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ショートニング

カテゴリ:油脂類

ショートニング
ショートニングは、主に植物性油脂と硬化油から作られた、白色で無味無臭の加工油脂。さまざまな形状の物がある。動物性油脂が使われることもある。
名前はバターの特性である「ショートニング性」からきている。
クッキーなどをつくる際にバターを半分ほどショートニングに置き換えると、よりサクサクとした食感が楽しめる。
マーガリンとの大きな違いは水分と香味成分が一切含まれていない点である。そのため、ショートニングにはほとんど風味がない。

もともとはラードの代用品としてアメリカで開発された。ラードはバターと違い、自由に成形できる温度範囲が広いので扱いやすく、独特の風味もあることから、古くからお菓子の練りこみ用油脂として利用されてきた。しかし、ラードは品質が安定せず、保存中に結晶化しやすいという欠点があった。その欠点を改善したものが、ショートニングである。

製造方法

製造方法はマーガリンとほぼ同じ。大豆、コーン、綿実、サフラワー、パームなどの植物性油脂に水素を添加して、液体油を固体油に変える。これを「硬化」という。
硬化した油脂と目的に合わせた動植物性油脂を合わせる。
(混ぜることなくどちらかのみを加工していく場合もある)

ここに乳化剤とその他添加物を加え50〜60度で十分に攪拌したあと冷却する。
バター粒のような固形油脂ができたら練り、熟成させたら完成。

性質・用途


ショートニングには大量の乳化剤がふくまれている。そのためこれを用いて、パンやケーキを作ると、生地が非常にきめ細かくソフトに仕上がる。

バター生地をパウンド型で焼くとき、中央にショートニングを細く絞っておくとその部分が割れ目になり、美しい仕上がりになる。何もしなくても、パウンド型で焼けば割れ目は入る。しかし、バター生地をショートニングでライン状に覆うことにより、この部分だけ乾燥しにくく、生地の膜ができにくいので、生地の内部で発生した水蒸気はそこから出ようとする。逆にショートニングに覆われていない部分は表面が乾燥し、水蒸気が溜まって膨らんでいくので、最後にはショートニングを絞った部分に綺麗な一本筋で割れ目が入る。

「硬化」のため水素を添加する過程でトランス脂肪酸が発生する。これは大量に摂取すると人体に有害な物質とされている。


ショートニングの種類


全水添型ショートニング

風味が淡白で他の材料の邪魔にならない。また酸化されにくい性質もある。可塑性範囲の広いものが多く、一部融点の高いものもある。

ブレンド型ショートニング

魚、鯨の硬化油と植物性油脂を配合している物は、比較的低い融点で必要とされる硬さが得られる。
牛脂と植物性油脂を配合した物は、口溶けがやや悪いが、伸びが良いので、生地の練り込み用として用いられる。

乳化型ショートニング

全水添型、ブレンド型に乳化剤を多く加えた物。生地を乳化させる力が非常に強いので、糖分や水分の多い生地に加えると失敗が防げる。またこれを入れることで、オールインミックス法でスポンジをつくることができる。

液状ショートニング

液体状のショートニング。液体状のため生地の中で素早く均一に分散する。
配合生地中でも可塑性を付与できるように開発された。

粉末ショートニング

油脂を糖質やたんぱく質などで包み込みパウダー状にした粉末油脂。水溶性のため様々な食品に使用できる。主な用途はケーキミックスなどである。

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