パティシエのための製菓用語集「パティシエWiki」

乳製品

• チーズ

チーズ【仏:cheese(チーズ)、英:fromage(フロマージュ)、独:Käse(ケーゼ)、伊:formaggio(フォルマッジョ)】 チーズとは、乳から作られる固形または半固形の製品である。 チーズにはFAO/WHO(食糧農業機関/世界保健機関)によって定められた定義がある。 ナチュラルチーズは、牛や山羊や羊等の乳に乳酸菌や凝乳酵素(レンネット)を加えて固め、ホエイ(乳清)の一部を取り除いて乳酸菌やカビ等の微生物で発酵・熟成させたもの。熟成させないものもある。 ホエイはチーズを作る際に出る水分である、 プロセスチーズは、ナチュラルチーズを砕いて乳化剤を加え、加熱して溶かしたあとに再び成型したものである。風味が変化しにくく、保存性にも優れている。 チーズの種類 クリームチーズ フロマージュブラン フロマージュ・ド・シェーヴェル マスカルポーネ


• クリームチーズ

クリームチーズ【英:cream cheese(クリームチーズ)、独:Quark(クワルク) 】 クリームチーズはフロマージュ・ア・ラ・クレームともいわれ、熟成をしていない軟質のチーズである。 熟成させないチーズのことをフレッシュタイプ(フレッシュチーズ)という。世界で最古のチーズの一つともいわれ、カッテージチーズと同様世界的に普及している。 1872年のアメリカでクリームチーズは誕生したといわれている。ニューヨークの乳製品加工業者ウィリアム・ローレンス(William Lawrence)が、生クリームと全乳から作ったのが始まりだとされている。白色できめ細かく、バターのような滑らかさが特徴で、スプレッドとしてもよく利用される。 製造方法 原料は牛乳と生クリームで、乳酸菌で発酵させたもの。 クリームチーズは個人で作ることもできる。 生乳と生クリームを混ぜて湯煎にかけ、乳酸菌で発酵させることでクリームチーズになる。 乳酸菌はヨーグルトに含まれているため、プレーンヨーグルトを利用することもできる。 クリームチーズを固めるには本来レンネットという酵素を用いるが、家代わりにレモン汁を理由することもできる。 レモン汁を入れることで、チーズが固まり、水分が分離する。それらを濾して固めるとクリームチーズができる。ヨーグルトメーカーや炊飯器を使っても可。 保存方法 水分が多いチーズなので、10℃以下での冷蔵保存が好ましい。 市販のクリームチーズ デザートとしてドライフルーツやナッツを加えたものや、チョコレート、イチゴ、オレンジなどの味を加えたもの、ハーブの入ったものなどもある。 アレンジの幅も広く、様々な製品が出回っており、サラダのトッピングやスモークサーモンの付け合せなど料理にも使われる。


• フロマージュ・ド・シェーヴェル

フロマージュ・ド・シェーヴェル【仏:Fromage de Schevel】 フロマージュ・ド・シェーヴェルとは、山羊(やぎ)の乳から作られるチーズの総称である。特有のクセのある味で、作り立てはさわやかな酸味が感じられる。 熟成するにつれて深いコクが出てくるため、食べる時期によって様々な味が楽しめる。 乾燥熟成のものは他のチーズに比べてパサパサした食感がする。 熟成を途中で止めて食べやすくしたもの・白カビに覆われたもの・木炭の粉を吹き付けた黒っぽいものなど、いろいろな種類がある。 白カビで覆われたものは、山羊ミルクの独特の風味をかき消され、一般的な白カビのチーズよりも食べやすくなっている。ねっとりとした食感に加え、ピリッとした刺激がある。 周りに木炭の粉がまぶしてあるものを切る際は、チーズの白い部分に木炭がつかないよう、1カットずつナイフを拭くとよい。カットが薄すぎると味が感じにくいので、7mm程度を目安にカットするとよい。


• マスカルポーネ

マスカルポーネ【伊:Mascarpone】 マスカルポーネはイタリア原産のクリームチーズで、マスカポーネ (Mascapone) 、マスケルポーネ (Mascherpone) とも呼ばれている。マスカルポーネはイタリアが発祥の地で、「何と素晴らしい」という意味の言葉がそのまま名前に由来する。 マスカルポーネはイタリア全土で生産されているフレッシュチーズの一種である。 乳脂肪分が80%前後と高いが、他のチーズに比べて酸味や塩分が少なく天然の甘さがあり、あっさりとしている。 見た目も固めに泡立てた生クリームのようである。冷凍には向かない。 日本にはティラミスの人気とともに一気に広まり、クリームチーズと同じように日常生活で食されるようになった。 塩分の高いブルーチーズを食べる際に塩味の緩和に混ぜ合わせて食べたり、スモークサーモンや生ハムなどに添えて食べたりする。イタリアでは燻製にしたり、フルーツに添え、シナモンをかけて食べたりもする。


• フロマージュブラン

フロマージュブラン【仏:fromagne blanc】 牛の乳を発酵させたフレッシュチーズ。 フランスが原産国で、フロマージュブランという名前は白いチーズを意味する。 熟成をさせていない、乳白色でクリーム状のチーズである。ヨーグルトよりも軽い酸味があり、さっぱりとしたコクのある味わい。 同じフレッシュチーズのクリームチーズやマスカルポーネよりも酸味、脂肪が少なく、クセがないので料理からデザートまで幅広く使われる。 生クリームを加えて使う事が多く、ムースやクレメ・ダンジュを作る材料となる。 作られ方 温めた牛のミルクに乳酸菌や、少量のレンネット(凝乳酵素)を加えて固め、布袋などに入れて水分を抜く。 低脂肪乳+ヨーグルト、クエン酸で代用品を作る事ができる。 保存 チーズの状態が変化してしまうので、冷凍保存はできない。 開封後は、空気に触れないように保存し、早めに使い切るのが望ましい。


• バター

バター【仏:butter(バター)独 : Butter(ブッター)】 牛乳を加工した乳製品。製菓において最も重要な固形油脂のひとつ。牛乳の乳脂肪を集めて練り上げたもの。 牛乳をクリーム(生クリーム)と脱脂乳に遠心分離し、クリームの層を加熱殺菌した後に攪拌して、乳脂肪だけを凝集して固めて作られる。 成分基準は乳脂肪80%以上、水分17%以下。加塩バターの場合は1.8%以下の食塩が加えられている。 製菓用として水分14%前後に抑えられた物を低水分バターと呼ぶ。低水分バターは伸びがよく、折り込みパイ生地などに使用すると作業性がよくなる。 バターの水分は油中水滴型の乳化の構造をとって、乳脂肪中に均一に混ざり合っている。 また、2%程度のたんぱく質、乳糖、カルシウムなどの他にビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなども含まれている。 温度管理が重要な材料。常に5℃以下で保存する。長期保存するの場合は、冷蔵より冷凍の方が品質を保てる。 バターの種類 発酵バター 無塩バター・食塩不使用バター 有塩(加塩)バター フランスのバター 日本では食塩を添加しているバターを有塩バター、添加されてないものを無塩バターと呼び分けているが、フランスでは塩分濃度によって三段階に分けて呼ばれている。 ブール・ドゥー(beurre doux) 無塩バターのこと。ドゥーとは「甘い、マイルドな」という意味。 ブール・ドゥミ・セル(Beurre demi-sel) フランス語で薄塩バターのこと。0.5〜3%程度の塩が添加されている。 薄塩バターという名前だが、日本の物より塩分が多く含まれている場合があり、使うときは注意が必要である。 ブール・サレ(Beurre salé) 有塩バターのこと。3%以上の塩が添加されている。日本の有塩バターより塩が多く含まれている。 フランスでは主に発酵させた無塩バターが製造されている。 バターの成分規格は、乳脂肪82%以上、無脂乳固形分2%以下、水分16%以下。 有塩バターの場合は乳脂肪80%以上とされている。 バターの性質 バターにはお菓子作りには欠かせない三つの性質がある。 1.可塑性 バターが13〜18℃の時に限られるが、固形でありながら自由に形作れる柔軟性がある。 折り込みパイ生地を作るときに役立つ性質。 可塑性のあるバターは柔らかい生地と一緒に織り込むことができる。 これを加熱するとバターの水分は蒸発し、油脂は生地に吸い込まれ、もともとバターがあった場所が空洞ができる。 この性質により、パイは美しい層状に焼きあがるのである。 2.ショートニング性 可塑性のある固形油脂が、小麦粉の中に薄い膜状に広がってグルテンをバラバラに分断する性質。 クッキーのサクサクとした食感はこの性質によるものである。バターの配合量が少ないクッキーはグルテンがしっかりと形成されるため、パリンと割れるような硬い食感になってしまう。 3.クリーミング性 バターがクリーム状の固さにあるとき、攪拌することで大量の空気を取り込むことができる。 バター生地がきめ細かい気泡をたくさん含んでふっくらとしているのはこの性質によるもの。 これは、バターの中に混ぜ込まれている気泡を核として、熱せられて発生した空気や膨張剤から発生した炭酸ガスが、大きく膨らんでいくため。 以上の三つの性質がお菓子の形状や食感に直接影響してくる場合が非常に多い。 これらの特徴は一度溶かしたバターを再び冷やし固めても発揮されない。 他の油脂にはない芳醇な香りがある。バターの配合量の多い焼き菓子ではこの香りが直接、製品の風味となってくる。 温度による状態の変化 バターは5℃以下の状態だとしっかりと固まっており、パレットナイフで切り分ける時も少し力がいる。 15℃前後になると、可塑性のある状態となる。 30℃前後になると、融解が始まる。 40℃に近づくと、完全に液体となる。この状態のバターを 溶かしバター、ブールクラリフィエ【仏: beurre clarifié】 と言う。 溶かしバターを凝固しない温度で放置すると、三層に分かれる。 一番上の薄い層には気泡を含む成分、一番下には乳漿(水分、たんぱく質、糖質など)が沈殿する。 これらの間にある一番量の多い、溶けた乳脂肪の黄色っぽい色の層を澄ましバターと言う。 澄ましバターにはたんぱく質やアミノ酸が含まれていないので、メイラード反応がおきない。そのため、クレープ生地など、バターの風味を抑えて焼き色をつけたくない場合に使われる。 溶かしバターをさらに加熱すると茶色く変色し、こうばしい香りがする様になる。これを 焦がしバター、ブールノワゼット【仏:beurre noisette】 と呼ぶ。 バターの高騰 近年では数年に一度のペースで需要の高まる冬季に深刻なバター不足に陥っている。 その度に政府主導で追加輸入が行われているが、輸入品は国内産の物と比べると高価になってしまうことが多い。この状態を受け、各メーカーもバターの代替品として、品質の高いマーガリンやファットスプレットなどを開発している。 これらの代替品は全量をバターと入れ替えて使用することもできるが、バターと混合して使用することもできる。このように配合比率を変えたりバターをあまり使用しないお菓子を開発したりするなど、さまざまな対策を練っている店やメーカーも増えている。


• 発酵バター

バターはヨーロッパで紀元前から作られていたが、発酵バターはその過程の失敗の中で作られた偶然の産物だった。コクがあって、風味がいいということでヨーロッパに広まり、後にヨーロッパでは発酵バターがバターの主流となった。 一方、日本のバターは中国から輸入されたのが始まりと言われている。 中国から入ってきたバターは非発酵バターだったため、日本では非発酵バターが主流となっている。 だが、現在は日本でも発酵バターのおいしさが認められて新たなブームとなっている。 発酵バターの原料はクリームで、乳酸菌を加えて半日以上発酵させることで作ることができる。 家庭で簡単に作ることもできる。生クリームとヨーグルトを発酵させるとサワークリームになるので、そのサワークリームを泡立てて、水分と固形分を分離させ、ザルで濾すことで発酵バターができる。 エシレ産バター エシレ産バターは、フランス中西部・エシレ村で作られたバターである。 ヨーグルトのような軽い酸味が感じられる一方で、クリーミーでまろやかな味わいのある、芳醇な香りが特徴の発酵バターである。 もともとエシレ村は乳製品の産地として有名だが、それは乳牛を育てるための土壌や気候に恵まれているところにある。 乳牛は一頭当たりの最低牧草地面積が決められていて、のびのびと育てられている。また、バターづくりにもその品質を保つため『工房から半径30km以内の酪農家の牛の牛乳しか使わない』『絞ったばかりの牛乳は24時間以内に工房に届け、新鮮なうちにバターに加工する』などの決まりがある。 昔ながらの製法にもこだわっていて、伝統的に伝わる乳酸菌を使い続けたり、やわらかく滑らかな食感を生み出す『木製のチャーン』と呼ばれる撹拌機を使ったりしている。厳しい品質管理のもと、エシレ産バターはフランスの原産地名称保護のAOP認定を受けた数少ないバターでもある。 イズニーバター イズニーバター はフランス・ノルマンディー地方にある、大手乳業メーカーイズニー社が作る発酵バターである。 脂っこくないしっとりとしたなめらかさで、クリーミーな軽やかなくちどけが特徴。軽い酸味とミルク本来の甘さが感じられる上品な味わいである。 イズニーバターもまたエシレバター同様、牛乳は採取後24~72時間以内のものを使っている。14~15時間発酵に時間をかけることで酸味が弱まり、まろやかな豊かな味わいの発酵バターになる。その後、撹乳器で3時間かけて練り上げられる。 時間をかけて作り上げる製法は1リットルのミルクからわずか100gのバターしか作れないが、その分、おいしさが凝縮したバターになるとして、イズニーバターもエシレバター同様古くからの製法にこだわっている。 そして、イズニーバターもまたフランスの原産地名称保護のAOP認定を受けたバターの生産地でもある。


• 無塩バター・食塩不使用バター

無塩バターとは、食塩が添加されていないバターのことである。 成分基準は乳脂肪80%以上、水分17%以下で、「食塩不使用」と表示される。 製菓では基本的に無塩バターを使う。お菓子作りでは大量のバターを使うので、有塩バターだとその塩味により本来出したい味か損なわれてしまう場合があるため。 作る製品次第では食塩の添加を必要とする物もあるが、無塩バターを使用し、食塩を計量して添加する方が失敗が少ない。 製造方法 牛乳をクリーム(濃縮された乳脂肪)と脱脂乳に遠心分離する。できたクリームは他の成分より比重が軽い。この段階で、乳脂肪は30〜40%まで濃縮されている。 その後、クリームを70〜80℃で加熱殺菌する。 このときリパーゼ(脂質分解酵素)など劣化酵素が失活するのでバターの保存性が高まる。 その後急冷して温度を3〜13℃に保ち、そのまま8〜12時間保持する。この工程は熟成(エイジング)と呼ばれ、乳脂肪の結晶を最も安定の高い「結晶型(b’型)」に調整するために行う。 その後、バター粒を形成するために行うチャーニングの工程を行う。12〜15℃に調温して勢いよく攪拌し、乳脂肪だけを凝集させる。乳脂肪が大豆程度の大きさにまとまってきたら、水溶性分(バターミルク)を除去する。 さらに冷水を加え、表面に付いているバターミルクを洗い流す。 最後にバター粒を練り合わせる。この作業によって乳脂肪の結晶がより滑らかな状態に変わり、バターの品質や作業性が高まる。


• 有塩(加塩)バター

食塩が添加されているバター。 成分基準は乳脂肪80%以上、水分17%以下で、塩分は1.8%以下に定められている。食塩が入っていることにより保存性が高くなっている。 お菓子作りでは一部のキャラメルやサブレ作りにしか使われないが、日本全体では料理をする上で有塩バターの方が需要が高い。近年は健康志向の高まりから、有塩バターの塩分を半分程度まで抑えたバターも開発されており、塩分が抑えられつつも旨味がある。 製造方法 牛乳をクリーム(濃縮された乳脂肪)と脱脂乳に遠心分離する。できたクリームは他の成分より比重が軽い。この段階で、乳脂肪は30〜40%まで濃縮されている。 その後、クリームを70〜80℃で加熱殺菌する。 このときリパーゼ(脂質分解酵素)など劣化酵素が失活するのでバターの保存性が高まる。 その後急冷して温度を3〜13℃に保ち、そのまま8〜12時間保持する。この工程は熟成(エイジング)と呼ばれ、乳脂肪の結晶を最も安定の高い「結晶型(b’型)」に調整するために行う。 その後、バター粒を形成するために行うチャーニングの工程を行う。12〜15℃に調温して勢いよく攪拌し、乳脂肪だけを凝集させる。乳脂肪が大豆程度の大きさにまとまってきたら、水溶性分(バターミルク)を除去する。 さらに冷水を加え、表面に付いているバターミルクを洗い流す。 最後にバター粒を練り合わせる。この作業によって乳脂肪の結晶がより滑らかな状態に変わり、バターの品質や作業性が高まる。塩はこのタイミングで添加される。


• 牛乳

生乳(牛乳からしぼったままの乳)を加熱殺菌したもの。 120〜150℃で1〜3秒で超高温瞬間殺菌が行われている。 原料に生乳以外の物を一切含まない。 乳脂肪3%以上、無脂乳固形分8%以上で、15℃における比重1.028〜1.034。 牛乳は乳牛の種類や飼育環境により成分がかなり変わってくる。 日本では乳固形分の量はあまり多くないが、泌乳量の多く、食肉用としても転用できるホルスタイン種が主に飼育されている。 生産量は少ないが濃厚で風味が良いとされているジャージー種の牛乳もある。 牛乳を加工して、ヨーグルト、チーズ、生クリーム、バターなどの乳製品が作られる。 卵と相性の良い食材。卵と牛乳を主原料として、カスタード、アングレーズソース、プリンやアイスクリームなとが作られている。 牛乳の種類 低温殺菌牛乳 低温保持殺菌法で殺菌した牛乳。独特の風味がある。 →牛乳の殺菌法 ノンホモ牛乳 下記のホモジナイズ(ホモゲナイズともいう)を行わない牛乳。牛乳容器の上の方にクリームの層(クリームライン)ができるので、よく振って使用すること。 加工乳 生乳に脱脂乳やクリームなどの乳製品を加えて乳成分を調整した物。乳脂肪に関する規定がない。濃厚牛乳や低脂肪牛乳(ローファットミルク)はこれに分類される。 牛乳は季節によって成分が変動するか、加工乳には成分変動がない。 加工乳を使えば一年を通して、安定した製品を作ることができる。 脱脂粉乳(スキムミルク) 生乳からほとんどの乳脂肪を除いて、粉末にしたもの。


• 牛乳の殺菌法

牛乳は法令に基づき、飲用目的で牛乳を消費する場合には必ず殺菌することが義務付けられている。生乳には病原菌や腐敗菌など多くの菌が存在し、それを殺菌することによって減少させる必要があるためである。 高温短時間殺菌法 高温短時間殺菌法は『High Temperature Short Time』と言われ、その頭文字をとって『HTST』とも言われている。摂氏72度~75度、15秒以上の高温短期間で加熱し殺菌する方法である。もとは欧米諸国で使われていた方法だが、日本にも導入され急速に普及した。加熱と冷却を繰り返し効率よく殺菌させ、大量に殺菌ができるだけでなく牛乳が密閉された中で行われるため、衛生面でも優れている。 高温保持殺菌法 高温保持殺菌法は『High Temperature Long Time』と言われ、その頭文字を取って『HTLT』とも言われている。摂氏75度以上の高温で15分以上の長い時間をかけて殺菌することが条件となっている。高温短時間殺菌法を、より進化させ高温かつ長時間に牛乳の殺菌を行う方法である。 超高温瞬間殺菌法 超高温瞬間殺菌法は『Ultra High temperature Treatment』と言われ、その頭文字を取って『UHT』とも言われている。摂氏100度以上の超高温で、数秒という一瞬のみ牛乳殺菌処理する方法で、現在日本の牛乳殺菌法の主流となっている。日本国内で大量に牛乳を消費するようになったため、この殺菌法が使われるようになった。 超高温処理殺菌法には間接加熱法と直接加熱法の2種類がある。 間接加熱法は牛乳と加熱媒体が壁で仕切られて別に置かれていて、熱交換によって加熱殺菌される方法で、コストが安い点が特徴である。 直接加熱法は牛乳の中に直接加熱蒸気を吹き込む方法で、蒸気でいっぱいになっている容器の中に牛乳を吹き込む。この方法では、牛乳の過熱と冷却が急速に行えるため、加熱部分に牛乳内のたんぱく質の沈着が軽減できる。それによって、長時間機械の運転が可能になるが、ランニングコストが高くなるという特徴がある。 低温保持殺菌法 低温保持殺菌法は『Low Temperature Long Timeと言われ、その頭文字を取って『LTLT』とも言われている。摂氏62度~65度の低温で、30分間以上の長い時間をかけて牛乳殺菌する方法である。基本的な牛乳殺菌法ともいえるが、作業効率が悪いため、今では全体の2%ぐらいしかこの方法は使われていない。低温でじっくりと殺菌する点で、高温殺菌の他の方法よりも牛乳の風味が損なわれないというところが特徴である。


• 練乳

練乳【英:condensed milk(コンデンスミルク)】 練乳とは、牛乳に糖分を加えて濃縮した、粘度の高い液状のものである。加糖のものと無糖のものがあるが、一般に練乳というと加糖のものを指す。成分規格は乳等省令で定められており、乳脂肪分8%以上・乳固形分28%以上・全ての糖分58%以下と定義されている。 牛乳に砂糖を入れるのは、甘さをつけることが第一の目的ではなく、細菌の繁殖を防ぎ、保存性を高めるためである。そのため、練乳は鮮度のいい牛乳を手に入れにくい地域でもよく摂取されていて、コーヒーに入れたり、お湯で薄めて飲んだりされている。これによって有名になったのがベトナムコーヒーで、濃厚な甘みとミルク感が特徴的なコーヒーとなっている。 日本では、かき氷にかけたり、パンに塗ったり、お菓子やアイスクリームを作る時の材料として用いることが多い。 砂糖が加えられない無糖練乳(英:evaporated milk)といい、略称エバミルクとも呼ばれている。加糖練乳と比べて粘度が低いため、チューブではなく缶に入って売られている。無糖練習にはコーヒーや紅茶のクリーマーやベシャメルソース、ミルク風味の菓子などを作る時によく使われる。外国では、香港のミルクティーやマンゴープリン、フィリピンのかき氷ハロハロなどによく使われている。 製造方法 一般的な作り方としては、原料の牛乳に砂糖を加えて煮詰め、液体に粘度が現れ光沢が見られるようになったら火から落として冷却し、しばらく寝かせる。


• 生クリーム

牛乳のみを主原料とし、乳脂肪18%以上、無添加で衛生基準を満たしたものを「クリーム」という。 「クリーム」は生クリームの法規上の正式な名称。牛乳の中にある乳脂肪は脂肪球という粒の形をしており、それを遠心分離により濃縮した物。 用途に合わせて色々な種類のものが開発されている。業務用は牛乳と同じ1リットル入りの紙パックの物が多い。 やや黄色みを帯びた白色で、風味、口溶けに優れている。乳脂肪が多いクリームほど黄色っぽい。この色みは乳牛の食べる牧草由来のカロテノイド色素によるものである。 「クリーム」に乳化剤と安定剤を入れた物も生クリームと呼ばれることもある。 乳脂肪と安定剤は味に影響しない。生乳のみを原料としているものより賞味期限が長く、分離しにくくて保形性も高いので扱いやすい。 乳脂肪量 乳脂肪分20〜30%の物はコーヒーに加えるために作られたもの。 コーヒーの苦味を抑えてマイルドな味わいにする。 コーヒー本来の風味や旨みを邪魔しない、低脂肪のクリームが好まれる。 35%の乳脂肪分がなければ、泡立てることができない。 一般的に35〜38%の低脂肪の物と、40〜45%の高脂肪の物とを製品に合わせて使い分けたり、混ぜて使ったりすることが多い。 →乳脂肪と植物性脂肪 製菓においての生クリームの重要性 生クリームが使われるケーキと言えば代表的なのは苺のショートケーキ。 老若男女から根強い人気があり、今でも多くの店で売れ筋のケーキになっている。 このケーキに大量に使われる生クリームが店のイメージを決めると言っても過言ではない。 生クリームの味はメーカーや種類によってかなり違いがあり、生クリームの選び方がお店の味の個性になるともいえる。


• 乳脂肪と植物性脂肪

乳脂肪の生クリーム 乳脂肪の生クリームは生乳や牛乳を原料とし、その中に含まれている乳脂肪を濃縮したものをいう。成分規格では乳脂肪分が18%以上あり、植物性油脂や添加物を含まないものと決められている。一般に「生クリーム」(英: cream)と表記できるのはこの条件を満たしているものだけである。 乳脂肪の高いクリームは薄黄色の濃厚な液体で、まろやかな口当たりで風味よくコクがあるところが特徴である。一般的によく使われる生クリームである。 脂肪分が高いものほど短時間で泡立てられるが、分離しやすい。泡立てすぎるとぼそぼそとした舌ざわりのよくないクリームになる。 脂肪分が高いものほどずっしり濃厚な味わいになり、脂肪分が低いものほどさらっとした軽い口当たりになる。 ガトーショコラなどの濃厚でずっしりした仕上がりにしたいものには脂肪分の高いものを、チーズケーキのように軽くて口当たりよく仕上げたいものは脂肪分の低いものを使うとよい。 植物性脂肪の生クリーム 植物性脂肪の生クリームは植物性油脂に乳化剤などを加えて、クリームに似せて滑らかに加工した製品を指す。 植物性油脂とはコーン油、綿実油、大豆油、ヤシ油などの植物油と呼ばれているものである。これらは「生クリーム」と表記することはできず、代わりに「ホイップ」「フレッシュ」などと表記されていることが多い。 乳蛋白や脱脂粉乳が含まれているため、泡立てると真っ白になり、見た目が綺麗に仕上がる。口当たりが軽くさっぱりした味わいで、生クリームより安く手に入る。賞味期限もやや長めである。 泡立てた後、時間が経っても比較的ダレにくいという特徴がある。デメリットは泡立ちが悪く、立てるのにやや時間を有する。乳化剤、界面活性剤などが多く入っているため、植物性のみの使用は避ける人も多い。 コンパウンドクリーム コンパウンドクリームは乳脂肪の生クリームと植物性脂肪の生クリームを混ぜ合わせたもので、混脂タイプとも呼ばれている。乳脂肪の生クリームと植物性脂肪の生クリーム両方の利点を活かしたクリームで、デコレーションしてもダレにくく、泡立ても早い、使いやすいクリームでもある。


• サワークリーム

サワークリーム【英:sour cream(サワークリーム)、仏:crème aigre(クレーム・エーグル) サワークリーム は乳製品の一種で、生クリームを乳酸菌で発酵させた、いわゆる発酵クリームである。発酵することで生クリームはさわやかな酸味とコクが加わる。英語で「酸味のある・酸っぱい」を指す「サワー」にちなんでサワークリームと呼ばれるようになった。 特徴と種類 サワークリームは生クリームから作られるため脂肪分の豊富なペースト状のクリームとなる。脂肪分は16~21%を含み、乳酸菌による独特な酸味を持つ。この脂肪分の部分を40%減らしたものにライトサワークリーム、コンスターチやゼラチンなどの増粘剤によって作られているものに無脂サワークリームがある。 また乳脂肪分約28%、pH約4.5のサワークリームはクレーム・フレーシュ(仏語:crème fraîche)と呼ばれる。標準のサワークリームより酸味や粘度が低く、脂肪分が多い。クリームと微生物以外のものが入っているサワークリームは、ヨーロッパの表示規制でクレーム・フレーシュとして認められない。加熱しても塊にならないため、暖かいフランス料理に使われることが多い。 用途 サワークリームは伝統的にじゃがいもやスープにトッピングしたり、ビーフストロガノフに加えたり、サラダドレッシングなどの調味料、ディップにも使用される。 製菓では、チーズケーキを始め、クッキーやサブレ、ドーナツ、スコーンなどにも用いられる。サワークリームを使うことで、食感や質感に特徴を出すことができる。 例えば、クッキーやサブレなどの通常配合のバターの一部(5%前後)をサワークリームに置き換えることで、サクサクとした食感 になる。クレープ生地に入れると、もちっとした食感ではなく、軽い食感に仕上がる。 保存方法 冷蔵保存が必要となる。発酵食品ではあるが、完全に発酵させたものではないので、カビが生えてしまった場合、その部分を取り除いて使うということはできない。


• ヨーグルト

ヨーグルトは発酵食品のひとつで、乳に乳酸菌や酵母を混ぜて作る。ヨーグルトは世界中で食べられており、それぞれの国で色々な名で呼ばれている。日本のヨーグルトはトルコ語でヨーグルトを意味する「ヨウルト(yoğurt)」に由来する。ヨーグルトの起源はおよそ7000年前と言われており、現在では世界中で作られている。生乳のままだと腐りやすいが、乳酸菌で乳を発酵させると生乳のままよりも腐りにくく保存しやすいため気温の高い地域でもよく作られている。また、地域によっては、発酵させた後の乳脂肪を利用してバターを作るところもある。 製造方法 ヨーグルトの作り方は様々あるが、殺菌した生乳の中で菌を発酵することで作ることができる。生乳は日本では牛乳が一般的だが、地域によってはヤギや羊、水牛、馬などの乳を用いる。また、ヨーグルトの発酵で使われる菌は、単体で種菌を入手したり、市販されているプレーンヨーグルトに含まれる乳酸菌を利用したりするのが一般的である。注意すべき点は、充填・発酵の際、雑菌の混入を阻止することである。基本的には生乳を沸騰させ、30度から45度ぐらいになるまで冷ました後、種菌かヨーグルトを混ぜて温度を保ったのまま一晩発酵させる。 乳の温度は重要で、乳酸菌は65度以上で23秒加熱すれば死んでしまう。乳酸菌は乳に含まれる乳糖に反応して酸を作るが、その乳に含まれるカゼインが酸に反応することにより固まる性質を持つため、ヨーグルトは固まる。ヨーグルトメーカーを使うと温度が一定に保てるため、個人でも簡単に作ることができる。 ヨーグルトの種類 ヨーグルトは発酵のさせ方の違いからハードタイプとソフトタイプに分かれる。 ハードタイプは容器入れてから発酵させる後発酵タイプで、ソフトタイプはあらかじめ発酵したものを容器に入れる前発酵タイプになる。また、市販のヨーグルトは製法によっていくつかの種類に分けられる。 ハードヨーグルト 甘味料や果肉などを加える固形のヨーグルトを指す。 ハードヨーグルトの前発酵タイプには寒天やゼラチンなどで固めてハードタイプにするものもある。 ソフトヨーグルト 前発酵タイプで、発酵させたものを破砕して混ぜ、トロッとした食感にしたもので、撹拌・均一化させる際に果肉などを投入する。 フローズンヨーグルト 前発酵のヨーグルトを凍らせたものでアイスクリームのようになる。 ドリンクヨーグルトは前発酵のヨーグルトを液状になるまで細かく砕いたものである。 プレーンヨーグルトは、前発酵・後発酵に関わらず、乳製品のみで発酵させたタイプのヨーグルトを指す。