パティシエを辞めたい時に考えるべきこと

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大好きだったケーキが、見るだけでも辛い。
パティシエを辞めたいと思っても、本当にそれでいいのか分からない。
そんな悩みを抱えている人も多いでしょう。

仕事への不安は誰にでも訪れるもので、ましてやパティシエは1年以内に7割が脱落する過酷な職業です。
数年前にパティシエを辞めた筆者と現役パティシエ149名の実体験をもとに、将来に悩んだ際に後悔のない選択ができるよう情報をまとめました。
あなたにとって最善のキャリアを描く参考にしてください。

「パティシエを辞めたい」のよくある理由

パティシエは1年以内に7割、10年経つと9割以上の人が辞めてしまうと言われている、離職率の高い職業です。あなたの周りにも専門学校の友人や元同僚など、辞めてしまった人は多いのではないでしょうか?パティシエの退職理由でよく挙げられるのは以下の3つです。

労働時間

最も多いのが「長時間労働が辛い」という労働時間の問題。長時間労働が続くことによる「腰を痛めた」などの体調に支障をきたしてしまう人もいます。

待遇面

次に「給料が上がらない」など待遇面の問題。結婚をきっかけに、これから家庭を支えるために職業を変えたという方も。女性は出産・育児のことを考えると、続けるのは難しいと結論づけるケースが多いです。

人間関係

そして「人間関係」も理由として多く挙げられます。人間関係が悪く、仕事で質問や確認があっても聞きづらい。ひどい場合は暴力や非道なハラスメントに心と体を傷つけられ、退職せざるをえなくなることもあります。


パティシエは技術職ゆえの仕事の厳しさだけでなく、条件や環境面での不安や不満が重なり、諦めてしまう人が多いのです。しかし条件・環境面が自分に合う合わないは、今のお店との相性の問題かもしれません。相性のいい職場に出会うことは、パティシエとして長期的なキャリアを築くための必須条件とも言えるでしょう。

「パティシエを辞めたい」時に考えること

今後のパティシエ人生について悩んでいる今のあなたには、「辞める」「続けられる方法を探す」の選択肢があると思います。まずは以下のふたつについて深掘りしてみましょう。頭の中のモヤモヤやストレス、感情を書き出すと、どうするべきかが整理できます。

今、辛い理由は?辞めたい理由は?

「朝起きられない」「仕事が覚えられない」など、どんな些細なことでも構いません。
書き出した内容が「仕事内容」の不安・疑問であれば、シェフや先輩に相談することで解消される可能性があります。
しかし「労働時間」「待遇面」「人間関係」に関わるものは今すぐ自分で変えることはできません。その場合は転職で周りの環境を変えることによって解決できます。

パティシエを目指した理由は?

誰かに喜んでほしいから。お菓子を作ることが好きだから。など、あなたがパティシエを目指した理由が必ずあると思います。
もし今あなたがパティシエをしていて喜びや楽しさ、やりがいを感じられていないとしたら、理想から遠い職場を選んでしまった可能性があります。もう一度原点に立ちかえり、喜びを感じる仕事ができる職場を探してみてください。


世の中には数百、数千のお店があり、お店の考えも環境もそれだけ違います。「どこへ行っても同じ」と考えてしまうのはまだ早いかもしれません。自分の理想や条件に合った職場を見つけ、環境を変えることでパティシエを続けていて良かったと思える可能性もあります。あなたが今抱えている悩みは、ほとんどが「業界内での転職」で解消できるはずです。

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パティシエの3つの転職方法 メリット・デメリット

もし、理想的な環境でパティシエを続けられるとしたら?ストレスから解放され、本来のあなたが大好きだったお菓子作りを、一生の仕事にすることができます。 ここで、パティシエが転職する時の3つの手段について、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

学校の先生や先輩、友人・知人に紹介してもらう

紹介のメリットは、なんといっても「転職活動の手間が省ける」こと。自分のキャリアや経歴をアピールできない方にとって、知人のツテは非常に心強いものです。しかし紹介での転職は約8割の人がデメリットを感じており、半分近くの人が「辞めにくいから」と答えています。紹介者との関係性を考えると「辞める」とは言いづらく、モヤモヤを抱えて過ごすケースが多々あるのです。

好きなお店に直接問い合わせる

「自分が好きなお店」「憧れのシェフ」…働きたいと思えるお店では、向上心を持って仕事に取り組めます。しかし直接問い合わせはファーストコンタクトで自分のスキル・熱意をしっかり売り込む必要があり、選考に進める確率は「運次第」ということを理解しておきましょう。選考に進めても、実際の給与・労働時間・休日数はお店側の採用への温度感が低いと、質問できずに終わるケースも多いようです。

転職・求人サイトに登録、応募

求人サイトを利用するメリットは、最新の募集情報が正確に記載されていることです。求人サイトに掲載されているお店は採用率が高く、選考も手厚く進めてもらえることが多いです。また応募はWEB上で、スマホから365日24時間いつでも応募ができます。応募後は待っていればお店の方から連絡してくれるので、お店への気遣いも不要です。
退職理由に多く挙げられる「勤務時間」「待遇」「仕事内容」を比較検討もしやすく、入社後「希望と違う」というミスマッチを避けることができます。
求人サイトの注意点としては、求人情報だけでは実際の職場の雰囲気はわかりづらいこと。募集が出ていたらSNSをチェックする、知人から聞く、など自分でもプラスの情報を集めても良いでしょう。


パティシエの転職に特化した求人サイト「パティシエント」なら無料でお店に「見学」を申し込めます。応募するか迷ったら積極的に見学へ行き、合うか合わないかを直接確かめれば転職の失敗はグッと減ります。まずは通いやすいエリアから、気になるお店を探してみましょう。

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転職を成功させる3つのステップ

転職先に求める優先順位をつける

まずは「辞める理由」と同様に、「転職先に求めること」をできるだけ具体的に書き出してみましょう。仕事内容で言えば「次の職場ではチョコレートを勉強したい」などパティシエとしてのスキルアップ面。待遇面で言えば「ボーナスがあると嬉しい」など。
ただし、すべての希望を叶えるのは現実的ではないので、優先順位をつけていきましょう。

優先順位の中で「最低限」を決める

優先順位をつけたら、希望条件の「最低ライン」を決めましょう。「希望は月給27万円で、最低でも23万円」、「希望は焼場だけど、まずは生場配属でも」など。選考を受けるお店の選択肢も広がりますし、選考においても会社が求める仕事内容、条件に対してある程度柔軟に話ができるよう、事前準備をしておきましょう。

自分の強みを理解する

パティシエに限らず、転職の際は必ずと言っていいほど面接で「強み」「弱み」について質問されます。その意図として、あなたが自社に合う人材なのかをチェックしていることはもちろんですが、あなた自身が自己分析を正しくできているかも確認しています。
過去の経験を振り返り、自分の興味関心やスキル、努力して達成できたことなどを整理し、自分の「強み」つまりセールスポイントを見つけていきましょう。


一人で転職準備をするのが難しいと感じたら、キャリアアドバイザーに相談してみましょう。中でも製菓・製パン業界に専門特化しているパティシエントがおすすめです。転職のプロのアドバイスを上手に活用しながら、自分に合った職場を見つけましょう。

転職のプロに相談する

まとめ

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
辞めたいと思うことについて「根性がない」と言われたり、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。長時間、同じ仕事ばかりしていると、視野もどんどん狭くなっていき、将来への不安も膨らんでいきます。しかし「辞める」ことも選択肢のひとつであり、決して悪いことではありません。
今、あなたが今後について悩んでいるのは、将来のことを考える良いきっかけと思い、もう一度自分の気持ちと向き合ってみてください。

written by

森野みどり

パティシエ経験者。他人に理解してもらうのは難しい事情を抱えている人は、たくさんいらっしゃると思います。私の文章が、少しでも視野が広がるようなきっかけになると嬉しいです。

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