【4月27日更新】新型コロナウイルスで影響を受けたパティスリー・ベーカリーオーナーのための支援制度まとめ

  • 経営
  • コロナ対策

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、政府は緊急事態宣言の対象を全国にも拡大しました。日常を取り戻すため、不要不急の外出を控えるよう注意を呼びかける中、パティスリー・ベーカリーを営むオーナーの皆さんは「休業するべきか」「営業し続けるべきか」の判断に迷うのはもちろん、運転資金の調達などで苦労していることと思います。

本記事では国や行政が緊急で打ち出している支援策をまとめています。
(最新情報は随時追記していきます)

現金確保のための資金繰り支援

新型コロナウイルス感染症特例貸付(中小企業)

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、新型コロナウイルス感染症の影響により時間短縮での営業や休業を余儀なくされ、資金繰りに支障をきたしている中小企業のための融資です。借入の際には利子の全額が給付されるため、実質無利子で最高1億円の融資を受けることができます。

【商工中金】新型コロナウイルス感染症に関する融資制度

対象者は以下

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により直近1ヶ月の売上高が、前年又は前々年の同期比5%以上減少している
  • 上記に該当し、商工中金の株主である中小企業の組合員(組合未加入の場合には、借入申込時に相談するようにしてください)

相談窓口はこちら
新型コロナウイルス感染症に関する特別相談窓口(商工中金)
電話:0120-542-711(平日・土日祝9:00~17:00)

新型コロナウイルス感染症に係る中小企業者対策

「セーフティネット保証」は、情勢の変化などのやむを得ない理由で経営に大きなダメージを受けた中小企業が、一般保証とは別枠で、最大2億8,000万円の融資を受けることのできる保証制度です。対象者は8つのパターンに分けられており、今回の新型コロナウイルスによる影響においては「5号 全国的に業況が悪化している業種を営む中小企業者」が該当します。

令和2年4月1日より申請受付を開始しています。(申請期限は令和2年6月30日)
【中小企業庁ホームページ】セーフティネット保証制度(5号:業況の悪化している業種(全国的))

対象者は以下

  • 指定業種に属する事業を行っており、最近3ヶ月間の売上高等が前年同期比5%以上減少の中小企業者(時限的な運用緩和として、2月以降直近3ヶ月の売上高が算出可能となるまでは、直近の売上高等の減少と売上高見込みを含む3ヶ月間の売上高等の減少でも可)
  • 指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者
  • 上記のいずれかに該当し、事業所の所在地を管轄する市町村の認定を受けた中小企業者

相談窓口はこちら
中小企業金融相談窓口 電話:03-3501-1544(直通)
中小企業庁事業環境部金融課 電話:03-3501-1511

新型コロナウイルス感染症に関する融資制度の拡充

日本政策金融公庫(略称:日本公庫)による緊急融資制度。新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業・小規模事業者向けの融資制度を拡充しています。融資限度額は中小事業が3億円、国民生活事業が6000万円。特徴としては、一律金利であり、無担保でも融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げが可能です。また特別利子補給制度を適用することで、利子の一部または全額にあたる金額が給付されます。

【日本政策金融公庫】新型コロナウイルス感染症に関する融資制度の拡充について

【日本政策金融公庫】新型コロナウイルス感染症特別貸付等に関するQ&A

対象者は以下

  • 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的に業況が悪化している事業者
  • 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している
  • (業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合)最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している
  • (業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合)最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している(過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高/令和元年12月の売上高/令和元年10月から12月の平均売上高)

特別利子補給制度の要件は以下

  • 個人事業主(フリーランス含む、小規模に限る):要件なし
  • 小規模事業者(法人事業者):売上高15%減少
  • 1と2を除く中小企業者:売上高20%減少

相談窓口はこちら(都道府県により異なるため以下参考)
【日本政策金融公庫】新型コロナウイルスに関する相談窓口(国民生活事業)

持続化給付金(4/27追記)

新型コロナウイルスの影響によって売上が大幅に減少している事業者に対して、最大200万円(フリーランスなど個人事業主の場合は最大100万円)の現金給付を行うもの。電子申請の場合、申請から2週間後に給付される予定です。(申請は4月下旬よりスタート予定)

【経済産業省】持続化給付金に関するお知らせ

支給の条件は以下

  • 新型コロナウイルスの影響によって、売上が前年同月比50%以上減少している。(令和2年1月から12月のうち、2019年の同月比で売上が50%以上減少したひと月を申請)

売上減少分の計算方法
前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上げ×12ヶ月)
※昨年創業した方などに合った対応は検討中。

相談窓口はこちら(都道府県により異なるため以下参考)
中小企業 金融・給付金相談窓口(0570-783183(平日・休日9:00~19:00))

「休業」など雇用調整に関する助成金制度

雇用調整助成金

緊急事態宣言を受け休業をした場合も、スタッフには変わりなく給与を支払う必要があります。本来、事業主が支払わなければならない休業手当を政府が一定額肩代わりする制度が「雇用調整助成金」です。解雇などを行なっていない事業主には助成金率が上乗せされます。支給限度日数は、通常1年100日に加えて令和2年4月1日〜6月30日の日数も含まれます。

【厚生労働省】雇用調整助成金

支給の条件は以下

  • 対象となる事業者:雇用保険適用で新型コロナウイルスの影響を受けている事業者(事業開始1年未満の事業主も対象)
  • 対象となる従業員:正規雇用・非正規雇用問わず(新入社員・パート・アルバイトなど雇用保険被保険者でないスタッフも対象)
  • 生産指標が1ヶ月につき5%以上低下している(生産指標=売上高・販売量のこと。前年度同月と前月の売上から5%以上低下している場合に支給対象)

スタッフへ支払う休業手当
個々の平均賃金(直近3ヶ月の総支給額÷総歴日数)の6割
事業者に支払われる助成金
前年度賃金総額÷年間所定労働日数×労使協定で定めた休業手当の割合×助成率

相談窓口はこちら
都道府県労働局または公共職業安定所(ハローワーク)
学校等休業助成金・支援金等相談コールセンター
01230-60-3999(9:00~21:00(土日・祝日含む))

小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金

新型コロナウイルスの影響によって学校が臨時休校し、その学校に通う子どもがいるスタッフに対し、有給休暇(※1、2)を取得させた事業者に、支払った賃金分を助成金として支給する制度です。ここで言う有給休暇は、年次有給休暇のことではない特別休暇になります。今回の場合、一時的に「仕方がないので有給休暇をとります」と言って休んでいても、スタッフとの同意があれば後から振り替えることができます。

(※1)年次有給休暇を除いた特別休暇(賃金全額支給)
(※2)正規雇用・非正規雇用を問わない

令和2年4月15日より申請受付を開始しています。(申請期限は令和2年9月30日まで)

【厚生労働省】小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設します

支給の条件は以下

  • 新型コロナウイルスの対応として休校になった学校に通う子どもがいる、もしくは感染により休まなくてはいけない子どもがいる(自主的な判断で休ませた場合は対象外)。それに伴い、スタッフが休業した。
  • 該当のスタッフには子どもの保護責任がある。
  • 令和2年4月1日から6月30日までの間に休暇を取得した。
  • 対象となる休業日は平日のみ(通常であれば学校が休みの場合は対象外。今回の場合、春休み期間中の日は含まれないので注意)。

助成金の支給例
有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額×有給日数
例えば…「時給1,000円のフルタイムパート(8時間労働)に4日間休んでもらった」
1,000円×8時間=8,000円×4日間=32,000円

相談窓口はこちら
学校等休業助成金・支援金等相談コールセンター
01230-60-3999(9:00~21:00(土日・祝日含む))

納付の猶予や税金の支払い関連

納税の猶予制度の特例

令和2年2⽉1⽇から同3年1⽉31⽇までに納期限が到来する国税(所得税、法⼈税、消費税等ほぼすべての税⽬(印紙で納めるもの等を除く))に関して、担保の提供・延滞税なしで一年間の納付猶予が与えられます。

※途中納付や分割納付も可能
※すでに納期限が過ぎている未納の国税(他制度の猶予を受けているものも含む)についても、遡っての申請が可能、その場合の支払い済み延滞税は関釜を受けることができる。

【国税庁】災害、盗難等により納付困難となったときの納税の猶予の申請手続
【財務省】新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)

関係法令の施⾏から2か⽉後、⼜は、納期限(申告納付期限が延⻑された場合は延⻑後の期限)のいずれか遅い⽇までに申請が必要です。

※本特例の実施については、関係法案が国会で成立することが前提となります。 (4/16時点更新なし)検討段階

対象となる条件は以下

  • 新型コロナウイルスの影響により、令和2年2⽉以降の任意の期間(1か⽉以上)において、事業等に係る収⼊が前年同期に⽐べて概ね20%以上減少していること。
  • 「事業等に係る収⼊」とは、法⼈の収⼊(売上⾼)のほか、個⼈の経常的な収⼊(事業の売上、給与収⼊、不動産賃料収⼊等)を指す。
  • 個⼈の「⼀時所得」などについては「事業等に係る収⼊」には含まれない。
  • 黒字の場合も、収入減少などの要件を満たせば対象となる
  • ⼀時に納税を⾏うことが困難であること。(「⼀時に納税を⾏うことが困難」かどうかの判断については、少なくとも向こう半年間の事業資⾦を考慮に⼊れるなど、申請される⽅の置かれた状況に配慮し審査される)

相談窓口はこちら(最寄りの国税庁・税務庁)
国税局・税務署を調べる

欠損金の繰戻しによる還付の特例

通常資本金の額が1億円を超える法人については、青色欠損金の繰戻し還付制度を適用できないとされていますが、本特例では資本金1億円超10億円以下の法人が青色欠損金の繰戻し還付を受けることが可能となります。

【財務省】欠損金の繰戻しによる還付の特例(案)

対象者は以下

  • 資本金1億円超10億円以下で、前年度は黒字だったが経営悪化などで赤字になった法人

青色欠損金の繰戻し還付制度とは…
青色申告書を提出する法人について、その確定申告書を提出する事業年度において生じた欠損金額がある場合に、法人の請求でその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して法人税の還付を受けることができる制度です。今回の場合、新型コロナウイルス感染症の影響により損失が発生した場合、災害損失欠損金の繰戻しによる法人税額の還付が受けられる場合があります。

災害損失欠損金について…
法人の所有する棚卸資産や固定資産等について、災害損失の損金が益金を上回って生じた欠損金額のことです。また、今回の新型コロナウイルス感染症の影響によるものとして、以下のような費用や損失は災害損失欠損金に該当します。
・飲食業者等の食材の廃棄損
・感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
・施設や備品などを消毒するために支出した費用
・感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
・イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損

災害損失欠損金の繰戻し還付制度とは…
災害により災害損失欠損金が生じた法人について、災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額を、その災害欠損事業年度開始の日前1年(青色申告書を提出する法人である場合には、前2年)以内に開始した事業年度に繰り戻して法人税の還付を受けることができる制度。

相談窓口はこちら(最寄りの国税庁・税務庁)
国税局・税務署を調べる

written by

パティシエント

パティシエ・パン業界で働く皆さんにとって役に立つ情報を発信しています!元気になったり安心したり、仕事のことや将来のことを考えるきっかけになるようなメディアを作っていきます。

ご意見・ご感想はこちら

パティシエントとは

パティシエントは、洋菓子・パン業界で働くすべての人の働くと学ぶを応援するサイトです。
夢や働きがいがあっても、離職率が高い洋菓子・パン業界。離職の理由に多く挙げられるのが、人間関係や労働条件のミスマッチです。
パティシエントは「どこで」「だれと」「どんな風に」働くのかがイメージできるリアルな求人情報や、仕事に役立つ業界内の様々な情報をお届けすることで、パティシエ・パン職人・販売スタッフをサポートします!
また、業界専門の転職エージェントがあなたにピッタリのお仕事を紹介する「転職支援サービス」を通して、より良い職場との出会いもサポートしています。