4月に入社してはや1ヶ月。新人パティシエのみなさんは新生活にも慣れてきた頃でしょうか。しかし、学生生活から一転して、毎日朝早くから夜遅くまで続く作業…。環境の変化で身体に不調をきたすのもこの時期です。
パティシエがなりやすい職業病といって思い浮かぶのが腰痛や冷え性。洗い物の多さから手荒れや肌荒れも気になりますよね。
その中でも、パティシエの誰もが一度は通るであろうやっかいな疾患が「腱鞘炎」ではないでしょうか。
今回は腱鞘炎がなぜ起こるのか、その原因と治し方、予防策について触れていきたいと思います。

「腱鞘炎」とはそもそもナニ?
腱鞘炎とは、指や手首の使い過ぎによっておこる疾患のこと。腱鞘炎の「腱」とは骨と筋肉をつなげる線で、手指の曲げ伸ばしを支えます。この指ごとの腱を筒のようにひとつにまとめているのが、手首にある「腱鞘」と呼ばれる部分です。
一定の動きを長時間行ったり、負荷がかかったりすることで、指の動きを支える腱や腱鞘が摩擦を起こし腫れてしまう。これが「腱鞘炎」です。
私たちは普段から意識せずに手や指を使っていますが、パティシエの場合はとくに、どれも手早く均等な力加減で行わなくてはならない作業ばかり。入社してからずっと頑張ってきたあなたの手や指が悲鳴を上げているのかもしれません。
腱鞘炎は大きく分けて2種類。ひとつは親指の付け根あたりから手首の部分が痛むドケルバン病。親指を握って手首をひねったり、親指を広げたりするとズキズキとした強い痛みが起こります。
もうひとつは指の関節や付け根が痛むバネ指です。指を曲げ伸ばす時に引っかかるような違和感があり、バネがはじけるような感覚になることからこの名が付いています。指の付け根は負荷がかかりやすいため、腱鞘炎になりやすい部位でもあります。
どちらも痛みを我慢して作業を続けていると悪化する一方。中には箸を握れない、車のキーを回せない…など、日常生活に支障をきたしてしまう人もいますので、そうなる前に病院で診察を受けることをおすすめします。
●参考ページ
築地 皮膚と手のクリニック
ケンカツ
メディカルノート
腱鞘炎になってしまった時はどうすれば?
手指や手首に違和感がある、ひねると痛みが出るという症状は腱鞘炎のサイン。できれば作業を中断し、患部を休ませてあげるといいでしょう。軽度の場合は、指をゆっくり伸ばす、もみほぐすといったマッサージで治ることがあります。
また、無意識に動かしてしまわないよう患部をテーピングで固定する処置も効果があるようです。
痛みが続くようなら病院を受診し、軟膏や湿布などの外用薬で腫れと痛みを抑えましょう。場合によってはステロイド注射を打ったり、レーザー照射で血流を促したりなど、炎症部分の回復を早める処置を取ることもあるそう。でも、厨房で匂いのある軟膏や湿布を使うのは難しいですよね。痛みが引くまでは匂いの出ない湿布を使う、別の作業に交代してもらうなどが良いかもしれません。
腱鞘炎にならないためには?予防法を知ろう
腱鞘炎を予防するには指の筋肉の緊張をほぐすため、日頃から手指のストレッチを心がけると良いようです。さらにはツボ押しも有効的。手首の甲の付け根部分には指の動きをコントロールする「陽池(ようち)」と「外関(がいかん)」というツボがあります。


ここを1分程度、気持ち良く感じるくらいまで刺激すると手の動きをスムーズにする効果がみられるとか。
また、手指の動きはどうしても利き手に負担がかかります。左右バランスよく使えると負荷を分散させることができるため、カバンを持つ、ドアノブを握る、といった日常動作は利き手でない方を使うといった工夫をしてみると良いかもしれません。
まとめ
繊細な作業が必要とされるパティシエの仕事。
腱鞘炎となる原因を取り除くのは難しいですが、悪化する前にこまめなケアを心がけてみてくださいね。
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