
全卵
カテゴリ:卵

鶏の飼育地や飼料によって卵の色や成分は変わり、使う人の考えによって使い分けることもある。
特殊卵などではビタミンを強化した物、海藻を混ぜたものなど健康を意識して卵を選んだり、それを売りとすることも多い。シンプルな材料ながら風味や色、栄養素がそれぞれ違った、様々な卵がある。
製菓材料として使われている卵に加工卵という物もある。
卵割後に殺菌したもので大量生産の工場などでよく使われている。
凍結卵という物もあるが、生卵を冷凍することは出来ない。
凍結卵は20%前後の砂糖を加糖した物が多く、賞味期限が長い点など使い勝手もいいが、砂糖の配合を調整して使う必要がある。
→卵黄・卵白の性質
卵の規格サイズ
卵の規格は農林水産省で定めたものがあり、下記の重量で表されます。LL 70g以上76g未満
L 64g以上70g未満
M 58g以上64g未満
MS 52g以上58g未満
S 46g以上52g未満
SS 40g以上46g未満
構造
卵は、卵殻・卵殻膜(カラの内側にあるうす皮)、卵白、卵黄からなっており、基本的にその割合は1対6対3となっている。
卵殻
卵殻は「カラ」と呼ばれている部分でたまごの内部を守る働きがあり、成分のほとんどが炭酸カルシウムで出来ている。カラ気孔と呼ばれている小さな穴がたくさんあり、その気孔で「胚」(ひよこになる部分)の呼吸に必要な酸素を取り入れ、内部で発生した炭酸ガスを排泄し、ガス交換を行っている。
そのため、卵は20度前後の室温で2~3週間は保存が出来るが、殻にひびが入ったりすると必要以上の酸酸素が入り、そこから腐敗がはじまる。
基本的に白い羽毛の鶏が白い卵は産み、羽毛も茶褐色の鶏が赤い卵を産む。
一般的に白玉は安定した価格と品質の提供が求められるため、衛生管理が行き届いた大規模な養鶏場で飼育されることが多い。
逆に自然に近い状態で鶏を平飼いをし、飼料や環境にこだわった卵などは栄養価が高い赤玉になることが多い。
卵の鮮度
新鮮な卵はクチクラという物で覆われているので表面がざらざらしている。
これが新鮮な卵か見分ける一つのポイントだったが、最近では市販されている卵の多くが洗浄されてから出荷されているため、卵の表面で鮮度を判断することは難しくなってきている。
卵は見た目だけでなく、割ってみて鮮度を確認することができる。新鮮な卵は黄身も白身も盛り上がっている。これが2~3週間ほどたってくると白身の盛り上がりがなくなり、黄身の盛り上がりも小さくなる。さらに古くなると黄身も白身も盛り上がりがなくなり、黄身も白身も平たく広がってしまう。黄身が割れやすいため、古い卵を割卵して卵白だけ使う場合は注意が必要である。
また、新鮮な卵は炭酸ガスにより卵白に濁りが生じる。炭酸ガスは殻の気孔を通じて徐々に抜けていき、それに伴って卵白の透明化が進行していく。新鮮な卵をゆで卵にすると殻が剥きにくい事があるが、これは炭酸ガスが抜けていない卵で殻と身に隙間がないため。
卵の性質
熱変性
卵の主な成分であるたんぱく質は、熱を加えると固まるという性質がある。卵白と卵黄では、含まれているたんぱく質の性質が違うため、凝固し始める温度にも差がある。卵白の方が低い58度から凝固し始めるが、完全に固める温度は80度まで上げる必要がある。
それに比べ卵黄は固まり始めの温度は白身より高く、65度前後で固まり始め、65~70度を維持すると完全に固めることができる。
乳化性
乳化作用とは油と水を繋がる働きの事。卵黄にはレシチンが多く含まれていて、レシチンは水溶性と脂溶性という反発する2つの性質を繋げてくれる働きがある。新しい黄身ほど多くのレシチンが含まれているので、この性質を調理に利用する場合にはより新しいものを使う。起泡性
卵には卵白の持つ表面張力、空気変性などの作用により、泡立てるとどんどん空気を抱え込む性質がある。メレンゲを作る際、砂糖を入れると泡立ちにくい強いメレンゲが出来るといわれるが、これは砂糖の働きによるもので、たんぱく質の変性を抑える働きによるものである。
表面張力も弱めると泡立ちやすくなるが、弱いというのは、水溶化した卵白の事を意味さし、新鮮な卵白もほぐすことや、キウイ、パイナップルとなどとあわせ、これらのフルーツに含まれるたんぱく質分解酵素の働きで水溶化させたり、あとは日にちが経った卵白を使うなど、水溶化した卵白を使うケースが多い。
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月12日
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月12日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• ムラング・イタリエンヌ
ムラング・イタリエンヌ【仏:meringue italienne】 イタリアン・メレンゲ【英:Italian meringue】 卵白に高温で煮詰めたシロップを加えて泡立てて作るメレンゲ。 粘性があり、かたくしっかりとした質感が特徴的。 主にムースを作る際やバタークリームのベースに使用される。 保形性があるのでケーキの表面にしたり、絞り出してデコレーションすることもできる。 作り方について イタリアンメレンゲは、砂糖を水に溶かしてシロップにすることによって、多くの砂糖を加えられる。そのため、他のメレンゲと比べて粘性が強いメレンゲができあがる。仕込みの際はミキサーを使った方が、シロップが均一になじみ、綺麗なメレンゲにすることができる。 基本的には卵白の重量に対して二倍量の砂糖を加える配合が多い。 シロップにせずに二倍量の砂糖をそのまま加えた場合、砂糖が卵白の水分を吸収し、砂糖が溶けるための水分が足りなくなるため、途中で一定以上泡立たなくなってしまう。そのため、砂糖が溶けるのに必要な水分をシロップにすることで補う。 また、砂糖は全てシロップにしてしまうのではなく、一部を卵白に加えて泡立てる。これは砂糖を加えることで、砂糖が卵白の水分を吸収することでメレンゲの泡が壊れにくくなるため。そのため、砂糖を入れずに泡立てた卵白にそのままシロップを加えるよりもメレンゲがきめ細かく仕上がる。 シロップを加えるのに適切なメレンゲの泡立ち状態のタイミングは、卵白に対する砂糖の量、すなわち配合で変わってくる。シロップの砂糖量が多いほどシロップの粘性が強まり、メレンゲに加えたあとは泡立たなくなってくるため、卵白をしっかりと泡立ててからシロップを加えた方がよい。 シロップを加える状態の目安 卵白に対する砂糖量が150%以下→五〜七分立ての状態 卵白に対する砂糖量が150%(〜200%)→六〜九分立ての状態 泡立てた卵白に熱したシロップを加えることにより、卵白の気泡の中の空気が熱により膨張して体積を増し、気泡が大きくなっていく。そのため、シロップを加える段階でできている気泡が小さい方が、シロップを加えてからも気泡が大きくなりすぎず、きめの細かいイタリアンメレンゲを仕上げることができる。 シロップの温度 加えるシロップは118℃〜120℃に煮詰め、水分を飛ばしてから加える。 この温度は非常に重要で、適正な温度でシロップとメレンゲを合わせられなかった場合、うまくなじまずにシロップがそこにたまって固まってしまう。結果的に砂糖が分量分メレンゲに入らず、締まりがなく、もろもろとした粗い仕上がりになる。 シロップの温度が低かった場合も煮詰めすぎた場合もシロップは固まってしまうため、砂糖を加えた卵白が泡立つタイミングとシロップが煮詰まるタイミングが合うように作業を進める必要がある。 シロップは110℃を越えると、煮詰まるに連れて泡が小さくなり、粘りが出てくる。118℃前後になると、バラバラだった泡の大きさが揃ってくるため、小さい泡が均一になった状態が、温度計を使わずに温度を見極める際のひとつの目安になる。 煮詰まったシロップを氷水の中で丸めると、小さな球を作ることができる。(プティ・ブーレ) 作った球が水あめのような柔らかい状態であれば、118〜120℃になっていると判断できる。 メレンゲが熱をもっている状態で泡立てをやめると気泡が壊れやすい状態のまま仕上がってしまうため、良い状態まで泡立てたあとはミキサーの速度を落とし、粗熱がとれるまで粒を揃えるようなイメージでゆっくりと泡立てる。 →セレ
• サルモネラ
サルモネラ・エンテリティディス サルモネラは周毛性べん毛をもったグラム陰性の無芽胞桿菌である。サルモネラ属は2500種以上に分類されている。 原因 食肉類(鶏肉・豚肉・牛肉等)や卵及びその加工品が多い。年間を通じて発生するが、発生頻度が高いのは春季から秋季にかけて。 サルモネラはほとんどの動物が保菌しているため、食品汚染を完全になくすことは難しい。 40度前後で最も活発になるが熱に弱く、75℃、1分以上の加熱によって死滅するため、食品を十分な加熱することが要点となる。 鶏卵も感染源となる。パティスリーでは特に夏場のカスタードクリームなどが感染源となりやすい。 生卵を使った作業台はきっちりと殺菌消毒をしたり、カスタードと他のクリームを使う時に同じ絞り袋を使いまわさないようにしたりすることが重要である。 症状 潜伏期間は一般的に6~48時間程度だが、最近では100時間を超えたあとに発症する場合もある。主な症状は腹痛、下痢、発熱で、特に高熱を伴うことが多い。 軽症例では症状は発病後1~2日で回復に向かい、排菌期間も2週間以内であるが、重症例では1ヶ月以上も排菌が持続し、保菌者となって長期排菌する例もある。重症例では死亡するケースもある。 予防 ・生の食肉類に触れた手で他の食品や器具類を触らない。 ・調理時に食肉類は十分に加熱し、特に鶏卵は75℃で1分以上の加熱を行う。 ・媒介となるネズミやゴキブリの駆除を徹底し、ペットの扱いにも注意する。