼ばれる地域、世界40ヶ国がカカオを生産し、輸出しています。

幹に直接花をつける魅惑的なカカオの木

cacao_02_2カカオベルト一帯で生育するカカオの木は、幹に直接花つけ、実を結ぶとても不思議な植物です。 幹や枝に一個から数個の、赤・黄色・白などの花が直接咲き、その後に細長い実を結びます。 細長いカカオの実(カカオポッド)が20cmぐらいに育ったら収穫です。 カカオポッドには緑・赤・黄色・オレンジなどさまざまな色があり、分厚く硬い殻の中には白くて甘い綿状の果肉(パルプ)に包まれた種子が30~40粒入っています。 この種子がカカオ豆なのですが、取り出しただけではまだカカオの匂いはしません。 取り出した後、一週間ぐらい発酵させるとカカオ豆の成分が変化して、カカオ豆独特の良い香りがするようになります。 アフリカではバナナの葉でカカオ豆を包んで発酵させる方法(ヒーブ法)が一般的なのですが、カカオとバナナはコンパニオンプランツ(共栄植物)といって、混在して栽培することで病害虫から身を守ったり、収穫量が増えるなど、互いに良い影響を与えて生育する植物同士。 チョコレートとバナナの相性が良いのも、カカオ豆の発酵にバナナの葉を使うのも、コンパニオンプランツならではの理にかなった方法と言えます。 発酵が済んだ豆を水分6%程度まで乾燥させ、いよいよチョコレート製造国へ輸出となるのですが、製造国の厳しい基準に基づいた検査を通過したものだけが出荷されます。

カカオからチョコレートへ

cacao_04_2チョコレート製造国では、カカオ豆をいったん洗浄したあと焙煎し、皮を取り除きます。(※皮を取り除いてから焙煎する方法もあります) 皮を取り除いた豆(カカオニブ)をすりつぶしたものがカカオマス。 カカオマスに砂糖や香料を加えてミキサーで混ぜ(混合)、ローラーにかけてなめらかにします(微細化)。 さらにコンチェという機械でよく練り上げることで、チョコレートの良い香りを引き出します(精錬) 次に、温度調節(テンパリング)をすることで、チョコレート中のカカオバターの結晶を安定させ、滑らかで艶の良いものに仕上げていきます。 テンパリングの後は型に充填(モールダー)、振動を与えて気泡を除き、冷却、型からはずして包装した後、温度や湿度を管理した倉庫内で一定期間熟成させ、ようやく完成となります。 ここから先はご存知の通り。 各メーカーごとに豆の種類別、カカオ分別のクーベルチュールが板状・タブレット状となってパティシエ・ショコラティエの手元に届くことになります。 カカオ豆から製菓用チョコレートになるまでに、さまざまな人の手を経て、ようやく『チョコレート』が完成します。 日々の仕事に追われるパティシエは、チョコレート製造国のことを考えることはあっても、産出国までは考えないかもしれません。 世界のカカオベルト、遠い熱帯の国々に思いを馳せてみませんか。
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