2月は、スーパーに行っても百貨店に行ってもチョコレートがいっぱい。世間の雰囲気はすっかりバレンタインですよね。街中ではチョコレートの催事が大々的に開かれていて、女性はもちろん男性も甘いチョコレートの香りに夢中になっています。
いくつになっても、なんとなくそわそわしてしまうバレンタインデーですが、みなさんの中には「パティシエになってから過ごし方がガラリと変わった!」という方も多いのでは?
そこで今回は、お菓子業界が盛り上がるこの時期ならでは!バレンタインデーにまつわる思い出を、3人のパティシエに聞いてみました!
彼氏用より、自分用のチョコにお金をかけちゃう!
まずは、20代の女性パティシエNさんから。
お菓子を作るのはもちろんですが、「食べることも大好き!」な彼女にとって、バレンタインはまさにお祭りだと言います。
それは、
いつもは遠くてなかなか行けない、有名店のチョコレートが買えるから!

バレンタインは各百貨店の催事が活発になるため、遠方の有名店、さらには海外にしかないブランドの商品が一度にゲットできるチャンス。Nさんは毎年必ず、前々からチェックしていたチョコレートをごっそりと買いだめ。それだけでなく、百貨店での勤務経験もある彼女は、催事で売れ残ってしまったバレンタイン製品を破格で買えることが多かったそうです。
お得に買えてラッキー!たくさんのチョコレートで大満足!
そんな彼女ですが、ひとつだけ問題があったそう。彼氏に手作りのチョコレートを準備するお金も時間も、自分のためにほとんど使ってしまうようで、彼氏に用意するのは「手を抜いた」手作りチョコ。それでも、とっても喜んでくれるから、逆に申し訳なかったと振り返ってくれました。
普段はお客様のために、ひたすらお菓子を作るパティシエ。
Nさんのように、「バレンタインは自分のために楽しむ“お祭り”です!」という方も多いのではないでしょうか?
ザ・職人のシェフの元での修行時代。シェフのある“行動”でトラウマに…
続いてお話を聞いたのは、40代の男性Mさん。
Mさんは、若いころ老舗で修行をしていたそうです。そこでお世話になったシェフは、昔ながらの伝統製法を守り続ける「ザ・職人」。
たとえば、その日の気温と湿度によって焼き具合が変わるので、「窯の温度に頼るな」。
ミキサーで生地を泡立てるときも、「時間じゃない、ツヤを見ろ」。
など…長年の勘をもとにお菓子を作るスゴ腕で、Mさんも尊敬の念を抱いていたそうです。
そんなスゴ腕シェフ相手でも、どうしてもMさんには耐えられなかったことがあったと言います。
それは、シェフのチョコレートのテンパリング。
Mさんがお世話になったシェフは、なんと溶かしたチョコレートを木べらで掬って、下唇のふちにあてて温度をチェックしていたそうです。真剣な表情のシェフの唇から、チョコがタラ~っと滴り落ちる光景は、いまだに忘れることができないと苦笑いのMさん。修行中の身である彼はテンパリングという作業に対し、高い高い壁を感じたと話してくれました。

「20年以上も前の出来事なので、今もやっているかどうかは分かりませんが(笑)」
衛生管理が厳しくなった今となっては、「唇でテンパリング」は珍しい光景。
それでもチョコレートを触るたびに、テンパリングをするシェフの顔がトラウマのように浮かんできてしまうそうです。
バレンタインの思い出は?と聞くと、職場での出来事やシェフからの指導を思い出してしまうのは、普段からお菓子作りに携わるパティシエならではかもしれませんね。
こんな逆チョコあり!?男性パティシエって損…。
最後は、30代の男性Kさん。
男性パティシエが「彼女から手作りのチョコレートをもらえない」というのはよくある話ですが、Kさんにも同じような経験があるそうです。
職業柄、日頃からあらゆる食べ物の味を分析してしまうKさんは、彼女が「美味しいよ」と勧めてきたチョコレートを食べても
「美味しいチョコレートっていうのはね、口どけが良くてカカオの香りがしっかりするんだよ。でもこのチョコレートは口どけも香りもイマイチ!」
と、ついつい熱弁。彼女にうんざりされることもあったとか…。
そんなKさんに、ある年のバレンタイン前、彼女からひとつの提案が。
「私の選んだチョコはどうせ気に入らないと思うから、自分で作ったら?」
そしてダメ押しの一言
「そんなにチョコに詳しいなら、本当に美味しいものを食べさせて!」
そこまで言われて引っ込みがつかず、以来Kさんは彼女のために毎年バレンタインのチョコレートを作ることになってしまったそう。もちろん、高いチョコレートを使って洋酒にもこだわった、彼女のためだけのオリジナルです。

「男のパティシエって損だなぁ…」
と思いつつ、彼女の喜ぶ姿を思い浮かべながらチョコレートを作っていたと話してくれました。ちなみに、ホワイトデーには彼女のためにクッキーを作るそうですよ。
日本では「女性から男性へ贈る」とされるバレンタインですが、パティシエをしているとこんな逆転も“あるある”かもしれませんね。
まとめ
今回はパティシエならではのバレンタイン事情をお届けしました。
仕事でもプライベートでも、人それぞれのほろ苦い思い出があるようです。
3人のパティシエに聞きましたが、「分かる!」と共感できたり「えっ!」と驚いたりするエピソードはありましたか?
パティシエはハードな仕事とされているものの、クスっと笑える出来事って実はたくさんありますよね。バレンタインはもちろんですが、その日1日を振り返ってみて「今日笑ったな」と思えることを見つけてみてくださいね。