世界各国で作られ、食べられているパン。
米が主食の日本でさえ、食卓に欠かせない存在となっています。
それどころか、日本で手に入るパンの種類の多様さは他国でも類を見ないほど。
日本のパン職人の研究熱心さやこだわりの裏付けとも言えるでしょう。
今回は、日本のブーランジェリーでもよく見かける世界のパンの種類や特徴を、国別でお届けしたいと思います。
フランスパン~こだわりは焼きたての風味~
バリッとした硬い皮が特徴のフランスパン。
土地や気候の影響で、ふっくら柔らかな食感のパンをつくるのが困難だったことから生まれた技法を使っています。
バゲット

日本で「フランスパン」といえばこちら。
小麦粉・パン酵母・塩・水だけで作られています。
表面がパリッと焼けて内側には大小の気泡が。
棒状の形が主流ですが、大きさや形によってバタールやブールなど呼び名が変わることもあります。
パン・ド・カンパーニュ

「田舎パン」という意味からわかるように、フランスの田舎で伝統的に作られている素朴な風味のパンです。 ライ麦粉や全粒粉を混ぜて作られることが多く、ほのかな酸味が特徴です。
クロワッサン

バターやマーガリンを生地に折り込んで焼き上げた三日月形のパンです。
発祥は17世紀ですが、現在のレシピが確立したのは20世紀頃。
現在はひし形(バター使用)と三日月形(マーガリン使用)の2種類が存在しています。
イタリアパン~地方によって異なる作り方~
あっさりとした塩味が多い反面、地方によって形や作り方が異なるのがイタリアパンの特徴です。
そのまま食べるよりも、料理に合わせることが多いです。
フォカッチャ

北部ジェノヴァ地方発祥。
古代ローマ時代から作られてきたパンで、現在のピザの原型とも言われています。
オリーブやハーブ、ドライトマトで風味付けされているものもあります。
チャバタ

北部ポレシーネ地方発祥。
イタリア語で「スリッパ」を意味する四角い形のパンです。
とても多くの水分を含んでおり、内側の気泡が大きいことが特徴です。
グリッシーニ

北西部ピエモンテ地方発祥。
細長い棒状のパンで、あっさりとした塩味。
クラッカーのような食感です。
17世紀に貴族の間で大流行し、ナポレオンも好んで食べていたとか。
ドイツパン~1000種類以上を誇るライ麦パンの国~
ドイツでは小麦を収穫することが難しかったため、主にライ麦が使われています。
そのため特徴的な酸味の味わいが強く、日本人でも好みが分かれるようです。
ミッシュブロート

小麦粉とライ麦を同量配合している代表的なドイツパンです。
ドイツのパン消費量はこれが全体の3割を占めます。
独特の酸味があるため、薄くスライスして食べるのが一般的です。
プレッツェル

ドイツのパン屋のシンボル。 材料は小麦粉・イースト・塩・水ですが、焼く前にカセイソーダ液に漬けて焼くため表面が赤褐色をしています。 カリカリとした食感がビール好きの国民性にぴったりです。
シュトーレン

ドイツではクリスマスの1ヶ月前から作る習わしがあります。
ラム酒に漬け込まれたドライフルーツやナッツなどが練りこまれた菓子パン。
少しずつスライスして食べながらクリスマスを待つのが伝統です。
イギリスパン~小麦粉メインのふんわり白いパン~
主に小麦粉が使われた山型のパンの他、伝統的な手法で作られたものも数多く存在しています。
どれもイギリスが発明したアフターヌーンティーで楽しめるものばかりです。
イギリスパン

山型の形状をしており、ティンという焼き型を使うことからティンブレッドとも呼ばれています。
北米から輸入された高タンパクの小麦粉を多く使用するため、ふわふわろしたとても柔らかいパンに仕上がります。
イングリッシュマフィン

伝統的なイギリスのパンです。
水分の多い生地を短時間の発酵で作るため、中の生地がしっとりしてかみ応えのある食感になります。
現在ではイギリスよりアメリカでポピュラーになっています。
スコーン

パン酵母ではなくベーキングパウダーで膨らませた、スコットランド発祥のビスケットです。
割れ目から二つに分けてクロテッドクリームやジャムをのせて紅茶と一緒にいただきます。
日本パン~パン後進国だからこそのオリジナリティ~
決して古くない日本のパン文化。
しかし腕の良い職人たちが試行錯誤しながら、日本オリジナルのパンを作り上げました。
今では多種多様なパンが簡単に手に入る、世界でも稀にみるパン大国となっています。
あんパン

明治2年に木村屋創業者・木村安兵衛が考案しました。
中身はこしあん・つぶあん2種類があります。
あんパンの2大メーカーである木村屋と中村屋は「こしあんパンにはケシの実、粒あんパンには黒ごまをつける」と取り決めを行っていたとか。
メロンパン

菓子パン生地の上にクッキー生地をかぶせ、格子模様をつけたパンです。
発祥については詳しいことがわかっていませんが、第一次世界大戦頃という説が有力です。
名称についても形がメロンに似ている、メロンのエッセンスを加えているなど諸説あります。
カレーパン

カレーをパン生地で包み込み、パン粉をつけて油で揚げた食事パン。
昭和2年に名花堂が販売を始めました。
とんかつから発想を得て作られたのだとか。
今ではオーブンで焼くタイプのカレーパンも主流となっています。
いかがでしたか? 今回ご紹介したほかにも、日本でも手に入る世界のパンはまだまだたくさんあります。
ぜひ、その土地の風土や生活も併せて調べてみてくださいね。