【映画紹介】日本発のショコラ・ドキュメンタリーが誕生!辻口博啓シェフの素顔に迫る80分間

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2019年1月25日より、全10ヶ所のイオンシネマにてショコラティエ・辻口博啓さんのドキュメンタリー映画「LE CHOCOLAT DE H」が公開されます。
(内、石川県の4館(金沢フォーラス、御経塚、新小松、金沢)は先行して1月18日より公開中)

本作は、辻口シェフの新作ショコラの創作活動に密着した日本発のショコラ・ドキュメンタリー。
フランス・パリで毎年開催される世界最大のチョコレートの品評会に向けて、南米・エクアドルで素材探しから完成までを追い、シェフの素顔をひも解きます。

©2019「LE CHOCOLAT DE H」製作委員会

辻口シェフは、本品評会で5年にわたり最高評価を連続で獲得しています。世界を舞台に活躍する彼は、日頃どんなことを考え、悩み、問題をクリアしているのでしょうか?

栄光にとどまることなくさらに新しい進化を追い求める様子は、現役パティシエ・ショコラティエの皆さんにもぜひ観ていただきたい内容です。 書籍や写真ではなく、映像で知ることができるトップシェフのドキュメンタリー。今回はその映画の内容を、少しだけご紹介します。

今でこそスターシェフだけれど…辻口博啓ってどんな人?

世界的に有名な辻口さんも、最初からスターシェフだったわけではありません。 もともとはどんな人だったのか。スイーツ業界にどんな功績をもたらしたのか?映画の前に、ざっくりとプロフィールをご紹介していきましょう。

見習い時代は、月給4万5千円からスタート

石川県七尾市で、和菓子店「紅屋(べにや)」の長男として誕生した辻口少年。 周りも本人も跡を継ぐつもりでいたのですが…ある時友人の誕生日会で出会った、きらびやかなバースデーケーキに心を奪われます。

生まれて初めて食べたイチゴのショートケーキに感動し、そこからパティシエに憧れること8年。地元高校を卒業した辻口さんは上京し、フランス菓子店で住み込み修業を始めます。初任給はたったの4万5千円。それでも「いつかは自分の店を持ちたい」という夢を目指して、さまざまなコンクールに出品し、自分の名前と実力を知ってもらおうと考えます。

通常の仕事の後に練習を重ね、コンクールへの出品を続けて5年。「このまま道は開けるのだろうか」と不安を抱えながらも、史上最年少の23歳でついに「全国洋菓子技術コンクール」で優勝。その後” コンクール荒らし”と呼ばれるまで頭角を表していきます。

13ものブランドをオープン。後進育成にも力を入れ始める

1997年にはパティシエのワールドカップ「クープ・ド・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」の飴細工部門で優勝。翌年、東京・自由が丘に、念願だった自身の店「モンサンクレール」をオープンしました。 その後も「ル ショコラ ドゥ アッシュ」「自由が丘ロール屋」など、コンセプトの異なる13のブランドを立ち上げます。その中には、彼が18歳の時に閉店してしまったご実家の和菓子店「紅屋」も。「和楽紅屋」として再出発をはかっています。

世界に誇れる一流シェフになった今でも、” 後進育成への道筋になれば”と、サロン・デュ・ショコラへの出品をし続けています。

「カカオの発酵」×「発酵食品」のマリアージュへ挑戦する姿に密着

映画本編では、そんな辻口シェフの並外れた情熱と、彼の素顔が描かれます。品評会に出品するショコラ作り、それはカカオの産地に訪れるところから。

チョコレート業界で近年注目されているのが「カカオの産地」。辻口シェフが長年研究し続けているのは、チョコレートと和の素材の融合です。

チョコレートもカカオ豆を発酵させてできあがります。日本が誇る発酵食材とをペアリングさせることで、世界一おいしいショコラを作りたい。そんな想いを持ちシェフが訪れたのは南米・赤道直下のエクアドル。他では育つことのない多様な生物が共存する環境で育った、香り高いカカオに出会います。

カメラは帰国後、そのカカオの良さを生かし、より高めてくれる発酵食品を探す辻口シェフにも密着。 10年以上熟成させた「味噌」や、500年以上続く製法で炊き上げた「塩」など、日本の職人が守り続けてきたこだわりの和食材とのマリアージュを考えます。

©2019「LE CHOCOLAT DE H」製作委員会

クライマックスシーンは、2018年秋にパリで行われたばかりのサロン・デュ・ショコラ。辻口シェフのショコラは、どのような評価を受けるのでしょうか?80分間、最後まで見応えのあるドキュメント作品がここに完成しました。

あわせて、超ハイスピ―ドカメラやドローンで届ける映像も見所のひとつ。彩り豊かなエクアドルの自然や趣ある日本各地の映像美も楽しめるので、一緒に現地を訪れたような気持ちになれるはずです。

現状に満足することなく、より新しく美味しいチョコレートを作り出したい。パティシエになって30年以上経った今でも熱い想いを持ち続ける辻口シェフの姿を、ぜひ劇場で体感してみてください。

LE CHOCOLAT DE H

©2019「LE CHOCOLAT DE H」製作委員会

<2019年1月25日から公開>
イオンシネマシアタス調布(東京)
イオンシネマ浦和美園(埼玉)
イオンシネマ市川妙典(千葉)
イオンシネマ港北ニュータウン(神奈川)
イオンシネマ名古屋茶屋(愛知)
イオンシネマ津(三重)

<2019年1月18日から公開中(石川県)>
イオンシネマ金沢フォーラス
イオンシネマ御経塚
イオンシネマ新小松
イオンシネマ金沢

監督:渡邉崇
製作:テレビ朝日映像 スーパースイーツ
配給:テレビ朝日映像
配給協力:イオンエンターテイメント

公式サイト

written by

田窪 綾

調理師免許持ち、レストラン勤務経験ありのライターです。東京都内近郊を中心に、食と食に関わる方の取材執筆をしています。(Twitter:aso0035)

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