パンを知る中で、パンとアルコールは歴史的にも深いつながりがあります。
諸説ありますが、その始まりとされているのは古代エジプト。それまではただ小麦粉を水で捏ねて焼いただけの薄いパンでしたが、ビール酵母の働きにより偶然ふくらんだ生地を焼いたことから、発酵パンの製造技術を発展させたと言われています。その後、古代ギリシャにパン作りが伝わり、ワイン酵母を使った発酵パンの製造に成功して世界に広がったのではないかと言われています。
日本の歴史あるベーカリー『木村屋総本店』で誕生したあんパンも、日本酒の酒種でパン生地を発酵させる技術を開発したと言われています。
最近ではイートインでお酒を提供するベーカリーもあり、パンとお酒の関係はますます注目されています。そんな中、今回は日本の蔵元から生まれたベーカリーをご紹介します。
森國ベーカリー
小豆島唯一の酒蔵である『森國酒造』が始めたパン屋さん、森國ベーカリー。森國酒造は、もともと香川県内で別の名前の看板を掲げて酒造を営み、その歴史は135年。その後「自分たちで新しいお酒をつくりたい」と2005年に小豆島へと移転したそうです。 そして、小豆島のおいしいものを気軽に食べてもらいたいという想いからベーカリーが誕生。
ベーカリーの設計は関西を拠点に活躍する建築デザイン集団「ドットアーキテクツ」が手掛けており、おしゃれな佇まいです。

お酒の原料となる“酒米”を精米する際に出てくる米粉を使ったコッペパン、日本酒に漬け込んでおいたレーズンと酒粕を加えたスコーンなど、蔵元だからこそこだわって作れる商品が並びます。

店舗詳細
住所 香川県小豆郡小豆島町馬木甲1010-1
電話 087-962-9737
営業時間 11:00~17:00
定休日 木曜日
公式HP http://www.morikuni.jp/
MOKICHI Baker & Sweets
明治5年に創業して以来、湘南の風土が生み出す良質なお酒を少量生産で作り続ける蔵元『熊澤酒造』が経営する、MOKICHI Baker & Sweets。
日本酒「天青」、「湘南ビール」などで知られる熊澤酒造。ビールの製造工程でロス分として出る、栄養価の豊富なビール酵母を活かせないかという思いから誕生したのがパン作りだったそうです。
戦前から使われていた木造の精麦工場をリノベーションした店内には、ベーカリーのほかに地元で造ったビールとお酒を楽しめるレストラン『MOKICHI FOODS GARDEN』があります。

水の代わりに湘南ビールで仕込んだ「パン・ア・ラ・ビエール」をはじめ、酒かすを使ったあんぱんなど、蔵元ならではのメニューが並びます。

店舗詳細
住所 神奈川県茅ヶ崎市元町13-1
電話 0467-84-0124
営業時間 11:00〜18:00(※売り切れ次第終了)
定休日 第三火曜日(8・12月無休)
公式HP http://www.kumazawa.jp/mokichi/
さとやベーカリー
八海醸造が運営する「酒」と「食」と「スイーツ」をたっぷりと味わうことのできる複合施設「魚沼の里」。その施設内に2016年10月OPENしたベーカリーです。
こちらは蔵元発ではありませんが、魚沼の里で菓子店などを経営する「ブランドゥブラン」がパン生地に八海醸造の清酒「八海山」の仕込み水と同じ八海山系軟水を使用してパンを作っています。
施設内、農園クラブハウスの1階にお店はあります。店内は落ち着いたかわいい雰囲気。

酒粕酵母を使った「酒種あんぱん」、塩麹バターを使った「バターロール」など地元の食材や施設内にある酒蔵の素材を生かしたメニューが並びます。

出典:https://www.instagram.com/smilesmith.pr/
店舗詳細
住所 新潟県南魚沼市長森240-1 1F
電話 025-775-7505
営業時間 10:00~17:00
定休日 火曜日
公式HP http://www.uonuma-no-sato.jp/facility/bakery
まとめ
今回は蔵元にスポットを当て、パン×お酒の関係を探ってみました。 蔵元がパン作りと聞くとびっくりされる方もいらっしゃるかもしれませんが、パンとお酒には「発酵させてつくる」という大きな共通点があります。 蔵元は自然の多い場所にあるので、丁寧に作られたパンとお酒を片手にリフレッシュもかねて訪れてみてはいかがでしょうか?パン作りのヒントや、新しい発見があるかもしれません。