3月3日はひな祭り。
洋菓子店が忙しくなる季節のイベントはいろいろありますが、クリスマスやバレンタインに続く「ひな祭り」も、とても忙しい1日です。
この記事では、洋菓子店にとってのひな祭りがどんなイベントなのか、改めておさらいしていきたいと思います。来たるひな祭りにむけて、復習がてら読んでみてくださいね。
ひな祭りは「女の子の健康を願う」文化的行事

そもそも「ひな祭り」という文化は、元来どんなものなのでしょうか。
1年の暦の中には五節句と言われる節目となる季節があり、日本では古くからその節目節目で厄払いや邪気祓いをして、長寿、健康を願ってきました。
その節目のうちの、3月3日”上巳(じょうし)の節句”が、ひな祭りにあたる日です。
ひな祭りに飾られる雛人形は、上巳の節句の際に厄払いで使っていた草や藁で作った人形と、昔女児の間で流行っていた紙の人形の「ひいな遊び」が結びついて生まれたといわれています。
そして江戸時代には人形作りの技術が発展し、紙ではなく精巧で豪華な雛人形が作られるようになりました。
上巳の節句はもともと男女共通の行事でしたが、雛人形が飾られるようになったことから「女の子のための行事」として変化。そして、厄払いをして女の子の健康を願うのがひな祭りとされるようになりました。
また、節句には「縁起が良いもの」「健康に良いもの」を食べる習慣が古くから根付いています。
ひな祭りが女の子の健康を願う行事として浸透してからは、縁起が良いものや健康に良いものとして、ちらし寿司やはまぐりのお吸い物、そしてひなあられなどの”お菓子”が食べられるようになったのです。
ひな祭りも「特別な日に特別なものを買う」イベント

ひな祭りのお菓子で代表的なのはひなあられや菱餅などの和菓子ですが、近年ではひな祭りにケーキを食べる家庭も増えてきています。
「ひな祭りにケーキを買う」という女の子のいる夫婦世帯によると、
「パーティーをするために、スーパーでも売っているひな祭り仕様のケーキを買う」
「春っぽいパステルカラーの色味に惹かれて、毎年デパ地下でケーキを買っている」
「小さなこどもはいないけど、みんなケーキが好きなので、イベントにかこつけてケーキを食べたい」
「ケーキを食べる理由があるから買います」
とのことで、「イベントだから」という理由でケーキを買うそう。
ひな祭りにケーキを買う人たちは、イベント=特別な日=ケーキを食べる日と考えているようです。

コンビニやスーパー、メーカーなどがイベント限定のケーキやお菓子を売り出したことで、ひな祭りは「ケーキを食べる特別な日」という認識は少しずつ広まっています。
近年はハロウィンや節分などにも同じようにケーキが食べられるようになりつつあり、普段あまりケーキに手を伸ばさない人もケーキを買う理由が作りやすくなっているのですね。
こうして、ひな祭りを含むイベントにケーキを食べることが定番化して始めているようです。
ターゲットは「女の子のいる家庭」だけではない?

ひな祭りはいわば女の子のためのお祭り。メイン顧客が女の子のいる家庭になるという部分は、他の季節イベントとは違うところです。
といえども実際は、洋菓子店も百貨店もそれぞれひな祭りの顧客ターゲットを「女の子のいる家庭」だけに留めないような策を練っています。
パティスリー『スイーツワンダーランド アラキ』(板橋区)のオーナーシェフ・荒木浩一郎さんに話を聞いてみると「女性の気持ちがある人」全員がターゲットになるよう、幅広い年代に向けてひな祭り商品のバリエーションを広げているとのこと。
そして、少子化が進んでいる反面、お客さんが子ども1人にかけるお金は多くなっていると感じており、贅沢で「特別」を感じられるような単価の高い商品を用意して売り上げを獲得しているそうです。
また、とある百貨店バイヤーによると、ひな祭りにお菓子やケーキを買っていくのはお孫さんのいる60代以上の方や富裕層が中心ですが、近隣のオフィス街のOLやその上司にもアプローチできる商品ラインナップの展開を考えているそう。
メインターゲットではない人がイベントに乗っかって「自分へのご褒美」を買いたくなるような商品を用意することで、顧客の幅を広げているとのことです。
洋菓子店や百貨店それぞれが地域市場に合わせた商品ラインナップを展開してひな祭りのターゲットを広げていることが、ひな祭りがお菓子やケーキを食べるイベントであると認識される一因になっているのかもしれませんね。
まとめ
女の子の健康を願い、縁起物としてお菓子を食べるひな祭り。
近年は、ひな祭りはお菓子やケーキを食べるきっかけとなる季節イベントとしても認識されつつあります。
そして消費者にとって特別な日であるひな祭りは、「特別な日」を演出する洋菓子店にとっても大事なイベントです。
今年も忙しくなるひな祭り当日に向けて、お店を盛り上げていきましょう!