パティシエ体験記 工場でパティシエとして働く

パティシエが働く職場のひとつに、「工場」があります。
基本的には大人数で商品を大量生産する業態で、生産量の管理のしやすさなどから、比較的勤務時間が短く、休みも取りやすいという特徴があります。
ただ、例えば「焼成のみ」のように1つの工程だけを行う場合も多く、個人店のパティスリーに比べ、製菓の技術が身に付くスピードは遅い傾向があります。
今回はそんな工場での働き方について、筆者が焼き菓子担当として働いた体験談をご紹介します。
未経験、新卒、工場で働き始めたばかりの人に、特に読んでもらえたらと思います。
工場では商品を大量に製造するため、パティスリーのように1つ1つ、すべての工程を手作りすることは難しい場合も多くあります。
筆者が働いていた職場では「焼き菓子」部門を設け、コンピュータ管理されたトンネルオーブンと呼ばれる、長さ数mのガス式窯を使って商品を製造していました。
コンピュータ制御と言っても、すべて自動で進むわけではないため、人の手で調整したり、チェックする作業も必要です。
製造する個数が少量の場合は平窯と呼ばれる電気オーブンを使いますが、菓子によっては平窯とトンネルオーブンを併用するほうが効率が良い場合もあったりと、様々です。
個人のパティスリーなどで行う仕込みなどの工程と、機械による大量生産とをうまく組み合わせるのが、工場での製造です。
責任者などになった場合、こういった「どの設備をどのように使うのが一番効率が良いのか」を考えることも必要です。
また、工場ではチーム全体で様々な作業を分担して一つの商品を作るため、「連携」がとても重要となります。
もちろんパティスリーなどでも連携は必須ですが、より作業が細分化され、多くの人数が関わっているため、少しのズレが全体として大きなズレにつながってしまうのです。
生地作り、材料の計量、ソースや生地に入れるネタの仕込み、フルーツのカット、生地へのトッピング、焼成、ライン管理、包装、検品など、一連の作業が予定通りに仕上がることで、はじめて1つの商品が完成するのです。