チョコレートファンが注目する一大イベント「サロン・デュ・ショコラ」が、伊勢丹新宿店と全国の伊勢丹で2026年も開幕します。2026年のテーマは「CODE & MODE」、世界24カ国・153ブランドが集結します。
ライブデセールなどリアル体験型コンテンツがさらに進化し、初登場ブランドや日本人ショコラティエの活躍にも期待が集まります。初めて参加する人でも満喫できるよう、混雑対策や当日の会場攻略法までまとめて解説します。
この記事でわかること(目次)
サロン・デュ・ショコラとは?(歴史と日本での進化)
サロン・デュ・ショコラは、1995年にパリで生まれた世界有数のチョコレートイベントです。ショコラティエと来場者が直接出会える特別な雰囲気が魅力で、日本ではその体験性が高く評価され、独自の文化として発展してきました。
パリで生まれた世界最大級のチョコレートの祭典
サロン・デュ・ショコラは、1995年にパリで初開催され、ショコラ文化の発信地として成長してきました。
世界各国のトップショコラティエや名門ブランドが集まり続ける理由の1つが、技術・感性・創造性を競う国際舞台であることにあります。カカオ文化の広がりとともに、ショコラは職人芸術としての価値が高まり、イベントは年々規模を拡大。会場には実演やパティシエのステージ、ファッションショー、カカオ産地紹介など多層的な企画が揃い、ショコラの世界観を総合的に体験できる場へと進化しました。
パリ本会場での評価はブランドの国際的な地位にも影響し、“ショコラ芸術の中心地”として世界各国へ広がる源となっています。
サロン・デュ・ショコラ 日本の公式インスタグラムのアカウントは
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日本では2003年から伊勢丹新宿店を中心に全国で展開
日本でのサロン・デュ・ショコラは2003年、伊勢丹新宿店での初開催から始まりました。現在は三越伊勢丹グループを中心に、札幌・仙台・名古屋・京都・福岡など全国へ拡大。毎年1〜2月に開催されており、バレンタイン前の冬の風物詩として定着しています。
日本のチョコレート市場は世界的に見てもレベルが高く、ブランド側からも重要拠点として認識されており、日本限定のコレクションが毎年数多く生まれるほどです。中心となる伊勢丹新宿店は規模・参加ブランド数ともに最大で、実演や限定スイーツが集結する本会場として位置づけられています。
また、日本版サロショは体験型イベントとして独自進化。ライブデセール主体の提供や限定ショコラの充実が進み、パリ本場とは違う魅力を持つ催事へと成長しています。
オンライン販売の充実と日本型サロショの進化
日本のサロン・デュ・ショコラは、オンライン販売の拡充により独自進化を遂げています。
オンライン会期は店舗より長く設定され、会員限定販売→一般販売→会場受取という段階的な販売フローが確立。行列緩和のためオンライン限定セットや受取専用商品が増え、会場での実演スイーツとオンライン購入を併用する二段構えが一般化しています。
また、日本ではバレンタインに向けたギフト需要が高く、箱物ショコラをオンラインで購入しやすい環境が整っている点も特徴で、この独自性が“日本型サロショ”と呼べるカルチャーへと発展しています。
サロン・デュ・ショコラ2026年の特徴とテーマ「CODE & MODE」
出典:|銀座スイーツコレクション 2025|銀座三越
サロン・デュ・ショコラ2026年のテーマは「CODE & MODE」。CODEは「美味しさの秘密」、MODEは「クリエーションの流儀」を意味し、ショコラを技術と表現の両軸で解釈するコンセプトとして掲げられています。
パティシエたちが自身の哲学や技術の源泉を作品で表現することがテーマの核となっており、2026年は例年以上に「職人のこだわり」が前面に出る年となりそうです。
2026年の伊勢丹新宿店では、テーマの異なる3つの会期に分けて開催され、各パートごとに出店ブランドや購入できるショコラが変わります。初登場ブランドが例年より多く、パリでも評価されている日本人ショコラティエの存在感が際立つ点が特徴です。
伊勢丹新宿店の入場案内ページは
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PART1:CACAO|カカオの魅力を深掘り
2026年のPART1(会期:1月15日〜1月20日)は、カカオの魅力を「産地・技法・表現」の三方向から味わえる構成となり、カカオを軸にした多彩なアプローチが集まる期間です。
特に、ビーントゥバー系ブランドの参加が充実している点が大きな特徴です。カカオ豆の選定から焙煎・磨砕・成形までを自ら行う一貫製造のスタイルが存在感を高めており、産地の香りを活かした軽いローストから、香ばしさを際立たせる深いローストまで、各ブランドの技法の違いをタブレット(板チョコ)で比較しやすい環境が整っています。
また今年は、会場で仕上げるライブデセールが大幅に強化され、「カカオ×トロピカルフルーツ」をテーマにしたフレッシュな味わいのスイーツが多数登場します。完成直前に香りが立ち上がる実演ならではの体験が、このパートの大きな魅力です。
PART2:ARTISANS|世界トップショコラティエが集結
2026年のPART2(会期:1月24日〜1月29日)は、世界トップクラスのショコラティエが集うアーティザン(職人)の中核ゾーンで、技術と個性が最も濃く現れる期間です。フランス国家最優秀職人章(MOF)を持つ実力派をはじめ、国際的な受賞歴を重ねる巨匠たちが集結し、緻密な技法と独自のセンスを反映したショコラが一堂に並びます。
今年は、LVMHグループで活躍するエグゼクティブ・パティシエ兼ショコラティエ、マキシム・フレデリック氏の来日が大きな話題となっています。また、ファンからの期待が高い『カンタン・バイィ』や、長年支持を集める『ベルナシオン』といった人気ブランドがそろい、会期全体の華やかさを際立たせています。
さらに、フランスで3代続く『メゾン アンリ』や飴細工や芸術性の高い細工菓子で知られる『ベジア・フレール』なども加わり、クラシックからモダンまで幅広い表現を一度に触れられる構成になっています。多彩なスタイルが同じ会期に集まることで、世界のショコラティエたちの“今”を堪能できるのがPART2の特徴です。
PART3:NEXT|新世代ブランドと若手の台頭
2026年のPART3(会期:1月31日〜2月4日/2月7日〜2月15日)は、新進気鋭ブランドや地方発ショコラトリーが集まるアップカミング枠として位置づけられ、サロショの中でも新しい潮流を象徴するゾーンです。既存のトップブランドとは異なる価値観を持つショコラが並び、自由度の高い表現や個性豊かなアプローチが楽しめる構成となっています。
ここ数年は、日本各地から独自のコンセプトを持つブランドが続々と登場しており、2026年もその流れがより強まっています。北海道・京都・九州といった地域食材を軸にしたブランドが増え、柑橘・焙煎茶・発酵食品・日本酒・和ハーブなど土地の味をショコラに組み込むスタイルが存在感を高めています。地域文化とショコラの融合は国内外で評価されるポイントとなっており、日本ならではの感性が鮮明に表れた作品が揃うのもPART3の特徴です。
また、初出店ブランドや小規模ショコラトリーの参加も魅力で、ここで初めて名前を知るブランドに出会える期待感があります。実力派・常連ブランドが集まるPART2とは異なり、新進気鋭・初登場ブランドを見つけられるパートです。
サロン・デュ・ショコラ 2026のスケジュール・入場ガイド
2026年は、まず1月3日〜4日に「エムアイカード会員限定会期」、続いて1月5日〜2月9日に「一般会期」が設定され、入場ルールが大きく異なります。参加者は会期区分と入場方法を理解したうえで計画を立てることが重要です。
【エムアイカード会員向け】優先入場
三越伊勢丹グループが発行しているエムアイカード会員向けの優先入場は、サロン・デュ・ショコラで混雑を避けたい人にとって最も便利な入場方法です。
優先入場が実施されるのは、PART1~PART3の全期間開店(10:00)~11:00です。特に混雑しやすい PART2の初日 1月24日(土)・25日(日) は会員限定の特別ご招待日となり、人気ブランドの商品を早々にチェックできる点が魅力。抽選申し込みは、2025年11月21日〜11月30日にオンラインのイベント予約・チケット管理サービス「PassMarket」で行われます。
優先入場は人気ショコラや限定品を狙う人にとって効果が大きく、ほぼ待ち時間なく売り場へ向かえます。ただし、当選しても 時間に遅れると権利が無効 になるため、開店前後の動きは余裕を持っておくと安心です。抽選制とはいえ、事前準備のしやすさとメリットの大きさから、活用価値の高い入場方法といえます。
【一般向け】当日入場・整理券
一般入場では、「当日入場待機券」を受け取って時間帯ごとに入場する仕組みが採用されています。来場者は開店前後に待機券を取得し、指定された時間帯に合わせて会場へ向かいます。
【スケジュール】
- PART1:2026年1月15日(木)〜1月20日(火)
- PART2:2026年1月24日(土)〜1月29日(木)
- PART3:2026年1月31日(土)〜2月4日(水)、2月7日(土)〜2月15日(日)
- 営業時間:午前10時〜午後8時(※最終日は18:00終了)
- ※開店(10:00)〜11:00ごろまではエムアイカード会員優先入場時間帯
- ※一般来場者は待機券の指定時間に沿って11:00以降に案内される
入場時間が決まっているため、早朝から長時間並ぶ必要が少なくなり、動線が整えられたことで全体の混雑がかなり緩和されました。例年の混雑のピークは午前中に集中する傾向が強く、平日の午後は比較的歩きやすい状態になることが多いようです。
【オンラインストア】販売期間・受取期間
オンラインストアは、会場に足を運ばずにショコラを購入できる便利な方法で、ギフト用や箱ものを選びたい人に適しています。
【オンライン販売スケジュール】
- エムアイカード会員限定先行販売:2026年1月3日(土)10:00〜1月4日(日)23:59
- 一般販売:2026年1月5日(月)10:00〜2月9日(月)10:00
- 受取期間:2026年2月11日(水・祝)〜2月14日(土)
会員期間中に完売した商品は一般販売で手に入らない可能性があるため、早めの注文が安心です。
一方、会場ならではの魅力も多く、実演スイーツや生菓子、仕上げを目の前で行う限定品はオンラインでは購入できません。また、オンライン注文を「会場受取」に指定すると、列に並ばずに受け取れるため、混雑時には大きなメリットがあります。
注文が集中した場合は、配達日を指定できない可能性があるため、オンライン利用の場合でも早めの発注がおすすめです。
サロン・デュ・ショコラ2026注目のショコラティエ&ブランド
ここからは、サロン・デュ・ショコラ 2026で特に注目したいショコラティエとブランドを紹介していきます。各ブランドが示す技法や素材の表現、今年ならではのテーマへの向き合い方にも触れながら、その魅力を順にみていきましょう。
世界トップショコラティエ・ブランド
2026年のサロン・デュ・ショコラは、テーマ『CODE & MODE』を象徴するように、海外ブランドの新作が「構造美」や「素材設計」を前面に押し出す流れが強まりました。ショコラの内部構造・香りの立ち上がり・素材同士のバランスといった設計図(CODE)を意識したアプローチが増え、技術の背景を味で体感できるラインナップが揃う年となっています。
今年の最大の注目は、ルイ・ヴィトンをはじめとするラグジュアリーLVMHグループで活躍するエグゼクティブ・パティシエ兼ショコラティエのマキシム・フレデリック氏の来日です。緻密な造形と軽やかな味の層を組み合わせたショコラは国際的評価が高く、日本で直接手に取れる貴重な機会として大きな話題を集めています。
また、世界大会(2013年 WCM)でフランス代表として優勝したショコラティエ、カンタン・バイィ氏は、ナッツの素材設計を得意とする実力派です。2026年は、日本のファンの声を受けて生まれたピーナッツ型ショコラを披露し、香ばしさと甘味のバランスを緻密に組み立てた新作が大きな注目を集めています。
老舗『ベルナシオン』は、定番ノワールに加えてタブレットのバリエーションが拡張し、アールグレイやベリー系を中心に構成の幅が今年最大級になっています。飴細工で国際的評価を得ている『ベジア・フレール』は、細工菓子で培った美意識をショコラに反映させ、造形美と味の両立を得意とするブランドとして存在感を強めています。
日本人ショコラティエ・ブランド
近年のサロン・デュ・ショコラでは、日本人ショコラティエの存在感も年々高まりつつあります。その象徴ともいえるのが『TOGO MATSUDA』です。手掛ける松田詢吾氏はワールドチョコレートマスターズ(WCM)2022でベルギー代表として総合8位に入賞した実力者で、構築的なレイヤー設計と造形美を両立させたスタイルが高い評価を得ています。国際キャリアを背景に、次世代を担う日本人ショコラティエとして注目される存在です。
一方で、日本国内では地方ブランドの台頭が顕著です。2026年は特に、地方から全国へ評価が一気に広がるムーブメントが強まりました。名古屋発の『レガル・ド・チヒロ』は、独創的なボンボンショコラと素材の香りを丁寧に引き出す設計力が支持され、SNSを中心に全国的な認知を獲得。地方都市から全国へ飛躍した代表例となりました。
国際舞台での評価も追い風となっています。兵庫・丹波の『ル・フルーヴ』は、2025年サロン・デュ・ショコラのパリ本会場で「Tablette d’Or(タブレット金賞)」と「Coup de Coeur(審査員特別賞)」を受賞し、日本勢が世界のトップシーンでも確かな評価を得られることを示しました。
このように2026年は、国際実績を持つ若手と地方発ブランドの双方が勢いを増し、日本ショコラの幅と深みが大きく広がりそうです。
2026年初登場のブランド
2026年の初登場ブランドの中でも、特に注目度が高いのが『ロディックチョコレート』『カラティール』『メゾン アンリ』の3ブランドです。
『ロディックチョコレート』は、パトリック・ロジェで10年間スーシェフを務めた山内大輔氏が創業したブランドで、素材の選定から焙煎・リファインまでを自ら行うオール・クチュール思想が持ち味です。カカオの個性を最大限に引き出すための一貫管理を徹底しており、香り・質感・後味のバランスを緻密に設計したショコラが評価されています。
千葉・柏発の新鋭『カラティール』も、初登場枠の中で存在感を示すブランドです。蕎麦・すだちといった和素材を自家製プラリネと掛け合わせ、素材の香りを繊細に立ち上げる独自のアプローチが特徴的です。和の香りをショコラのレイヤーに溶け込ませる構成に定評があり、地方発ブランドながら一気に注目ブランドの一角に躍り出ています。
さらに、フランス・ラングルから登場する『メゾン アンリ』も見逃せません。フィリップ・ベルの元スーシェフであるマキシム・アンリ氏が手掛けるブランドで、ヘーゼルナッツの香り立つショコラを武器に台頭しています。三代続く家業のパティスリーを2019年に継ぎ、父から息子へと受け継がれた職人技と、複数のMOFに学んだ技法を融合させたスタイルが特徴です。「味がすべて」という氏の哲学を体現するような、力強さと繊細さが同居したショコラが並びます。
【初心者向け】サロショ2026を120%楽しむための準備と会場攻略法
サロン・デュ・ショコラを初めて訪れる人にとって、会場の混雑は想像以上にハードに感じられるでしょう。充実した1日にするためには、当日の動き方だけでなく、事前準備がどれだけ整っているかが満足度を左右します。
特に、何を買うかを明確にしておくと、会場で迷う時間が減り、疲労度が大きく軽減されます。実演スイーツは時間帯によって行列の差が極端に出るため、早めの判断が効果的です。見る・買う・食べるを分けて計画すると、初心者でもスムーズに回れるようになるでしょう。
ブランドの予習
まず取り組みたいのが、当日訪れるブランドの絞り込みです。公式サイトのブランド一覧から興味のあるショップを3〜5つ選び、SNSやレビューで優先度を決めておくと動きやすくなります。
SNSでは、過去の並び方や商品レビューが豊富に投稿されており、実際の雰囲気や人気度をつかむのに役立ちます。初登場ブランドは完売が早い傾向があるため、優先度を高めると安心です。また、ライブデセールの商品は提供に時間がかかるため、滞在時間が長くなる傾向があります。購入順を考える際は、この点も考慮しておくと動線が整い、効率がぐっと上がります。
混雑回避のコツ
混雑を避けたい人は、曜日と時間帯の選び方が重要です。もっとも人が少ない傾向があるのは平日の午後で、歩きやすさが大きく変わります。反対に人気ブランドは初日の午前中に行列が集中しやすく、待ち時間も長くなります。デセール狙いなら、意外と夕方のほうがスムーズに入れるケースもあります。当日の状況を見て動く柔軟さが大切です。
また、会場マップを事前に確認し、入口とは反対側から回る“裏側ルート”は、初心者でも試しやすい定番の混雑回避方法です。入口付近は来場者が滞留しやすいため、最初に立ち止まらず奥のエリアから回り始めると渋滞を避けられます。タブレット系など常温商品の多いブランドは昼過ぎから夕方にかけて列が短くなる傾向があり、効率的に回れます。
試食の多い店舗は列の流れが滞りがちなので、横から様子を確認して気になるブランドだけ後ろに回り直すとスムーズです。紙袋を複数持つと人込みで動きづらくなるため、まとめ買いをする予定なら大きめのバッグがあるとよいでしょう。
ショコラの持ち歩きテク
サロショでは多くのブランドが保冷剤や簡易袋を付けてくれますが、会場は人が多く温度も上がりやすいため、保冷バッグを持参すると安心です。
ブランドが付けてくれる保冷剤は小型で、持続時間は30分〜1時間ほど。寒い時期なので暖房がきいている上、混雑している時間帯は室温が上がるため、ショコラが柔らかくなりやすい環境になります。せっかくのチョコレートの味を落とさず持ち帰るためには、保冷バッグがあるだけで安心感が大きく変わります。