
寒天(凝固剤)
カテゴリ:その他加工品

冷菓を固める凝固剤の一種。杏仁豆腐や水羊羹などの和菓子作りで使われている。
寒天を使用した製品は弾力や粘りがなく、独特のもろい口当たりと喉越しの良さが特徴的。
テングサ、オゴノリなどの紅藻類から抽出した多糖類(食物繊維)が主成分。
白色で形状は粉末、棒状、糸状の三種類ある。凝固力が強く、わずかな量で多くの液体を固めることができる。
消化されないためカロリーはなく、食物繊維が豊富なのでダイエット食としても知られている。
扱い
寒天には粉末寒天、角寒天、糸寒天の三種の形状がある。粉末寒天
ふやかす手間がなく、スーパーなどで簡単に手に入る。粉末寒天は常温の水に加えてから火にかける。寒天が沈殿するので混ぜながら溶かしていく。煮立ったら静かに煮立つ程度の火加減にして、2分ほど煮る。
角寒天
伝統的な製法で作られていて、風味が豊か。粉末寒天、糸寒天と比べると柔らかめの仕上がりになる。
よく洗ってから水につけてふやかし、水気をしぼってから使う。戻す水をお湯に変えると早く戻る。 煮溶かす場合は水から加えるか、水を沸騰させたところにちぎって加える。
混ぜながら加熱し、固まりが消えて透明感が出るまで煮る。
どの形状の寒天も、溶解温度は90〜100°Cなので、液体を沸騰させて煮溶かすこと。
糸寒天
粉末寒天、角寒天と比べると、透明感があり、繊細な口あたり。ふやかしてそのままサラダやスープに使われることもある。
ふやかして煮溶かすまでの方法は角寒天と同様である。
性質
酸に弱く、PH4.5以上ないと固まらない。これは、ゼラチンのように酸で凝固力が低下するのではなく、加水分解が起こるため。寒天に酸味の強い果汁を混ぜ込みたい場合は、まずは寒天を十分に煮溶かしておいて、粗熱を取った上で手早く果汁を混ぜ込む様にするか、寒天の量を少し増やす。
固めたい物と合わせたら粗熱を取り型に流し込む。30〜40°Cの常温で固まるので、粗熱を取ってからは手早く作業する。
他の凝固剤に比べて離水しやすいので、砂糖を多く加えて保水力を高めるとよい。
固まったものを再度溶かし固めても同じように固まるという性質がある。冷凍はできない。
製品にしてからの寒天の溶解温度は70°C程で、常温でも安定した状態を保つことができる。
凝固する仕組み
寒天の基本構造は、多数のガラクトースという単糖類とその誘導体が細長い鎖状に並んだ物。熱水の中にあると分子の活動が活発なので、液体の中を自由に動いている。温度が下がると徐々に動きが悪くなり、ガラクトース同士で引き合うようになる。鎖状のガラクトースが繋がると細かい網目状の構造を形成し、その隙間に大量の水分を抱え込める様になる。
更新日:2020年08月07日
作成日:2018年09月12日
更新日:2020年08月07日
作成日:2018年09月12日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• ゼラチン
ゼラチン(仏:Gélatine ) 冷菓などを固める凝固剤の一種。 ゼリーやババロア、ムース、マシュマロなど様々なお菓子作りに使われている。ゼラチンを使用した製品はふんわりと柔らかく、粘りと弾力がある。 溶解温度が20〜30℃と低く、口にいれるとすぐ溶け出す。この口どけの良さと食感から人気があり、最も使用される凝固剤である。 牛や豚の骨または皮のコラーゲン(不溶性のタンパク質)を熱水で抽出、精製し、乾燥させて作られる。近年は豚由来の物が主流になってきている。 板状と粉末状のものがある。100グラムあたり338キロカロリー程度。 凝固する仕組み ゼラチンの基本構造は、多数のアミノ酸が細長い鎖状に並んだ物。これは、熱水の中にあると分子の活動が活発なので、液体の中を自由に動いている。 温度が下がると徐々に動きが悪くなり、アミノ酸同士で引き合うようになる。鎖状のアミノ酸が繋がると、細かい網目状の構造を形成し、その隙間に大量の水分を抱え込める様になる。 これにより、独特の弾力のある固まり方をする。この網目構造によりゲル化する仕組みはアミノ酸由来のものや単糖類のものがあるが、ゼラチンだけでなく寒天やカラギーナン、ペクチンにも共通している。 扱い 板ゼラチンは戻すための水の温度が高いと水に溶け出してしまうので、多めの水に氷を入れ水温を10℃以下に保つ。 また板ゼラチンは濡れると張り付いてしまい、均一に戻らなくなるので、水に入れる時は一度に入れず、一枚一枚順番に入れる。柔らかくなったら水気を切って使う。 粉ゼラチンの場合も冷たい水でふやかす。水の量はゼラチンの種類や作りたい製品により異なるが、およそ4〜5倍。均一に戻すため、水をはった容器に粉ゼラチンをふり入れるようにする。 ゼラチンに水を吸水させて柔らかくしてから他の材料に加え、50〜60℃で加熱して溶かす。これを冷蔵庫などで15〜20°Cまで冷やすと固まる。 性質 製造過程において、加熱しすぎるとゲル化力が弱まる。 やや酸に弱く、PH3.5以上ないと固まらない。たんぱく質分解酵素を含む果物の果汁はゲル化できない。 (パパイヤ・キウィ・パイナップル・メロン・イチジクなど) これらの生の果肉をゼリーに混ぜ込むと、その果肉の周囲から凝固が解けていく。酵素は熱に弱いため、これらのフルーツを固めたい場合は缶詰になっている物を使うか、一度加熱してからゼラチンと合わすとよい。加熱することでフルーツの味や風味が損なわれることが多いので、ゼラチン以外の凝固剤が使われることが多い。 固めた冷菓は25〜30℃で溶け出す。夏季の室温や人の体温で溶けてしまうので、注意が必要。一度溶けた製品を再び冷やして、ゲル化させることもできるが、強度が弱くなる。 ゼリーは基本的に冷凍できない。ババロアはレシピ次第で、冷凍すると品質が落ちる物も多い。ムースは冷凍できる。急速冷凍にかけて冷凍し、溶かすときは冷蔵庫でゆっくり解凍する。 砂糖にはゼラチンの凝固を助ける働きがある。砂糖は水に溶けて分散し、上記の網目構造の中で水を吸着して保持し、離水を防ぐ効果がある。なので、甘さ控えめにしたいからといって、安易に砂糖の配合を減らすと固まりが緩くなる場合がある。 完成した製品が溶けない温度を保てば、ほとんど離水しない強い凝固力がある。 ゼラチンの種類 板ゼラチン 透明な薄い板状のゼラチン。プロの現場ではこちらが一般的に使われている。 板ゼラチンは一枚あたりの重さが一定なので計量する手間がない。(ただしメーカーや種類による違いはある。) 粉ゼラチンに比べると短時間で戻せる。 戻すのに使った冷水にはゼラチンの匂いが溶け出すので、独特の匂いが和らぐ効果がある。板ゼラチンの難点はゼラチンの戻し具合や水分の絞り具合によって、含まれる水分量が変わってくる所。この水分量は完成品の硬さに影響してくる。水分量を一定にするためにはその板ゼラチンを戻したときの重量を計って基準となる値を決めておき、水分を足したり、よく絞ったりすればよい。 粉ゼラチン 白色か薄い黄土色の粉末状。スーパーなどでも簡単に手に入る。粉ゼラチンはあらかじめ戻す水分の量を計算して合わせているため、水分量の調整はいらない。 砂糖の補助効果 砂糖は水に解けて分散し、上記の網目構造の中で水を吸着して保持し、離水を防ぐ効果がある。なので、甘さ控えめにしたいからといって、安易に砂糖の配合を減らすと固まりが緩くなる場合がある。 使用における注意点 製造過程において、加熱しすぎるとゲル化。だか、この酵素は熱に弱く、加熱することによって活動を失う。なので、これらのフルーツを固めたい場合は缶詰になっている物を使うか、一度加熱してからゼラチンと合わすとよい。ただし、加熱することでフルーツの味や風味が損なわれることが多いので、ゼラチン以外の凝固剤の使用をお勧めする。 固めた冷菓は25〜30℃で溶け出す。夏季の室温や人の体温で溶けてしまうので注意がいる。一度溶けた製品を再び冷やして、ゲル化することもできるが、強度が弱る。 ゼリーは基本的に冷凍できない。ババロアはレシピ次第で、冷凍すると品質が落ちる物も多い。ムースは冷凍できる。急速冷凍にかけて冷凍し、溶かすときは冷蔵庫でゆっくり解凍する。
• アガー
冷菓を固める凝固剤の一種。紅藻類のツノマタ、スギノリ由来の多糖類(食物繊維)であるカラギーナンと、マメ科の種子の抽出物のローカストビーンガムなどを合わせた物。見た目は白い粉末。主にゼリーに使用される。常温で固まり始め、しっかりと固まると寒天とゼラチンの間くらいのフルフルした独特の食感になる。海外では以前から広く利用されており、近年では日本でも使われる様になってきている。 精製されたカラギーナンには三つのタイプがあり、それぞれ性質が異なることから、それらの組み合わせと他の増粘剤(ガム類)との組み合わせで性質の異なったアガーが作られている。 弾力、口当たり、冷凍耐性があるものなどいろいろな種類があるので、作りたい物に合わせて選ぶとよい。 ゼラチンや寒天と比べて透明度が高く、光沢があるため、材料の色をそのまま製品に活かすことができる。 また、ゼラチンの様に独特な香りはなく無味無臭なので、他の材料の風味に影響しない。 アガーのカロリーは100gで340キロカロリー程。アガーの中でカラギーナンはカロリーはなく、他の添加物でカロリーが発生している。 扱い アガー単独だとダマになりやすいので、砂糖と粉体混合し、よく混ぜて液体に加えて70〜80℃以上で煮溶かす。 砂糖を使用しない製品の場合は、ダマにならないよう液体を攪拌しながら少しずつにアガーを加え、均一に混ぜ合わせてから加熱する。 沸騰させてしまうと固まりが悪くなるので注意する。また、常温で固まってしまうため、手早く作業する。 固まりきるまで静かに置いておかないと、しっかりと固まらない原因になる。 性質 タンパク質(特にミルクカゼイン)、ミネラル(カルシウムなど)があるときは急激に強くゲル化する。 酸にやや弱く、PH3.5以上ないとゲル化しない。 30〜70°Cで固まるが、一度固まると常温では溶けないので、持ち帰り用の製品にも安心して使える。 凝固温度より5〜10°C高い温度になると溶け出す。また、いったん溶けた物をもう一度冷やすと完全に分離する。 離水しやすい性質がある。アガーは一度固まった状態から形状が崩れることで離水が起こる。バットに流したゼリーをカットした場合も離水が始まる。 また、口に入れた時に形状が崩れて離水が始まるので、その特性を活かして果汁の多いフルーツをかじった時のような他の瑞々しさを演出することもできる。 ゼラチンとアガーで同量の液体を固めた場合、アガーの方が固く仕上がる傾向がある。ゼラチンの代用として使う場合は少量で試作し、適量を確認してから作るとよい。 カラギーナン(ゲル化剤) カラギーナン【仏:Carraghénane】は、紅藻類のツノマタ、スギノリ由来の多糖類(食物繊維)である。 カッパ型、イオタ型、ラムダ型の三種の性質の異なる成分がある。この組み合わせや、比率を調整してさまざまな特徴を持つアガーが作られている。 カッパ型 最も硬く固まる性質があり、多用されている。 しかし、カッパ型のみでは固まり方が不安定になるので、ローカスビーンガムやグルコマンナンなどのガム類と併用することで、弾力ある食感を作り出している。 たんぱく質(カゼイン)によって液体が固まるという性質は、このタイプに由来する。 イオタ型 粘りや弾力があり、ジャムの様に柔らかく固まる。 単体で使われることはなく、少量を用いて離水を防いだりするのに使われる。 ラムダ型 水に溶かすと粘りが出る程度で、ゼリーを固める凝固剤には使えない。 主にアイスクリームなどの増粘剤として利用されている。 凝固する仕組み カラギーナンの基本構造は、多数のガラクトースという単糖類とその誘導体が細長い鎖状に並んだ物。 熱水の中にあると分子の活動が活発なので、液体の中を自由に動いている。温度が下がると徐々に動きが悪くなり、ガラクトース同士で引き合うようになる。 鎖状のガラクトースが繋がると、細かい網目状の構造を形成し、その隙間に大量の水分を抱え込める様になる。ローカストビーンガムを併用することで弾力が出る。