パティシエのための製菓用語集「パティシエWiki」

チョコレート

• チョコレート

チョコレート【英:chocolat(チョコレート)、仏:chocolat(ショコラ)】 チョコレートとは、カカオ豆の果肉(カカオニブ)を磨潰したカカオマスに粉糖、粉乳、ココアバターを加えてレファイナーでロール磨潰後、コンチェで撹拌し、温度調整(テンパリング)後、冷やし固めたもの。 チョコレートの中でも、カカオ分35%以上・うちココアバターを18%以上含み、代用油脂やレシチン以外の乳化剤を含まないものを純チョコレートという。 チョコレートの規格は、カカオ分21%・うちカカオバターを18パーセント以上含むものとなっている。 ※カカオ分とは、カカオニブ、カカオマス・カカオバター・ココアパウダーの水分を除いた合計量を指す。 →カカオ(豆)・カカオニブ・カカオマス →ココアバター(カカオバター) →ココアパウダー 準チョコレート 準チョコレートとは、カカオマスにココアパウダー、粉糖、粉乳、カカオバター(3%以上)、代用油脂を加え、ロール磨潰、精練し、温度調整(テンパリング)後、固めたもの。 準チョコレートの規格は、カカオ分が15%以上・うちカカオバター3%以上を含むものとなっている。 チョコレートと乳化剤 本来チョコレートの製造には乳化剤は必須ではないが、乳化剤を使用しなかった場合、撹拌して原料の成分を均一に結合させるのに72時間以上の時間がかかる。そのため、生産効率を配慮し、原料チョコレートを含めたチョコレート製品の多くに乳化剤が使用されている。 チョコレートに使われる乳化剤には、大豆由来のレシチンやグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどがある。


• ココアバター

ココアバター(カカオバター)【英語:Cocoa butter(ココアバター)、仏:beurre de cacao(ブールドカカオ)】 ココアバターはカカオバター、カカオ脂ともいい、主にカカオリカー(カカオマスを乾燥させる前の液状のもの)から圧搾して製造したカカオ豆の脂肪分をいう。ココアバターは、カカオ豆の中に40〜50%含まれているもので、主にチョコレートなどの菓子、薬品、軟膏、化粧品の原料として利用される。カカオリカーから圧搾したばかりのココアバターは、独特な匂いがあり薄黄色だが、その後、脱臭処理を行うことで、白く、無味無臭なココアバターを作り出している。 ココアバターは主にチョコレートの原料となる。まろやかさを出すため、チョコレートに加えられているが、高価なため安いチョコレートには植物油を代用されていることも多い。また、オレイン酸を多く含んでいるところから保湿オイルとしてもよく使われる。固形油脂なので、常温では固形だが、30~35℃で溶解する。人の体温で自然に溶けてしまう。 ココアバターは、チョコレートのテンパリングの際にも使われることがある。 代用油脂 ココアバターは価格が高く、天候の変化などによっても供給の変動がある。そのため、ココアバターの代用として、植物性油脂が代用油脂としてよく利用されている。代用油脂には、チョコレート製品の乾きを早くするために油脂の固化が速いこと、製品の口どけを良くするためにココアバターと同等な融点、融解性状であることが求められる。 多く使われているのは、パーム核油を硬くして固体化したものである。 代用油脂で作られたチョコレートはテンパリングが不要なことから製菓ではコーティングやエンローバーなどに使われている。ただ、ココアバターに比べて固化が遅く、やや柔らかい特徴を持つため、水素添加などの自然界にない添加物を使って調整している。


• カカオ

カカオ(豆)【仏:grain de cacao (男), féve de cacao (女)】 (学名:Theobroma cacao) あおぎり科(またはアオイ科)の常緑高木。原産地は中南米の熱帯地域。 葉は楕円(だえん)形で先がとがり、互生する。黄白色の花は幹や太い枝に直接たばになってつく。 学名の Theobroma はギリシャ語で「神 (theos)の食べ物 (broma)」のことを意味する。 、果実中の種子(カカオ豆)からココアパウダー・チョコレートを製する。 世界のカカオの4分の3はアフリカで生産されているが、その中でも、赤道周辺の年間平均気温が27度以上、高温多湿で、水はけがよい土地でなければ育たないため、高品質なカカオは貴重なものとして扱われている。 カカオの果実は長さ15〜30センチメートル、直径8〜10センチメートルの大きさで形は卵型が多い。中に20〜60個ほど種子があり、これがカカオ豆となる。 カカオ豆は健康志向の人たちにスーパーフードともいわれていて、カカオに含まれるポリフェノールはアンチエイジングに作用される。血管の老化や動脈硬化を防ぐ働きも期待されている。また、カカオ豆は便秘予防の作用もある。 カカオニブ[仏:grué de cacao(男)] カカオニブは焙煎したカカオ豆を風選機(セパレーター)によってハスク(外皮)と胚芽を取り除き、胚乳を粗く粉砕されたものをいう。脂肪分が約55%含まれている。 チョコレートやココアは、カカオニブをさらにローストして作る。カカオ豆に含まれるアミノ酸や還元糖が熱によって茶色になり(メイラード反応)、ようやくチョコレートやココアの風味が生まれる。 カカオニブはそのままでもナッツのように食べられ、純粋にカカオの味を楽しむこともできる。 カカオマス[仏:pàte de cacao(男)] カカオマスは、カカオニブをすり潰し、脂肪分であるカカオバターを分離させたものをペースト状にし、冷却して固化したものをいう。カカオマスに砂糖、ミルク、カカオバターを加えるとチョコレートができる。


• ココアパウダー

ココアパウダー【英:cocoa powder(ココアパウダー)、仏:poudre de cacao(プゥドル ド カカオ)】 ココアパウダーは、カカオマスからココアバターを取り除いた「ココアケーキ」をアルカリ処理で酸性から中性に変化させ、細かく砕いて粉末にしたものである。砂糖を入れていないものをピュアーココア、純ココアといい、砂糖や乳製品を入れて調整したものを調整ココアという。 作られ方 ココアパウダーを取り出す方法としては、「ブロマプロセス」と「ダッチプロセス」の2種類の方法がある。 ブロマプロセス コアパウダーは赤みを帯びた色をしていて、苦みや酸味が強く感じる。香りも強く、カカオ成分も多く含まれているため、脂肪分や糖分の多いチョコレートブラウニーなどに適している。 ダッチプロセス ダッチプロセスで作られたココアパウダーはブロマプロセスに比べてチョコレート色に近く、風味も香りも穏やかで滑らか。アイスクリームやホットチョコレート、焼き菓子などに適している。 性質と注意点 ココアパウダーは脂肪分が含まれているため、お湯に入れても分離して溶けず、だまになりやすい。液体にココアパウダーを溶かすには、まずは少量をココアパウダーに入れて、水分が絡み合うようペースト状になるまで練ってから残りを加えると綺麗に溶ける。 ブラックココア(パウダー) ブラックココアパウダーは、色付けを目的として使うものである。一般のココアパウダーは生地に練りこむと茶色く焼きあがるが、ブラックココアパウダーは黒く焼きあがる。また、アイシングに混ぜて黒い色を付けることもできる。 ココアパウダーを製造する際のアルカリ処理後、さらにアルカリ処理を重ねることでブラックココアになるが、カカオの風味はほとんど失われる。そのため。ブラックココアパウダーはココアパウダーよりも苦みが強く、単体で使うのには向かない。ココアパウダーと混ぜて使用するのが適切だが、より黒く仕上げるのか、ココアの風味を出すどれくらいだすのか、などという点で使い分けが必要である。


• チョコレートの種類

※本ページ記載の各管理温度については、一般的とされているもの。 メーカーや品種によって若干異なる場合があるため、パッケージを確認の上、調温を行う。 スイートチョコレート スイートチョコレートは製菓に使う一般的なチョコレートで、カカオマスが40~60%のものをいう。 ビターチョコレートやダークチョコレートはミルク(乳製品)が入らない、カカオマスが50%以上のチョコレートのことをいい、色が濃く、甘みがなく苦い。 ビターチョコレートとダークチョコレートは同じものを指すが、日本の製菓業界では一般にダークチョコレートということが多い。 成分としてはカカオ分が55~80%くらいのもので、カカオマス、カカオバター、砂糖が入っており、乳成分は入っていない。カカオ分が多くなればなるほど苦味は増す。 溶解温度は50~55℃、冷却温度は27~29℃、保温温度31~32℃である。 ミルクチョコレート スイート・ビターチョコレートに対し、乳成分を含んだチョコレートをミルクチョコレートという。マイルドな味わいで、苦味は弱く、カカオ分は少なめである。 成分としてはカカオ分が31~38%くらいのもので、カカオマス、カカオバター、砂糖が入っており、乳成分や粉乳が入っているものを指す。乳成分が入る分、カカオ分の割合は少ない。 溶解温度は45~50℃、冷却温度は26~28℃、保温温度29~30℃である。 ホワイトチョコレート ホワイトチョコレートはカカオマスが入らないため、チョコレートそのものの色が白い。そのため、乳成分が多く含まれており、苦味がほとんどない。 成分としてはカカオマスは0%だが、30%前後のカカオバターと砂糖に加え、乳成分や粉乳が入っている。カカオ本来の風味はほとんどない。 他のチョコレートに加え油脂分が多く、温度に影響されやすいため、テンパリングはより慎重に行う。 溶解温度は40~45℃、冷却温度は26~27℃、保温温度28~29℃である。 ブロンドチョコレート ブロンドチョコレートはヴァローナ社が開発したチョコレートで、ブラック・ミルク・ホワイトチョコレートに次ぐ第4のチョコレートと呼ばれている。名前通り、色がブロンドのキャラメル色をしている。焙炉(ほいろ)に入れたまま時間が経ってしまったホワイトチョコレートが、焦げてブロンズ色になったことが、開発のきっかけとなったそう。ホワイトチョコレートをキャラメリゼすることで生まれたチョコレートである。 有塩バターを加えて作られているため、ビスケットやキャラメルに似た風味の、塩気が感じられる味わい。 ルビーチョコレート ルビーチョコレートはカレボー社が開発したチョコレートで、ルビーカカオ豆から作られたチョコレートである。ルビーチョコレートが開発されるまでは、赤い色のチョコレートといえば、着色料かフルーツフレーバーが使用されていたため、素材そのものから天然のルビー色にが生まれる、という点で注目された。 ルビーチョコレートが第4のチョコレートと呼ばれることもある。 味はフルーティーで、かすかに酸味が感じられるベリー系の味わいとも表現される。


• チョコレートの特性・構造

チョコレートは、カカオマスや砂糖、粉乳、油脂であるカカオバターなどを撹拌して製造されるもの。チョコレートの口どけを実現させるために、これらの原材料の粒子を大きさを微粒子化して、均等に分散させて親和性を出す必要がある。そのため、原料チョコレートの製造工程であるカカオマスの微粉砕や精練作業、そしてツヤをだすためのテンパリング(調温)などの、チョコレートならではの工程精度が重要となってくる。 チョコレートと水 器具に水分が残っていたり湯煎の水が入ってしまったりすると、チョコレートはぼろぼろに固まって、どれだけ熱を入れても溶けなくなる。これは、水がチョコレート中のカカオバターの油脂と反発するため。カカオバターと反発した水は吸水性の高い砂糖に吸収されて強く結び付けられ、粘度が生まれてかたまりになってしまう。→分離 適正管理温度 チョコレートを扱う作業をする際は、室温が約18〜23℃、湿度は約45〜55%が適正な環境である。湿度が高くなるとチョコレートは固まるのに時間がかかり、テンパリングを行ってもツヤよく仕上がらなくなる。 保管場所の適正は、温度約15〜18℃、湿度約45〜55%。冷蔵庫で保管すると湿気を吸ったり、ブルームが出たりして品質が低下してしまうことがある。 チョコレートの溶かし方 チョコレートは高温で加熱すると分離してしまうため、直火ではなく湯煎で加熱する。構造的に粘度が高いチョコレートは、鍋に入れてそのまま溶かしてしまうと局所的に温度が上がり、すぐに焦げてしまう。 高い熱を入れると結晶構造が崩壊し、油脂であるカカオバターと水溶成分が分離を起こす。また、高い温度の湯煎で一気にチョコレートを溶かした場合も同じ現象が起きやすくなるため、ゆっくりと加熱した方が、良い状態を保つことができる。 一般的にミルク・ホワイトチョコレートはスイートチョコレートよりも低い温度で溶かす。 溶解温度は、各チョコレートの油脂分の量や種類によって異なる。ミルク・ホワイトチョコレートを高い温度で溶かした場合、乳成分が高まりもろもろとした状態になってしまうことがある。 製品やメーカーごとによっても違ってくるため、製品パッケージに溶解温度や冷却温度の記載があるものは、記載に沿って調温を行う。 →チョコレートの種類 チョコレートの結晶化とテンパリング 湯煎などで一度溶かしたチョコレートは、そのまま固めようとしても、元のような光沢にはならない。これはもともとあったチョコレートの原料微粒子の結晶構造が、温度をあげて溶かしたことによって崩れてしまったため。再びツヤを出すためには、テンパリングを行って結晶構造を整える必要がある。テンパリングを行わないと、うまく固まらなかったり、光沢が出ずに表面に成分が浮き出て食感が悪くなる。 ブルーム チョコレートを適切な温度で扱わなかった場合、表面が白っぽい粉やまだら模様が浮き出てくることがある。この現象をブルームと呼ぶ。ブルームにはファットブルームとシュガーブルームの二種類がある。 チョコレートの乳化 溶かしたチョコレートに生クリームを加えて混ぜると、乳化が起こり、分離せずに混ざる。これはチョコレートに含まれている乳化剤(レシチンなど)が生クリームに含まれる乳脂肪球を覆い、チョコレートの油分と直接触れずに成分が均一に分散したまま混ざるため。


• チョコレートの加工品

ジャンドゥージャ(ジャンドゥーヤ)【伊:gianduja、gianduia】 ジャンドゥーヤは、別名ジャンドゥイオッティといい、ヘーゼルナッツやアーモンドなど焙煎したナッツ類のペーストと、チョコレートとを混ぜ合わせたもの。 1852年にイタリア・トリノの菓子メーカーであるカファレル社によって考案されたお菓子が元になっている。カファレル社のチョコレート菓子「ジャンドゥイオッティ」が、当時不足していたカカオを補うため、代わりにヘーゼルナッツを混ぜたことから生まれた。 ボッシュチョコ ボッシュチョコは、チョコレートで文字や絵を描くために作られた製品で、文字や絵を描くのに適した柔らかい状態になっているチョコレートである。硬さが気温に影響されるため、季節によっては一度湯煎で溶かし、サラダ油を加えると扱いやすくなる。 パータグラッセ【仏:pâta à glacer】 パータグラッセはテンパリング不要のコーティングチョコレート。 植物油脂や加工油脂が含まれている。 一般的にテンパリング不要のチョコレートは味が劣ると言われている中、パータグラッセはチョコレート本来の本格的な風味を味わえるとして有名である。 パータグラッセはブロックでも簡単にサクサクとカットできる固さになっている。失敗しないで初心者にも手軽に扱えるところが特徴である。 溶かしたパータグラッセは調温を行わずにそのまま流しかけるだけで、時間とともに自然に綺麗に固まる。 手軽に使用できるので、エクレアなどの上掛けに適している。