【若手パティシエの働き方Vol.02】「簡単な仕事なんてない」──シェフの教えで知った新人の仕事と役割

  • インタビュー
  • 新人パティシエ
  • 就職活動

※この記事は2020年6月中旬に行った取材を元に制作しております。

就活を本格的に始める学生の皆さんを応援するシリーズ企画第2回。1〜3年目の若手パティシエたちに、どんな仕事をして、どんなことを学んだのか?を聞いてきました。これから就活をする専門学生さん、そしてパティシエを目指す方、先輩たちの言葉をヒントに自分が目指す道を考えてみてください。

今回話を聞いた先輩パティシエ

花澤 颯さん(22歳・2年目)
辻製菓専門学校卒業。
2019年にお菓子のお店Kazu(兵庫県)入社。

白川 莉緒さん(21歳・1年目)
辻製菓専門学校卒業。
2020年にお菓子のお店Kazu(兵庫県)入社。

先輩の役に立つこと。
それが「新人の仕事」です!

──入社2年目の花澤さんと、今年春に入社したばかりの白川さん、それぞれ今担当しているお仕事を教えてください。

 花澤さん

僕は今、オーブン周りで焼き菓子やスポンジの焼成を担当しています。

 白川さん

私は1年目なので、主に売り場にたって販売業務をしています。

 花澤さん

僕も1年目は販売を担当してました。『お菓子のお店Kazu』では、ポジションの中に「販売」があるんです。オーブン・ムース・カスター・パイ・販売があって、夏になったらゼリー、冬になったらチョコレートもあります。大体半年くらいで状況に応じてローテーションする、という感じです。

 白川さん

大体4年ですべてのポジションを経験できると聞いています。1年目は販売ですが、お客様がいない時は果物を切ったり、朝のケーキ出しは一緒にしたりするので、まったくケーキが触れないことはありませんし、接客も楽しいです。

──販売も経験できる、というお店は個人店ならではの良いところですよね。接客を通して学んだことはありますか?

 花澤さん

お客様が何を求めているか、考えるようになったことです。例えば、決まったギフトセットはあるけど、お客様の入れてほしい種類が違っていたりするんです。そんな時はお話を聞きながら中身を入れ替えたり、あとは誰に贈ろうとしているのかを聞いて、ラッピングを工夫したり。なんでお客様が、このお菓子を買うのか?を考える意識が持てるようになりました。

 白川さん

私はまだまだ勉強中ですが、花澤さんと同じように、お客様のことを考えて動けるようにしていきたいです。

 花澤さん

十分できてるよ、大丈夫!(笑)

──『お菓子のお店Kazu』での1日の流れについて教えてください。

 花澤さん

まず、朝はみんなでケーキ出し。仕上げをしたり、陳列したりなどの開店準備ですね。それが済んだら、全員で朝ごはんを食べます。

 白川さん

大体パンが多くて、パンに挟む具材はシェフが作ってくれます。ごはんを食べながら、今日のメニュー表を見て1日の流れを話す感じで、朝礼を兼ねています。

 花澤さん

あとは、それぞれの持ち場に分かれて仕事を始めていく、という感じです。朝は一緒ですけど、昼休憩は交代でとっています。

 白川さん

私、午後にとれる「お茶の時間」が密かに楽しみなんですよね(笑)。

──「お茶の時間」とは?ティータイム?

 花澤さん

確かに、ほかのお店にないかもしれないです(笑)。午後3時以降…ですかね。これも交代で「お茶行ってきていいよ〜」「じゃあ、お茶いただきます」って感じで休憩室でお茶と、割れてしまったクッキーなどの商品を食べてちょっとゆっくりする時間があるんです。でも、なんであるんだろう(笑)?

──リラックスする時間も必要ですもんね。それは10分くらいですか?

 白川さん

時間は決まってないです(笑)。1分くらいで戻ってくる人もいますね。1時間ゆっくりしてる、みたいな人はさすがにいないですけど、気分転換できたらお店に戻ってます。私はちょうどその時間帯くらいに喉が乾くので、すごくありがたいです。あと、お店にいるとだんだん時間の感覚がなくなっていくので、「お茶行ってきて」って言われると「ああ、もうすぐ夕方か」と、気づきます。もうすぐ終わり、もう少し頑張ろうって気持ちを切り替える時間だと思ってます。

──なるほど。仕事の話に戻りますが、厨房での仕事を始めるとき、新人の役割、新人の仕事として意識したことって何ですか?

 花澤さん

僕が思うのは、新人の仕事はどれだけ先輩が助かることをするか、です。

 白川さん

ふむふむ。

 花澤さん

例えば先輩が次に何の道具を必要としているか考えて、準備しておく、とか。当然自分も早く一人前になりたいですけど、技術も経験もないので先輩と同じ動きができるわけないんですよね(笑)。でも、先輩の仕事がもっと早くなるサポートはできる。そのためにどうしたらいいか、先輩をじっと見て、指示を受けて理解していくのが大事かなと思います。

 白川さん

勉強になります。私、今は先輩に「お釣りの計算、間違えてるよ」とか声をかけてもらっているおかげで、大きな失敗はなく過ごせています。助けてもらってばかりなので、早く先輩の助けになれるようになりたいです。

 花澤さん

「新人は簡単な仕事から」ってイメージでしたが、「簡単な仕事なんてない」というのがシェフの教えです。どんな仕事にも意味があって、必要とされているってことだと僕は捉えていて。新人は任された仕事の意味をきちんと考えていくのが大事なのかな、と思います。

ふたりの夢は「独立」。
すべての経験を積める個人店が最適だった

──おふたりの就活について教えてください。

 白川さん

私はこのお店だけでした!本命だったので。

 花澤さん

えっ!そうなん!?

 白川さん

私、生まれがこの辺りで。今も実家から通ってるんですけど。小さい頃から『お菓子のお店Kazu』のお菓子を食べて育ってきました。パティシエになりたいと思ったのも、この店が好きだったから、この店で働きたかったからなんです。だから、小さい頃からの夢が叶った〜!と思ってます。

 花澤さん

そうやったんや。僕は合同企業説明会の会場でシェフに声をかけてもらって、興味を持ちました。僕は将来、自分の店を開くのが夢なので、販売も経験できるところに惹かれました。あとは色々ポジションが回れるところ、「4年ですべてマスターできる」って具体的に将来をイメージできたのが決め手です。

 白川さん

私も将来、店を持ちたいです。

 花澤さん

初めて聞いた!

──おふたりとも「独立」を目指しているんですね。4年経ったあとのことって想像していますか?

 花澤さん

4年経ったら卒業して別のお店へ移るのか、ですよね。今は考えてない、というか考えられないです。目の前のことに必死で(笑)。

 白川さん

同じくです(笑)。

──では、独立に向けて、このお店で学びたいことは何ですか?

 花澤さん

常々思っているんですが、シェフと奥さんの臨機応変さはすごく勉強になっています。例えば、焼き色がつきすぎてしまった焼き菓子を、失敗したから廃棄するんじゃなくて、別の商品にしてしまうとか。他にもあるんですけど、お客様への対応も早いですし、失敗やトラブルに対してすごく柔軟だなと思います。実際に「商売」をしている人のそばで学べることは、学校では習えない部分です。

 白川さん

私はとにかくこのお店のお菓子すべてが好きなので、まずは作り方を学びたいです。製造も販売もどちらも経験させてもらえる職場ですし、色んなことを吸収していきたいと思っています。

──ありがとうございました!最後に、今就活中の方にメッセージをお願いします。

 花澤さん

将来を決める大事な選択の時期ですし、色んなお店を見た方がいいと思います!その中で、自分が面白いと思える仕事ができるお店を見つけてほしいな、って。悩むかもしれませんが頑張ってください!

 白川さん

コロナでなかなか気軽にお店に行けないかもしれませんが、直接行けなくても、今はインターネットで調べたら色んな情報が拾えると思います。たくさん調べて、惹かれるお店を見つけてください!応援しています。

お菓子のお店Kazuも参加する「オンライン合同企業説明会」開催!

7月26日(日)〜28日(火)の3日間、兵庫県洋菓子協会が主催する「オンライン合同企業説明会」が開催されます。

今回ご紹介した『お菓子のお店Kazu』も参加しますので、直接話を聞いてみてくださいね。

↓イベント詳細・参加申込はこちらから↓

※上記イベントは終了致しました。

お菓子のお店Kazuの求人情報はこちら

https://www.patissient.com/job/801848/

written by

あかざしょうこ

1984年生まれ。PATISSIENTの編集ライター。「人生の教科書は人」をモットーに、聞いたり書いたりしています。

ご意見・ご感想はこちら

パティシエントとは

パティシエントは、洋菓子・パン業界で働くすべての人の働くと学ぶを応援するサイトです。
夢や働きがいがあっても、離職率が高い洋菓子・パン業界。離職の理由に多く挙げられるのが、人間関係や労働条件のミスマッチです。
パティシエントは「どこで」「だれと」「どんな風に」働くのかがイメージできるリアルな求人情報や、仕事に役立つ業界内の様々な情報をお届けすることで、パティシエ・パン職人・販売スタッフをサポートします!
また、業界専門の転職エージェントがあなたにピッタリのお仕事を紹介する「転職支援サービス」を通して、より良い職場との出会いもサポートしています。