パティシエが行く!フランス留学体験記

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パティシエであれば一度は訪れてみたい国、フランス。
伝統的なフランス菓子を本場の土地で学びたいと考える人も多いのではないでしょうか。
ただ、実際に留学しようと思うと、言葉の問題、雇ってくれる店は見つかるのか、ビザは取れるのか、など不安な要素はたくさんあります。

今回は筆者が19~20歳の1年間、フランスにて本場の洋菓子を学んだときの体験記をまとめてみました。
フランス留学を考えている方は参考にしてみてくださいね。


筆者の場合、日本の学校を通して留学しました。
まずいきなりパティスリーに飛び込むのではなく、半年間は現地で洋菓子の基礎とフランス語を学び、一通り言葉も理解し始めて現地になじんだところで、学校の紹介で現地のパティスリーで働くことになりました。

フランス郊外にある、小さなパティスリーの1日


フランスも日本も、お菓子屋さんの朝は早い!
私がお世話になったパティスリーは、就業開始は朝の5時でした。

[5:00]
まず出勤して始めにする事はパンの仕上げと、ピザ作り。
パンが主食のフランスではパティスリーでもパンを売っていますし、早朝からパンを買いにくるお客様もたくさん。
いち早くお店にパンを並べるために、まずはパン作りから始まります。

[6:30]
一通りパンが出来上がった所で、スタッフ揃って朝食タイム。
焼きたてのブリオッシュやクロワッサン、そしてカフェオレ。
ちょっとした息抜きタイムです。

[7:00]
パンが仕上がれば、今度はケーキの仕上げに入ります。
まだまだ半人前の私はエクレアやタルトなどの仕上げなど簡単な作業がメインになります。

[10:00]
続いて仕込みの手伝い。
ベテランパティシエの補助に入ります。
日本とは違い日常的にパティスリーでケーキを買うフランスでは、1日に売れる量も多いため、一度に大量の仕込みを行います。
ここでは主に卵を割ったり、粉を計量したりと準備作業を行います。

[12:00]
お昼タイムです。
私が働いていたお店では、おじいちゃんオーナーが鼻歌を歌いながら、従業員のまかないを作ってくれます。
サラダやパスタ、チキンソテーなど、ボリューム満点。
しかも、さすがフランス。
昼食でもシャンパンや赤ワインが出てくるんです。
しかもとっても紳士的なので、ワイングラスが空になるとすかさず継ぎ足してくれるのです。
お酒が強くない場合は「あとは、お水で…」と言わないと、午後からの作業は酔っ払い作業になってしまいます。

[13:00]
午後はその日によって違いますが、チョコレートやアイスなど、特殊品の仕込みになります。
チョコレートやアイスは通常の作業場よりも寒く、冷房の効かせた専用の部屋があり、そこで仕込みがされています。
この時、私が担当した作業で楽しかったのはマシュマロを三つ編みすること!
細長く切ったふわふわのマショマロを50cmほどの長さに編んでいきます。
<マシュマロ=ひとくちサイズ>と思っていた私には、フランスサイズの特大マシュマロはとても衝撃的でした。
こんな風に、「マシュマロ」1つでも国が違えば見た目が違ったり、文化の違いを感じることがたくさんありました。

[PM3時]
1日の作業終了です。
朝も早いのですが、終わるのも早いのがフランスのパティスリーの特徴。
全員で掃除をして解散となります。
その後はいろいろなパティスリーのケーキを食べに行ったり、フランス語の勉強にあてたりしていました。
こうしてフランスでの一日が終わります。

フランスの職人制度

留学して感じたことは、フランスでは国をあげてパティシエなどの職人を育てる仕組みが出来上がっているということ。
アポランティエ(見習い)制度というものがあり、学校に通いながらお給料をもらって実際にお店で働く若者がたくさんいました。
そういった理由からか、まだまだ半人前の新人パティシエに仕事を教えてくれるのも、とても丁寧でわかりやすかったです。

そして、なんと言っても驚いたのが、作業中もとてもにぎやかでみんなが楽しんで仕事をしているということ。
鼻歌を歌ったり、時には踊っていたりと、日本では考えられない仕事スタイルで、笑いの絶えない現場に居心地の良さを感じる事が出来ました。

逆に困った事と言えば、一番は言葉。
身振り手振りでだいたいの事は伝わるのですが、細かい指示がどうしても理解できませんでした。
また作業中にわからないことがあった時も、フランス語で説明できないために、何に困っているのか、どうしたいのか、が相手に上手く伝わらず、お互いがイライラした事もあります。


このように異国の地で一人で働くということは思った以上に大変な事もありましたが、学ぶ事もたくさんありました。
そして、やはり私はフランスに留学して良かったと思っています。
現地でしかできない体験、学べないこと、文化や食材の違いなど見るものすべてが勉強になりました。
私の経験が、これからフランス留学を考えている方の参考になればと思います。

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