中堅パティシエ4人に聞いた、「辛くてもパティシエを続けてこられた理由」とは?

  • インタビュー

パティシエの労働時間は1日10時間から長いところで15時間。他の業界と比較しても非常に長く、体力勝負の仕事であることはご存じの通りです。ゆっくり体を休める時間もなく、家にはただ眠りに帰るだけ。休みの日、起きると昼過ぎで気が付けば1日が終わっていた。そんな方も多いのではないでしょうか。

労働時間に対して給与水準も低く、決して条件的に恵まれているとは言えないパティシエの世界。しかし、パティシエとしての仕事に「喜び」を見出し、5年、10年、20年…と、一生の仕事として選んでいる方が多いのも事実です。今回は実際にパティシエント編集部が聞いた「パティシエとして苦労してきたこと」そしてその中でも感じる「喜び」についてお伝えします。

Kさんの場合(パティシエ歴14年の女性)

街のパティスリーで2年間勤務した後、ホテルへ転職したKさん。転職の理由は作業の多さからくる腱鞘炎だったそうです。また、ホテルでは分業制のため同じ作業が多く、腰痛がひどくなり退職してしまったと話してくれました。

しかしそこでは、自分のさじ加減でオーブンを調整し、焼き菓子やスポンジを焼き上げていくという作業がとても楽しかったそうです。オーブンを覗きながら「ちゃんと膨らんでいるな」「あともう少しかな」と自分で判断して位置や時間を変えたりすることが楽しく、奥深さも感じていたとのこと。ウェディングケーキの土台を焼く機会もあり、大きな生地を焼き上げていく達成感があったそうです。

一度現場を離れ、腰痛をしっかりと完治させたKさん。パティシエとして働いていた時の充実感を忘れられず、「もう一度頑張りたい」と再スタートを切ろうとしていました。

出典:https://www.instagram.com/

Yさんの場合(パティシエ歴5年の男性)

Yさんは、ある洋菓子企業の工場で勤務していました。「同じ作業を延々としていられる」と話すYさんが、工場内のすべての業務をこなせるになったのは5年目。急ピッチで技術を磨いていったというよりは、じっくりと時間をかけて、手を動かしながら技術を確実にモノにしてきた【職人タイプ】です。

当時の労働時間を尋ねると、なんと毎日15時間。非常に長く思えますが、本人は「あまり気にならなかった」そうです。コツコツ作業が得意であること、またそんな作業が好きであること、そして手を動かせばキチンと技が身に付く実感を得られるパティシエという職業が「自分に合っている」と思えるからこそ、時間も忘れてお菓子作りに没頭できたのでしょう。また、工場にもお客様から時折「美味しかったです」という手紙が届くことがあったとのこと。

手に職をつけられる、それでいて誰かを喜ばせることもできる、面白い仕事なんですと話してくれました。

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Fさんの場合(パティシエ歴4年の女性)

ある人気ブランドの工場で働いていたFさんは、入社して3年目にしてセクションリーダーを任されました。自分自身もまだ3年目で自信がある状態とは言えない中、後輩の指導役になり上からも下からも挟まれる立場になることに不安があったそう。

それでも、自身が開発した商品が店頭に並び、販売スタッフさんが「あの商品売れたよ」と報告してくれたことがモチベーションアップに繋がっていたとのこと。焼き菓子に挑戦したい!と考え、その職場を離れることにはなりましたが、FさんのやりがいもYさんと同じく「自分のお菓子でお客様が笑顔になる」ことだそうです。

彼女がパティシエを目指すきっかけは、学生時代にクリスマスやバレンタインなどのイベント毎に友人に手作りのお菓子をプレゼントしていたこと。誰かに喜んでもらうことは、Fさんの原動力になっているのでしょう。

出典:https://www.instagram.com/

Hさんの場合(パティシエ歴6年の女性)

洋菓子企業の工場で6年間働いていたHさんは、3年目で社内の業務を把握できたそう。

3年間で基礎の技術を身に付け頼られる立場にもなった後、彼女が目指したのは更なるスキルアップでした。通常業務に加え、コンテストに参加するようになり、自分自身が得意だとしているマジパン細工の製作に没頭するように。実際に、彼女はコンテストでの入賞も果たし、努力を評価してもらえたことがモチベーションアップに繋がったそうです。

技術を身に付け、その技術への評価もされ、彼女が次に目指すのは「自分の店を出す」こと。やりがいを自分で生み出し、目標をクリアし、自分が求めているパティシエ像に着々と近づいているという印象を受けました。

出典:https://www.instagram.com/

まとめ

今回ご紹介した4人のパティシエも、歴1年~3年の間は悩みや苦労ばかり。クリスマスシーズンはもちろん深夜2時、3時まで作業をし続け、一旦自宅でシャワーを浴び、日も昇らない内に店に戻ってくる…と寝る暇もないくらいに忙しかったそう。そんな過酷な環境のもと、4人を支えていたのは、やはり「やりがい」です。

「辛くて辞めたい。パティシエとしてやっていけるか自信がない」…そんな方は、やりがいを感じられていない、もしくは気づいていないのかもしれません。今の職場で、本当に自分が身に付けたいことを学べていますか?本当にやりたいことは何ですか?今一度、あなたのやりがいを考えてみてください。

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