
チョコレートの種類
カテゴリ:チョコレート

メーカーや品種によって若干異なる場合があるため、パッケージを確認の上、調温を行う。
スイートチョコレート
スイートチョコレートは製菓に使う一般的なチョコレートで、カカオマスが40~60%のものをいう。ビターチョコレートやダークチョコレートはミルク(乳製品)が入らない、カカオマスが50%以上のチョコレートのことをいい、色が濃く、甘みがなく苦い。
ビターチョコレートとダークチョコレートは同じものを指すが、日本の製菓業界では一般にダークチョコレートということが多い。
成分としてはカカオ分が55~80%くらいのもので、カカオマス、カカオバター、砂糖が入っており、乳成分は入っていない。カカオ分が多くなればなるほど苦味は増す。
溶解温度は50~55℃、冷却温度は27~29℃、保温温度31~32℃である。
ミルクチョコレート
スイート・ビターチョコレートに対し、乳成分を含んだチョコレートをミルクチョコレートという。マイルドな味わいで、苦味は弱く、カカオ分は少なめである。成分としてはカカオ分が31~38%くらいのもので、カカオマス、カカオバター、砂糖が入っており、乳成分や粉乳が入っているものを指す。乳成分が入る分、カカオ分の割合は少ない。
溶解温度は45~50℃、冷却温度は26~28℃、保温温度29~30℃である。
ホワイトチョコレート
ホワイトチョコレートはカカオマスが入らないため、チョコレートそのものの色が白い。そのため、乳成分が多く含まれており、苦味がほとんどない。成分としてはカカオマスは0%だが、30%前後のカカオバターと砂糖に加え、乳成分や粉乳が入っている。カカオ本来の風味はほとんどない。
他のチョコレートに加え油脂分が多く、温度に影響されやすいため、テンパリングはより慎重に行う。
溶解温度は40~45℃、冷却温度は26~27℃、保温温度28~29℃である。
ブロンドチョコレート
ブロンドチョコレートはヴァローナ社が開発したチョコレートで、ブラック・ミルク・ホワイトチョコレートに次ぐ第4のチョコレートと呼ばれている。名前通り、色がブロンドのキャラメル色をしている。焙炉(ほいろ)に入れたまま時間が経ってしまったホワイトチョコレートが、焦げてブロンズ色になったことが、開発のきっかけとなったそう。ホワイトチョコレートをキャラメリゼすることで生まれたチョコレートである。有塩バターを加えて作られているため、ビスケットやキャラメルに似た風味の、塩気が感じられる味わい。
ルビーチョコレート
ルビーチョコレートはカレボー社が開発したチョコレートで、ルビーカカオ豆から作られたチョコレートである。ルビーチョコレートが開発されるまでは、赤い色のチョコレートといえば、着色料かフルーツフレーバーが使用されていたため、素材そのものから天然のルビー色にが生まれる、という点で注目された。ルビーチョコレートが第4のチョコレートと呼ばれることもある。
味はフルーティーで、かすかに酸味が感じられるベリー系の味わいとも表現される。
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月07日
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月07日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• チョコレート
チョコレート【英:chocolat(チョコレート)、仏:chocolat(ショコラ)】 チョコレートとは、カカオ豆の果肉(カカオニブ)を磨潰したカカオマスに粉糖、粉乳、ココアバターを加えてレファイナーでロール磨潰後、コンチェで撹拌し、温度調整(テンパリング)後、冷やし固めたもの。 チョコレートの中でも、カカオ分35%以上・うちココアバターを18%以上含み、代用油脂やレシチン以外の乳化剤を含まないものを純チョコレートという。 チョコレートの規格は、カカオ分21%・うちカカオバターを18パーセント以上含むものとなっている。 ※カカオ分とは、カカオニブ、カカオマス・カカオバター・ココアパウダーの水分を除いた合計量を指す。 →カカオ(豆)・カカオニブ・カカオマス →ココアバター(カカオバター) →ココアパウダー 準チョコレート 準チョコレートとは、カカオマスにココアパウダー、粉糖、粉乳、カカオバター(3%以上)、代用油脂を加え、ロール磨潰、精練し、温度調整(テンパリング)後、固めたもの。 準チョコレートの規格は、カカオ分が15%以上・うちカカオバター3%以上を含むものとなっている。 チョコレートと乳化剤 本来チョコレートの製造には乳化剤は必須ではないが、乳化剤を使用しなかった場合、撹拌して原料の成分を均一に結合させるのに72時間以上の時間がかかる。そのため、生産効率を配慮し、原料チョコレートを含めたチョコレート製品の多くに乳化剤が使用されている。 チョコレートに使われる乳化剤には、大豆由来のレシチンやグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどがある。
• ココアバター
ココアバター(カカオバター)【英語:Cocoa butter(ココアバター)、仏:beurre de cacao(ブールドカカオ)】 ココアバターはカカオバター、カカオ脂ともいい、主にカカオリカー(カカオマスを乾燥させる前の液状のもの)から圧搾して製造したカカオ豆の脂肪分をいう。ココアバターは、カカオ豆の中に40〜50%含まれているもので、主にチョコレートなどの菓子、薬品、軟膏、化粧品の原料として利用される。カカオリカーから圧搾したばかりのココアバターは、独特な匂いがあり薄黄色だが、その後、脱臭処理を行うことで、白く、無味無臭なココアバターを作り出している。 ココアバターは主にチョコレートの原料となる。まろやかさを出すため、チョコレートに加えられているが、高価なため安いチョコレートには植物油を代用されていることも多い。また、オレイン酸を多く含んでいるところから保湿オイルとしてもよく使われる。固形油脂なので、常温では固形だが、30~35℃で溶解する。人の体温で自然に溶けてしまう。 ココアバターは、チョコレートのテンパリングの際にも使われることがある。 代用油脂 ココアバターは価格が高く、天候の変化などによっても供給の変動がある。そのため、ココアバターの代用として、植物性油脂が代用油脂としてよく利用されている。代用油脂には、チョコレート製品の乾きを早くするために油脂の固化が速いこと、製品の口どけを良くするためにココアバターと同等な融点、融解性状であることが求められる。 多く使われているのは、パーム核油を硬くして固体化したものである。 代用油脂で作られたチョコレートはテンパリングが不要なことから製菓ではコーティングやエンローバーなどに使われている。ただ、ココアバターに比べて固化が遅く、やや柔らかい特徴を持つため、水素添加などの自然界にない添加物を使って調整している。
• カカオ
カカオ(豆)【仏:grain de cacao (男), féve de cacao (女)】 (学名:Theobroma cacao) あおぎり科(またはアオイ科)の常緑高木。原産地は中南米の熱帯地域。 葉は楕円(だえん)形で先がとがり、互生する。黄白色の花は幹や太い枝に直接たばになってつく。 学名の Theobroma はギリシャ語で「神 (theos)の食べ物 (broma)」のことを意味する。 、果実中の種子(カカオ豆)からココアパウダー・チョコレートを製する。 世界のカカオの4分の3はアフリカで生産されているが、その中でも、赤道周辺の年間平均気温が27度以上、高温多湿で、水はけがよい土地でなければ育たないため、高品質なカカオは貴重なものとして扱われている。 カカオの果実は長さ15〜30センチメートル、直径8〜10センチメートルの大きさで形は卵型が多い。中に20〜60個ほど種子があり、これがカカオ豆となる。 カカオ豆は健康志向の人たちにスーパーフードともいわれていて、カカオに含まれるポリフェノールはアンチエイジングに作用される。血管の老化や動脈硬化を防ぐ働きも期待されている。また、カカオ豆は便秘予防の作用もある。 カカオニブ[仏:grué de cacao(男)] カカオニブは焙煎したカカオ豆を風選機(セパレーター)によってハスク(外皮)と胚芽を取り除き、胚乳を粗く粉砕されたものをいう。脂肪分が約55%含まれている。 チョコレートやココアは、カカオニブをさらにローストして作る。カカオ豆に含まれるアミノ酸や還元糖が熱によって茶色になり(メイラード反応)、ようやくチョコレートやココアの風味が生まれる。 カカオニブはそのままでもナッツのように食べられ、純粋にカカオの味を楽しむこともできる。 カカオマス[仏:pàte de cacao(男)] カカオマスは、カカオニブをすり潰し、脂肪分であるカカオバターを分離させたものをペースト状にし、冷却して固化したものをいう。カカオマスに砂糖、ミルク、カカオバターを加えるとチョコレートができる。
• チョコレートの特性・構造
チョコレートは、カカオマスや砂糖、粉乳、油脂であるカカオバターなどを撹拌して製造されるもの。チョコレートの口どけを実現させるために、これらの原材料の粒子を大きさを微粒子化して、均等に分散させて親和性を出す必要がある。そのため、原料チョコレートの製造工程であるカカオマスの微粉砕や精練作業、そしてツヤをだすためのテンパリング(調温)などの、チョコレートならではの工程精度が重要となってくる。 チョコレートと水 器具に水分が残っていたり湯煎の水が入ってしまったりすると、チョコレートはぼろぼろに固まって、どれだけ熱を入れても溶けなくなる。これは、水がチョコレート中のカカオバターの油脂と反発するため。カカオバターと反発した水は吸水性の高い砂糖に吸収されて強く結び付けられ、粘度が生まれてかたまりになってしまう。→分離 適正管理温度 チョコレートを扱う作業をする際は、室温が約18〜23℃、湿度は約45〜55%が適正な環境である。湿度が高くなるとチョコレートは固まるのに時間がかかり、テンパリングを行ってもツヤよく仕上がらなくなる。 保管場所の適正は、温度約15〜18℃、湿度約45〜55%。冷蔵庫で保管すると湿気を吸ったり、ブルームが出たりして品質が低下してしまうことがある。 チョコレートの溶かし方 チョコレートは高温で加熱すると分離してしまうため、直火ではなく湯煎で加熱する。構造的に粘度が高いチョコレートは、鍋に入れてそのまま溶かしてしまうと局所的に温度が上がり、すぐに焦げてしまう。 高い熱を入れると結晶構造が崩壊し、油脂であるカカオバターと水溶成分が分離を起こす。また、高い温度の湯煎で一気にチョコレートを溶かした場合も同じ現象が起きやすくなるため、ゆっくりと加熱した方が、良い状態を保つことができる。 一般的にミルク・ホワイトチョコレートはスイートチョコレートよりも低い温度で溶かす。 溶解温度は、各チョコレートの油脂分の量や種類によって異なる。ミルク・ホワイトチョコレートを高い温度で溶かした場合、乳成分が高まりもろもろとした状態になってしまうことがある。 製品やメーカーごとによっても違ってくるため、製品パッケージに溶解温度や冷却温度の記載があるものは、記載に沿って調温を行う。 →チョコレートの種類 チョコレートの結晶化とテンパリング 湯煎などで一度溶かしたチョコレートは、そのまま固めようとしても、元のような光沢にはならない。これはもともとあったチョコレートの原料微粒子の結晶構造が、温度をあげて溶かしたことによって崩れてしまったため。再びツヤを出すためには、テンパリングを行って結晶構造を整える必要がある。テンパリングを行わないと、うまく固まらなかったり、光沢が出ずに表面に成分が浮き出て食感が悪くなる。 ブルーム チョコレートを適切な温度で扱わなかった場合、表面が白っぽい粉やまだら模様が浮き出てくることがある。この現象をブルームと呼ぶ。ブルームにはファットブルームとシュガーブルームの二種類がある。 チョコレートの乳化 溶かしたチョコレートに生クリームを加えて混ぜると、乳化が起こり、分離せずに混ざる。これはチョコレートに含まれている乳化剤(レシチンなど)が生クリームに含まれる乳脂肪球を覆い、チョコレートの油分と直接触れずに成分が均一に分散したまま混ざるため。
• テンパリング
テンパリング【英:tempering(テンパリング)仏:〔男〕tempérage(タンペラージュ))】 チョコレートを溶かして温度調整すること。ばらばらになっているココアバター(カカオ豆の脂肪分)の結晶を最も安定した結晶型に揃える事をテンパリング(調温)という。 この工程を経ることで、チョコレートに大切な適度な硬さやパリッとした食感、滑らかな口溶け、艶がもたらされる。 指で触っただけで溶けてしまったり、表面が白く変色するブルーム現象も同時に防ぐことができる。 口溶けが良く美味しいチョコレートを作る上では欠かせない作業である。 テンパリングは温度調整作業をさすため、言い方としては ・ 「テンパリングをする」 は 「温度調整をする」 ・ 「テンパリングをとる」 は、 適切な温度を"とる" ・ 「テンパリングが外れる」 は、 適切な温度帯から外れる といった意味に捉えるとわかりやすい。 よって、きちんとテンパリングされたものは「テンパリングがとれている」という。 テンパリングの種類 テンパリングには、一定の温度を保って長時間撹拌する 『恒温型テンパリング』 と、温度を変化させて調整する 『昇温型テンパリング』 がある。 『恒温型テンパリング』は結晶が形成されるまで長時間撹拌し続けなければならない為、機械を使った大量生産に向いている。工場などで使われることが多い。 『昇温型テンパリング』は、やや手間は掛かるが比較的短時間で行うことができ、水冷法・フレーク法(種付け法/シード法)・タブリール法(タブラージュ)といった3種類の方法がある。 テンパリングがいつ誰によって開発されたかは定かではないが、多くのチョコレート職人の試行錯誤によってこの技術にたどり着いたと考えられている。それは今も尚、様々な職人や研究者によって進んでいる。 テンパリングによるチョコレートの構造変化 ココアバターは気まぐれな性質で、融点・密度・結晶形などが異なる6種類もの結晶型に固まることが出来る。 この様々な結晶型が含まれていると、それぞれの結晶が別々の温度で溶け出してしまうため、保存が難しく、滑らかな口溶けも楽しめない。 そこでテンパリングを行うことで、常温では溶けず、口に入れた時には滑らかに溶け出すような安定した結晶だけにするのである。 結晶の種類は、ローマ数字で「I型」〜「Ⅵ型」と表され、数字が大きくなるほど溶け始める温度(融点)が高くなる。私達が食べ慣れている美味しいチョコレートの結晶型は「Ⅴ型」で、融点は体温より少し低い33℃。Ⅴ型は光沢があり、結晶粒径が細かい為なめらかな口溶けな上に高密度で型外れが良い。 I型〜Ⅳ型の結晶は融点が低く、低密度で型から外しにくいため、不安定で製品には不向き。Ⅵ型は安定形だが融点が高く、ブルームの元凶ともなる。口に含んでも溶けにくくボソボソして、結晶粒径が粗いため、溶けてもざらついた食感で見た目も悪い。 全ての結晶を「Ⅴ型」にするテンパリング 1. チョコレートを加熱し(50℃前後)全ての結晶を溶かす。 2. 25〜26℃に冷却し、一旦「Ⅳ型(融点27℃)の結晶を作る。 3. そこから温度を上げ(30〜31℃)、融点が「Ⅳ型」より高く「Ⅵ型」より低い「Ⅴ型」の結晶を作り出す。 この後、再度冷却して保存温度で熟成させると「Ⅴ型」の結晶が全体に広がり、美味しいチョコレートが出来る。 また、上記の温度帯は基本的なものであり、チョコレートに含まれるココアバターの量が多いほど高温度帯での調温となる。チョコレートの種類、メーカー、ブランドによって温度帯は細かく違ってくる。 チョコレートのパッケージや各社サイトに温度帯の詳細が記載されているので確認するようにする。 ココアバターの使用 テンパリングの際にココアバターを加える事で状態が滑らかになり、チョコレートの粘度が低くなって、テンパリングがしやすくなる。比較的パリッとした食感に仕上がるため、薄くチョコがけをしたい場合に適している。 また、近年はココアバターを使った新しいテンパリング技術が開発されている。 溶かしたチョコレートに既に安定した「Ⅴ型」のココアバター(パウダー状にされたものが製品化された)を適量加えることで連鎖反応を起こし、全体を安定して結晶化させる方法である。 従来のテンパリングのように「Ⅴ型」の結晶型を作り出しているのではなく、単に加えるという工程だけでできる。適量というのも少量(1%)で良く、混ぜやすい。 この方法により、簡単に短時間でテンパリングを完了することが可能となった。