【若手パティシエの働き方Vol.16】技術はもちろん”人間力”が磨ける。──若手ふたりが遠方での就職を決めた理由とは

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※この記事は2020年7月上旬に行った取材を元に制作しております。

就活を本格的に始める学生の皆さんを応援するシリーズ企画第16回。今回は徳島県にあるパティスリー『オゥ・ポワヴル』で働いて4年目の中尾さん、2年目の古木さんにお話を聞きました。実家を離れて、徳島県という遠方での就職となったおふたり。就活の思い出や、今のお仕事について語っていただきました!

これから就活をする専門学生さん、そしてパティシエを目指す方、先輩たちの言葉をヒントに自分が目指す道を考えてみてください。

今回話を聞いた先輩パティシエ

中尾 優香さん(27歳・4年目)
中村調理製菓専門学校 卒業。
2017年にオゥ・ポワヴル(徳島県)入社。

古木 めぐみさん(22歳・2年目)
神戸製菓専門学校 卒業。
2019年にオゥ・ポワヴル(徳島県)入社。

鮮度を大事にするお店。
焼きたて、作りたてにこだわります!

今回はビデオ通話ツール「Zoom」でインタビューを行いました!(画像左:古木さん、右:中尾さん)

──入社4年目の中尾さんと、2年目の古木さん、それぞれ今担当しているお仕事を教えてください。

 中尾さん

私は今年から、仕上げチームに入りました!入社して3年間は焼場…当社では「ベーキング」と呼ぶんですが、焼き菓子やロール、バウムなどの製造をしていたので、仕上げチームでは新人です(笑)。でも時々、焼場にヘルプに入ることもあって、行ったり来たりしてる感じですね。

 古木さん

私は入社してから仕上げ配属です!ショーケースに並べるケーキの仕上げ、ムースの仕込みなど色々と触らせていただいてます。

 中尾さん

大体、入社したら「仕上げ」「ベーキング」のどちらかに配属されて、3年経験したら移るという流れです。ベーキングの方は1週間単位で生産計画がしっかり立てられているので、効率よく、段取りを考えてきっちりこなしていく仕事になります。

 古木さん

仕上げの方は、売れ行きによって動きが変わります。「あの材料がもうない!」とか「追加で作らないと」って、その日その日で柔軟に対応していく必要があります。

 中尾さん

仕上げに入るようになって、それはすごい感じる!仕込みをしつつ、全体の流れを見つつ…その動きに早く慣れていかないと、と思ってます。

──2つのチームに分かれていますが、朝はみんなでケーキ出しをするんですか?

 中尾さん

いえ、朝も分かれて準備します。お店のオープンが10時で、7時から準備を始めるんですけど…ベーキングはケーキの土台を焼いて、すぐに冷まして仕上げチームに渡していきます。

 古木さん

その間、仕上げチームはスポンジがくるまでムース系のケーキを準備したり、フルーツを切ったり飾りパーツを作ったりしています。土台がきたら、一気にスライス、サンド、ナッペ、仕上げ…。

──朝は戦場ですね(笑)。

 中尾さん

はい(笑)。でも、うちの店は鮮度を大事にしていて、その日に作ったものしか販売しません。焼き菓子もストックをあまり置かないで、少量しか焼かないんです。焼きたて、作りたてだからこその美味しさがあり、私もその考えに共感しているので頑張れます!

 古木さん

お店の魅力であり、こだわっている部分ですよね。私、1年目は覚えることばかりでいっぱいいっぱいでしたけど、2年目になってようやく「考える」段階に進めたかなぁと思います。任せていただける仕事の幅も広がって、よりやりがいは感じられるようになりました!

──今、仕事の中で「パティシエとして楽しい」と感じる瞬間はありますか?

 中尾さん

そうですね…4年目ですけど、仕上げ作業は「新しい仕事」として新鮮な気持ちで取り組んでいます。また新しい仕事を覚えられる、できるようになっていくのは嬉しいです。あと、オープンキッチンなので仕事中でもお客様がケーキを買っていかれる姿を見られるのは嬉しい瞬間ですね。パティシエとして、お客様を笑顔にできてるんだ、って思えます。

 古木さん

私もオープンキッチンの環境はすごく楽しいです。私がケーキの仕上げをしている時に小さなお子様が声をかけてくださったり…この間はお手紙を書いて持ってきてくれて!「私はガトーショコラが好きです。がんばってください」って書いてあって、こんなことが本当にあるんだってすごく嬉しくて。街に溶け込んでいる、”地域密着型”でこそのやりがいは感じています。

──おふたりの今後の目標はありますか?

 中尾さん

まずはこのお店で、仕上げを覚えること。シェフは自分がやってみたいことにチャレンジさせてくれる方で。色んなことに果敢に挑戦していきたいです。あとは、いつかフランス留学も行きたいので、計画を立てていきたいなと思います。

 古木さん

中尾さんもそうですけど、先輩たちはビジョンがあってすごいなって尊敬します。私は正直言って、遠い将来のことはあまり考えてないんです(笑)。今は、今を大事にして自分にできることを一生懸命、全力でやりたいなって思います。「3年で仕上げをきちんとマスターすること」が目標ですね。

遠方への就職。決め手は「ケーキの味」でした!

──おふたりとも、徳島に引っ越しての就職なんですよね。地元から離れたオゥ・ポワヴルに興味を持ったきっかけは何でしょうか?

 中尾さん

私は学校が福岡県ですけど、就職先の地域はそんなに絞ってなかったんです。とにかくレベルの高い仕事がしたいって思っていて。先生に相談する中で、「じゃあ徳島のオゥ・ポワヴルはどうかな」って教えてくれました。その話のあとすぐに、シェフ(森オーナー)が専門学校に来て企業説明を開いてくれて、すごく興味を持ちました。一度職場に行ってみようと、初めて四国に足を踏み入れました(笑)。

 古木さん

私は洋菓子協会の合同企業説明会でお店を知りました。神戸に住んでいたんですけど、神戸のお店はすでに色々回っていて。「県外のパティスリーってどんな感じなんだろう」と気になって、話を聞かせてもらいました。私も場所はこだわってなかったし、それよりもケーキが美味しいところで、福利厚生面で安心して働けるところを探していました。オゥ・ポワヴルの話を聞いて、「私の働きたいお店ってこういうところかも!」と職場見学に行きました。

 中尾さん

職場見学をした時にケーキを食べさせてくださったんですけど、本当に美味しくて!

 古木さん

私も思いました!すっごく感動しました!

 中尾さん

ね!(笑)甘すぎなくて、でも美味しくて。ちょっと恐いくらい、何個でも食べられちゃうんですよね。こんなケーキが作れるようになりたい、それとシェフと直接話をして、尊敬できる方だと思えたのでオゥ・ポワヴルに決めました。

──おふたりともケーキが決め手だったんですね。実際に働き始めて、改めて好きだと思えるところは何でしょう?

 中尾さん

シェフはよく、「人間力」という言葉を使います。挨拶とか掃除とか、あと職場での人との関わり方だったり、自分との向き合い方だったり…お菓子の作り方や技術だけじゃない、社会人としての基礎を大事にされているんです。他のお店で働くことになったとしても、他の仕事をすることになったとしても通じる部分だと思います。そういうことをイチから教えてくださるところは、働いていて良かったなと思います。

 古木さん

私はざっくりですけど、”環境”ですね。この仕事は働く時間が長いって考えていたんですけど、考えていたよりも長くないですし、社会保険だったり休みだったりについても働きやすいお店だなと感じています。あと、”人”がすごく好きです。1コ上、2コ上…もっと長く働いている先輩もいて、入れ替わりもあまりなく安定してると思います。

──一緒に働く方に雰囲気は大事ですよね。ちなみに、シェフはどんな風に関わってくれるんでしょうか?

 中尾さん

「こうして、ああして」という指導ではなくて、「どうしたらいいと思うか」と問いかけてくれるのが多いですね。正解を教えるのではなくて、正解にたどり着けるように導いてくれるような感じです。すごく穏やかな方ですよ。

──ありがとうございました!最後に、今就活中の方にメッセージをお願いします。

 中尾さん

何かしら気になったところは研修で入ってみて、自分の理想と現実とのギャップがないように確認してください。働き方もそうですけど、シェフの考えと自分の考えが同じ方向を向いているかもすり合わせられると、もっといいんじゃないかなと思います。「見学させてください」と申し込むのは、最初はちょっと勇気がいるかもしれませんけど、お菓子屋さんってそう言われることに慣れてるので、言えばすぐに入れてくれると思います!

 古木さん

悔いが残らないように、たくさんお店を見てほしいです!で、受けると決めたら本気さをアピールしてください(笑)。私もお店側になって感じるんですけど、訪問や研修の時にすごく質問してくれる方からは意欲を感じられるし、名前も覚えるんです。就活がんばってください!

オゥ・ポワヴルも参加する「オンライン合同企業説明会」開催!

7月26日(日)〜28日(火)の3日間、兵庫県洋菓子協会が主催する「オンライン合同企業説明会」が開催されます。

今回ご紹介した『オゥ・ポワヴル』も参加しますので、直接話を聞いてみてくださいね。

↓イベント詳細・参加申込はこちらから↓

※上記イベントは終了致しました。

オゥ・ポワヴルの求人情報はこちら

https://www.patissient.com/job/239896/

written by

あかざしょうこ

1984年生まれ。PATISSIENTの編集ライター。「人生の教科書は人」をモットーに、聞いたり書いたりしています。

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