クリスマスを戦っているのはパティシエだけじゃない!出荷担当者から見た“クリスマスの裏側”とは

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パティシエにとっての12月は一年で最も過酷で多忙な時期。特にクリスマス目前の数日間はほぼ不眠不休で働き続けるため、生命の危機を感じる人も少なくありません。しかしそんなパティシエたち以外にも、“クリスマス”という洋菓子業界最大の戦いに挑む者たちがいました。 そこで今回は、パティシエたちが魂を込めて作ったクリスマスケーキをお客様のもとへと無事届けるための、裏方のなかの裏方『出荷担当者』の仕事に迫ってみたいと思います。

クリスマスの裏方オブ裏方『出荷担当者』とは?

何日も工房の中に缶詰状態になり、自由に太陽の光を目にすることも許されないパティシエたち。そんな彼らが作るクリスマスケーキの予約数や当日までのスケジュール、店舗と工房の情報共有、出荷確認など、お客様の手にケーキが渡るまでのあらゆる工程を管理するのが“出荷担当者”です。 販売スタッフが兼任する場合もありますが、店舗数や生産数の多いお店になればなるほど専任の担当者が置かれることも。特に工房と販売店舗が別々の場合や百貨店などの施設に出店している場合などは、彼らの存在が欠かせません。工房から店舗へ、そしてお客様の手に確実にケーキを渡すため、あらゆる責任が課せられる重要な役割が出荷担当者なのです。

ミス、トラブル、クレーム…「知らんがな!」とは口が裂けても言えません

百貨店などの商業施設では、店頭予約以外に施設側のネットショップやカタログからの予約を受ける場合があります。複数の商業施設に出店していればそれだけ受注数が増え、「どのケーキを」「どの店舗に」「何個ずつ」用意するかを把握する必要があります。数量や種類を間違えば、お客様にケーキをお渡しできなかったり売り逃しや売り残しが出てしまったりと、会社としての重篤なトラブルに発展しかねません。 また「数が足りない」「違う店舗のケーキが届いた」「ケーキが崩れている」「違う商品をお客様に渡してしまったなど」現場で起こるあらゆる問題も出荷担当者のもとに寄せられます。「そんなの知らんがな!」と言いたくもなりますが、そこをぐっとこらえるのが出荷担当者。常に工房と店舗の状況を把握し続け、トラブルや不測の事態に対処しなければならないのです。

生きて帰れるかわからない!泊まり込みだって当たり前の出荷担当者

百貨店などの施設の多くはトラブル防止のため、集荷専用トラックが当日の朝に各工房を回ってケーキを集め、バックヤードの冷蔵庫に保管するしくみを取り入れています。開店時間に間に合うよう施設側があらかじめ決定したルートに沿って集荷トラックがやってくるため、集荷時間は遅くとも早朝の5時や6時。運悪く集荷ルートの前半になってしまうとなんと4時台にトラックがやってくることも! そのため出荷担当者は集荷トラック到着の数時間前に出勤し、ケーキの数や出荷先などの最終チェックを行う必要があります。こうなってはもう家になんて帰っていられない!出荷準備のために泊まり込みをすることもしばしば…。こんな生活が、クリスマスが終わるまでの数日間ずっと続くのです。 早いところでは春からクリスマスケーキの企画がスタートし、予算立てや材料の発注、人員の確保、ケーキの箱や袋、ろうそくやオーナメントの発注を行います。それに合わせて出荷担当者も様々な準備に追われ、外ではまだ蝉が鳴いているにもかかわらず頭の中はクリスマスでいっぱい!ということも。 そんなクリスマスもいよいよ佳境を迎えます。パティシエをはじめとしたあらゆるスタッフの血の滲むような努力を経て、今年も洋菓子業界最大のイベント“クリスマス”が幕を閉じてゆくのです。
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