
香料
カテゴリ:食品添加物

天然香料は主に植物由来で、植物の花、茎葉、根、樹皮、果実、種子などから香気成分を抽出した精油である。
合成香料は、天然香料の精油を分析し、その中の化合物を化学的に合成したもの。
天然香料と合成香料は単独で使用されることはほとんどなく、両者を混合した調合香料が一般的。
バニラ、ローズ、レモン、メープル、オレンジなどいろいろな種類のものがある。
エクストラクト・エキス【仏:extrait】
植物をアルコールにつけて香りを抽出し、ろ過した液体。人工香料などを使っていない場合が多いので、安心して使用できる。主にバニラとコーヒー由来の製品が流通している。
バニラエッセンスに比べると濃縮度が低いので、エッセンスと比べると多めに配合することになる。
欧米ではエッセンスやオイルより一般的に使用されている。
焼き菓子、冷菓、ドリンクの風味付けなどにも幅広く使用できる。
エッセンス(水溶性香料)【仏:essence】
香気成分をアルコール、グリセリン、水などの混合物に溶かしたもの。香気成分がそのままの形で含まれているので、香りが新鮮。ただし、揮発性があるので加熱の工程があれば、粗熱が取れてから加える様にする。高温で加熱処理する製品には向かない。
水によく溶けるので、プリン、生クリーム、アイスクリーム、ドリンクなどの水分の多い製品の風味付けに向いている。
オイル(油溶性香料)【仏:huile】
香気成分を比較的融点の高い油脂に溶かしたもの。油溶性なのでバターを多く使った生地に馴染みやすい。水にはほとんどとけない。耐熱性があるので焼き菓子や飴細工に向いているが、熱を加えすぎると変質してまうため、添加後の長時間の加熱は避ける。
乳化香料
精油や合成香料を乳化剤などを用いて水溶性に乳化分散したもの。クラウディーまたはコンクと呼ばれるものと、エマルジョンフレーバーと呼ばれるものがある。
香料が乳化状態になると揮発性がなくなるので、濃厚な香料にすることができる。
またオイルやエッセンスには調合できない天然香料も、乳化性香料には容易に調合できる場合もある。
耐熱性があるのでエッセンスの代用ができ、水気の多いものには使用できないオイルの代わりに用いることもできる。果物のジュース類や、冷菓の工業生産に用いられることが多い。
粉末香料
噴霧乾燥などの方法などで粉末状にした香料。保存中の香気成分の発散がほとんどなく、熱、紫外線に対しても強い。粉末の状態ではほぼ香りはしないが、口に入れたり水に溶かすことで強い香りが出る。
他のタイプの香料と比べてやや高価なことが多い。
粉末香料をタブレット状に固めたものあり、砕いてから使用する。糖菓など、水分を加えたくない製品に使うことが多い。
バニラ香料
製菓で最もよく使われる香料と言えばバニラである。バニラオイルやバニラエッセンスは基本的には天然のバニラを使用して作られているが、安価なものには合成バニリンで作った物が多い。合成バニリンはバニラの香気成分を科学的に合成して作ったもの。天然由来のオイルやエッセンスと比べると香りがかなり強く、後味がしつこく感じることがあるので、量を控えめにするとよい。
更新日:2019年09月11日
作成日:2018年09月12日
更新日:2019年09月11日
作成日:2018年09月12日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• ライム
ライム【英:Lime(ライム)、仏:citoron vert(シトロン ヴェール)】 ライムは柑橘類の一種で、熱帯地域を原産とする低木、もしくはその果実を指す。インドやミャンマー、マレーシア一帯が原産地である。 ライムのおおよその旬は9〜12月頃だが、輸入品も販売されているため、一年通して手に入る。日本ではメキシコ産のものが多く輸入されている。国内の生産地は、愛媛・香川などが中心。 ライムの果実は6〜8㎝ほどで、形はレモンに似ているが、レモンより丸く大きさも小さく、果皮の厚さも薄い。果皮の色は緑がかった黄緑色である。味はレモンと同様に酸っぱいが、苦味に似たライム独特の風味がある。 完熟すると果皮が黄色くなるがライム特有の酸味がなくなるため、緑の時が食べ頃である。表面につやがあり、持った時に重みや弾力の感じるものを選ぶと皮が薄く果汁が多い。 ライムの種類 メキシコから輸入されているライムには2種類の大きさがあり、レモンよりやや小さいタヒチライム(またはペルシャライム)と、それよりも小さいメキシカンライム(またはキーライム)がある。通常タヒチライム・ペルシャライムには種子がない。 また、これらは酸味の強い「酸果ライム」とされるが、酸味の少ない「甘果ライム(スイートライム)」もある。こちらの大きさもレモンよりやや小さめ。 保存方法 ライムの保存は室温で約1週間、冷蔵庫に入れると約1か月持つ。その際は乾燥しないようビニールやポリの袋に入れる。一度切ったものも冷蔵庫で保存するとよいが、なるべく早く使い切るようにする。長時間の保存が必要な場合は、絞った果汁だけを冷凍するか、スライスして1枚ずつラップで挟み乾燥しないようにして冷凍すると持ちがいい。また、ライムを絞るときはくし形(縦方向)に切るほうが横方向に切るよりたくさん果汁を絞ることができる。
• キュアリング
発酵(キュアリング) 人間の体にとって有益となる微生物、発酵菌(善玉菌)によりでんぷんやタンパク質を分解させ、アミノ酸や糖分、アルコール分、乳酸、ビタミン類などを生成させること。発酵菌が増殖すると、別の形に変化したり、栄養分を生産することがある。 →バニラビーンズ →ヨーグルト →発酵バター →サワークリーム →ワイン 悪玉菌によってタンパク質や糖分が分解されてアンモニアや硫化水素が発生し、人体にとって有害になるものとなった場合は、発酵ではなく腐敗と呼ばれる。 イーストによる発酵 イーストとは(パンの生地発酵) イーストはパン酵母とも呼ばれる。真菌類である酵母を小麦粉や糖分に加えると、パン酵母が有する酵素がアルコール・有機酸・エステル(有機化合物)を生成し、炭酸ガスを発生させる。イーストはパンの製造にとって欠かせないものであり、酵母が発生させる炭酸ガスは膨張させてパンをふっくらと仕上げる役割がある。 発酵生地は、酵母によって生地の中で発生した炭酸ガスと、炭酸ガスを包み込むグルテンの力により膨張する。小麦粉中のグルテンの多さや、グルテンの質の良し悪しがパンの膨張を大きく左右している。 イーストが発酵するには、栄養、温度、湿度が必要になる。これらの条件がそろうと、パン生地は発酵を始める。 →イーストの種類 酵母の活動温度 酵母が活動する温度は35〜38℃、pH(水素イオン指数)4〜6(弱酸性)が最適な環境。酵母は10℃以下でほとんど活動することはなく、急冷(1分間に10℃以下)しない限り-60℃まで温度が下がっても死滅しない。逆に55℃以上に上昇した場合は、短時間で死滅してしまう。 パン生地の場合、作業性や雑菌汚染、パンの風味等を考慮すると、発酵温度は20〜38℃、pH5~5.8程度の条件下が無難な範囲といえる。生地発酵は、発酵器などに入れて行う。 パン生地の発酵 一次発酵 生地を捏ね上げたあとに行う。 発酵させることにより生地の酸化が促進され、炭酸ガスの保持力を高まり、柔軟性・伸展性のある生地ができる。炭酸ガスは生地を適度に膨張させ、発酵によって生成されたアルコールなどが蓄積されることによってパン特有の内相と食感・フレーバーが生まれる。 ベンチタイム(中間発酵) 生地の分割・丸め作業のあと、成形前に行う。 分割や丸め作業を経て作り直されたグルテンの配列を整え、若干の炭酸ガスを発生させる。また丸め作業作業などで加工硬化を起こした生地の組織を緩め、成形での作業性を良くすると共に、生地の表面がなめらかになる。 ホイロ(最終発酵) 焼成前に行う。 生地を成形した際に崩れた生地の構造を整えて柔軟性を取り戻させて炭酸ガスを発生させ、グルテンが伸びやすい状態に戻す。