【若手パティシエの働き方Vol.01】ひとつのポジションを100%で。責任感と自信をつける「ポジション固定」のパティスリー

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※この記事は2020年6月中旬に行った取材を元に制作しております。

全国的に緊急事態宣言が解除され、日常が取り戻されつつありますね。専門学校に通うパティシエの卵は、再開された授業と並行して就職活動にインターンシップ…と慌ただしくなると思います。しかし、将来を決める大切な就活。しっかり正しい情報を得て、より良い選択ができるといいですよね。

今回パティシエントは、就活を本格的に始める学生の皆さんを応援するシリーズ企画をスタート!1〜3年目の若手パティシエたちに、どんな仕事をして、どんなことを学んだのか?を聞いてきました。これから就活をする専門学生さん、そしてパティシエを目指す方、先輩たちの言葉をヒントに自分が目指す道を考えてみてください。

今回話を聞いた先輩パティシエ

榎本 麻衣さん(23歳・3年目)
大阪調理製菓専門学校 ecole UMEDA卒業。
2018年にパティスリー・ナチュール・シロモト(京都府)入社。

ひとつのポジションに1年間集中。
失敗を乗り越えて自信がついた。

──新卒から入って3年目とのことですが、今担当している仕事について教えてください。

私は焼き場を担当しています。『ナチュール・シロモト』の製造は大きく焼き場・生場の2つに分かれていて、焼き場は材料を準備する「計量」、生地を作ってオーブン担当に渡す「生地上げ」、上がってきた生地を焼いていく「オーブン」、そのほか「パイ」「バウムクーヘン」や全体的なサポートに回る「補助」もあります。

生場は、指示を出す「センター」と仕上げをしていく「デコレーション」とカスタードを使った商品を作る「カスター」の3つに分かれていて、そちらは生産計画がある程度決まっている焼き場よりも、売り場の状況に合わせて臨機応変に対応している印象ですね。私は3年目に入ったので、今年の春から新しくバウムクーヘンの焼成も担当することになりました。なので、今の主なポジションはバウムで、1〜2年目の経験を活かして計量・生地上げのサポートにも入るような感じです。

──『ナチュール・シロモト』の製造は、あまり頻繁にローテーションしない「ポジション固定」なんですよね。

そうです。ほかのお店がどんな体制か知らないんですけど…。私の場合、1年目は計量を1年間やって、2年目に生地上げ、3年目にバウムクーヘン…と、1年ごとに業務の幅を広げていっています。でも必ずこのポジションになる、というわけではなくて、1年目の仕事は人によりますね。バウムから入る人もいるし、ほかにはパイ担当、生場から入ることも。オーブンはすべてのポジションを回った先輩が担当します。

これは先輩の受け売りですが、「全工程を50%理解するよりも、ひとつの仕事を100%にすること」に重きを置いている職場なんです。より専門的になるというか、「この仕事なら自信がある!」と思うことができます。私で言うと、計量表に書いてある分量はある程度、頭に入ってます!

──1年目、最初にぶつかった壁ってなんですか?

計量ミスですね。ボウルやスケールを触ってしまっていて重さが変わっていることに気づかなかったり、入れないといけない材料を入れ忘れたり、思い返せば初歩的なことなんですけどね。ミスが続いた時期もあって、さすがに落ち込みました。生地上げに入った時も最初は失敗だらけでした。今担当しているバウムクーヘンだって、綺麗な焼き目がつかないとか、均等な層が出せないとか。新しい仕事を覚えるたびに壁にぶつかってます。

──その失敗をどうやって乗り越えてきたんですか?

とにかく毎日やる、ですかね(笑)。うちの店はポジション固定で、毎日の仕事は同じです。失敗したこととうまくいったことを忘れないうちに反復していると、だんだん「変だな、いつもとなんか違う」って違和感に気付けるようになりました。違和感があったら自分で確認したり、先輩に見てもらったりすることでミスは減ったと思います。

──継続することが大事なんですね。1年目と比べたら成長したな、と思いますか?

もちろん!学ぶことは日々たくさんあるんですよね。ポジションをしっかり経験したからこそ、後輩が悩んでいる時にうまくいくコツとか、何のためにするのか、とかも教えられる気がします。

実家から通える範囲での職場選択。
社会人1年目は「慣れる」ことを優先した。

──榎本さんの学生時代の就活について教えてください。

あんまり参考にならないかもしれないです(笑)。実は、ここ(ナチュール・シロモト)しか受けてないんです。

──そうなんですか?はじめから志望していた、ということですか?

ではなくて…「働けるならどこでもいいかなぁ」って、本当にふわふわしてたんです。どんな風になりたい、とかどんなケーキを作りたい、とかあまり考えてませんでした。シェフ(城本オーナー)に初めて会ったのは神戸の合同企業説明会ですが、それも友達に付いて回っていたのでお店のこともよく知らなくて。

──就活にはあまり積極的じゃなかったんですね。

深くは考えてなかったかもしれないですね。でも実は、このお店は私の地元なんですよ。原付で5分のところに実家があります。「家が近いんなら一度来てみたら?」と声をかけていただいて、そこからインターンに行き、面接もして…とトントン決まっていきました。社会人1年目でひとり暮らしする自信はなかったし、できるだけ実家から通えるところで、と考えていたので幸運でした。1年目は慣れること、覚えることに必死で…2年目からようやく落ち着いて「自分の仕事」ができるようになったと思います。

──お店の自慢したいところや、好きなところは何ですか?

ケーキがおいしいところ!パティスリーはたくさんありますが、私の中では一番だと思います。それから職場としては、先輩が質問しやすい雰囲気を作ってくれてるように感じています。さっきもお話しした通り、うちはポジションが分かれていて、それぞれが自分の仕事をしています。誰かが計量したものを、誰かが生地にして、誰かが焼きあげる…とリレーしていく中で、違和感に気づいたポジションですぐに確認できないと、すべてがやり直しになってしまうこともあるんです。それを防ぐために、どんな小さなことも遠慮せずに声をかけあえるようにしてくれていると思います。

──ありがとうございます!最後に、今就活中の方にメッセージをお願いします。

仕事は大変なこともたくさんありますが、自分の好きなことを職業にするのは楽しいですし、やりがいもたくさんあります。私は子供の頃からパティシエになるのが夢だったので、この仕事に携われて、どんな仕事をしているときも楽しいです。学生のみなさんの就活がうまくいくよう、応援しています。頑張ってください!

ナチュール・シロモトも参加する「オンライン合同企業説明会」開催!

7月26日(日)〜28日(火)の3日間、兵庫県洋菓子協会が主催する「オンライン合同企業説明会」が開催されます。

今回ご紹介した『パティスリー・ナチュール・シロモト』も参加しますので、直接話を聞いてみてくださいね。

↓イベント詳細・参加申込はこちらから↓

※上記イベントは終了致しました。

ナチュール・シロモトの求人情報(2021新卒)はこちら

パティシエ→→→https://www.patissient.com/job/499524
販売→→→https://www.patissient.com/job/925478

written by

あかざしょうこ

1984年生まれ。PATISSIENTの編集ライター。「人生の教科書は人」をモットーに、聞いたり書いたりしています。

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