知っておいて損はない!パティスリー・ホテル・ブライダル…それぞれの特徴と現場のリアル

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前回の記事では、製菓業界全体が抱える大きな問題のひとつ「新卒パティシエの離職率の高さ」、そして「早期退職を防ぐために就職活動中にするべきこと」についてお伝えしました。

【新卒パティシエ向け】はじめての職場選びだからこそ○○が大事!新卒パティシエの就職活動での注意点とは?

これから働く業界のことをきちんと知った上で就職すれば、新卒1年目という大切な時期に、理想と現実のギャップに悩んで退職するという最悪の事態を避けられるかもしれません。今回は、多くのパティシエが働く一般的な職場、パティスリー、ホテル、ブライダルの3つの業態をピックアップしました。働く前に、知っておくべき業態の特徴や働く上での厳しさをご紹介します。

パティスリー・洋菓子店

《学べること、身につくこと》
洋菓子店やパティスリーは、仕込みから仕上げといった製菓業務はもちろん、販売や店舗レイアウト、素材の選定まで、お店の運営に関わる業務のほとんどを自店で行っています。基礎的な製造技術が身につくだけでなく、販売促進の考え方や実際の売上・経費の推移など「店舗運営」について、意欲次第でどんどん学べる機会があり、将来の独立やスピード感のある成長を目指している人にとっては非常に魅力的な職場と言えます。また、中には販売業務からスタートするお店も。お客様と直接やりとりをすることで、年齢や性別ごとの好みや需要の多い商品の動向など、消費者が求めるものを肌で感じ、受け入れられるお菓子を作る感覚やセンスが身につきます。これは、お客様と接することができる洋菓子店ならではの魅力です。他の業態ではなかなか経験できないことでしょう。

《厳しいと感じやすいこと》
パティシエとして採用されても、まずは販売員としてスタートして自社の雰囲気をつかみながら学んでいくお店が多いのは、前述した通りです。洋菓子店やパティスリーは基本的に地域密着型であり、来店されるのは近隣に住んでいるお客様ばかり。お店として長く愛され、経営していくためにも地域とのコミュニケーションは必須とも言えます。しかしその意図がうまく伝わらないことも多く、すぐにお菓子作りができると思って入社した人にとっては、ギャップを感じてしまうかもしれません。

ホテル

引用:https://www.instagram.com/

《学べること、身につくこと》
ホテルのパティシエはペストリーでの勤務となり、その中でレストラン・カフェ・宴会、またギフトスイーツを提供するブティックでのお菓子作りに携わります。そのため提供数が多く、作業の効率化を図るため分業制が確立されており、焼き場・仕上げ場など細かくポジションに分かれるところもあるようです。そんな環境では、スピーディかつ効率的に決められた数を提供するスキルが身につきます。大量調理の方法が学べることに加えてアシェットデセール(皿盛り)ができるのも、ホテルで働く大きな魅力です。実務以外に関して言えば、洋食や和食の料理人、サービススタッフなどパティシエとは異なる職種の人と働くことも特徴的。様々な人と連携して業務をうまく進める、コミュニケーションスキルが身につく環境と言えるでしょう。

《厳しいと感じやすいこと》
最近のホテルでは、既製品を使用していることが多いようです。全てをいちから手作りするところは少なく、パティシエはアシェットデセールの調理やデザートブッフェ用のケーキをカットするなどの準備作業がメインです。ときには調理補助にヘルプに入ることもあり、「パティシエとしての仕事ができない」と悩む若手は少なくありません。また材料費や経費に関してはシビアではないものの、労働環境向上の観点から労務管理に重点を置いています。その分、効率性を重視した動きが求められることに、厳しさを感じる人が多いようです。

ブライダル

引用:www.arcenciel-g.jp/

《学べること、身につくこと》
ブライダルは、披露宴の予定が分単位で進んでいきます。スケジュールに沿って数十〜百数十人分の料理を正確に提供することが、パティシエ含めキッチンスタッフ全員の共通目的です。披露宴の進行を把握する広い視野、また周囲の動きを見ながら自分のやるべきことを察知する臨機応変な行動力と、とっさの判断力が備わります。さらにデザートよりもはるかに料理の割合が多いコース料理は、パティシエが料理人の補助に回ることも。料理の食材や調理方法などを直に学ぶことができるので、お菓子に限らず幅広く食に興味がある人にとっては魅力的な環境と言えます。

《厳しいと感じやすいこと》
ブライダルを主軸の事業としていても、ウエディングケーキを自社でいちから作っている企業は少ないようです。パティシエの仕事はコースのアセットデセールやデザートブッフェの準備、仕込みなどです。華やかなウエディングケーキを作ることを夢見て飛び込んだ若いパティシエにとっては過酷な現実ですが、大量の料理やデザートを正確に提供しなければならないブライダル業界では仕方のないことかもしれません。規模にもよりますが、中には1日あたり5〜8件の披露宴を行うバンケットもあり、ゲストの人数×披露宴の回数=何百人分…という提供数の多さから、事前の仕込みは長時間にわたります。同じ作業を延々と繰り返すという厳しさがあり、覚悟が必要です。

まとめ

今回は製菓業界の3つの業態に絞り込み、それぞれの特徴をお伝えしました。もしかしたら、これから就活を始める人には、すでに厳しいと感じたかもしれません。しかしパティシエを夢見て努力や勉強をしてきたのに、ほんの少しリサーチ不足で挫折してしまうなんて、とても残念なことです。楽しいと思える面、厳しいと思う面、両方に目を向けて情報収集をしていきましょう。

そして、パティシエとしてやりたいことや学びたいことは何なのか、自分の目標をもう一度考えてみてください。そうすることでどんな環境で働くべきかが分かり、さらに夢に近づくことができるのではないでしょうか。

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