私がパティシエをやり続ける3つの理由
「パティシエの仕事はきつい」というのは、パティシエとして働く多くの人が口にする言葉です。
それでもパティシエの仕事が好きだから、やりがいがあるから続けていられるのではないでしょうか。
今回は筆者が感じた、「パティシエの仕事の素晴らしさ」「パティシエを続ける理由」を3つ紹介してみたいと思います。
私がパティシエを続ける理由の1つ目は「努力の先に、お客様の笑顔と喜びを見られるから」です。
毎日作り上げるケーキは、お客様の笑顔を生み出します。
早朝から作ったケーキをショーケースに並べ、朝1番乗りのお客様がずらりと並んだケーキを楽しそうに選ぶ姿、買って行く姿を見るのは、毎朝のことですが気持ちがぱっと明るくなります。
「ありがとう」の一言を聞くだけで、「よし、今日もがんばろう」と思えるものです。
時には、小さなお子様やウェディングケーキをお届けしたお客様から「ありがとうの手紙」を頂くことも。
その1つ1つが、「この仕事をしてきて良かった」と心から喜びを感じる瞬間です。
それだけではなく、コツコツと積み重ねてきた経験が技術となって身に付いた事を実感できた時は、自分自身の成長を感じることができ、モチベーションも上がります。
1週間前にはできなかったことができるようになる、ずっとダメ出しをされていた技術が、はじめて褒められる。
自分自身が嬉しいのはもちろんですが、指導してくださる先輩やシェフとも喜びを分かち合え、嬉しさも2倍になります。
2つ目は「洋菓子の奥深さに魅力を感じるから」です。
洋菓子作りは新しい発見の毎日であり、試行錯誤と挑戦の連続です。
例えば、メレンゲは泡立て具合や混ぜ込む材料によって全く違った食感の製品を生み出すことができます。
マカロンのサクサクとした食感や、ギモーブのようにねっとりとした食感、ふんわりもっちりとした食感、それぞれ違った食感です。
このように、同じものでも作り方や合わせる材料を少し変えるだけで違った食感ができるのは、面白いと同時に、「もっといろいろなケーキを作りたい!試したい!」という意欲を掻き立てられます。
有名な「タルト・タタン」は、砂糖と合わせたリンゴを焦がしてしまった失敗から誕生したケーキです。
たまには普段の作り方からちょっと作り方や材料を変えて、その変化を楽しんでみるのも良いものです。
材料や配合、合わせ方や焼き方など、何か1つ違うだけで、出来上がってくるものは大きく違ってきます。
パティシエという仕事は、いくらでも掘り下げられる、探究しがいのある、だからこそ新しいものを生み出すことができるクリエイティブな仕事と言えるのではないでしょうか。
3つ目は「自分の可能性を自分で広げられるから」です。
毎日の仕事に
「もっと効率良く進める方法、やり方はないか?」
「今月はこの仕事をできるようになろう」
「難しそうな仕事だけど、やってみよう」
など、仕事への取り組み方を少し変えるだけで、「なんとなく」こなしていた仕事もキラキラと輝き始め、どんどん経験と技術を吸収する事ができます。
その結果、新しい仕事を任されるようになったり、普段なかなか褒めてくれない先輩がさり気ない一言で褒めてくれたり、時には大きなイベントを任されたりと、職場内での立ち位置や仕事内容にも変化が訪れます。
ケース取り(製品を個別にフィルムなどで包む作業)にしても、「右から左に流すか、その逆に流すかどちらが無駄な動きが少なくて済むのか」「角の部分をもっと綺麗に魅せられるように、あらかじめフィルムに折り目を入れてみる」など、ちょっとした工夫が効率を良くしたり、ショーケースに並ぶ商品が更に美しく見えたりと、これまでとは違った楽しさが味わえます。
「自分自身の伸び代を、自分で小さく決めつけない」
「自分はもっとここの職場で成長できるはず」
「夢に見たパティシエの仕事に、つまらない時間なんてない」
こんな風に考えて毎日の仕事に取り組むことで、自分自身の可能性を広げることにつながり、結果的に将来の夢や目標に近づきます。
自分自身の取り組み方次第で、いくらでも仕事をおもしろくできることも大きな魅力でした。
パティシエといっても、業態が違えば仕事の進め方や内容にも違いがあります。
3つ目に挙げたように、パティシエは自分次第で道を切り拓くことができる仕事です。
自分自身の取り組み方、考え方を少し変えるだけで、そこには多くの経験と感動があり、「パティシエの素晴らしさ」を改めて見つめることができるのではないでしょうか。