
無塩バター・食塩不使用バター
カテゴリ:乳製品

成分基準は乳脂肪80%以上、水分17%以下で、「食塩不使用」と表示される。
製菓では基本的に無塩バターを使う。お菓子作りでは大量のバターを使うので、有塩バターだとその塩味により本来出したい味か損なわれてしまう場合があるため。
作る製品次第では食塩の添加を必要とする物もあるが、無塩バターを使用し、食塩を計量して添加する方が失敗が少ない。
製造方法
牛乳をクリーム(濃縮された乳脂肪)と脱脂乳に遠心分離する。できたクリームは他の成分より比重が軽い。この段階で、乳脂肪は30〜40%まで濃縮されている。その後、クリームを70〜80℃で加熱殺菌する。
このときリパーゼ(脂質分解酵素)など劣化酵素が失活するのでバターの保存性が高まる。
その後急冷して温度を3〜13℃に保ち、そのまま8〜12時間保持する。この工程は熟成(エイジング)と呼ばれ、乳脂肪の結晶を最も安定の高い「結晶型(b’型)」に調整するために行う。
その後、バター粒を形成するために行うチャーニングの工程を行う。12〜15℃に調温して勢いよく攪拌し、乳脂肪だけを凝集させる。乳脂肪が大豆程度の大きさにまとまってきたら、水溶性分(バターミルク)を除去する。
さらに冷水を加え、表面に付いているバターミルクを洗い流す。
最後にバター粒を練り合わせる。この作業によって乳脂肪の結晶がより滑らかな状態に変わり、バターの品質や作業性が高まる。
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月12日
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月12日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• 有塩(加塩)バター
食塩が添加されているバター。 成分基準は乳脂肪80%以上、水分17%以下で、塩分は1.8%以下に定められている。食塩が入っていることにより保存性が高くなっている。 お菓子作りでは一部のキャラメルやサブレ作りにしか使われないが、日本全体では料理をする上で有塩バターの方が需要が高い。近年は健康志向の高まりから、有塩バターの塩分を半分程度まで抑えたバターも開発されており、塩分が抑えられつつも旨味がある。 製造方法 牛乳をクリーム(濃縮された乳脂肪)と脱脂乳に遠心分離する。できたクリームは他の成分より比重が軽い。この段階で、乳脂肪は30〜40%まで濃縮されている。 その後、クリームを70〜80℃で加熱殺菌する。 このときリパーゼ(脂質分解酵素)など劣化酵素が失活するのでバターの保存性が高まる。 その後急冷して温度を3〜13℃に保ち、そのまま8〜12時間保持する。この工程は熟成(エイジング)と呼ばれ、乳脂肪の結晶を最も安定の高い「結晶型(b’型)」に調整するために行う。 その後、バター粒を形成するために行うチャーニングの工程を行う。12〜15℃に調温して勢いよく攪拌し、乳脂肪だけを凝集させる。乳脂肪が大豆程度の大きさにまとまってきたら、水溶性分(バターミルク)を除去する。 さらに冷水を加え、表面に付いているバターミルクを洗い流す。 最後にバター粒を練り合わせる。この作業によって乳脂肪の結晶がより滑らかな状態に変わり、バターの品質や作業性が高まる。塩はこのタイミングで添加される。
• バター
バター【仏:butter(バター)独 : Butter(ブッター)】 牛乳を加工した乳製品。製菓において最も重要な固形油脂のひとつ。牛乳の乳脂肪を集めて練り上げたもの。 牛乳をクリーム(生クリーム)と脱脂乳に遠心分離し、クリームの層を加熱殺菌した後に攪拌して、乳脂肪だけを凝集して固めて作られる。 成分基準は乳脂肪80%以上、水分17%以下。加塩バターの場合は1.8%以下の食塩が加えられている。 製菓用として水分14%前後に抑えられた物を低水分バターと呼ぶ。低水分バターは伸びがよく、折り込みパイ生地などに使用すると作業性がよくなる。 バターの水分は油中水滴型の乳化の構造をとって、乳脂肪中に均一に混ざり合っている。 また、2%程度のたんぱく質、乳糖、カルシウムなどの他にビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなども含まれている。 温度管理が重要な材料。常に5℃以下で保存する。長期保存するの場合は、冷蔵より冷凍の方が品質を保てる。 バターの種類 発酵バター 無塩バター・食塩不使用バター 有塩(加塩)バター フランスのバター 日本では食塩を添加しているバターを有塩バター、添加されてないものを無塩バターと呼び分けているが、フランスでは塩分濃度によって三段階に分けて呼ばれている。 ブール・ドゥー(beurre doux) 無塩バターのこと。ドゥーとは「甘い、マイルドな」という意味。 ブール・ドゥミ・セル(Beurre demi-sel) フランス語で薄塩バターのこと。0.5〜3%程度の塩が添加されている。 薄塩バターという名前だが、日本の物より塩分が多く含まれている場合があり、使うときは注意が必要である。 ブール・サレ(Beurre salé) 有塩バターのこと。3%以上の塩が添加されている。日本の有塩バターより塩が多く含まれている。 フランスでは主に発酵させた無塩バターが製造されている。 バターの成分規格は、乳脂肪82%以上、無脂乳固形分2%以下、水分16%以下。 有塩バターの場合は乳脂肪80%以上とされている。 バターの性質 バターにはお菓子作りには欠かせない三つの性質がある。 1.可塑性 バターが13〜18℃の時に限られるが、固形でありながら自由に形作れる柔軟性がある。 折り込みパイ生地を作るときに役立つ性質。 可塑性のあるバターは柔らかい生地と一緒に織り込むことができる。 これを加熱するとバターの水分は蒸発し、油脂は生地に吸い込まれ、もともとバターがあった場所が空洞ができる。 この性質により、パイは美しい層状に焼きあがるのである。 2.ショートニング性 可塑性のある固形油脂が、小麦粉の中に薄い膜状に広がってグルテンをバラバラに分断する性質。 クッキーのサクサクとした食感はこの性質によるものである。バターの配合量が少ないクッキーはグルテンがしっかりと形成されるため、パリンと割れるような硬い食感になってしまう。 3.クリーミング性 バターがクリーム状の固さにあるとき、攪拌することで大量の空気を取り込むことができる。 バター生地がきめ細かい気泡をたくさん含んでふっくらとしているのはこの性質によるもの。 これは、バターの中に混ぜ込まれている気泡を核として、熱せられて発生した空気や膨張剤から発生した炭酸ガスが、大きく膨らんでいくため。 以上の三つの性質がお菓子の形状や食感に直接影響してくる場合が非常に多い。 これらの特徴は一度溶かしたバターを再び冷やし固めても発揮されない。 他の油脂にはない芳醇な香りがある。バターの配合量の多い焼き菓子ではこの香りが直接、製品の風味となってくる。 温度による状態の変化 バターは5℃以下の状態だとしっかりと固まっており、パレットナイフで切り分ける時も少し力がいる。 15℃前後になると、可塑性のある状態となる。 30℃前後になると、融解が始まる。 40℃に近づくと、完全に液体となる。この状態のバターを 溶かしバター、ブールクラリフィエ【仏: beurre clarifié】 と言う。 溶かしバターを凝固しない温度で放置すると、三層に分かれる。 一番上の薄い層には気泡を含む成分、一番下には乳漿(水分、たんぱく質、糖質など)が沈殿する。 これらの間にある一番量の多い、溶けた乳脂肪の黄色っぽい色の層を澄ましバターと言う。 澄ましバターにはたんぱく質やアミノ酸が含まれていないので、メイラード反応がおきない。そのため、クレープ生地など、バターの風味を抑えて焼き色をつけたくない場合に使われる。 溶かしバターをさらに加熱すると茶色く変色し、こうばしい香りがする様になる。これを 焦がしバター、ブールノワゼット【仏:beurre noisette】 と呼ぶ。 バターの高騰 近年では数年に一度のペースで需要の高まる冬季に深刻なバター不足に陥っている。 その度に政府主導で追加輸入が行われているが、輸入品は国内産の物と比べると高価になってしまうことが多い。この状態を受け、各メーカーもバターの代替品として、品質の高いマーガリンやファットスプレットなどを開発している。 これらの代替品は全量をバターと入れ替えて使用することもできるが、バターと混合して使用することもできる。このように配合比率を変えたりバターをあまり使用しないお菓子を開発したりするなど、さまざまな対策を練っている店やメーカーも増えている。