
ムラング・イタリエンヌ
カテゴリ:製造過程
イタリアン・メレンゲ【英:Italian meringue】
卵白に高温で煮詰めたシロップを加えて泡立てて作るメレンゲ。
粘性があり、かたくしっかりとした質感が特徴的。
主にムースを作る際やバタークリームのベースに使用される。
保形性があるのでケーキの表面にしたり、絞り出してデコレーションすることもできる。
作り方について
イタリアンメレンゲは、砂糖を水に溶かしてシロップにすることによって、多くの砂糖を加えられる。そのため、他のメレンゲと比べて粘性が強いメレンゲができあがる。仕込みの際はミキサーを使った方が、シロップが均一になじみ、綺麗なメレンゲにすることができる。基本的には卵白の重量に対して二倍量の砂糖を加える配合が多い。
シロップにせずに二倍量の砂糖をそのまま加えた場合、砂糖が卵白の水分を吸収し、砂糖が溶けるための水分が足りなくなるため、途中で一定以上泡立たなくなってしまう。そのため、砂糖が溶けるのに必要な水分をシロップにすることで補う。
また、砂糖は全てシロップにしてしまうのではなく、一部を卵白に加えて泡立てる。これは砂糖を加えることで、砂糖が卵白の水分を吸収することでメレンゲの泡が壊れにくくなるため。そのため、砂糖を入れずに泡立てた卵白にそのままシロップを加えるよりもメレンゲがきめ細かく仕上がる。
シロップを加えるのに適切なメレンゲの泡立ち状態のタイミングは、卵白に対する砂糖の量、すなわち配合で変わってくる。シロップの砂糖量が多いほどシロップの粘性が強まり、メレンゲに加えたあとは泡立たなくなってくるため、卵白をしっかりと泡立ててからシロップを加えた方がよい。
シロップを加える状態の目安
卵白に対する砂糖量が150%以下→五〜七分立ての状態卵白に対する砂糖量が150%(〜200%)→六〜九分立ての状態
泡立てた卵白に熱したシロップを加えることにより、卵白の気泡の中の空気が熱により膨張して体積を増し、気泡が大きくなっていく。そのため、シロップを加える段階でできている気泡が小さい方が、シロップを加えてからも気泡が大きくなりすぎず、きめの細かいイタリアンメレンゲを仕上げることができる。
シロップの温度
加えるシロップは118℃〜120℃に煮詰め、水分を飛ばしてから加える。この温度は非常に重要で、適正な温度でシロップとメレンゲを合わせられなかった場合、うまくなじまずにシロップがそこにたまって固まってしまう。結果的に砂糖が分量分メレンゲに入らず、締まりがなく、もろもろとした粗い仕上がりになる。
シロップの温度が低かった場合も煮詰めすぎた場合もシロップは固まってしまうため、砂糖を加えた卵白が泡立つタイミングとシロップが煮詰まるタイミングが合うように作業を進める必要がある。
シロップは110℃を越えると、煮詰まるに連れて泡が小さくなり、粘りが出てくる。118℃前後になると、バラバラだった泡の大きさが揃ってくるため、小さい泡が均一になった状態が、温度計を使わずに温度を見極める際のひとつの目安になる。
煮詰まったシロップを氷水の中で丸めると、小さな球を作ることができる。(プティ・ブーレ)
作った球が水あめのような柔らかい状態であれば、118〜120℃になっていると判断できる。
メレンゲが熱をもっている状態で泡立てをやめると気泡が壊れやすい状態のまま仕上がってしまうため、良い状態まで泡立てたあとはミキサーの速度を落とし、粗熱がとれるまで粒を揃えるようなイメージでゆっくりと泡立てる。
→セレ
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年10月16日
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年10月16日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• 卵黄・卵白の性質
卵黄 卵黄はたんぱく質、脂質、糖質、無機塩類、ビタミンなど含まれているが、ひよこになる胚(はい)の発育中に消費される。 鶏卵の卵黄の成分は水分50%、脂質30%、タンパク質15%程度・ 脂質は中性脂肪が65~70%、リン脂質25~30%、コレステロール5%程度から成り立っている。 Lサイズの卵1個の卵黄の重さは約17gであるが、カロリーは66kcalと高く、脂質がかなり多い。 卵黄は基本的に冷蔵で保存する。冷凍保存はできない。冷凍卵黄が冷凍できるのは、砂糖が添加されているためである。 ◎卵黄の性質 乳化性 乳化作用とは油と水を繋がる働きの事。卵黄にはレシチンが多く含まれていて、レシチンは水溶性と脂溶性という反発する2つの性質を繋げてくれる働きがある。これは「卵黄レシチン」と呼ばれている。新しい黄身ほど多くのレシチンが含まれているので、この性質を調理に利用する場合にはより新しいものを使う。 凝固の温度や、卵黄は65℃で固まり始め、70℃で完全に固なる。 ◎卵黄の鮮度 卵黄の色調は、黄色い中にも薄いものや濃いもの、朱色に近い色など、さまざまなものがある。これは鶏の餌の栄養分などが卵黄に移行する性質によるもの。 新鮮な卵の黄身は張りがあり、こんもり盛り上がっている。しかし、時間が経過するにつれ、気孔を通してたまご内部の水分が蒸散していく。 まず卵白の水分が蒸散し、次に卵黄の水分が卵白に移動していく。その結果、卵黄は空気の少なくなった風船のように、表面にシワができることがある。 卵白 卵白はカラザ・水様卵白・濃厚卵白からなり、約90%が水分で残りはタンパク質で出来ている。 ◎卵白の性質 卵白に含まれるタンパク質は「起泡性」と「空気変性」という2つの特性を合わせ持っているため、メレンゲを作ることができる。卵白には表面張力がある。 メレンゲを作る際、卵白をしっかりほぐし、水溶化させることで、卵白の表面張力を弱めて広がろうとする力(起泡性)を生み出す。 さらに空気に触れることによって空気変性を起こし、空気に触れるたびに膜状に固まって1つ1つの気泡をしっかり包み込むように泡立っていく。 メレンゲに加える砂糖はこの気泡の「安定性」を高めるという作用がある。 砂糖にはたんぱく質の変性抑える働きがあり、空気変性の作用を抑制することで、きめ細かいメレンゲを作ることが出来る。 手でメレンゲを泡立てる場合、最初から砂糖を加えてしまうと卵白が重く粘り、メレンゲに混ぜ込める気泡の量が少なくなってくる。最初は卵白だけで泡立て始め、空気がしっかり含まれたところで、数回に分けて砂糖を加え、徐々に気泡のキメを細かくしていくとよい。 またハンドミキサーや機械で泡立てる場合は、砂糖を入れずに立て始めると、撹拌のスピードが非常に速いためタンパク質の変性が進みすぎてしまう。 最初の段階から少量の砂糖を加えて泡立て、たっぷりと空気が含まれたところで、残りの砂糖を数回に分けて加える。 砂糖の作用を利用し、配合や作りたいメレンゲによって砂糖を加えるタイミングも工夫することで、キメ細かく安定したメレンゲを作ることができる。 ◎卵白の鮮度 濃厚卵白は卵を割ったときに黄身のまわりにあるこんもりと盛り上がった白身部分で、新鮮であれば新鮮なほどもりあがっている。日にちが経つにつれて水溶化がはじまり、水っぽくなっていく。 水様卵白は水っぽく盛り上がりのない部分をさす。
• 砂糖
砂糖【英:sugar、仏:sucre、独:zucker】 蔗糖を主成分とする天然甘味料。 さとうきびから作られる甘蔗糖、甜菜から作られる甜菜糖(ビート糖)が代表的である。 その他にもカエデ樹液から作られるカエデ糖(メープルシュガー)、さとうやしやココヤシか作られるやし糖(パームシュガー、ココナッツシュガー)などがある。 製法から分けると糖蜜分を含む含蜜糖(白下糖)と糖蜜分を分離した分蜜糖がある。製菓や料理で日常的に使用しているもののほとんどが分蜜糖である。 砂糖の種類 含蜜糖は主にさとうきびを絞った液に石灰を加え、裏ごしそのまま濃縮し固まらせた砂糖。糖蜜を含んでいるため、色が黒い。 分蜜糖はさとうきびの絞り液から不純物を取り除き、結晶化させ糖蜜を遠心分離機で取り除いたもの。糖蜜を取り除いたあとに精製しているため、色は白いものが多い。 含蜜糖(白下糖)・・・黒砂糖・再製糖 分蜜糖(車糖)・・・上白糖・中白糖・三温糖 分蜜糖(双目糖)・・・グラニュー糖・白双糖・中双糖 和三盆糖 加工糖・・・氷砂糖・角砂糖 赤砂糖(カソナード) でんぷん糖・・・水飴・トレハロース 天然甘味料・・・蜂蜜・メープルシュガー 砂糖の性質 1.高い保水性をもっている。 食品中の自由水をガッチリと掴むため防腐作用がある。 また、この保水性によりメレンゲや生クリームなどの気泡が安定しやすくなる。 2.水によく溶ける(親水性) 3.食品中の脂質過酸化防止作用 4.デンプンの老化の防止 5.砂糖に含まれる糖と加熱によってアミノ酸が反応し、焼き色を作り出す(メイラード反応、カラメル化) 6.周りから水分を取ろうとする(吸湿性)