
スタッフが生き生きと働き、お客さまから長く愛される店であり続けるためには、ベテランスタッフの技術力の高さはもちろん、若手・新人を育てて全体のレベルを引き上げていく努力が必要です。
ただ、スタッフ同士、上司と部下、先輩と後輩など職場でのコミュニケーションがうまくいかないとすれ違いが生まれ、若手が一人前に育つ前にお店から離れてしまうということもあるでしょう。
円滑な人間関係は、人材の定着、そして店舗の発展にもつながります。
今回は、そのために意識したいポイントについてまとめてみました。
店の教育方針や業態ごとの特徴など様々な違いはありますが、後輩や部下を持つすべての人に、ひとつの参考にしていただければと思います。
毎日忙しく、指導も厳しい「職人の世界」であるパティシエの仕事。
一般的には華やかなイメージがありますが、実際には黙々と作業に集中したり、様々なことに気を配らなければいけないため、後輩にも最低限の指導しかできず、全体的に余裕がないということもあるでしょう。
また、口頭での説明よりも「技術は目で見て盗め」という考えもあり、余計にコミュニケーション不足になってしまっている現場も多いのではないでしょうか。
後輩や部下に対し、感情的に「怒る」ことは、そもそもNGです。
どれだけ忙しくても、後輩や部下に八つ当たりするようなことはしてはいけません。
指導として叱る際にも頭ごなしに否定するのではなく、「プロのパティシエだと認めている」「期待している」という思いが伝わるような言葉を選ぶようにしましょう。
併せて、きちんと褒めることも大切です。
ほとんどの人が当たり前にできるようなことでも、人それぞれ成長のスピードは違います。
努力を認めてくれる人がいるということは、経験が浅くまだ自信を持てない若手の職人にとって、とても大切。
認められることで、「もっとがんばろう」という
モチベーションの維持にもつながるのです。
・相手の立場・レベルを理解した上で話す
積極的に指導を行うことは重要ですが、一度に多くを詰め込もうとするとプレッシャーを与えてしまいます。
経験が浅いということは、まだまだ覚えること、吸収することがたくさんあるということ。
たくさんのことを吸収している大切な時期です。
自分が相手の立場だったときのことを思い出し、焦らず急かさず成長を見守る余裕を持ちましょう。
・決めつける前に確認する
質問を受けた際、「この前も教えただろう」「なんでわからないんだ」などと、はねつけてしまうのはよくありません。
うまく伝わらないことにイライラしていては、伝えたいことが相手にさらに伝わりにくくなってしまうのではないでしょうか。
また、相手の質問の意図と、受け取る側の理解がズレてしまっていることもあります。
まず、
「どこがわからないのか」
「なぜつまづいているのか」
を確認して、一緒に整理した上で結論を述べ、そこから理由や詳しい解説を伝えるようにすると効果的な指導になります。
・何気ない会話で距離を縮める
ちょっとした世間話や談笑の機会を増やすことで、人と人の距離はぐっと縮まります。
話す内容はなんでもいいので、まずは会話の機会を増やしましょう。
距離が近くなると信頼度が上がり、仕事に関する疑問や悩み事なども打ち明けやすくなることから、風通しのいい職場環境づくりへとつながっていくのです。
どんな店も、「人」がいてはじめて成り立ちます。
今回ご紹介したようなポイントを念頭に、しっかりした人材育成を心掛け、お客様に愛される店舗づくりに少しでも役立てていただければと思います。