男も女もない完全実力主義のお菓子作りの世界で、常に技術が問われるパティシエたち。少人数体制のお店では、特に一人ひとりの仕事が重要視され、重い責任を感じたり、人間関係で悩んだり…お菓子作りが好きで飛び込んだものの、どうしても精神的なストレスを感じてしまうものです。また、勤務時間が長かったり、休日が少なかったりすることで、気が付けば「最近、職場の人としか会っていないな」「自分の時間がないな」と思うこともあるのではないでしょうか。
ストレスは、蓄積されると常に体がだるく感じたり、頭痛や腰痛、肩こりなどさまざまな体の不調が起こることもあります。しかし、パティシエという仕事は少し調子を崩したくらいで、ゆっくり休みをとることができません。このような環境で働くパティシエたちは、仕事で溜まったストレスをどのようにして解消しているのでしょうか。
今回は、休日や仕事後の時間を使って上手にストレス発散をしているという3人の現役パティシエに、それぞれのストレス対処法を伺ってみました。
Aさん(パティシエ歴6年の女性)
洋菓子でも料理でも、とにかくきれいなものを見るのが大好きなAさん。趣味も兼ねて、フランス料理の食べ歩きをするのが彼女のストレス発散方法だそうです。過去にマジパンコンテストで入賞した経験もあるAさんは、料理のビジュアルや盛り付けのセンスに対しての向上心も強く、職人が心を込めて作った美しい料理やお菓子は、見ているだけで心が癒され、「明日も頑張ろう」と思えるのだとか。
自らリサーチを行なって見つけたお店に足を運び、仲の良い友達と会話を楽しみつつ美味しいものを食べる。そんな趣味と実益を兼ねたストレス発散方法が、パティシエの忙しい毎日を乗り切る秘訣のようですね。

Bさん(パティシエ歴4年の女性)
Bさんの職場はみんなとても仲が良く、仕事終わりに揃って食事に行ったり、同僚とシフトが合えばプライベートでも遊びにでかけることがあるといいます。ただ遊びに出かけるだけでなく、同じ職場だからこそわかる悩みをお互いに共有することでコミュニケーションが深まって、ストレスを溜め込む前に解消できると話してくれました。
早朝から夜遅くまでお店や工房にこもりっきりになることの多いパティシエの仕事は、ときには職場の人間関係もストレスの大きな原因となります。Bさんにとっては、職場の人間関係の良さこそがパティシエという日々過酷な仕事を乗り越えるためのストレス軽減につながっているようですね。

Cさん(パティシエ歴4年の男性)
「仕事とプライベートを完全に分けている」と答えてくれたのは、男性パティシエのCさんです。フットサルが趣味である彼は、インターネット上でメンバーを募って休みの日にフットサルを行なうのが、最も効果的なストレス解消方法だと教えてくれました。もともと体を動かすことが大好きなCさん、休みの日に家でゆっくり体を休めるというよりは、積極的に体を動かす方が気持ちの切り替えにはちょうど良いと言います。
また、体を動かすことに加えて、年齢や経歴に関係のないメンバーで集まってワイワイできるということ自体が、仕事モードから一息つける良い機会になっているそうです。

パティシエ流!ストレス発散のポイントまとめ
今回お話を伺った3人のパティシエたち、ストレス発散方法はそれぞれ違いましたが、積極的に人との関わりを持ちコミュニケーションをとることでストレス解消につなげるという共通点がありました。
毎日同じ作業を長時間黙々とこなすことも多いパティシエの仕事は、たとえ周りに人が大勢いる環境であっても、おのずと人と話す機会も減ってしまいます。仕事のなかでストレスを発散することはなかなか難しく、ストレスが溜まってしまうのは必然的なのかもしれません。
しかし、彼らのように休日や仕事後を利用して積極的に人と触れ合ったり、普段ゆっくりと話す時間が取れていない家族や恋人などの身近な人と関わる時間を作ったりと、それぞれの性格や交友関係に合わせて自分にあったストレス解消方法を見つけることが大切です。
最初は気にならないほどの些細なストレスも、徐々に蓄積されればやがて体や心に影響を与えるようになります。体力と気力の両方を求められるパティシエの仕事は、どちらかが欠けても仕事に支障が出てしまうものです。たかがストレス、されどストレス。自分なりのストレス解消方法を確立しておくのも、パティシエに欠かせない要素の一つであると言えそうですね。