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TOPパティシエントマガジン > 肩肘はらずに生きていく。花とフレンチアンティークに囲まれた『私らしいお菓子屋さん』

インタビュー

肩肘はらずに生きていく。花とフレンチアンティークに囲まれた『私らしいお菓子屋さん』


セレクトショップ、カフェ、雑貨店など、時代を先取りした店舗が集まるオシャレなエリアとして注目を集める大阪市西区、南堀江。メインストリートから少し離れた場所に、『パティスリー ブーケ』という洋菓子店があります。

フランスのアパートメントの入り口を思わせる素朴な外観。中に入ると、店主の高橋美絵子さんが温かな笑顔で出迎えてくれます。

高橋さんは製菓学校を卒業後、約3年半パティスリーで勤務。その後は一旦”洋菓子店”からは離れ、カフェをはじめとする飲食店、派遣事務など色々な仕事をしてきましたが、どんな時も「お菓子を作ること」はやめなかったそうです。

お菓子作りが生活の一部。そんな高橋さんに、2013年にオープンした自身のお店『パティスリー ブーケ』についてや、今の生き方についてインタビューしました。

高橋美絵子(たかはしみえこ)さん

製菓学校卒業後、大阪市内にある洋菓子ブランドのアトリエにて勤務。奈良の『ボン・シック』で約3年勤めた後、クレープ専門店やティールームでアルバイト生活を送る。飲食業界から離れ、6年間のOL経験を経て洋菓子店を開業。

アンティーク、ドライフラワー、アイシングクッキー
好きなものを散りばめたお菓子屋さん

──アンティークインテリアがすごく素敵なお店ですね。

ありがとうございます。元々フレンチアンティークが好きで、趣味として集めていたんです。食器棚など大きい家具はお店を開くって決めてから、あらゆるアンティークショップを巡って探しました。どんなお菓子を並べようかな…と考えるより、どんな内装にしようかな…って、空間づくりに一番時間をかけた気がします(笑)。それと、昔から花が好きだったので、ドライフラワーを飾っています。店名も花にちなんだ名前にして、オープン日は「紫陽花の日(6月29日)」を選びました。好きなものに囲まれたかったんです。

──フランスが好きなんですよね。SNSでもフランス旅行の様子を投稿しているのを見ました。

フランスは私にとって非日常なんです。フレンチアンティーク、街並み、空気感、フランス人のゆるい雰囲気というか…肩肘はって生きてない感じも、すごく好きで。いつかは移住したいとも思っています。

▲ドライフラワーとアンティークが散りばめられた高橋さんのお店。

▲入り口すぐにある棚には、アイシングクッキーなどを陳列。訪れた客が思わず写真に収めていく。

──このエリア(南堀江)は若者の街、というイメージですが、お客さんはどんな方が多いですか?

お一人でふらっと来られる女性、男性が来たり、お子さま連れのママさんが来たり。もちろん若くてオシャレな方も来ますよ。あと、私の友人もよく遊びに来てくれますね。ただパッと見、お菓子屋さんだと分からないらしく、入ってきて「何屋さん?」って反応をされることもよくあります。あまり目立つお店でもないですし、お客さんが次から次へと入ってくる…みたいなことはほとんどないです。ゆったり、のんびりやっています。

──ケーキ、焼菓子、アイシングクッキーなどがありますが、特にお客さんにウケている商品ってなんでしょう?

やっぱりアイシングクッキーかな。店頭売りはできるだけ切らさないようにしていますが、特注をいただくことも多く、誕生日や新築祝いなど、ギフトとして使われています。ホールケーキも、ご注文いただいたら作ってますよ。曜日限定でかき氷も始めました。暑くなるとよく出ますね。

──クッキーの特注は、どのように価格を決めていますか?

まずは大きさ。そして使う色の種類、あとは型があるかないか。型がない場合はプラ板に形を書いて切り抜いて、それを型紙に手で一つずつくり抜いているので、手間がかかります。金型屋さんに注文して作ってもいいんでしょうけど、一つ1万円とかかかりますし…いつも使うものでもなければ作れないです。

──焼菓子ばかりなのかなと思っていましたが、ショーケースも置いてありますね。

生ケーキは「本日のケーキ」が1種類。それからカップに入れるタイプのムースを4種類置いています。フランスに行った時、あるお店で見かけて。日本ではあまり見かけないので、試してみようと思ったんです。というのと、仕込みがすごく楽で。ムースは好きなので出しておきたいけど、体力的に大変になってきて…今後も1人でやりきろうと考えた時に、このスタイルはすごくいいんじゃないかと思いました。食べ歩きにもちょうど良さそうですしね。でも仕込みが楽とは言え、やっぱり生菓子なのでその日に売り切れないと無駄になっちゃいます。これからもっと宣伝を頑張って、人気商品にしていきたいですね。

▲ショーケースには本日のケーキ、4種類のムースが並ぶ。

▲500円で販売しているカップムース(写真はヘーゼルナッツムース)。ケーキのムースよりもクリーミーな仕上がり。

「遊ぶ時間が欲しい」
社員ではなくアルバイトで過ごした

──高橋さんは学校を卒業したあと、洋菓子店で働いていたんですよね。

そうです、最初に就職したのが、ある洋菓子店のアトリエだったのですが、入社して半年後に先輩たちがごそっと辞めちゃって…。私たち新人だけが取り残されたんです。すごく不安になって、私も辞めてしまいました。それから就職しなきゃと焦って、奈良にある『ボン・シック』に就職しました。そこで3年くらい働いて。焼き場以外はほとんど経験できました。その後はお菓子屋さんじゃなく、クレープ屋さんやカフェで働いていました。

──洋菓子店から離れたんですね。何か理由ってあるんでしょうか。

もっと自分の時間が欲しいって、思うようになってしまって。社員じゃなくて、アルバイトで働くことを選んだんです。アルバイトの仕事の中から、自分が好きな「食に関わること」や「ものづくり」は好きだったから、クレープ屋さんやカフェで。

──3年目って、パティシエとしては自信もついてくる頃ですよね。もったいないな、って思ってしまいます。

そうかもしれません。でもその時は「自分の時間が欲しい」って気持ちが本当に強くて。働いていてやりがいもあったし楽しかったけど、ふと自分の生活ぶりを振り返ったんですよね。当時は大阪から毎日始発で奈良へ電車で行って、帰りは先輩が車で駅まで送ってくれて、電車に乗って大阪へ帰る。そんな生活を3年間続けて、本当にこれでいいのかなって思ったんです。当時20代前半で、社会人の生活に少し慣れてきて、余裕が出てきた時です。ふと周りに目を向けたら、同世代がキラキラしている気がして…もっと友達と遊びたかったんだと思います。奈良のお店を辞める時、シェフに「もっと友達と遊びたいから辞めさせてください」って言ったら「ハァ?」って顔をしていました(笑)。当然ですよね。

──周りと比べてしまう時期ってありますよね。不安になるのも分かる気がします。アルバイト生活をしばらく続けたわけですが、どうだったんでしょうか。

自分の時間がとれるようになって、気持ち的にずいぶん楽になったように思います。余裕ができたからか、職場にいるのもすごく楽しいと感じられるようにもなりました。それと、仲間の存在が大きかった。そもそもカフェって空間が好きだったし、そこにいる同僚ともすごく気が合って。仕事もプライベートも時間を共有できる友達ができたんです。10年以上経ちますが、今でもすごく仲良くしています。クレープやパンを焼いていたので、ものづくりという仕事からはそこまで離れていなくて、充実していました。

──その仕事はどれくらい?

30歳の時に辞めました。「飲食は続けていけない、体力的にしんどい」って思うようになって。楽しかったけど、体力低下には勝てませんでした(笑)。それで、思い切って事務の仕事を派遣で始めました。

──飲食業界からOLへの転身…仕事内容がガラッと変わりますよね。

事務仕事はどうしても好きとは思えなくて、面白くありませんでした。ただ、家に帰って仕事のことを考える…なんてことが一切なくて。よく「仕事とプライベートのメリハリ」って言うじゃないですか。まさにこれなんだ、と実感しました。飲食店の仕事は、休みの日もお店に行っちゃったり、なんだかんだでずっと頭の中考えてしまうんですよね。それも含めて楽しいんでしょうけど、OL時代は仕事と自分がくっきりと分けられる気がして、不思議な感覚でした。

──ただ、今は自分のお店を持って、お菓子を作り続けているわけですが……お店を出そうと思ったのはいつなんですか?

事務の仕事を始めてから6年後ですね。事務の仕事は面白くないな、と思いつつも続けていたのですが、その間も休みの日を使って趣味としてお菓子は作り続けていて。イベント出店もしていたのですが、結局誰かに喜んでもらえるのが好きだったんですよね。知人からもケーキを頼まれて作っている中で、「自分でやったら?」って何気なく言われました。色んな人に勧められて、自分にもお菓子屋さんが開けるのかも…と思うようになりました。

──人に勧められてはじめて、自分でお店を持つことを考えたんですね。

そう、だから予算とか物件なんかも、本当にざっくりとした決めてませんでした。家賃は10万円くらいかなぁ…大阪市内で10坪くらいがいいなぁ…って感じで物件探し。いくつか見つけて、最終的に堀江で決めました。

自分のペースで、頑張りすぎずに頑張りたい

──このお店も、繁忙期はやっぱりクリスマスですか?

クリスマスも忙しいけど、一番はバレンタインです。ありがたいことに、オープン2年目から高島屋さんが声をかけてくださって、毎年バレンタインの催事にアイシングクッキーを出しています。いつもは自分のできる範囲で作っているアイシングクッキーを、高島屋さんが求める数だけとにかく作る。これがすごく大変。でも、年に1回必ずフランスに行くことを目標にしているので、資金貯めのためにも頑張り時です。

──ところでアイシングクッキーって、手間暇がかかるものですよね。採算はとれますか?

採算なんてとれないです(笑)。特にお店を始めたばかりは「なんでこんなに高いの?」って驚かれるばかりで。せっかく手に取って見てくれても、結局買わずにお店を出て行く。そんな日々が続いて、不安になっていました。最近は「アイシングクッキーは手間がかかるから、これくらいの値段」ってようやく知られるようになってきて。望んでいる値段で買っていただけるようになり、ほっとしています。

▲季節ごとにデザインを変えるアイシングクッキー。

──お店は6年目だそうですが、その間も色々不安があったんですね。

そうですね、過去を振り返ってみても売上だけには不安があったと思います。お客さんがいなければ、何もかも成り立ちませんから。でも、なんとかなるものです。時間とか仕事内容、何かに縛られる生活ではなくなって、必要以上に人と会うこともありません。よく「一人で寂しくない?」って聞かれるのですが、自分にとってこのペースが一番楽で、合っていると思っています。午前中にお店に来て、今日のケーキや焼菓子を仕込みながらゆるく開店する。アイシングクッキーを作りながら、お客さんと話す。結局、これが自分にあってるんですよね。

注文された誕生日ケーキを渡す時、「すごい!」って喜んでくれる、あの反応は何回味わっても嬉しいものです。アイシングクッキーを見て「食べるのがもったいない!」とか…色々反応をくれるのも楽しい。お客さんの中には「娘が誕生日ケーキは必ず『ブーケ』にしてって言っている」という方もいて。楽しみに待ってくれているお客さんの存在はお店の支えです。自分のペースは崩さないように、お客さんが求めていることに自分なりに応えていけるようにしたいです。

店舗プロフィール

パティスリー ブーケ (patisserie bouquet)
住所:大阪府大阪市西区南堀江3-4-12
営業時間:[月・火・木・金]12:00~20:00
[土・日]12:00~18:00
定休日:毎週水曜日
公式Instagram:https://www.instagram.com/

この記事の筆者

あかざしょうこ

1984年生まれ。PATISSIENTの編集ライター。「人生の教科書は人」をモットーに、聞いたり書いたりしています。
取材中も何組かお客さんが来ました。皆さん、高橋さんのアイシングクッキーに興味津々で、普段の営業の様子も垣間見れた取材でした。

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