
パータ・ケック
カテゴリ:生地

バター生地をフランス語でパータ・ケックと呼ぶ。
これは英語のケイク(cake)をそのまま取り入れたものだが、小麦粉を主材料とした焼菓子全般の事ではなく、フランス語のケックはパウンドケーキ類、特にドライフルーツや果物の砂糖漬けを入れたフルーツケーキの事を指す。
果物が入らないプレーンなパウンドケーキは、フランス語でカトルカール(仏:quatre-quarts)というが、これは4分の1が4つという意味で、4種類の主材料(小麦粉・卵・砂糖・バター)を同量ずつ使うことから名付けられている。
バター生地はバターのクリーミング性(撹拌する事で空気をたくさん取り込む性質)を利用して生地を作る。この性質により、きめ細かくしっとりとした生地に仕上がる。また、パータ・ジェノワーズなどよりはるかにバターの脂肪分の配合が多いため、コクと風味のある深い味わいの菓子が出来上がる。
パータ・ケックの製法
パータ・ケックの作り方は大きく分けて、シュガーバッター法とフラワーバッター法があり、シュガーバッター法の卵の加え方には、共立て法(全卵を加える方法)と別立て法(卵黄と泡立てた卵白・メレンゲを別々に加える方法)の2種類がある。どちらの方法もバター(油脂)のクリーミング性を利用して、生地に取り込んだ空気と卵の水分が焼成によって膨張するのだが、粉の量に対してバターと卵の割合が少ないと上手く膨らまないため、その場合は膨張剤の助けを借りる必要がある。
また、大量生産に向くオールインワン法という方法もあるが、これはバターのクリーミング性を利用しない為、膨張剤を使う必要がある。
注意点
バターは室温におき、指で押すと跡がつくくらい柔らかくしておくこと。他の材料を加えてバターが締まっていく事を考慮すると、16〜21℃くらいの柔らかいものが望ましい。
バターに砂糖を一度に加えると、バターに含まれる水分が吸収されて固く締まり、撹拌しにくくなる。
クリーミング性や砂糖の分散も悪くなるため、砂糖は少しずつ加え、よく撹拌すること。
また、卵が冷たいとバターが硬くなり、クリーミング性が悪くなる。
使用する材料は常温にし、共立て法の場合は、全卵を溶きほぐしておくと卵黄の乳化作用で生地になじみやすくなる。
卵黄のみを加える別立て法の場合は、卵黄に乳化力があるので一気に入れてしまっても良い。
粉を入れたら粉気がなくなるまで混ぜ合わせるが、混ぜすぎても目が詰まって焼き上がりが固くなるので注意する。
更新日:2019年10月02日
作成日:2018年10月23日
更新日:2019年10月02日
作成日:2018年10月23日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• 無塩バター・食塩不使用バター
無塩バターとは、食塩が添加されていないバターのことである。 成分基準は乳脂肪80%以上、水分17%以下で、「食塩不使用」と表示される。 製菓では基本的に無塩バターを使う。お菓子作りでは大量のバターを使うので、有塩バターだとその塩味により本来出したい味か損なわれてしまう場合があるため。 作る製品次第では食塩の添加を必要とする物もあるが、無塩バターを使用し、食塩を計量して添加する方が失敗が少ない。 製造方法 牛乳をクリーム(濃縮された乳脂肪)と脱脂乳に遠心分離する。できたクリームは他の成分より比重が軽い。この段階で、乳脂肪は30〜40%まで濃縮されている。 その後、クリームを70〜80℃で加熱殺菌する。 このときリパーゼ(脂質分解酵素)など劣化酵素が失活するのでバターの保存性が高まる。 その後急冷して温度を3〜13℃に保ち、そのまま8〜12時間保持する。この工程は熟成(エイジング)と呼ばれ、乳脂肪の結晶を最も安定の高い「結晶型(b’型)」に調整するために行う。 その後、バター粒を形成するために行うチャーニングの工程を行う。12〜15℃に調温して勢いよく攪拌し、乳脂肪だけを凝集させる。乳脂肪が大豆程度の大きさにまとまってきたら、水溶性分(バターミルク)を除去する。 さらに冷水を加え、表面に付いているバターミルクを洗い流す。 最後にバター粒を練り合わせる。この作業によって乳脂肪の結晶がより滑らかな状態に変わり、バターの品質や作業性が高まる。
• オールインワン法
オールインワン法とはバター生地の作り方のひとつで、バター以外の材料を混ぜ最後に溶かしたバターを加える方法。 卵の気泡性を利用して生地を膨らませる。焼成した生地は、膨らみが少ないがきめは細かく、非常にしっとりとする。 手順 1. バターを火にかけて溶かし、冷ましておく。 2. ボウルに卵と砂糖を入れ、泡立て器で泡立てる。 3. 2に小麦粉を加え、なめらかになるまで混ぜる。 4. 3に1を数回に分けて加えながら混ぜる。 5. 型に入れ、オーブンで焼成する。 材料を混ぜ合わせた最後にバターを加えるので、バターの温度によっては分離しやすくなるため注意が必要である。 →フラワーバッター法 →シュガーバッター法