
小麦粉の種類
カテゴリ:粉類

日本は世界でも小麦の消費量が高く、そのほとんどは外国産小麦の輸入に頼っている。輸入元はアメリカは最も多く、半数以上を占めている。
外国産小麦の輸入のほとんどは、日本政府が買い入れて、国内の製粉会社などに売り渡すというシステムになっている。
強力粉
強力粉は「パンコムギ」と呼ばれる硬質小麦を原料に作られていて、主にアメリカやカナダから輸入している。成分は灰分が0.3~0.35%程度、たんぱく質量が11.0~13.0%で、食パンなど白いパンを作ることが多いため、特等粉と呼ばれる灰分のものを使うことが多い。
強力粉は主にパンを作るのに使う小麦粉で、食パンや菓子パン、フランスパンなどの粘りの強いパンに適している。そのほかにも中華麺やソフト麺、乾燥パスタなどに使われる。
薄力粉を使った場合と比べると、硬い仕上がりになる。
英語圏では「Strong flour」や「Bread flour」と表記されるものが、強力粉に近いものにあたる。
準強力粉
準強力粉は中力粉と強力粉の中間に位置する小麦粉で、場合によっては中力粉と同じ分類になることもある。主に中間質小麦を使っていて、日本ではオーストラリアから輸入している。成分は灰分が0.35~0.45%程度、たんぱく質量が10.5~12.5%で、パンやフランスパンなどを白いパンを作ることが多いため、一等粉と呼ばれる灰分のものを使うことが多い。
クロワッサンやデニッシュ、フランスパンなど、外はカリカリとした食感で、中はソフトでやわらかなパンを作るときに適している。
中力粉
中力粉はちょうど強力粉と薄力粉の中間に位置する小麦粉である。主に中間質小麦を原料使っていて、日本ではオーストラリアから輸入している。成分は灰分が0.35~0.45%程度、たんぱく質量が7.5~10.5%で、パンやバケットに使われることが多い。多少色が黒くても構わなければ、二等粉と呼ばれるものを使うことも多い。
バゲット、お好み焼き、たこ焼き、うどんやなど粘りの少なめのパンや粉もの料理によく使われる。
強力粉と薄力粉を混ぜたものを中力粉の代用とすることもできるが、もとの中力粉とは加工特性が違うため、完全に同じものにはならない。
薄力粉
薄力粉は軟質小麦を原料にしていて、日本ではアメリカから輸入している。成分は灰分が0.45~0.65%程度、たんぱく質量が6.5~9.0%で三等粉と呼ばれている物を使うことが多く、てんぷらの衣やパン粉などが適している。製菓において最も使われる小麦粉で、ケーキやクッキーなど軽い仕上がりのものに使われる。
タンパク質の含有量が少なければ少ないほど軽い繊細な仕上がりの製菓になるため、製菓用に「製菓用薄力粉」も販売されている。英語圏の表記では「cake flour」がこれに近い。
浮き粉
浮き粉は生地からグルテンを分離させた後に残った小麦粉のでんぷんをいう。『じん粉』や『本浮き粉』、『貫雪粉』とも呼ばれている。成分はたんぱく質量は洗い流しているため限りなく0に近く、灰分が0.7~1.0%%ぐらいの三等粉と呼ばれている物を使うことが多い。
浮き粉は片栗粉のような質感があり、生地に使うことで、和菓子やエビ蒸し餃子のような中の餡が透けて見えるような半透明な仕上がりになる。
餡を透かしたい蒸し餃子や中華団子などの点心や和菓子、天ぷらやたこ焼き、玉子焼きにも使われる。また、スポンジケーキやロールケーキ、シフォンケーキなどふんわりと仕上げたい洋菓子に使われることもある。
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月12日
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月12日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• フランスの小麦粉
フランスの小麦粉【仏:Farine de blé(ファリーヌ・ドゥ・ブレ)】 フランスの小麦粉【仏:Farine de froment(ファリーヌ・ドゥ・フロモン)】 日本の小麦粉というと「薄力粉」「中力粉」「強力粉」「全粒粉」とわけられるのが一般的だが、フランスの小麦粉は分類方法が違う。 フランスの小麦粉はType+数字で粉の種類を表す。フランスの小麦粉と日本の小麦粉は成分での分類が異なるため、厳密には対比できるものではない。 フランスの小麦粉はハード系のパンが多いため、灰分の含有値で小麦粉を分類する。灰分が多いと小麦の味が強く黒いパンとなり、少ないと小麦の味が弱い白いパンとなる。お菓子ならType45〜55が、パンならType65以上が適している。 フランスの小麦粉の種類 Type45 成分は灰分含有値が0.50%、麦1粒中使用されている量は70%である。 クグロフや折りパイ生地などこねないタイプのお菓子の生地に適している。 Type55 成分は灰分含有値が0.50~0.60%、麦1粒中使用されている量は75%である。 菓子パンやブリオッシュなどの軽いパンやビスケットなどのお菓子に適している。 Type65 成分は灰分含有値が0.62~0.75%、麦1粒中使用されている量は80%である。 一般的なパン生地やピザ生地などに適している。 Type80 成分は灰分含有値が0.75~0.90%、麦1粒中使用されている量は90%である。 一般的なパン生地からややハード系のパン生地に適している。
• グルテン
小麦粉のタンパク質であるグルテニンとグリアジンが変質したものをグルテンという。グルテンは水を粉に加え、練ると現れ、弾力性と粘り気がある。 グルテンにはグルテニンとグリアジンという2種類のタンパク質があり、この2つが絡み合って形成される。 練れば練るほどグルテンがたくさん出てくる。家で例えるならグルテンは柱のような存在で、生地作りにおいて骨格形成の働きがある。スポンジ生地はグルテンの力で形が整い、パンはグルテンの力で膨らみ、うどんにコシが出るのもグルテンの作用である。 グルテンの量と質 小麦粉の種類によって含まれるタンパク質の量と性質が異なり、「薄力粉」「中力粉」「強力粉」の3種類にわかれている。→小麦粉の種類 薄力粉は、軟質小麦を原料とする小麦粉。タンパク質の割合は小麦粉の中で一番少なく8.5%以下。粉の特徴はきめが細かく、しっとりとしていて握ると塊ができる。 強力粉は、硬質小麦を原料に作られている。タンパク質の割合が11.5%以上の小麦粉を強力粉と呼び、タンパク質の含有量が小麦粉の中で一番多い。粉の特徴はきめが粗くさらさらしていて、打ち粉に使われていたりする。 強力粉は薄力粉よりタンパク質量が多いためグルテン形成量も多く、弾力と粘り気が強い。 グルテンの作用 パン生地への影響 パンをつくる場合、小麦粉他材料と水を加えて捏ねると、軟らかく弾力がある生地になる。 捏ねることでグルテンが形成され、生地を伸ばすと薄い膜のようになり、網目で細い繊維状になる。 焼成の際にオーブンで熱が加わるとイーストがガスを発生させ、膨張して体積がさらに大きくなり、よくふわふわのパンに仕上がっていく。 生地の中心温度が95~97℃に上がった際、形成されたグルテンの網目状組織は熱で変性して固くなるため、パン中にしっかりした骨組みができて冷えてもその形を保てる。でんぷんが壁、グルテンが柱の役割を果たしている。 パイ生地への影響 パイ生地は、練り合わせたり、麺棒でのばしたりした後には、必ず「生地を休ませる」という工程が入る。 練り合わせたばかりの生地はグルテンにより弾性が強まり伸ばしにくくなったり、焼成の際に縮みが起こったりする。伸ばした直後のグルテンが作用したままの生地は使うことができない。生地のコシを作っているグルテンのタンパク質の粘弾性は、生地を休ませている間に変化し、ゆるまっていく。 練り合わせた生地や麺棒でのばしたばかりの生地は、グルテンの構造が無理な力で引きのばしたような状態になっている。そのため、力を加えて無理に生地をのばそうとしても、元の状態に戻ろうとする力が強く、非常にのばしにくかったり成形しにくい。 しかし、この生地を冷蔵庫でしばらく冷やして休ませるとグルテンによる弾力がだんだん弱くなり、のばしやすくなっていく。寝かしている間にグルテンの網目構造無理な力のかかっている部分が切れ、ほぐれ、構造全体に余裕ができてくるので伸ばしやすく加工しやすくなる。 グルテンに影響する副材料、添加剤 食塩はグルテンのコシを強くする性質を持っている。パン作りにおいては食塩は重要なもので、全体がしっかり締まって、弾力がありダレない。 食塩を入れないと、発酵させている間に生地がダレてベタベタした仕上がりになってしまう。 食塩の量が多すぎると、パン酵母(イースト)の発酵が抑えられ、生地が膨らまなくなることもある。 サラダ油などの液状油はグルテンの無理な結合を減らしたり、グルテンと他の成分との接触をなめらかにしたりする役割がある。液状油を加えた生地は、生地全体が非常に軟らかくなり、薄く伸ばしやすい。 また、レモン汁や酢などはグルテニンとグリアジンを溶けやすくし、グルテンがやわらくなり生地が伸びやすくなる。 アルコールなどもグリアジンを溶けやすくし、グルテンを柔らかくする作用がある。