
イースト
カテゴリ:その他加工品

生イースト
生イーストは菌を培養してその後水洗いし、水切りしたものを固形に固めて販売しているイーストである。粘土のような明るい黄土色をしている。生イーストの特徴は、パン生地の糖質を分解する力に優れているため、発酵が早いところである。特に、砂糖が多くても発酵に耐えうるため、砂糖を多く使う菓子パンなどに適している。
また、低温にも耐えうるため、冷蔵庫や冷凍保存をする生地や発酵時間が短いソフト系のパンに適している。生イーストで作ったパンは柔らかい食感なのに噛み応えのある仕上りになるため、外はしっかり中はふんわりといった、甘い香りの引き立った特徴のパンに焼き上がる。イースト臭が残らないところもいいところである。
逆に、バケットなど糖分が少なく長時間発酵を必要とするパンには向かない。発酵が早いということはその分多くの糖質を必要とするため、生地の糖質を分解しすぎてしまい、風味や甘みを損なうかすかすのバケットになってしまう。
向いている製品
あんパン、菓子パン、ブリオッシュ、バターロールなど保存方法
生イーストは乾燥に弱いため、店頭ではワックスペーパーに包まれて販売されている。使用後は乾燥を防ぐため、ワックスペーパーやラップ、キッチンペーパーに二重に包み、ビニール袋やタッパ―などで密封して冷蔵庫で保存する。キッチンペーパーが湿ってきたらこまめに取り換えるようにすると日持ちしやすい。だが、生イーストは未開封のものでも2週間ほどしか持たないため、開封後は2~3日で使い切るようにする。長く時間が経ったものは発酵力が弱まるため、パンが膨らまない原因にもなる。冷凍保存はできない。ドライイースト
ドライイーストは菌を低温で長時間かけて乾燥させ、水分を取り除いたものを細かい粒状にして販売しているイーストである。色は黄土色である。ドライイーストの特徴は、パン生地の糖質を分解する力が弱いため、発酵に時間がかかるところである。乾燥しているため長時間保存がきくドライイーストだが、酵母が仮眠状態にあるため、事前にぬるま湯に入れて予備発酵をしなくてはならない。ドライイーストは、糖分に弱い性質を持つため、砂糖を多く含まないパン作りに適している。発酵に時間がかかるため、甘みの少ない食卓パンや濃い焼き色をつけたいパンに向いてる。また、イーストの独特な香りが残るため、酸味のあとに旨味や甘みが広がる独特な風味が味わえる。ドライイーストを使ったパンは弾力がありしっとりとした味わいが楽しめる。
向いている製品
フランスパンなどのハード系のパン、カンパーニュ、フォカッチャなど保存方法
ドライイーストは保存に長けていて、開封しなければ2年、開封後も1か月日持ちする。直射日光を避け、風通しのいい冷暗所に保存する。開封後は密封容器に移し、冷蔵庫で保存するとよい。だが、時間が経つと発酵力が低下するため、早めに使い切るようにする。冷凍保存はできない。インスタントイースト
インスタントイーストはもっとも手軽に使えるイーストで、家庭でよく使われている。生イーストの賞味期限の短さと、ドライイーストの予備発酵の手間をなくした二つの利点をとったイーストである。保存期間も2年と長く、予備発酵をせず、小麦粉に混ぜ込んで使うことができる。どんなパンでも作りやすい万能なイースト。インスタントイーストを使えば、皮が柔らかく、もっちりしっとりした食感の万人受けするパンを手軽に焼き上げることができる。保存方法
保存方法は、湿気を吸うとパンのふくらみに影響するので空気に触れないよう密封冷蔵庫で保存する。状態がよければ半年ぐらい持つ。冷凍保存をすることもできるが、やや発酵力が落ちるため、使うときはぬるま湯で戻してから使うようにする。
更新日:2019年07月11日
作成日:2018年09月12日
更新日:2019年07月11日
作成日:2018年09月12日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• キュアリング
発酵(キュアリング) 人間の体にとって有益となる微生物、発酵菌(善玉菌)によりでんぷんやタンパク質を分解させ、アミノ酸や糖分、アルコール分、乳酸、ビタミン類などを生成させること。発酵菌が増殖すると、別の形に変化したり、栄養分を生産することがある。 →バニラビーンズ →ヨーグルト →発酵バター →サワークリーム →ワイン 悪玉菌によってタンパク質や糖分が分解されてアンモニアや硫化水素が発生し、人体にとって有害になるものとなった場合は、発酵ではなく腐敗と呼ばれる。 イーストによる発酵 イーストとは(パンの生地発酵) イーストはパン酵母とも呼ばれる。真菌類である酵母を小麦粉や糖分に加えると、パン酵母が有する酵素がアルコール・有機酸・エステル(有機化合物)を生成し、炭酸ガスを発生させる。イーストはパンの製造にとって欠かせないものであり、酵母が発生させる炭酸ガスは膨張させてパンをふっくらと仕上げる役割がある。 発酵生地は、酵母によって生地の中で発生した炭酸ガスと、炭酸ガスを包み込むグルテンの力により膨張する。小麦粉中のグルテンの多さや、グルテンの質の良し悪しがパンの膨張を大きく左右している。 イーストが発酵するには、栄養、温度、湿度が必要になる。これらの条件がそろうと、パン生地は発酵を始める。 →イーストの種類 酵母の活動温度 酵母が活動する温度は35〜38℃、pH(水素イオン指数)4〜6(弱酸性)が最適な環境。酵母は10℃以下でほとんど活動することはなく、急冷(1分間に10℃以下)しない限り-60℃まで温度が下がっても死滅しない。逆に55℃以上に上昇した場合は、短時間で死滅してしまう。 パン生地の場合、作業性や雑菌汚染、パンの風味等を考慮すると、発酵温度は20〜38℃、pH5~5.8程度の条件下が無難な範囲といえる。生地発酵は、発酵器などに入れて行う。 パン生地の発酵 一次発酵 生地を捏ね上げたあとに行う。 発酵させることにより生地の酸化が促進され、炭酸ガスの保持力を高まり、柔軟性・伸展性のある生地ができる。炭酸ガスは生地を適度に膨張させ、発酵によって生成されたアルコールなどが蓄積されることによってパン特有の内相と食感・フレーバーが生まれる。 ベンチタイム(中間発酵) 生地の分割・丸め作業のあと、成形前に行う。 分割や丸め作業を経て作り直されたグルテンの配列を整え、若干の炭酸ガスを発生させる。また丸め作業作業などで加工硬化を起こした生地の組織を緩め、成形での作業性を良くすると共に、生地の表面がなめらかになる。 ホイロ(最終発酵) 焼成前に行う。 生地を成形した際に崩れた生地の構造を整えて柔軟性を取り戻させて炭酸ガスを発生させ、グルテンが伸びやすい状態に戻す。
• 全卵
製菓、製パンで使う卵には一般的に白玉、赤玉、薄赤玉、特殊卵といったものがある。 鶏の飼育地や飼料によって卵の色や成分は変わり、使う人の考えによって使い分けることもある。 特殊卵などではビタミンを強化した物、海藻を混ぜたものなど健康を意識して卵を選んだり、それを売りとすることも多い。シンプルな材料ながら風味や色、栄養素がそれぞれ違った、様々な卵がある。 製菓材料として使われている卵に加工卵という物もある。 卵割後に殺菌したもので大量生産の工場などでよく使われている。 凍結卵という物もあるが、生卵を冷凍することは出来ない。 凍結卵は20%前後の砂糖を加糖した物が多く、賞味期限が長い点など使い勝手もいいが、砂糖の配合を調整して使う必要がある。 →卵黄・卵白の性質 卵の規格サイズ 卵の規格は農林水産省で定めたものがあり、下記の重量で表されます。 LL 70g以上76g未満 L 64g以上70g未満 M 58g以上64g未満 MS 52g以上58g未満 S 46g以上52g未満 SS 40g以上46g未満 構造 卵は、卵殻・卵殻膜(カラの内側にあるうす皮)、卵白、卵黄からなっており、基本的にその割合は1 対6対3となっている。 卵殻 卵殻は「カラ」と呼ばれている部分でたまごの内部を守る働きがあり、成分のほとんどが炭酸カルシウムで出来ている。 カラ気孔と呼ばれている小さな穴がたくさんあり、その気孔で「胚」(ひよこになる部分)の呼吸に必要な酸素を取り入れ、内部で発生した炭酸ガスを排泄し、ガス交換を行っている。 そのため、卵は20度前後の室温で2~3週間は保存が出来るが、殻にひびが入ったりすると必要以上の酸酸素が入り、そこから腐敗がはじまる。 基本的に白い羽毛の鶏が白い卵は産み、羽毛も茶褐色の鶏が赤い卵を産む。 一般的に白玉は安定した価格と品質の提供が求められるため、衛生管理が行き届いた大規模な養鶏場で飼育されることが多い。 逆に自然に近い状態で鶏を平飼いをし、飼料や環境にこだわった卵などは栄養価が高い赤玉になることが多い。 卵の鮮度 新鮮な卵は クチクラ という物で覆われているので表面がざらざらしている。 これが新鮮な卵か見分ける一つのポイントだったが、最近では市販されている卵の多くが洗浄されてから出荷されているため、卵の表面で鮮度を判断することは難しくなってきている。 卵は見た目だけでなく、割ってみて鮮度を確認することができる。新鮮な卵は黄身も白身も盛り上がっている。これが2~3週間ほどたってくると白身の盛り上がりがなくなり、黄身の盛り上がりも小さくなる。さらに古くなると黄身も白身も盛り上がりがなくなり、黄身も白身も平たく広がってしまう。黄身が割れやすいため、古い卵を割卵して卵白だけ使う場合は注意が必要である。 また、新鮮な卵は炭酸ガスにより卵白に濁りが生じる。炭酸ガスは殻の気孔を通じて徐々に抜けていき、それに伴って卵白の透明化が進行していく。新鮮な卵をゆで卵にすると殻が剥きにくい事があるが、これは炭酸ガスが抜けていない卵で殻と身に隙間がないため。 卵の性質 熱変性 卵の主な成分であるたんぱく質は、熱を加えると固まるという性質がある。 卵白と卵黄では、含まれているたんぱく質の性質が違うため、凝固し始める温度にも差がある。卵白の方が低い58度から凝固し始めるが、完全に固める温度は80度まで上げる必要がある。 それに比べ卵黄は固まり始めの温度は白身より高く、65度前後で固まり始め、65~70度を維持すると完全に固めることができる。 乳化性 乳化作用とは油と水を繋がる働きの事。卵黄にはレシチンが多く含まれていて、レシチンは水溶性と脂溶性という反発する2つの性質を繋げてくれる働きがある。新しい黄身ほど多くのレシチンが含まれているので、この性質を調理に利用する場合にはより新しいものを使う。 起泡性 卵には卵白の持つ表面張力、空気変性などの作用により、泡立てるとどんどん空気を抱え込む性質がある。 メレンゲを作る際、砂糖を入れると泡立ちにくい強いメレンゲが出来るといわれるが、これは砂糖の働きによるもので、たんぱく質の変性を抑える働きによるものである。 表面張力も弱めると泡立ちやすくなるが、弱いというのは、水溶化した卵白の事を意味さし、新鮮な卵白もほぐすことや、キウイ、パイナップルとなどとあわせ、これらのフルーツに含まれるたんぱく質分解酵素の働きで水溶化させたり、あとは日にちが経った卵白を使うなど、水溶化した卵白を使うケースが多い。