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インタビュー

専門学校卒業後、わずか2ヵ月で開業へ。修行経験のない21歳のパティシエールが「自分のお店」を作るまで


今回ご紹介する角島瑞希さんは、卒業後わずか2ヶ月後に、弱冠21歳でシュークリーム専門店「chou à la crème Capri」をオープン。 オープン前から発信していたSNSの投稿が多くの人に広まり、大阪府河内長野市という都心から離れた場所にも関わらず、行列が絶えない人気店として大いに話題を呼びました。

学校を卒業したてのパティシエールが、独立という高いハードルをいかに乗り越えてお店をどう立ち上げたのか、激動のオープンから1年経ってみて今どう感じているのか、角島さんにお話を伺いました。

角島瑞希(かどしまみずき)さん

大阪府羽曳野市出身。高校で2年間過ごした後、レコールバンタン大阪校に編入、パティシエ専攻クラスで3年間学ぶ。2年生の時にシュークリーム専門店開業を決意、在学中から準備に取り掛かり、卒業した年の2018年5月1日、河内長野市に「chou à la crème Capri」をオープン。

SNS効果で全国各地からお客様が集まり大行列に!

―昨年5月1日にお店をオープンされたんですよね。1周年おめでとうございます!

ありがとうございます。無事1周年を迎えられて嬉しいです。

―カプリさんといえば、水色のテーマカラーが印象的です。「カプリ」という店名には、どういう由来があるんでしょうか?

シュークリームをかぷっと食べる音から付けました。響きのポップな感じや一番うれしい食べる瞬間を感じて親しんでもらえるようなものになったらいいなって。 テーマカラーは、お店が並ぶ通りにはなくてこの場所に馴染みつつ周りから浮き過ぎない色を考え、写真を撮っていろいろな色を印刷して並べて決めました。

▲「カプリ」の公式Instagram。パッケージのデザインや商品撮影、チラシの制作も全部自分でされているそう

―オープン当初からすごい行列だったと聞きました。

オープン日の宣伝はお店の入り口に張り紙を貼って、TwitterとInstagramで告知したぐらいだったんですが、当日お店の前にずらっと行列ができていて驚いたことを覚えています。 オープン日が連休中だったこともあり、オープン告知のツイートを見て、近所の方がたくさんきてくださいました。

たくさん作る想定での設備ではなかったので、毎日作っても作っても追いつかず、睡眠時間が全然とれなかったりして、毎日ヘトヘトでしたね。うれしい悲鳴です。
初日は専門学校の同級生が10人ぐらい手伝いに来てくれました。

―オープン後もSNSの力を体感されたそうですね。

幼なじみの子がお店を紹介するツイートをしてくれて、それが5.2万リツイート、1万いいねをもらって!そのツイートの翌日、開店時間にドアを開けるとずらっと長い行列ができていてびっくりしました!神奈川や愛知、愛媛といった全国各地から来てくださる方もいらっしゃって。列が途切れる前に次々来店されて、並んでも買えなかった方もいて本当に心苦しかったです。

でも、皆さん「しょうがない、また来るわ」と言ってくださって。この時のツイートをきっかけに、京都から2ヶ月に一度買いに来てくださるようになった方もいらっしゃいます。とてもありがたいことだと思っています。

周りのサポートがあったから、無事独立できた

―今も毎日忙しいと思うのですが、スタッフさんは何人いらっしゃるんですか?

はじめは人を雇う考えはなくって、開業準備からすべて私一人でやろうと思っていたんです。 でも、途中から母が手伝ってくれるようになったんですね。 オープン準備中に、近所の方が見に来てくれたり「何の店になるの?」と度々聞かれたりして、「これは二人でも回せないかも?」と思ったので、パートさんをお願いして3人でスタートしました。
今は、母と妹、パートさんを含めて10人ほどのスタッフがいて、通常3〜4人で厨房と販売をまわしています。

―専門学校を卒業後、すぐに開業…この業界では珍しいですよね。当時のご家族の反応はどうでしたか?

母は最初、「何を言ってんの?もっと経験を積んでからの方がいいんじゃないの」と大反対していたのですが、「どうしても今やりたいからやらせてほしい」と言い続けたところ最終的に納得してくれて。開業準備や、高額のお金が動く際の業者さんとのやりとりなど、いろんな面で助けてもらいました。今では何でも相談できる力強いパートナーです。

▲店内で販売しているシューラスク

―お店の場所をここ、河内長野市に決めたきっかけなどはありますか?

元々祖父母がここで洋品店をしていたのですが、お願いして貸してもらえることになりました。お店は駅から徒歩5分ぐらいだし、商店が並ぶ通りにあるし、小中学校に挟まれていて人通りは多いです。近くに洋菓子店が2店舗ありますが、うちは専門店なので差別化も図れています。

―資金計画や内装業者探しなどはどうやって進めたんでしょうか?

資金に関しては、一人で日本政策金融公庫に行き、相談窓口で「これぐらい必要なんですが」と相談してサポートしてもらいました。あと、頼りにしたのが学校で経営学の教鞭をとられていた先生。何度も聞きに行ってアドバイスをもらいながら資金計画表を書きました。

とにかく全て初めてでやったこともないので最初は何を誰に聞いたらいいかもわからなくて。かといって、こんな何もわかっていないやつが質問に来たら鬱陶しいかなと思って人に聞くのをためらったり。手探り状態で、何度も何度もやり直して、やっとのことで完成させました。

内装はいろいろな業者さんを訪ねてお話を聞いたりしたのですが、最終的には友だちのお父さんが水道屋さんをされていたのでその方に水道関係をお願いしたところ、内装工事、電気工事の業者さんもその方がご紹介してくれて。工事代金も安くしてくださってとても助かりました。

そうやってどうにか開業までたどり着くことができ、協力してくださった周りの人にはとても感謝しています。

写真提供:chou à la crème Capri

―学校ではいろんなお菓子を学ばれたと思うのですが、シュークリームの専門店にされたのはなぜでしょう?

私、シュークリームが大好きなんです。ケーキほど高価でもないし、少し敷居が低くてちょっとしたおやつとして買える親しみやすさがあるところがいいなと思って。それで決めました。

お店に買いに行ったり人に送って喜んでもらったりお客様がぱくぱく食べて笑顔になったりと、お店とシュークリームを通して過ごす時間自体をワクワク楽しんでもらいたい気持ちを込めて取り組みました。

―それぞれの商品はどんなことを考えながら作られましたか。

定番商品のカスタード、チョコレート、抹茶、キャラメル、カプチーノ、フランボワーズに加え、毎月新しい季節商品を出して、ラインナップを入れ替えています。 ハロウィンやクリスマスといったイベントには少しデコレーションを施したものを出しました。

シューは私が好きなクッキーシューにして、かわいくてSNS映えするものをと上にチョコレートをトッピング。クリームも試行錯誤しながら自分が納得する味を作りました。一種類のカスタードをベースにしてそれぞれ味付けするのではなく、フレーバーによって卵の量を変えるなど、複数のレシピを使っています。

女性、資金、技術。いろいろな条件を考えた結果が「今」だった。

―大体の方は卒業後はお店や会社に就職されると思います。卒業後すぐ開業するというのは、いつ決めたんですか?

確かに、専門学校の同級生は就職してパティシエとして働いていますね。私も、最初はウェディングパティシエに憧れていました。でも想像だけでは仕事内容がわからなかったので、1年生の時は積極的に職場体験実習に行きました。 カフェやケーキ屋、レストラン、結婚式場のキッチン、ホテル、工場などいろいろなところで働きながら、「自分に何があっているのか考えてどこかに就職しよう、そして就職を経て将来自分の店を持とう」と考えていたんです。

高校の友だちが「パティシエになったら絶対ケーキ食べにいくな」と応援してくれたのもすごくうれしくて。「絶対いつか店を持ちたい!」というのは、早い段階から強く思っていましたが、最初は卒業すぐに、とは考えていなかったですね。

―なにか考えが変わるきっかけがあったんでしょうか。

2年目の終わりぐらいかな。大阪で開かれたモバックショーを訪ねた時、会場ですごい機械が並んでいて。様々な過程を機械がしているのを見て「これはすごい」と圧倒されたんです。今後人手不足や労働環境の悪さの緩和するためにどんどん製菓業界も機械化されていくとしたら、将来的にケーキ屋さんはどういう立ち位置になるのだろうと思いました。それをきっかけに、パティシエとしての自分の将来を真剣に考えるようになったんです。

けれど、私は将来は結婚して子どもを育てたいとも思っていて。開業という夢に向かう中で、女性は結婚や出産を経験しつつパティシエとしての経験も積み、資金を貯めて店を出すことは果たして可能なのかな?現実的にできるのかな?と疑問が浮かびました。

そこで、この場合ならこういうことが考えられると、一つひとついろいろな可能性を書き出して並べて考えた結果、「独立するなら今だ」と思ったんです。

―未来を想像した結果だったんですね。迷いや不安はなかったんでしょうか。

今開業する場合、できない理由として浮かんだのは資金不足と経験不足でした。

でも、資金は、私は今誰も背負ってはいないから今なら借金は自分一人で背負えるし、だめだったらもう一回就職し直す時間がある。もし結婚した後だったら、家族を抱えて借金することはリスクがあるし自分一人の人生ではなくて家族を巻き込むことになってしまう。それはだめだなと。

経験は、お店を一つの業態に絞った専門店にすれば、いくらでも時間がある学生のうちにその一つを自信をもって作れるまでになればカバーできる!と思って。

そうやって、「これは今しかない!」と意を決して、卒業すぐに独立することを決めたんです。

「できる、できない」ではなく、「できるようにしたい」

写真提供:chou à la crème Capri

―オープン当初は眠る時間もあまりなかったとのことですが、今はおやすみはとれているんでしょうか?

私自身は定休日も仕込みなどしているので、正直今も友達と遊べる時間はなかなか作れなくって。 友だちが休みの日にお店に来てくれて、仕事の合間におしゃべりすることが多いです。話を聞いてると、「皆がんばっているな」と励みになりますね。

―友達とは全く違う道を選ばれた角島さんですが、就職した友達の話を聞いていてどう思いますか?

どちらも良いところはあると思います。私は後悔していないし皆が選んだ道が間違っているとも全然思わなくて。
大変なことがある分今うれしいこともあるし、皆も進んだ道で大変なこともあればうれしいこともあると思う。どちらが良かったか悪かったかというのは、そのうちこれで良かったと思える過去になればいいかなと思っているので。私は今がとても楽しいです。

専門学校時代の皆のことが大好きで一緒にいるのが本当に楽しい。 将来、学生時代のように皆で楽しく働ける職場が作れたらなと思っています。

―今はシュークリーム専門店ですが、今後他の商品を出す予定はありますか?

今違う商品をお店に並べる自信があるのかと言われたらありません。でも、「できる、できない」ではなく、「できるようにしたい」と思います。

今はシュークリーム専門店として自分が納得するまで何度も商品を研究したいし、同じカスタードクリームでももっとおいしくできるようにいろいろと工夫していきたい。
とは言え、専門学校で学んだぐらいなので皆さんに比べたら技術はまだまだだし、ここまでこれたのも自分がうまく作れたからではなくてたくさんの人がいろいろなアドバイスをくれて手伝ってくれたからこそなので。

―うまくいっている、忙しい日々を楽しんでいるんだなということが伝わってきます。

実は、近々2店舗目をオープンする予定です。また、店舗が増えると雇用する人も増えるので株式会社も設立しました。でも、変わらず新商品作りは私がしたいし店舗にも立ちたい。

まだまだ頼りなくて今も代表としてできているかわかりませんが、お店に関わってくれているスタッフやお客様、周囲の人の幸せを納得し実感できるように、おごらずにがんばっていきたいです。

写真提供:chou à la crème Capri

◆chou à la crème Capri (シューアラクレーム カプリ)

住所:大阪府河内長野市千代田南町4-12
営業時間:11:00~19:00
定休日:木曜日、その他不定休あり
URL:公式Twitter 

この記事の筆者

藤原玉美

編集プロダクションを経てフリーライターに。食、ビジネス、人、観光などの取材、PRのお仕事なども。好きなものはこしあんと郷土菓子、地元大三島(愛媛県)です。@tamami33

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