コロナ禍の外出自粛要請により、需要がさらに高まっているネット販売。
路面店や催事での販売が一般的だったパティスリーやベーカリーも、新しい販路として新たに「ネット販売」を始めるお店が少しずつ増えています。
ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」の調べによると、2020年4月の同社での「食品・スイーツ」部門流通額は、前年同月比300%以上に昇ったそう。
リモートワークや通販購入などが一気に普及したことで世間の価値観は大きく変わり、パティスリーやベーカリーも、今後さらにインターネット上にマーケットが広がっていくことが考えられます。
参考:カラーミーショップ、ジャンル別伸び率1位「食品・スイーツ」、2位「インテリア・家具」巣ごもり消費反映
といえども、準備や運営が大変なのではないか?と懸念を抱き、自店のオンラインショップの開設にはなかなか踏み切れないという方も多いかもしれません。
実際路面店がオンラインショップを始めるためには、何が必要なのでしょうか。 オンラインショップ開設に必要な準備や、運営にあたっての注意点をまとめてみました。
オンラインショップの営業許可や申請は必要?
そもそも、オンラインショップは営業許可や申請は必要なのでしょうか。
実は路面店はオンラインショップを始めるにあたって、許可や申請は必要はありません。 オンラインショップを運営するために必要なのは「食品衛生責任者証」と「菓子製造業営業許可証」。路面店はすでに所持しているものなので、いつでもオンラインショップを始めることができるのです。
オンラインショップ開設の準備で考える3つのこと
続いては、検討段階や準備の際に考えるべきことを大きく3つにわけて紹介します。 路面店が実際にオンラインショップを開設するには「店舗運営と両立させる」という前提のもと、方針や手段を考えていくことになります。
1.何をいくらで売るのか
オンラインショップで販売する商品は、衝撃によって破損する可能性が低い、且つ温度や湿度の変化に影響を受けにくいものが適しています。 焼菓子であればフィナンシェ、マドレーヌ、バウムクーヘンなど、パンであればフィリングを使わないものがベター。クッキーやサブレなどは衝撃に弱いためネット販売にはどちらかといえば不向きですが、缶にいっぱいいっぱい詰めるなど、パッケージ方法や梱包を工夫することで選択肢に入れることができます。
販売価格はネット通販分を製造する手間や梱包資材の消費を考慮のうえ、「ネット販売価格」を設定していくと良いでしょう。
2.「どこ」で売るのか
何を売るかをイメージしたら、「どこ」でネット販売をするのかを考えてみましょう。
近年は、個人でも簡単にオンラインショップが始められるような、さまざまなサービスがあります。また、自社のWEBサイト上にオンラインショップを開設するという選択肢もあるでしょう。
それぞれ開業のためにかかる初期費用や、長期的に見たメリット・デメリットに違いがあります。 別の記事で詳しく紹介していますので、よければそちらもご覧ください。
→オンラインショップのサービス比較(※5/27公開予定)
3.配送業者、配送方法
せっかくお菓子やパンを準備しても、自店の商品に合わない配送方法を選んでしまうと「商品が台無しに…」「余計に手間がかかった」というふうに、本末転倒になりかねません。
また、「時間帯指定配送が可能か」「追跡ができるか」「事故補償はあるのか」なども、お客様にとっての安心感や購入意欲に関わってきます。各配送業者で規格や料金も違ってきますので、「どこで売るか」と合わせて、視野を広げて検討すると良いでしょう。
オンラインショップでの食品販売における4つの注意点
オンラインショップでは、店頭販売とは違う配慮が必要となってきます。思わぬクレームやトラブルを防ぐために気を付けるべき注意点を4つ紹介します。
1.食品表示と賞味期限について
オンラインでお菓子やパンを販売する場合、店頭での販売と同じく、食品衛生法に準じた表示が必要です。 また、賞味期限の表示は商品にはもちろんのこと、商品販売ページなどにおいて賞味期限の目安を記載するとこが望ましいとされてます。
賞味期限の表記があることで「思ったより期限が短い」というクレームも避けることができ、安心感にも繋がります。「賞味期限:発送日より○日間」といったように、お客様にしっかり伝わるような表記をするのがポイントです。
2.発送日、配送日の表記について
「発送日」と「配送日」の認識違いは、オンラインショップで起きがちなトラブルのひとつ。 さらに、配送方法やお客様のお住まいの場所によって、お客様の手元に届くまでの日数は変わってきます。
「欲しい日に届かなかった!」「届くのが遅い」といったクレームを防ぐためにも、発送または配送予定日の表記の仕方には注意が必要です。「注文から発送まで○日ほどかかります」「最短○月○日以降の到着指定でお届けいたします」など、できるだけ具体的に表記をすると良いでしょう。
3.梱包について
梱包は過剰に行なう必要はありませんが、「まあ大丈夫だろう」と梱包をおざなりにしてしまうとクレームが発生し、口コミによるお店のイメージ低下にも繋がってしまいます。
段ボールや緩衝材を用意し、少しでも壊れる危険性のあるものは箱の底にしっかり固定するなどの対策を練ってできる限りの検証を行なうことで、想定外のトラブルを防ぐことができます。 また、配送伝票以外に市販の取り扱い注意シールを貼ると、配送員の目にとまりやすくなるのでおすすめです。
4.商品の写真について
購入の判断材料として、商品の写真はかなり重要です。といえども、良く見せようしすぎたりすると逆効果。「写真と違いすぎる!」というクレームを避けるためにも、加工はほどほどに、本来の商品の魅力が伝わる写真を用意しましょう。 また、箱や缶などの包材を写真と違うものにしてしまうと、トラブルの一因にもなりかねません。万一包材が変わる可能性がある場合は、商品ページに明記しておきましょう。
まとめ
いかがでしたか? オンラインショップの運営で大切なのは、本来ならお客様が自分の目で判断できる情報を、文章や写真でしっかりとお伝えすることです。
「なかなか足を運べない距離にあるお店のお菓子やパンが食べられる」「店舗に足を運ばずとも気軽に購入ができる」ことは、消費者にとって大きなメリット。お客様が安心して購入できる環境と自店のオペレーションの準備ができれば、あとは商品で勝負して、売り上げを作っていくことができます。
国や省庁・地方自治体による「IT導入補助金」や「小規模事業者持続化補助金」など、オンラインショップを始めるための制度もありますので、長い目で見てオンラインショップの開設が自分のお店の得になりそうかどうか、ぜひ検討してみてください。