パティシエのための製菓用語集「パティシエWiki」

粉類

• 小麦粉

世界で栽培される小麦は、栽培の季節によって春小麦と冬小麦にわかれる。 小麦は粒の色の違いで赤小麦と白小麦に分けられ、さらに粒の硬さによって硬質小麦、中間質小麦、軟質小麦に分けらる。 分けられた小麦をいろいろと組み合わせ、小麦を挽き、胚乳の部分を粉にしたものが小麦粉である。 全粒から果皮や胚芽の部分はふすま(皮くず)として除去し、胚乳の部分のみを挽いたもの。全粒100kgから、おおよそ75kgの小麦粉が得られる。 同じ小麦の胚乳部分でも、中心部は灰分が少なくなっている。中心部分の方が白く、たんぱく質の量も少なくなる。 主にこの中心部分からとれるものは上級粉といわれ、灰分が低く、乳白色または淡黄色の冴えた色をしている。表皮近くからとれる下級粉は、たんぱく質が多くなって、色がくすみ茶褐色を帯びてくる。 →灰分と小麦粉の等級 →小麦粉の種類 小麦粉の性質 小麦粉は水を加えて練り合わせると「グルテン」というタンパク質が網目状に変質して、つきたてのモチのような「粘弾性」をもつ物質に変わる。 このグルテンはお菓子作りでは欠かせないもので、生地の骨格を形成する非常に重要な役割をもっている。 でんぷんに熱を加えるとのり状になり、その状態を糊化(α―化ともいう) 米に水を加え、加熱して炊飯すると粘りが出るのと同じ現象である。 糊化した物が乾燥したものを老化という。老化した状態はもとには戻らない。 炊きあがった米を出しっぱなしにして固くなったものは水を加えてもとに戻らないのと同じであり、老化した小麦粉の状態が元に戻ることはない。 ケーキ作りにおいて、スポンジ生地などのパサつきの原因になったり、しっとりしたりする原因にはこの糊化、老化の作用も大きく関係している。


• フランスの小麦粉

フランスの小麦粉【仏:Farine de blé(ファリーヌ・ドゥ・ブレ)】 フランスの小麦粉【仏:Farine de froment(ファリーヌ・ドゥ・フロモン)】 日本の小麦粉というと「薄力粉」「中力粉」「強力粉」「全粒粉」とわけられるのが一般的だが、フランスの小麦粉は分類方法が違う。 フランスの小麦粉はType+数字で粉の種類を表す。フランスの小麦粉と日本の小麦粉は成分での分類が異なるため、厳密には対比できるものではない。 フランスの小麦粉はハード系のパンが多いため、灰分の含有値で小麦粉を分類する。灰分が多いと小麦の味が強いグルテンの多い黒いパンとなり、少ないと小麦の味が弱いグルテンの少ない白いパンとなる。お菓子ならType45〜55が、パンならType65以上が適している。 フランスの小麦粉の種類 Type45 Type45は日本の粉で言うと薄力粉に当たる。 成分は灰分含有値が0.50%、麦1粒中使用されている量は70%である。 クグロフや折りパイ生地などこねないタイプのお菓子の生地に適している。 Type55 Type55は日本の粉で言うと中力粉に当たる。 成分は灰分含有値が0.50~0.60%、麦1粒中使用されている量は75%である。 菓子パンやブリオッシュなどの軽いパンやビスケットなどのお菓子に適している。 Type65 Type65は日本の粉で言うと準強力粉に当たる。 成分は灰分含有値が0.62~0.75%、麦1粒中使用されている量は80%である。 一般的なパン生地やピザ生地などに適している。 Type80 Type80は日本の粉で言うと強力粉に当たる。 成分は灰分含有値が0.75~0.90%、麦1粒中使用されている量は90%である。 一般的なパン生地からややハード系のパン生地に適している。


• 小麦粉の種類

日本では小麦の種類はでんぷんやたんぱく質などの成分の違いによって強力粉・中力粉・薄力粉などいくつかに分類している。グルテンの強いものから順に強力粉、中力粉、薄力粉と分けている。 日本は世界でも小麦の消費量が高く、そのほとんどは外国産小麦の輸入に頼っている。輸入元はアメリカは最も多く、半数以上を占めている。 外国産小麦の輸入のほとんどは、日本政府が買い入れて、国内の製粉会社などに売り渡すというシステムになっている。 強力粉 強力粉は「パンコムギ」と呼ばれる硬質小麦を原料に作られていて、主にアメリカやカナダから輸入している。 成分は灰分が0.3~0.35%程度、たんぱく質量が11.0~13.0%で、食パンなど白いパンを作ることが多いため、特等粉と呼ばれる灰分のものを使うことが多い。 強力粉は主にパンを作るのに使う小麦粉で、食パンや菓子パン、フランスパンなどの粘りの強いパンに適している。そのほかにも中華麺やソフト麺、乾燥パスタなどに使われる。 薄力粉を使った場合と比べると、硬い仕上がりになる。 英語圏では「Strong flour」や「Bread flour」と表記されるものが、強力粉に近いものにあたる。 準強力粉 準強力粉は中力粉と強力粉の中間に位置する小麦粉で、場合によっては中力粉と同じ分類になることもある。主に中間質小麦を使っていて、日本ではオーストラリアから輸入している。 成分は灰分が0.35~0.45%程度、たんぱく質量が10.5~12.5%で、パンやフランスパンなどを白いパンを作ることが多いため、一等粉と呼ばれる灰分のものを使うことが多い。 クロワッサンやデニッシュ、フランスパンなど、外はカリカリとした食感で、中はソフトでやわらかなパンを作るときに適している。 中力粉 中力粉はちょうど強力粉と薄力粉の中間に位置する小麦粉である。主に中間質小麦を原料使っていて、日本ではオーストラリアから輸入している。 成分は灰分が0.35~0.45%程度、たんぱく質量が7.5~10.5%で、パンやバケットに使われることが多い。多少色が黒くても構わなければ、二等粉と呼ばれるものを使うことも多い。 バゲット、お好み焼き、たこ焼き、うどんやなど粘りの少なめのパンや粉もの料理によく使われる。 強力粉と薄力粉を混ぜたものを中力粉の代用とすることもできるが、もとの中力粉とは加工特性が違うため、完全に同じものにはならない。 薄力粉 薄力粉は軟質小麦を原料にしていて、日本ではアメリカから輸入している。 成分は灰分が0.45~0.65%程度、たんぱく質量が6.5~9.0%で三等粉と呼ばれている物を使うことが多く、てんぷらの衣やパン粉などが適している。製菓において最も使われる小麦粉で、ケーキやクッキーなど軽い仕上がりのものに使われる。 タンパク質の含有量が少なければ少ないほど軽い繊細な仕上がりの製菓になるため、製菓用に「製菓用薄力粉」も販売されている。英語圏の表記では「cake flour」がこれに近い。 浮き粉 浮き粉は生地からグルテンを分離させた後に残った小麦粉のでんぷんをいう。『じん粉』や『本浮き粉』、『貫雪粉』とも呼ばれている。 成分はたんぱく質量は洗い流しているため限りなく0に近く、灰分が0.7~1.0%%ぐらいの三等粉と呼ばれている物を使うことが多い。 浮き粉は片栗粉のような質感があり、生地に使うことで、和菓子やエビ蒸し餃子のような中の餡が透けて見えるような半透明な仕上がりになる。 餡を透かしたい蒸し餃子や中華団子などの点心や和菓子、天ぷらやたこ焼き、玉子焼きにも使われる。また、スポンジケーキやロールケーキ、シフォンケーキなどふんわりと仕上げたい洋菓子に使われることもある。


• 灰分と小麦粉の等級

小麦粉の分類 小麦粉の分類方法は大きく2種類ある。 ひとつは種類による分類で、もうひとつは等級による分類である。 小麦粉に含まれるタンパク質の量に応じて粉のタイプが異なる。タンパク質の多い順に強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉と分類される。この性質の違いは原料小麦の特性よるもので、硬質小麦からは強力粉、中間質小麦からは中力粉、軟質小麦からは薄力粉が作られる。そして、強力粉はパン、中力粉は麺、薄力粉はお菓子に使用するのが一般的である。 小麦粉の等級 小麦粉の等級は灰分と大きな関わりがある。 等級は、小麦粉の胚乳部分にある灰分の含有量によって分類される。 胚乳の中心部は灰分が少なく、外側にいくに連れて多くなっている。 灰分が少ない方が色が白くなりタンパク質量も少ない上級粉となり、灰分が多くなると茶褐色でタンパク質量が多い下級粉となる。 灰分値が0.3~0.35%のものは特等粉、0.35~0.45%のものが1等粉、0.45~0.65%のものが2等粉、0.7~1.0%のものが3等粉、そして1.2~2.0%のものが末粉と分類されている。 同じ成分でもより白くおいしくする必要がある一般のパンは特等粉や一等粉が使われ、色や揚げ色がきれいに出したいパン粉などは2等粉を使うなどというように分けて使う。


• 米粉

主に、もち米やうるち米を使って作られた粉。最近では、パンや焼き菓子に使用するレシピも多く公開されている。 小麦アレルギーの方をはじめ、グルテンフリーの食生活をする人にとって安心して摂取でき、製粉技術があがった事で洋菓子製造においても広がりを見せている。 うるち米とは、コシヒカリやあきたこまち等一般的な米の事を指す。もち米との違いはアミロースの含有の違いである。 アミロース含量の多い米品種ミズホチカラから作られる米粉は、製粉時にデンプンが壊れにくい特徴もあり、製パンに向いた品種として注目されている。 ただし、製パンなどを目的とした米粉が含まれるミックス粉の中にはグルテン(小麦たんぱく)が含まれるものもあるので、小麦アレルギーの方向けやグルテンフリーをうたった商品として作る際には、成分表示には十分に注意する必要がある。 原料での分類 もち米が原料のもの 餅粉、求肥粉、道明寺粉、微塵粉、落雁粉 製パンなどに向くリ・ファリーヌ・レジェールなど うるち米が原料のもの 上新粉、かるかん粉、洋菓子向けのリ・ファリーヌなど 特長 焼き菓子などで小麦粉の代用として使われる場合は、軽い食感になる。シフォンケーキやスポンジなどに使った時には、しっとり、もっちりとして、米を炊いたときに出る特長が同じ様に出やすい。 特にもち米が原材料の米粉で作ったお菓子はもちもちとした食感が出る。 ただし、米の性質上、一度冷やしたり長時間の保存をしたるすると固くなったり、食感が悪くなる事がある。 食感を維持するためにトレハロースなどを使うなどして老化抑制する工夫が必要である。


• コーンスターチ

コーンスターチ【英:cornstarch(コーンスターチ)、仏:amidon de maïs(アミドン ド マイス)】 コーンスターチはトウモロコシを原料とする細かい粒子の粉末状でん粉のこと。とうもろこしを粉砕機で胚芽を傷つけないように砕き、胚芽を分離させたあとデンプンを取り出し、脱水乾燥させて粉末したものである。 コーンスターチは小麦粉と違って水に混ぜてもグルテンを形成しないため、揚げ衣や焼き菓子に使うことでサクッとした食感に仕上げることができる。とろみをつけることができるので、カスタードクリームにもよく使われる。コーンスターチはデンプンのみでできているため、ケーキやクリームに入れるとなめらかに仕上がる。 性質 コーンスターチは65〜76℃で糊化し始めるが、粘度は低くさらっとした感じになる。粘度は低いので、小麦粉のようにもったりとした重めのクリームにはならず、ゆるい生地やクリームになる。だが、粘度が出ると安定して持続するため、片栗粉と違って温度が下がってもとろみが持続するので、冷たくして食べるチーズケーキやカスタードクリームには適している。 とうもろこし粉 とうもろこし粉はとうもろこしを乾燥させて粉末にしたもので、別名コーンミールとも呼ばれている。コーンスターチはとうもろこしからデンプンだけを取り出しているが、とうもろこし粉はでんぷんだけでなく、たんぱく質やミネラル分も含まれている点で両者には違いがある。主にパン生地に混ぜ込んだり、離型剤に使われたりする。


• 片栗粉

片栗粉は精製したデンプンの粉(澱粉)を指す。 もともとは名前の通りカタクリから作られていたが、今は実際の使われているのはじゃがいもである。 カタクリはユリ科の植物で、片栗粉はカタクリの根茎から作られていた。だが、近年は自生カタクリが減少し、大量栽培されるようになったじゃがいもがその代替えとして使われるようになった。古くからの名称がそのまま残っており、今も片栗粉と呼ばれている。 片栗粉は主に揚げ物の衣、麺や製菓材料として使用される。揚げ物の衣に利用すると、カリッとした食感に上がり、サクサクとした小麦粉とはまた違った味わいを楽しめる。また、時間が経ってもベタつきが少ないのも特徴である。ボーロやラムネ、わらびもちなどにも使われる。麺類でも片栗粉を使うものがあり、片栗粉麺やでんぷんうどんがある。でんぷんうどんは北海道の農村地帯の郷土料理であり、強いコシが特徴の白く透き通った麺である。 製造方法 すりおろしたじゃがいもをさらしで包み、水の中でもみほぐし、でんぷん質を取り出す。しばらく置き、底に沈殿したでんぷん質を取り出し乾燥させる。 性質 片栗粉のデンプンは加熱により糊化するため、熱い中に直接入れるとすぐにダマになる特徴がある。そのため、とろみをつける時にはいったん水などで溶かしてから使用する。ない水に溶かしてから加える必要がある。またとろみがついても温度が下がるととろみがなくなってしまうため、温かいまま食べるものに適している。 コーンスターチの代用で使われることもあるが、片栗粉は冷えると粘度が低下するため固まりにくいため、プリンやカスタードクリーム、ブランマンジェを作るのには適さないため、菓子作りでは代用しにくいともいえる。