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インタビュー

神戸市内に洋菓子店を開いたオーナーシェフが独立1年目を振り返る。


今回ご紹介するのは、兵庫県神戸市東灘区にある洋菓子店『パティスリー パレットローヴ』。2018年8月にOPENしたばかりの、新しいお店です。

訪れたのは、JR神戸線「摂津本山」という駅を降りて、ゆっくりと5分程度歩いたところ。車通りの多い山手幹線を越えて、少し山手に上がっていくと石畳が敷かれた静かな商店街に入ります。花屋、喫茶店、ブティックなど商店街らしい店舗が立ち並ぶ中、見えてきたのがシックな佇まいの洋菓子店。

オーナーシェフの江原康之さんは、製菓学校を卒業し、ホテルへ就職。その後、神戸の有名洋菓子店『リッチフィールド』で11年もの時を過ごし、洋菓子技術を身につけました。そして独立。自身のお店をOPENして、もうすぐ1年が経ちます。

オーナーとして独立した江原さんは、どんな1年間を過ごしてきたのでしょうか。詳しくお話を伺ってきました。

江原康之(えばらやすし)さん、1985年生まれ。

製菓学校卒業後、『リーガロイヤルホテル大阪』入社。2年後『リッチフィールド』へ移り、在職中に様々なコンテストに出場。ジャパン・ケーキショーで2度の銀賞、第24回ルクサンド グラン プレミオで優勝。2018年、神戸市東灘区に自身の店『パティスリー パレットローヴ』をOPEN。

独立1年目は「時間が足りない」

ーーオープンから1年経ちます。振り返ってみていかがでしたか?

この1年間は本当にあっという間でしたね、とにかく必死にやってきました。パティシエになってから今まで自分が作ってきたお菓子をすべて見直したんです。使う素材、リキュール、配合、焼き方…自分の解釈を入れながら、ひたすら理想を追った1年になりましたね。「やっとクリアできた!」と思ったら、また別の気になることが出てきたり。お菓子って難しいですね、それが面白いんですけど(笑)。そんなことも改めて思いました。

ーー1年かけて自分のお菓子を研究したんですね。納得できるものができましたか?

まだ改良の余地はありますが、生菓子と焼菓子はとりあえずできました。スペシャリティの「ミラノ」「モーダ」はコンテストで賞をもらった作品ですし、自信作です。お客さまからの人気が高いスリムパウンドケーキのラインナップも、これからどんどん増やしていきたいと思っています。

▲ルクサンド グラン プレミオで優勝を飾った、オレンジと紅茶のガトー「モーダ」。

▲スリムパウンドケーキ。ショーケースには現在、5種類がスタンバイされている。

▲生菓子20種、焼菓子25種を並べる店内。ギフト需要も高く、焼菓子の売上は好調とのこと。

ーー経営についてはどう感じましたか?

作り込んだものを作るには時間が必要で、その時間を短縮しようとすると人が必要で、その人を雇うには売上が必要で…そういう仕組みも理解しました。自分が考えている理想に近づくには、やっぱり人の手が必要なんですよね。独立前に勤めていたリッチフィールド(神戸市西区)の社長が「人が大事」と、いつも言っていました。やりたいことがあっても、人がいなければできないんですよね。今ようやく、社長の言葉の意味が分かった気がします。

ーーリッチフィールドではどれくらいの人数のスタッフさんと働いていたんでしょうか。

販売スタッフを含めて40人くらいの大所帯です。その中でそれぞれが自分のやるべきことに集中して、色んな種類のお菓子を効率的に作っている。とても機能的で、一人ひとりが動きやすい体制を作ることで、色んなことが実現できていたんです。僕自身も製造責任者になって、焼菓子をずっと担当していて。徹底的に焼菓子に打ち込めたし、コンテストにも挑戦できました。今思えば、恵まれた空間にいたんだなって。僕と妻、2人だけで店を始めて、それは痛感しました。

ーー今年の春、新卒のパティシエが入社したんですよね。

そうなんです!このご時世、もっと条件のいいお店もある中、そうやって選んでくれてありがたいことだと思っています。平日は3人で、製造と販売をしています。妻もパティシエなので心強いですね。

▲店舗は15坪。売場7坪、厨房8坪で「製造スタッフは4人が限界かな、と思っています」と江原シェフ。

コンテスト優勝で一区切り。転職活動中に独立を決心した

ーー独立のタイミングは決めていたんでしょうか。

はっきりと決めていたわけではないんですけどね。ただ元々自分で店を持ちたいって目標があってパティシエになっているので、いずれその時が来たら、とは考えていました。

ーー去年(2018年)、”その時”が来たわけですね。

正確には、2017年の10月です。ただ当時はまだ少し迷っていて。リッチフィールド時代に目標としていた「ルクサンド グラン プレミオ」で優勝できて、その後世界大会を目指すこともできたのですが、自分の中で達成感というか、一区切りつけられた気がして。とりあえず就職活動を始めてみたんです。

※ルクサンド グラン プレミオ…一般社団法人日本洋菓子協会連合会主催、ルクサルド社・ドーバー洋酒貿易株式会社が後援する洋菓子技術コンクール。イタリアのリキュールメー カー『ルクサルド社』の洋酒を使用した作品を製作し、味覚・プレゼンテーション(芸術性)の審査を行うもの。(編集部より)

ーーそうだったんですね。「独立」は選択肢になかったんですか?

まだ身につけるべきことがあるんじゃないかって、迷っていたんだと思います。そんな中、ある洋菓子店で面接してもらった時に「君はもう、自分のお菓子を表現する段階にきてるんじゃない?」と話をしてくれたんです。確かにそうかもしれない、これからは自分の理想を追いかけてみよう、と背中を押してもらった気がして、独立する決心がつきました。

ーーそれが10月くらいで、お店をオープンしたのは2018年の8月。準備期間は10ヶ月くらいでしょうか。

そうですね。不動産屋さんに相談したり、少しずつ準備を始めて、2018年の5月にはリッチフィールドを退職しました。物件が決まったのも5月だったので、そこから怒涛の3ヶ月(笑)。この3ヶ月が一番大変でした。

ーー独立準備で特に苦労したことはなんですか?

全部ですよ!今まで動かしたことがないような額のお金が動いていくんですよ…すべてが不安でした。5月の契約から家賃は発生してますから、工事が遅れてオープンできなかったらどうしよう…とか。すごくナイーブになりました。オープンまでは気が抜けなかったです。

▲お客さんはベビーカーを押す子育て世代、会社帰りの方などファミリー層が中心。

ーー江原さんが色々なコンテストにチャレンジしたのも、独立を見越してのことでしょうか。

そうです。何かしら勲章があればハクがつくかなと思って。いざ挑戦し始めたら、まんまとハマりました。最初は結果がでなくて悔しい思いもしましたが、諦めずにいたらなんとなく勝ち方というか、ツボの押さえ方を掴めた感覚があって。それは日々の仕事でも同じことが言えるんです。いかにお客さんのツボがどこにあるかを考えて、どうやって表現していくか。そのあたりはコンテストで培ったことが役立っていますね。

▲レジ横に飾られた賞状。「白黒つけたいタイプ」の江原さんは、順位がつくコンテストで自分の技術をチェックしていたそう。

ここからが本当のスタート。自分らしい世界観を表現したい

ーー1年経った現段階での課題はありますか?

全体的には順調と言えますが、細かく見れば課題はいくらでもあります。この1年かけて、生菓子と焼菓子の種類、お店周辺のお客さんへの周知、売上、人員…ケーキ屋に必要なものは揃えられました。ここからが本当のスタートなのかな、と思います。

ーー本当のスタート、ですか。

うん。「この店だから」っていうオリジナリティをプラスしていきたいんです。お客さんがうちの店に来る理由を明確にしていかないと、どこにでもあるケーキ屋になってしまいます。商品もそうですけど、空間としてのオリジナリティも出していきたい。感動するケーキ屋って、独自の世界観がありますよね。空間の表現力もあげていければと思います。

ーー表現したい江原さんの世界観って何でしょう?

うーーーーん……………それがすぐ言葉に出せたらいいんですけどね…。まだ模索中なのかもしれません。でも、その模索も楽しんでいきたいんですよ。自分の表現したい世界って何だろう?って自分に問いかけて、ブラッシュアップして。先日、パリセヴェイユ(東京・自由が丘)の金子美明シェフの講習会に行ったのですが、シェフの生き様というか、人生観や哲学がお菓子を通じて伝わってきたんです。カッコいいなって、信念を感じました。そのくらい、感動を与えるお菓子を作れるようになりたい。自分が好きだと思うことをしっかり表現して、それでお客さんに応援してもらえるなら最高です!

店舗プロフィール

Patisserie PALETROVE(パティスリー パレットローヴ)
住所:兵庫県神戸市東灘区本山北町3-6-10 メープル岡本1F
営業時間:AM10:30~PM7:00
定休日:毎週火曜日
公式facebookページ:https://www.facebook.com/

この記事の筆者

あかざしょうこ

1984年生まれ。PATISSIENTの編集ライター。「人生の教科書は人」をモットーに、聞いたり書いたりしています。
取材の後、スリムパウンドケーキを買って帰ったんですけど1日で食べきりました(滝汗)。ヘーゼルナッツとショコラの相性が間違いなさすぎます。

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